坂口安吾のレビュー一覧
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こちらの作品こそ「黒田如水」
短編「黒田如水」の続編とのことだが、本作のみで十分作品としては完成している。こちらの作品こそ「黒田如水」と名付けるべきかもしれないが、「二流の人」という題名も作者の意図が十分に感じられて良い。主人公黒田如水が一流の人になれず、二流に甘んじた訳が本書を読むとわかってくる。またこの作品が書かれた時期が敗戦直後ということも、朝鮮の戦いの記述の裏から感じられる。
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ナンセンスなユーモア小説
ちょっと童話風寓話風なナンセンス小説である。これといった教訓が入っているわけではないので、押し付けがましい勧善懲悪物語になってしまうことを免れている。終戦直後の群馬県の農村の様子がよく分かる。特に餅なし正月という風習があったことは面白い。
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平安ファンタジー
作者赤口安吾の代表作の一つとも言える「桜の森の満開の下」や芥川龍之介の今昔物語もの とよく似た風合いを持った作品である。単なる色好みや勧善懲悪ではなく、何かを訴えようとしているように思えるが、それがなにかは簡単には読み取ることができない。
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軽い語り口
まだ終戦の混乱期の中で居酒屋に集う酔客たちや店の人達の様々な言動を、軽い語り口 今でいうとラノベ風の語り口で描き出した作品である。軽くて読みやすいのだが、これと言ったストーリーの骨組み筋道があるわけではないので、なんともとりとめがない という印象を抱いてしまった。
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誰のもの
この年代の少女らしい 気取り 衒い 潔癖さ 妄想癖 を暗示の形で描き出している。いくらでもロマンチックに思い入れたっぷりに描けるテーマであるにも関わらず、比較的乾いた筆致で描いていることろに好感が持てる。題名の「傲岸な眼」は、年々のものなのか少女のものなのか。
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Posted by ブクログ
作家や著名人の犬エッセイショートショート。
著名な作家を中心に、漫画家、イラストレーター、映画監督など、著名人が犬について書いたエッセイ集です。犬との出会い、犬との思い出、別れなど、テーマ別にまとまっていて読みやすかったです。が、それぞれが短いということもあってなかなか頭に残りませんでした。印象的なエピソードは、椎名誠のお母さんのトラウマ級の非道で、そんなことされたら僕も一生恨むだろうなあ、と思いました。あとは彫刻家の舟越保武さんの章や、寺山修司の話もよかったです。いせひでこさんのイラストエッセイはほんわかしました。うんうんそうだよね、犬ってそういうヤツだよね。
しかし全体的には昭和が中心の -
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安吾の週刊誌的評論
敗戦により元皇族方に対する論評 批評 非難が自由になったが、坂口安吾もその風潮にのって週刊誌的ゴシップ的な色合いの文章を残している。敗戦後の皇族方 元皇族方への一般庶民の態度は、芸能人に対する態度にやや似てきている。(秋篠宮家を出た真子さんにも言えるが)坂口安吾のこの文章は、現在のそういう流れにつながるものと思う。
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今は昔
坂口安吾の様々な事件 出来事に関する新聞などへの投稿である。冤罪事件や人気作家と出版社 ジャーナリズムの関係などのトピックスはほとんどそのまま現代でも通用しそうな話の内容である。誤読による批評の話などはSNS全盛の今では、より深刻になっているような気がする。
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薬物中毒患者の手記
精神病およびその診断と治療に対する見解である。80年も前の作品なのに、この作者得意の雑談口調の語り口が役立って大変に読みやすい。現代における精神病の診断と治療は、このさくひんので書いてある方法よりは進んでいるのだろうが、なぜそうなるか という基本の部分はわかっていないのかな。