坂口安吾のレビュー一覧
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「堕落論」
人は生まれながらにして弱いので、まずはその弱さを自覚する所から始めなければいけない。そこからどう対策を練るのかが大事だ、と坂口安吾氏は主張しているように感じた。自分も含めて多くの人は法律やモラルに囚われ、何故その法律やモラルが存在するのか、と言う本質的な問いについて考える余裕もなく大人になってしまう気がする。例えば”喧嘩”などがあると思うが、それ自体は”堕落”でそれが人間本来の姿。そこに足を踏み入れて初めて自分の本質的な欲求や弱さを知る。そこからより良い道に帰るにはどうしたら良いのかを考える事が大事だと。まさにその通りだと思うし、大人になり世の中の”常識”に縛られてしまう前に幼い子 -
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ネタバレ日本文化私観、堕落論、続堕落論のみを再読
日本人としての強みは旧来の道徳観や美徳、情緒。その回帰こそが、堕ちてく社会、民主主義、資本主義の中で重要なことになりそうな予感はしていた。
一方で、旧来の道徳観などが崩れ去り、新たな価値観が日本に導入されようとしていた全く逆のタイミングでかかれた堕落論。ではその内容も全く正反対のものなのか。決してそうでなかった。
日本文化私観では、古くからある伝統的なものに対して、厳しい態度を取りながらも、真に必要なものであれば生き残るべしという姿勢を見ることができる。
また堕落論、続堕落論では、旧来の道徳、思想、価値などすべてを剥ぎ取り、徹底的に落ちることで -
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堕落論だけ無料の電子書籍で読んだことがありますが、紙で欲しかったのと、ほかの評論も読んでみたかったので手に取りました。
同じことを何度も言うからか話がややこしく感じ、読むのに時間はかかりましたが、坂口安吾の考え方自体はとても面白いので好きです。
この中ではとくに「戦争論」が興味深かったです。
結論については賛同しかねますが…戦争がもたらした恩恵を考えることと戦争を推し進めることとはイコールではないという考えは、とても腑に落ちました。
何にでもあてはまることですし、感覚で考えていることを言語化してくれるので、やっぱり安吾は面白いなと感じます。
考えさせない、考えられない方が政府からしたら操りや -
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この本を読んで正直ほっとした。人間は堕落する、そのこと以外に人間を救うことはできない、とのこと。だから我々は落ち込んだ時には徹底的に落ち込んでも良いのだ。そのあとにそこから見えてくる世界があるはずだからだ。人間は結局のところ孤独な存在なのだ。だから無理に人にこびへつらうことも、無理に友達をつくる必要もないのだ。少し安心した。堕落によって人間が誕生した、生きよ堕ちよ、堕落すべき時には真っ逆さまに落ちねばならぬ、地獄において人生を生きよ、生きることにはあらゆる矛盾があり、不可欠・不可解である等人生に自然体で接している。考え方で今までとは違うので徹底的に堕ち込んでみるのも良いかもしれないと感じた。
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坂口安吾といえば『堕落論』しか読んだことがなく、そのイメージしかなかったのですが、ミステリーも書いている、というのを知ってすぐに購入。
とある別荘にひと夏を過ごすこととなった男女の一団。1人また1人と殺されていくが、同一犯による連続殺人なのか、それとも、数名もしくは数組の犯人がいる不連続殺人なのか、謎が深まっていく。。
一言でいうと、とても面白かったです!
色々面白かった点があるのですが、まずは登場人物たちの魅力溢れるキャラクターでしょうか。文士や絵描きなど、芸術家が多く一癖も二癖もある人たちばかり。それぞれの際立ったキャラが丁寧に書かれており、また、文士同士の抜き差しならない妬み・僻 -
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ホントそうだなあって思えるとこもあれば、いやいやそれは…ってとこも。
まぁそれは当然なことだけど。
『青春論』に、『独身者は何かまだ一人前ではないというような考え方で、…』と書いてあってその辺のことは今もその当時も変わらないのだなぁと。そういうふうに感じるところが何箇所かありました。
もちろん当時より少しずつでも変わってはきているのだろうけど、やはり時間をかけないとそう人間変われないものなんだろうなあ…。
この中では『不良少年とキリスト』がすごく好き。
他のより感情がすごくのってるというか文体が全然違くて、怒りや悲しみや悔しさなんかが文章から滲み出ててやはり太宰の自殺に思うところがかなりあ -
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‹内容紹介より›
「日本は負け、そして武士道は滅びたが、堕落という真実の母胎によって始めて人間が誕生したのだ」生きよ、堕ちよ。堕ちること以外の中に人間を救う道はない、と説く「堕落論」。救われない孤独の中に、常に精神の自由を見出し、戦後の思想と文学のヒーローとなった著者の、代表的作品を収録。
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☆4の評価は、『堕落論』と『続堕落論』に関してです。そして『日本文化私観』も参考になる作品でした。
他の作品群については、「読みにくいなあ」という印象で、正直なところ、坂口安吾の作品が好きなのかどうか、と言われると迷いが残ります……。
ただ、『堕落論』と『続堕落論』については、すごい作品だと読 -
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敗戦によって、近代日本の茶番劇だったことは暴露されたが
それだからといって卑屈になることはない
背を向けるにせよ、居直るにせよ
誰もが地に足をつけて生きる必要にかられている
その真摯さを堕落と呼ぶならそれもいいだろう
ならば我らは生きるために堕ちるべきなのだ
といったような
茶番をなつかしむ感情と否定する感情の錯綜するうちに
混乱の中で編まれたエッセイ・短編小説集
「桜の森の満開の下」
美は崩壊する茶番劇にほかならない
それにとりつかれ、翻弄されて、茫然自失の男を描いた本作は
決戦を避けて生き延びた日本男児たちの戯画である
現実がそんな美しいものではなかったにせよ
太宰の「桜桃」と並べ、戦後