坂口安吾のレビュー一覧
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購入済み
安吾らしい
率直で気の利いた挨拶である。読もうという気にさせる。
それと、この人はやっぱり、筋金入りの合理主義者である。無論、情理主義者でもあるわけだが。 -
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第二次大戦直後に若者達の強い支持を得た「堕落論」ほか数編を収めたエッセイ集。「堕落論」で展開される考え方もよかったが、むしろ他のエッセイで書かれた文章の中に興味深いものが多い。文化、文学、恋愛、内省、実存、政治、宗教など、ほとんどの分野における著者の考え方を網羅しているといえるのではないか。それぞれの場面で本業ともいえる文学論を絡めているため、一本筋の通った思想を読み取ることができる。なかには、現代においては一般的な考え方が、当時では異説として扱われていた様子をみてとることができ、そこに時の流れが感じられるような点もまたおもしろい。いずれにしても、作家など自分の思想を表現することを生業とする
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ネタバレ最も読んでよかったのは、『不良少年とキリスト』だ。フツカヨイ的……。なんてすげぇ言葉だろう。太宰治についてこう書かれたことは、もっと多くの人が知るべきだと思った。『人間失格』を読んで、偉人を同一視して同化し、浸る人は多いんだろう。その多くの人が、どこかで誰かや何かに出会い、人間の闇を知った上でそれだけじゃないと学ぶ。間違いなく名著であり、読まれるべき本であったけれど、太宰治が自身を追い詰めた決定打にもなったんだろう。読めば、より同一視が進む人の方が多いのかな? 俺はそうだった。今回は免疫から、少しの間で消えるものだったけれど。読後、多くの人が克服して人生に支障が出なくなるものに、作者自身が終
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全14編のうち既読6編、今回初めて読んだのが8編。
「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」「アンゴウ」の3編(いずれも既読)が
入った1冊はないかと探したら、この本が見つかったので購入。
テーマは戦争と恋愛に傾いている印象。
もっとも、執筆・発表年代を考えたら戦争が取り扱われているのは当然だし、
明日にも焼け出されるかもしれないといった危機感の中で男女が愛欲に溺れる、
というのも、まあそうか、そういうものかな――と、呟きながら、
バタイユ『青空』を思い浮かべたが、ともかくも、
極限状況の中で男より女の方が肝が据わっているというのは、
リアリティがあって頷ける(笑)
久しぶりで特に楽しみにしてい -
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ただ一言、「なんと無茶苦茶な文章なんだ」と言いたい。
初めはいくらか理路整然としていて、言いたいことをしっかり言っている。
ところが、終わりになるに連れて、何を言いたいのかわからない。酒に任せ、急いでつけたような結論。
だがそれが、人びとにこの堕落論が面白いと言わせる所以たるものなのかもしれない。わかったふうな口を利いているが、ぼくは実は何も理解してはいない。ただただ親近感が湧いている。思わず苦笑してしまうような文章。
ためになる、ならないで二分するような本ではないだろう。読むか、読まないか、ただそれだけである。人に読ませる本である以前に、これは坂口安吾が自分で書いたその証左であるだけにすぎな -
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ネタバレ角川ではなく、富士見書房なんだけどこちらで登録。
話の空気は横溝っぽいのに、探偵は小五郎のよう、と読んでいたけど、やはり金田一に似てるダメな感じ。
犯人を自殺させちゃったり、逃がしちゃったり。
「ぼくがもっと早く気がついていれば!」(映画の金田一だけど)と言うかと思った。
勝海舟はなんで出てくるんだろう?(それを言ったら虎ノ介も花廼屋も)と思っていたけど、読者代表なのかな。勝先生が犯人を口にすると「あ、やっぱりそれじゃないんだ」と思う。
そして、犯人は外しても勝先生の一言はピリリっとくる。
「完璧なるものといえども敢えて恐るるには当たらないということは、兵法、経済等のことに於いても真相だよ -
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ぱっと美しく咲いて、あっという間に散るその潔さが
日本人にも好まれる桜の花。
あたたかくなると桜が咲き始め、
満開の桜並木や公園でお花見をしたくなりますが、
美しい桜の花には要注意です。
この小説の作者は『白痴』などでよく知られた坂口安吾さん。
『昔、鈴鹿峠の満開の桜の下を通ると、旅人はみな気が変になる』と書き、
物語はそこから始まります。
恐ろしいほど美しい桜の魔力に見せられた男性が、
拾ってきた美しい女の言うがままに、
次々と殺人を犯し略奪を繰り返します。
満開の桜の森の下に怖くて行けないことが、
この作品のなかでのキーポイントですが、
よく考えてみると、本当に美しく咲き誇っている桜っ -
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とある田舎の猟師町。どんな患者も「肝臓病」と診たてたことから「肝臓先生」と呼ばれるようになった町医者は、肝臓病撲滅のために寝食をいとわず患者のために走りまわる。
タイトル、設定の面白さに加えて坂口安吾ときては読まずにいられない。さっそく読んでみたらやっぱり面白かった。
肝臓先生は熱い。お金のない人からはお金を取らず、どんな時でもどこにいても病気の人がいると聞けば駆けつける。風にも負けず雨にも負けず、常に歩いて疲れを知らぬ足そのものでなければならぬ。
こんなに熱く、正しく、力強く生きている男の悲劇を描いているというのに、そこかしこから漂う滑稽さは何なんだろう。褒められすぎると馬鹿にされて