坂口安吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ゼミで扱われる関係で表題作「桜の森の満開の下」を読んだのと、たまたまその流れで「土の中からの話」、解説で紹介されていた「夜長姫と耳男」の計三遍を読んだ。
語り手は冒頭、桜の花の下について、次のように語っている。
(前略)近頃は桜の花の下といえば人間がより集って酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思いこんでいますが、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になりますので、能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を探して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花 -
Posted by ブクログ
【2025年57冊目】
第二次大戦前から戦後にかけて活動した小説家である坂口安吾。表題作「暗い青春」では自殺して間もない芥川龍之介の旧宅に通い、同人誌の編集に勤しんだ苦の日々が描かれている他、幼少期の親との確執から、恋や人生に向き合った10つの短編によって構成されている一作。
小説かと思って読み始めると肩透かしを食らうかもしれません。これが私小説というやつなのか…日記?これはこれとして、受け入れられてきたのでしょうが、現代だとどうなんでしょ、なんとも言えないところですかね?
表題作の暗い青春は秀逸な表現とかもあって好きでしたが、「女」について書いた話は「誰が主語なんだ、女は何人いるんだ」と -
購入済み
今は昔
著者坂口安吾の作品を読んでいると、随分と現代的で今書かれていても不思議がないものから、時代がかっていて現代の常識から大幅に外れているものまである。夫婦関係を買いた本作品は後者の代表的なもので、女性が結婚後も普通に仕事を続けているケースが増えた現在ではおよそ考えられないものである。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ耽美とは何なのか未だ理解できていないが、収録作から思うに愛憎、背徳、情念、倒錯、フェティシズム、幻想、狂気etcが入り混じったものか。そこにタナトス≒死への衝動が加味された、名だたる文豪らによる10編。
「桜の森の満開の下」(坂口安吾)や「瓶詰地獄」(夢野久作)は本書のコンセプトをまさに体現している作品か。作家のフェチ全開「刺青」(谷崎潤一郎)、美しくニューロティックな幻想「夢十夜」(夏目漱石)、サスペンスからの意外な結末「影」(芥川龍之介)もそこに沿ったものかと。
"美"という点では泉鏡花の「浮舟」、折口信夫「身毒丸」なのだろうが、個人的には独特の文体含め作品世界にハ -
-
購入済み
安吾の文学論
坂口安吾の短い文学論というか 明治後半以来 文壇の主流であった自然派への反論 というように受け取れてしまう。坂口安吾自身 十分に自然派のような気がするが。吉川英治の転向を非難しているところなど、戦後すぐの時代性を反映していて面白い。
-
購入済み
未完が惜しい
戦後の復員兵を主人公したお話である。80年も前の話であるが、なるほど当時はそうだったのか となんだか腑に落ちるシーンが多い。戦後ガラッと価値観が変わった世の中をやや斜めに見て、戦場であったビルマを懐かしく思い出すところなど、随分と実感がこもっている。それだけに未完が惜しい。
-
購入済み
降伏の3日前
東京新聞のコラム欄にでも掲載されたのだろうか ごくごく短い作品である。いくらアメリカ軍の爆撃を受けてもあまりくじけず日常になっている、と述べて、国民性の違いのせいにしている。むしろ注目したいのは 新聞に掲載された「昭和20年8月12日」という日付である。敗戦 降伏の3日前にこのような記事が掲載されていた という事に感銘を受けた。
-
Posted by ブクログ
坂口安吾文学忌、安吾忌
1947年発表の 恋と愛の坂口安吾定義
恋す:いまだ所有せざるものに思いこがれるような
ニュアンス
愛す:落ち着いてすでに所有したものを慈しむよう
な感じ
これは納得します
恋愛を「一時の幻影であり、醒めるもの」
そして 大人はそれを知っていると論ずる
今だと 推し活なるものがあり
推しを 恋すとなるのか愛すとするのか
時代で定義も変わるのかもしれない
恋愛論としながら
「恋愛とはいかなるものか私は知らない」とはじまり 一生文学に探し続けると続く
だから難解なのではなく 結論を持っていないのではないかと思われる
だって熟読したけどわからない
恋愛には常