坂口安吾のレビュー一覧

  • 夜長姫と耳男(乙女の本棚)

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    乙女の本棚、坂口安吾と夜汽車さんのコラボ作品です。

    夜汽車さんのイラストは何を描いても素敵なのですが、たくさんの白蛇が描かれた表紙には、少しひるんでしまいました。この作品では、イラストがいつもより少なかったです。

    物語は、「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」最期まで笑っていた夜長姫のこの言葉につきるように思いました。夜長姫の狂気に対する耳男の気持ちに、なんとも言えない気持ちで読み終わりました。

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    2025年06月21日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    安吾の恋愛論。確かに乙女向きのテーマなのかもしれないが、イラストのテイストと合っているかと言われると、微妙な気がしてしまう。だって、安吾だぜ、無頼派だぜ、というのは、乙女ではない部外者の勝手な独り言。
    安吾なら、「風博士」などどうだろう、というのは、割りと本気。

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    2025年06月21日
  • 桜の森の満開の下

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    ゼミで扱われる関係で表題作「桜の森の満開の下」を読んだのと、たまたまその流れで「土の中からの話」、解説で紹介されていた「夜長姫と耳男」の計三遍を読んだ。


    語り手は冒頭、桜の花の下について、次のように語っている。

    (前略)近頃は桜の花の下といえば人間がより集って酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思いこんでいますが、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になりますので、能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を探して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花

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    2025年06月21日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    題名の美しさに引かれて手に取ると、大変なことになる。とんでもない展開に呆気にとられてしまうだろう。
    乙女の方々はこの話をどう感じるのかな。特に中盤の異常さ。よくこんな話を思いつくものだと思うし、思いついたとしても、よく作品にしようと思ったもんだ。これが安吾の安吾たるところか。

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    2025年05月31日
  • 暗い青春

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    【2025年57冊目】
    第二次大戦前から戦後にかけて活動した小説家である坂口安吾。表題作「暗い青春」では自殺して間もない芥川龍之介の旧宅に通い、同人誌の編集に勤しんだ苦の日々が描かれている他、幼少期の親との確執から、恋や人生に向き合った10つの短編によって構成されている一作。

    小説かと思って読み始めると肩透かしを食らうかもしれません。これが私小説というやつなのか…日記?これはこれとして、受け入れられてきたのでしょうが、現代だとどうなんでしょ、なんとも言えないところですかね?

    表題作の暗い青春は秀逸な表現とかもあって好きでしたが、「女」について書いた話は「誰が主語なんだ、女は何人いるんだ」と

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    2025年05月12日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。山賊が自分の八人目の女房として、力ずくで奪った美しい女に狂わされていく物語。

    いくら美しくても、こんな女嫌だし何なら放っておけばいいのに…と思ってしまいますが、それがこの女の魅力であり、山賊の弱点なのでしょう。
    表紙では、女は鬼のツノを生やした姿で描かれていますが、本当に鬼だったのか?山賊自身が、桜の花に惑わされてしまったのか。
    一体どういうこと?という疑問と、一抹の寂しさが残るような、何とも言えない読後感でした。

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    2025年05月11日
  • 安吾人生案内 安吾愛妻物語

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    今は昔

    著者坂口安吾の作品を読んでいると、随分と現代的で今書かれていても不思議がないものから、時代がかっていて現代の常識から大幅に外れているものまである。夫婦関係を買いた本作品は後者の代表的なもので、女性が結婚後も普通に仕事を続けているケースが増えた現在ではおよそ考えられないものである。

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    2025年05月03日
  • 桜の森の満開の下

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    短編集、桜の森の満開の下についてはどゆこと?となった、解説読まないと全然分からない、、花びらになっちゃったの、、?

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    2025年04月30日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

     耽美とは何なのか未だ理解できていないが、収録作から思うに愛憎、背徳、情念、倒錯、フェティシズム、幻想、狂気etcが入り混じったものか。そこにタナトス≒死への衝動が加味された、名だたる文豪らによる10編。

    「桜の森の満開の下」(坂口安吾)や「瓶詰地獄」(夢野久作)は本書のコンセプトをまさに体現している作品か。作家のフェチ全開「刺青」(谷崎潤一郎)、美しくニューロティックな幻想「夢十夜」(夏目漱石)、サスペンスからの意外な結末「影」(芥川龍之介)もそこに沿ったものかと。
    "美"という点では泉鏡花の「浮舟」、折口信夫「身毒丸」なのだろうが、個人的には独特の文体含め作品世界にハ

