坂口安吾のレビュー一覧
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こちらの作品こそ「黒田如水」
短編「黒田如水」の続編とのことだが、本作のみで十分作品としては完成している。こちらの作品こそ「黒田如水」と名付けるべきかもしれないが、「二流の人」という題名も作者の意図が十分に感じられて良い。主人公黒田如水が一流の人になれず、二流に甘んじた訳が本書を読むとわかってくる。またこの作品が書かれた時期が敗戦直後ということも、朝鮮の戦いの記述の裏から感じられる。
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ナンセンスなユーモア小説
ちょっと童話風寓話風なナンセンス小説である。これといった教訓が入っているわけではないので、押し付けがましい勧善懲悪物語になってしまうことを免れている。終戦直後の群馬県の農村の様子がよく分かる。特に餅なし正月という風習があったことは面白い。
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平安ファンタジー
作者赤口安吾の代表作の一つとも言える「桜の森の満開の下」や芥川龍之介の今昔物語もの とよく似た風合いを持った作品である。単なる色好みや勧善懲悪ではなく、何かを訴えようとしているように思えるが、それがなにかは簡単には読み取ることができない。
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軽い語り口
まだ終戦の混乱期の中で居酒屋に集う酔客たちや店の人達の様々な言動を、軽い語り口 今でいうとラノベ風の語り口で描き出した作品である。軽くて読みやすいのだが、これと言ったストーリーの骨組み筋道があるわけではないので、なんともとりとめがない という印象を抱いてしまった。
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誰のもの
この年代の少女らしい 気取り 衒い 潔癖さ 妄想癖 を暗示の形で描き出している。いくらでもロマンチックに思い入れたっぷりに描けるテーマであるにも関わらず、比較的乾いた筆致で描いていることろに好感が持てる。題名の「傲岸な眼」は、年々のものなのか少女のものなのか。
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これほど日本人の本質に迫った本は無いかも。天皇制は天皇によってもたらされているに訳ではない。そこに群がる時の政治家経ちが、自らが繁栄する手段として絶対君主の必要性を嗅ぎつけていたから。忠臣蔵の赤穂浪士に切腹を命じた徳川幕府は、浪士たちを行き伸ばせて放置したとしたら、彼らが後に堕落してその名声に泥を塗る事を阻止したかったから。戦争で散った多くの若者が居る一方で、生き延びた者たちは闇市で食いつないでいる。未亡人は新しい男に旨をときめかせている。昨日の敵は今日の友という楽天さ。実際、敗戦に伴う米国占領期には、あれだけ鬼畜米英と気勢を上げていた日本国民がマッカーサーを父親の様に慕う手の平返しをやってのけているのだから。そこを考えると、戦時中の「行きて捕虜の恥を受けるべからず」と戒めた戦陣訓は一見馬鹿げている様に見えるが、日本人の本質を知り尽くした上で策定された決め事なのであろう。
美しいものを美しく維持しておきたい。なぜなら、そうしないと日本人は堕落するという事を皆知っていたのだから。戦争に負けたから堕落するのではない、人間だから堕落するのだ、と。
幾分難解であり、何度か読まないとその主張をしっかりと受け止めることは出来ない。 -
Posted by ブクログ
大学の先生に勧められて実家から引っ張り出してきた本。
難しかった、というか正直読み進めづらく感じたが、飛ばしながらも坂口安吾の考え方に少し触れられた気がする。
鋭い指摘をする人、それも古くからある美徳とされていることに対しては強烈に懐疑の眼を向ける作家なのだと感じた。
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〇「恋愛論」より気になった言葉
私たちの小説が、ギリシャの昔から性懲りもなく恋愛を堂々めぐりしているのも、個性が個性自身の解決をする以外に手がないからで、何か、万人に適した規則が有って恋愛を割りきることができるなら、小説などは書く要もなく、また、小説の存する意味もないのである。
恋愛は人間永遠の問題だ。人間ある限り、その人生の恐らく最も主要なるものが恋愛なのだろうと私は思う。人間永遠の未来に対して、私が今ここに、恋愛の真相などを語りうるものでもなく、またわれわれが、正しき恋などというものを未来に賭けて断じうるはずもないのである。
ただ、常識、いわゆる醇風良俗なるものは真理でもなく正義でもないということで、醇風良俗によって悪徳とせられること必ずしも悪徳ではなく、醇風良俗によって罰せられるよりも、自我みずからによって罰せられることを怖るべきだ、ということだけはいい得るだろう。 -
Posted by ブクログ
作家や著名人の犬エッセイショートショート。
著名な作家を中心に、漫画家、イラストレーター、映画監督など、著名人が犬について書いたエッセイ集です。犬との出会い、犬との思い出、別れなど、テーマ別にまとまっていて読みやすかったです。が、それぞれが短いということもあってなかなか頭に残りませんでした。印象的なエピソードは、椎名誠のお母さんのトラウマ級の非道で、そんなことされたら僕も一生恨むだろうなあ、と思いました。あとは彫刻家の舟越保武さんの章や、寺山修司の話もよかったです。いせひでこさんのイラストエッセイはほんわかしました。うんうんそうだよね、犬ってそういうヤツだよね。
しかし全体的には昭和が中心の話なので、犬への扱いや価値観が今と相当ギャップがあって、特に川端康成などは今の犬好きからすれば犬を飼う資格がない人間から上から目線で愛犬家心得を説教されているようで、大変イラっとしながら読みました。嫁と同じで飼う犬にも処女性を尊ぶべきとか、令和だったら刺されるぞエロジジイ。これも時代ですねえ。そういう意味では全体的に時代ギャップにもやもやしながら読まなければいけない本でもあります。
ともあれ、犬好きとしては手に取らずにはいられない一冊で、続編(作家と犬2)も出ています(読まないけど)。 -
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安吾の週刊誌的評論
敗戦により元皇族方に対する論評 批評 非難が自由になったが、坂口安吾もその風潮にのって週刊誌的ゴシップ的な色合いの文章を残している。敗戦後の皇族方 元皇族方への一般庶民の態度は、芸能人に対する態度にやや似てきている。(秋篠宮家を出た真子さんにも言えるが)坂口安吾のこの文章は、現在のそういう流れにつながるものと思う。
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今は昔
坂口安吾の様々な事件 出来事に関する新聞などへの投稿である。冤罪事件や人気作家と出版社 ジャーナリズムの関係などのトピックスはほとんどそのまま現代でも通用しそうな話の内容である。誤読による批評の話などはSNS全盛の今では、より深刻になっているような気がする。
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薬物中毒患者の手記
精神病およびその診断と治療に対する見解である。80年も前の作品なのに、この作者得意の雑談口調の語り口が役立って大変に読みやすい。現代における精神病の診断と治療は、このさくひんので書いてある方法よりは進んでいるのだろうが、なぜそうなるか という基本の部分はわかっていないのかな。
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戦後すぐのお話
数編の「人生相談」の形を取った短編からなる作品である。戦後すぐだから男女同権の話はそれなりに新鮮味があったのだろうな。この話は隔世の趣がある。戦争に関する話、天皇制に関する話は、戦後スグだけに迫力 切迫感がある。しかし、戦後70年以上も経ってしまった今、読んで感銘を受けるかというと、ピンとこない というのが実感である。
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70年前の本だが
70年前の本だがそれほど古さを感じさせない。主人たち夫婦の考え方や言動、生活苦や浮気 など新聞への投書をSNSにするなど小道具をちょっと入れ替えればそのまま現代でも通用する話である。ただいかにもユーモラスに書こうとしている作者の衒い 作り物感がどうにも鼻につく。