坂口安吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
様々な「女」をめぐる物語。
「恋をしに行く」は、純粋ながら人間らしい、この話自体に恋をしてしまうようだった。
「続戦争と一人の女」は、女の孤独と愛情に共感さえ覚えてしまうほど、胸が苦しく愛を感じた。
「傲慢な眼」は、不器用さと甘酸っぱさがとても愛くるしい。
「アンゴウ」は、どんでん返しの結末に、胸が熱くならずにはいられなかった。
私はこの4つの物語に特に惹かれたが、きっと女性のタイプと同じように、好みは分かれるであろう。
「女とは?」という問いかけにも似た、多面性を見せる「女」たち。
皆それぞれ魅力があり、とても引き込まれる短編小説集でした。 -
Posted by ブクログ
短編小説の名手といえば、外国なら、
モーパッサン、チェーホフ、S・モーム、O・ヘンリー、ダール、ポー、
あたりがまず頭に浮かんできますね。
特に、ロアルド・ダールが大好きです。
ヒッチコック映画を観ているようでぞくぞくします。
日本で言えば、
森鴎外、永井荷風、芥川龍之介、志賀直哉、稲見一良、山本周五郎、藤沢周平、
江戸川乱歩、星新一、松本清張
あたりでしょうか?
特に、稲見一良「ダック・コール」は絶品ですね。
で、随筆の名手、特に日本人でいうと、まず筆頭にくるのが丸谷才一でしょう。
その他、内田百間、寺田寅彦、柳宗悦、日高敏隆ぐらいがぱっとうかんできます。
特に、丸谷才一の博覧強記ぶりには舌を巻きます。勿論文章はピカイチ!!!
所が、最近、坂口安吾の随筆にはまっています。
恥ずかしながら、彼の小説といえば
「不連続殺人事件」ぐらいしか読んだことありません。
更に恥ずかしい事に、あまりにも登場人物が多くて
犯人が全くわかりませんでした(⌒-⌒;)
その坂口安吾の随筆は小説より面白いと解説文ありますように、
読み始めたら止まらなくなります。明快で読みやすいです。
例えばこうですー
『空にある星を一つ欲しいと思いませんか?思わない?
そんなら、君と話をしない。』(「ピエロの伝道者」)
どうです?おもしろそうでしょ?そう思わない?
そんならあなたと話しない(o^。^o)
ざーと目を通し、今読み返しているところですが、
私にすれば多分にこじつけというか、独断的な部分はありますが、
でも、面白いです、是非おすすめします。
そう読みたくない?そんならあなたとお茶でもしましょう\(^-^)/ -
Posted by ブクログ
集英社版の堕落論を読んで、非常に感銘を受けたので他のエッセイも読みたく思いこちらも読んだ。非常に面白く、新たな思想に触れて感銘を受けると同時に、数を重ねる事で彼の思想が立体的に浮き彫りになってきた気がする。非常に首尾一貫した、人間愛者だと感じた。ネガティブなイメージが先行してしまうのかもしれないが、彼の人生に対する態度は、彼が戯作について述べていたような『徹底的な肯定』と通じるものがあり、人生の、人間の汚い面や悪い面なども、全てをぐいと飲み下して肯定してしまう、そう言う奮闘の姿なのだという事がひしひしと伝わってくる。
彼が繰り返し強調する概念の中に見えたのは、肉体性というものをきちんと見据える姿勢だった。教祖の文学の中で、小林秀雄の批判を通して彼が述べていた事は、小林自身が『自分は小説の才能がなく、批評家にしかなれなかった。』と言う言葉と重なる。小林のような徹底的な客観性に基づき、論理と抽象化により、無機質で普遍的な真理を究明していく徹底的な態度と言うものは、事実から肉体性を排除してしまうものであった。坂口安吾は繰り返し、小説とは個別性であり、個人性であると述べ、つまりそれは肉体的な営為であるのだから、この点において、文学者としての坂口安吾と批評家としての小林秀雄が、このような対照をなすと言うのは当然のことなのだろう。私は小林秀雄が非常に好きだが、文学と言うものを考えた時に、坂口安吾の言うような地に足のついた、肉体性に根ざした感覚と言うものを大事にしたいと感じる。
青春論で述べられていた淪落的な生き方もそうなのだが、やはり坂口安吾と言うのはどこまでもまっすぐで、人生に誠実であったのだというのを感じた。死んだら終わり。それまで。そう言う風な考え方を徹底している。勿論、現代の人間においては特にだが、社会的動物としての人間が個人の死によって完全に消滅するかと言う観点から見るとそれは肯定できるものではないが、この言葉をそう言う風に字面どおりに受け取るのは違うと感じた。つまりその言葉は、彼の『生きている時間は少しでも大切にしなければならない』と言う、人生に対する真摯な態度を何より象徴しているのだと思った。彼が作中で述べたように、彼は女性が老いて美を失う事を恐れるような感覚は持っていなかった。老いというものが彼にとってはそう大した問題でなかった。だが、女性のそう言う態度を肯定し、そのような、時間を惜しむ人生と言うものに価値を見出している。だから彼は自分の生命を、女性にとっての美と同値に考え、女性が老いを恐れるように死を恐れようとした。若さに縋るのではなく生命に縋り、生きている時間と言うものをどれだけでも濃密なものにしようとした。そう言う必死でがむしゃらな態度こそ、彼が繰り返し肯定していた、肉体的な生き方であった。芸術は長く、生命は短い。だが、長さは決して価値と同義ではない。どこまでも『自己』を出発点として、ブレずに世界と向き合おうという姿勢には、我々の学ばなければならないものが多分に潜んでいると思う。