坂口安吾のレビュー一覧
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学生時代に読んでいたと思うけれどもう一度読んでみた。
相変わらず、内容を覚えていなかったのには自分で驚いた。
戦争後の勇士たちが闇屋になり、未亡人が他の人の面影に胸を熱くする。
それこそ人間たるものであり、いくら政治で決めたって変わるものではないということ。
人間は堕落するけれど、それが常だけれど、際限なく落ちていくわけではない。
だから、落ちきれば良い。そこから見えてくるものがある。
天皇制について言及していたり、60を過ぎた戦犯たちが法廷に連れ出されるこことと
20で英雄のまま死に靖国に祭られることの価値如何、そして日本人がそもそも2君に仕えたり
昨日の敵と今日友になったりする民族なのだと -
Posted by ブクログ
漫画でなく原作を読んでみた。堕落論と続堕落論と解説のところしか読んでいないのでレビュー書くのは微妙だけど、まぁこういう読み方もたまにはいいかな。
「原作挫折→まんが→原作」って感じで読んでみました。原作を最初に読んでみたときはもうチンプンカンプンでしたが漫画読んでから読んだらそこそこ読めました。漫画なかなか凄いじゃん!それでもわからないとこ多数で萎えましたが!
漫画は堕落論と続堕落論が描かれていることに気づきました。
「続」の方が歴史的カラクリを具体的に説明しているためわかりやすいです!原作を読む人は「続堕落論→堕落論」って読んだ方が良いかもしれません。
しかしこんな10ページくらいでここ -
Posted by ブクログ
坂口安吾の代表作「堕落論」につながるネタと思われる戦時中の体験や思想などがわかりやすい文体で書かれていて興味深い。(「魔の退屈」)「堕落論」読後に再読するとさらに安吾の思想が解る気がする。
小編「私は海をだきしめていたい」)の冒頭が良い「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門をめざして出掛ける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった(後略)」
坂口安吾はずるくて弱い。しかし、そのずるさと弱さを隠さない正直さが、戦後の思想的に圧迫された若者達に圧倒的な支持を得たのだろう。
そして私も、「ずるくて弱い」と知りな -
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仏像
薄暗い堂内に安置してある仏像というものは、厳かという以外に妖しさ艶かしさを感じることもあるのだが、本作品はそのイメージを大いに膨らませている。しかし、ごく短い作品ということもあって、その世界に浸りきらないまま、明るい戸外に戻っていってしまう。ものたらないところがある作品である。
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酔っ払いの文
これといったストーリーや主張もなく、単なる酔っ払いの文章と思えてしまう。同じような酒飲み 麻薬中毒の太宰治の文章にややにたところがある。同様に中原中也を思わせるところもある。しかし、この二人と比べると、感銘の度合いはずっと低い。
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狂信者
「山の神殺人」は宗教の狂信者を利用しようとした殺人事件を題材にしている。サスペンス ミステリーとの面から見ると、最初からホシは割れているし、トリックも大したことはない。ただ昔も今も狂信者というものが、危ういということはわかる。統一教会絡みでの安倍元首相暗殺とか。
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隔世の感
坂口安吾の評論である。坂口安吾の作品は書かれてから80年近く経ってもちっとも古びた感じがしない傑作もあるが、このような評論エッセイものは書かれた時点の社会情勢の影響を強く受けてしまう。LGBT保護だ.夫婦別姓だ.と声高に叫ばれている現在、妻は夫にかしずかえるのが当然という 当時の常識をもとに書かれたこの作品は、隔世の感を持って読んでしまう。
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序章
題名は「黒田如水」であるが内容は秀吉や家康が大きな割合を占めている。坂口安吾独特の解釈や見方があるのかといえば、必ずしもそうでもない。吉川英治ほどではないが通説的な解釈見方にとどまっているところが多い。「二流の人」という続編があるそうなのでそれの序章と思えば結末の中途半端さがわかる。
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心理描写がくどい
ストーリーそのものは余り動かず主人公夫婦を中心とした心理描写が大半を占める作品構成である。夫の心理描写が主なのだが、残念なことにほとんど感情移入できない。最後まで乗り切れない後味の悪い作品であった。
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今でもある人生相談
主要大手新聞の一角を今でも占めている人生相談のピックアップである。この作品では2つの相談が取り上げられているが、坂口安吾の回答は隔世の感がある。人形への耽溺は現在では全く問題にならない。画面に展開される二次元アイドルへの押し活が一般化してしまっている。後半の夫婦関係の話は全くの論外である。坂口安吾の小説は現代でも十分に読める作品が多いが、世相を直接反映している人生相談は歴史的資料となってしまっている。
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リレー小説
檀一雄や尾崎士郎たちと組んで行ったリレー小説の第二回目だそうである。そのため長い物語の途中から読んでいるという感じは否めない。作者特有のユーモアや調子の良い語り口はそれなりに魅力があるが、ストーリーそのものは、長い物語の途中から途中なのでなんとも言いようがない。