あらすじ
敗戦間近の耐乏生活下、隣人の白痴女と奇妙な交際を続ける独身の映画演出家。極限の虚無と孤独を描き、世人に多大な共感を与えた昭和21年発表の「白痴」。優れた知略を備えながら二流の武将に甘んじた黒田如水の悲劇を浮彫りにする歴史小説「二流の人」。その他、坂口文学の代表作である「木枯の酒倉から」「風博士」「紫大納言」「真珠」「風と光と二十の私と」「青鬼の褌を洗う女」を収録。
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Posted by ブクログ
ゼミの先生に、安吾を読むなら角川文庫がいいと教えてもらったので購入。
安吾の小説は初めて読んだけどかなり面白かった、これからハマりそう。歴史小説が苦手な僕でも「二流の人」はスラスラ読めた。戦国BASARAのアニメ観たことあるせいで、その意味で余計に楽しめた。
収録されてるなかで一番好きな作品は「風と光と二十の私と」。小説っていうよりエッセイみたいな感じだけど、教育学部に在籍する者として心に染みた。
Posted by ブクログ
なんというか、人間を暴く感じが凄いです。
善きも悪しきも併存するのが人間だと思いますが、それを赤裸々に描いていて、洞察力が深すぎて怖いと感じることも。
この歳になって初めて彼の作品を読みましたが、この年齢で読んで良かったと思います。
若い頃だと、少し理解できなかったところがあったかもしれません。
久しぶりに良い本だと思った一作です。
ぜひ。
Posted by ブクログ
『白痴』が、とにかく凄かったです。
心理描写はさることながら、空襲の描き方…
見事すぎる!
他は、『青鬼の褌を洗う女』が良かったです。
今読んでも斬新すぎて、ついていけない話もありましたが…笑
Posted by ブクログ
白痴だけ読みました。
空襲の下で繰り広げられる伊沢と女のやりとりに、きゅんとしていまいました。
本当はそういう話じゃないんでしょうけど・・・
女の子なら一度は、あの伊沢のような台詞を言ってもらいたいのでは?
Posted by ブクログ
二流の人を読みました。
坂口安吾はじめて読みましたが……
竹を割るような痛快な人物描写が気持ちよすぎ!一発で惚れました。
主人公、黒田官兵衛の心地良いともいえる二流ぶりだけでなく、秀吉や直江など当時の大人物の二流ぶりも楽しいです。
二流二流といっても、読んでいて「馬鹿だな」と感じるのではなく、「人間だなぁ」と思わず感じてしまうのが、この先生の語り口の素晴らしさかと。
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坂口安吾の短編集。
「白痴」より「風と光と二十の私と」が良かった。
次の文章が心に響いた。
「満足はいけないのか」「ああ、いけない。苦しまなければならぬ。できるだけ自分を苦しめなければならぬ」「なんのために?」「それはただ苦しむこと自身がその解答を示すだろうさ。人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。満足は誰でも好むよ。けだものでもね」
苦しみの中から何かを見出す。ただ満足しちゃいけない。そう僕に言い聞かせたような気がする。
ほかの短編も細部まで再現しようとして、場面をイメージし易く、寒気と恐怖が若干感じる。
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文章が素晴らしい。臭いと温度と、人格のある文章。これは英語に翻訳するの難しいんじゃないかな。
悪友とたまにお酒を飲みに行くような心地よさ。
これぞ純文学。
Posted by ブクログ
「満足はいけないのか」「ああ、いけない。苦しまなければならぬ。できるだけ自分を苦しめなければならぬ」「なんのために?」「それはただ苦しむこと自身がその解答を示すだろうさ。人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。満足は誰でも好むよ。けだものでもね」
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短編集である。
白痴の方の感想を書くが、これは知能障害の少年と教師の話である。ヘレンケラーの話のように、得に劇的な感動というものはないが主人公の教師が自分に出来る範囲を心得、その範囲の中だけで少年と接する姿が一抹の悲しさと暖かさを感じさせる話である。
Posted by ブクログ
どんなに世界に呼びかけても世界は応答をせず、救いやチートも与えてくれない。それが徹底的にわかってる深い絶望。安吾の描くこの絶望はなぜか清々しいものが感じられて、人生なんてそんなもんだと悲嘆した心に快い風が吹き抜けるような気分になる。
個人的に「二流の人」と「紫大納言」はそれを感じて本書のなかではお気に入りの部類でした。
黒田官兵衛/如水のイメージは戦国BASARAのせいで運のない男という感じなんだけれども、二流の人の黒田如水もやはり天運に恵まれない男という風に思う。天下への気力や智力をもっていながら、天下に挑む挑戦権すら手に入らなかった。もう本当に茶番としか思えないが、その姿は秀忠が感じるように純朴な美しさを携えて視える。本当に悪くない虚脱感に包まれた読後感でした。
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『奇才坂口安吾は中二病だったのか』
坂口安吾の作品について私ごときが語るのは烏滸がましいが、坂口安吾の描く女子が大変好みである。強く、弱く、慎ましく、我が儘で、なによりとても賢い。自我の探求に厳しく、他人の干渉を嫌い、世間と言うものを知らず恐れず、こんな女子が現実にいたら、背筋の凍るような美女であろうと思う。
何度読み返しても、坂口安吾の作品に飲まれてしまう。色の違う八編だが坂口安吾を始めるには一番読みやすいのではないか。
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Posted by ブクログ
二流の人とは、戦国時代の奇才軍師・黒田如水のことです。彼ほどの才能をもった人物がなぜ二流なのか、二流だったのか。それを無頼派の坂口安吾が解き明かします。