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    2025年04月25日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    なかなか手を出すのを躊躇ってしまう、私にとってはハードルが高いと思ってしまう文豪たち。
    こういったテーマに沿ったアンソロジーは、手を出しやすく助かります。
    江戸川乱歩の「芋虫」と、太宰治の「駆込み訴え」が好きでした。

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    2025年04月15日
  • 理想の女

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    安吾の文学論

    坂口安吾の短い文学論というか 明治後半以来 文壇の主流であった自然派への反論 というように受け取れてしまう。坂口安吾自身 十分に自然派のような気がするが。吉川英治の転向を非難しているところなど、戦後すぐの時代性を反映していて面白い。

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    2025年04月06日
  • 淪落の青春

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    未完が惜しい

    戦後の復員兵を主人公したお話である。80年も前の話であるが、なるほど当時はそうだったのか となんだか腑に落ちるシーンが多い。戦後ガラッと価値観が変わった世の中をやや斜めに見て、戦場であったビルマを懐かしく思い出すところなど、随分と実感がこもっている。それだけに未完が惜しい。

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    2025年04月06日
  • 不連続殺人事件 附・安吾探偵とそのライヴァルたち

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    懸賞金をつけて作品の中で犯人当てを募集するという画期的な試み。作者から読者に向けてのメッセージが時々出てくるのがいい。登場人物多すぎるし犯人わからないよーと思って読んでいたけど、最後まで読むとなるほど!と思った。決して無理なこじつけではなく、2、3回読み返せば予想できたかも!

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    2025年03月19日
  • 予告殺人事件

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    降伏の3日前

    東京新聞のコラム欄にでも掲載されたのだろうか ごくごく短い作品である。いくらアメリカ軍の爆撃を受けてもあまりくじけず日常になっている、と述べて、国民性の違いのせいにしている。むしろ注目したいのは 新聞に掲載された「昭和20年8月12日」という日付である。敗戦 降伏の3日前にこのような記事が掲載されていた という事に感銘を受けた。

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    2025年03月03日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    坂口安吾文学忌、安吾忌

    1947年発表の 恋と愛の坂口安吾定義
    恋す:いまだ所有せざるものに思いこがれるような
      ニュアンス
    愛す:落ち着いてすでに所有したものを慈しむよう 
      な感じ
    これは納得します
    恋愛を「一時の幻影であり、醒めるもの」
    そして 大人はそれを知っていると論ずる

    今だと 推し活なるものがあり
    推しを 恋すとなるのか愛すとするのか
    時代で定義も変わるのかもしれない

    恋愛論としながら
    「恋愛とはいかなるものか私は知らない」とはじまり 一生文学に探し続けると続く
    だから難解なのではなく 結論を持っていないのではないかと思われる
    だって熟読したけどわからない

    恋愛には常

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    2025年02月17日
  • 暗い青春

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    ここまでの愛の極致を私は見たことがない。結ばれることは無かったが、矢田津世子なしでは語れない彼の人生。明るい恋ではなく苦しい恋が感じられた。

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    2025年02月15日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    堕落論、難解だった。難解だったけど、この人の言いたいことは分かる。ただ私が自分の解釈をここにどのように書いたらいいのか纏まらない。
    終盤の「大阪の反逆」から「教祖の文学」「不良少年とキリスト」は坂口安吾の迫力ある文章と思いに圧倒された。まだ何となくだけど、この方、私は好きかもしれない。

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    2025年02月14日
  • 暗い青春

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    坂口安吾の私小説というか、ほぼ日記のような随筆。
    父に対する反感、母に対する反感と愛情、女性をとう捉えているか、生き方はどう考えているか、垣間見える一冊。
    無頼派の代表的存在の作家はどう生きたのかを知る上では面白い作品集だが、小説を期待すると期待外れ。
    随筆的な作品が好きな方は、ぜひ。

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    2025年01月27日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

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    しきみさんのイラストは、シンプルだけど可愛くて、怪しさもあり、どこか不安も感じる。しきみさんのイラストを見ながら古典文学が読める「乙女の本棚」シリーズは贅沢でとても良い企画だと思います(もちろん他の方がイラストの本も素晴らしいです)。

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    2025年01月13日
  • 白痴

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    坂口安吾の私小説か。人間の業といか性に対する観念の描写が多い。少なくとも安吾の思いが反映されているのだろう時代背景として戦時下ということも大きく影響している。

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    2025年01月12日