坂口安吾のレビュー一覧
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どんなに世界に呼びかけても世界は応答をせず、救いやチートも与えてくれない。それが徹底的にわかってる深い絶望。安吾の描くこの絶望はなぜか清々しいものが感じられて、人生なんてそんなもんだと悲嘆した心に快い風が吹き抜けるような気分になる。
個人的に「二流の人」と「紫大納言」はそれを感じて本書のなかではお気に入りの部類でした。
黒田官兵衛/如水のイメージは戦国BASARAのせいで運のない男という感じなんだけれども、二流の人の黒田如水もやはり天運に恵まれない男という風に思う。天下への気力や智力をもっていながら、天下に挑む挑戦権すら手に入らなかった。もう本当に茶番としか思えないが、その姿は秀忠が感じるよ -
Posted by ブクログ
長者の美しい娘のために弥勒を彫ることとなった、馬のように耳が長い仏師の青年の話。
彼が、弱冠13歳の夜長ヒメの闇深いサイコパスっぷりに振り回される姿は、悲惨でありながらもなぜかそこに愛おしさを覚える。
ヒメを憎み恐れながらも離れられない。彼女は彼女で、自分が彼に呪われていることを知りながらも処刑したりなどしない。
そんな歪な関係を築く二人はついに……。ヒメはただどこまでもずっとヒメらしいままで、勇ましさ、芯の強さすら感じた。
「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」
彩鮮やかでファンシーな表紙からは想像もできない話……と思ったけれど、よくよく見たら上から無数の蛇が吊るされてい -
Posted by ブクログ
堕落論について卒業論文を書いた。
戦前、戦時中の日本にとっての天皇制や武士道の精神は日本の体裁上必要なものであり、それらを高貴なものとしてその姿勢を守り続けていくことで支配のバランスを保っていたともいえる。ある意味日本で大事にされてきた決まり事を守って、自分たちはしっかりやれている。と、既存の物に頼りきりで堕落するのではなく、そのバランスを崩し「自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすために」は、自分自身を再発見する必要がある。
戦後の混乱している社会の中に身を置いて自分自身を見つめ直すこと。それこそが安吾の唱える「堕落」なのだと考えた。 -
Posted by ブクログ
1947(昭和22)年から1948(昭和23)年に連載された、坂口安吾の本格推理小説。
学生の頃、安吾の初期小説やエッセイにはまっていたのだが、ちくま文庫の坂口安吾全集が絶版になってしまったため、より後年の著作は読んでいない。
坂口安吾はミステリを読むのが大好きで、犯人当て推理なんぞも楽しんでいたそうだ。そんなミステリ好きが書いた、本当にミステリらしいミステリとなっている。
冒頭の1章が長く、ここに大量の登場人物が次々に登場して辟易させられる。そして、その人物たちの無軌道な性の乱脈ぶりや、互いに攻撃し合う猛々しさに驚く。なんだか凄まじい世界を描いている。安吾、暴れているなあ。
私のメ