坂口安吾のレビュー一覧
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歴史心理小説
秀吉と秀次の、兄弟の確執を描写した作品。物理的なアクションでなく、心理描写にかなりの重点が置かれている。説得力はそれなりにあるが、面白いかと言われると微妙。論理は安吾流だが、筆力がイマイチ、という感じかな。
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UN-GOの「因果論」の
原案となった話である。宗教否定という安吾定番のテーマで、実に楽しげに、怪奇趣味で飾り立てて書いているが、少々竜頭蛇尾の感がある。恐らく紙数の関係上であろうが、犯人逮捕の場が直接描写されないのは、興醒めと言わざるを得ない。
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Posted by ブクログ
わかる部分とわからない部分、共感できる部分と共感できない部分が多い。また、俺はあまり文学作品を楽しめない人間だけれど、感じるところは多かった。
作中に多くあった男女についての考えは、強く印象に残った。自分のことを考えるなら。恋人との肉欲に溺れた経験がなく、ゆきずりみたいな経験しかない自分の歪みを自覚していた。けれど、坂口安吾を読むとそれを歪みと感じるのは、俺の勘違いなのかもと思う。普通の幸せを知らないことを、俺はひどく不幸だと思っているんだろう。
「その程度の差異で」と言われた気がする。人間の歪みとは何なのか、自分にとって重い、通常とされるものとの差異を歪みというのは、中二病の名残でしかな