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青春ほど、死の翳を負ひ、死と背中合せな時期はない――。同人誌を編集するため、あるじが自殺して間もない芥川龍之介の旧宅に通った日々。苦悶がしみついているかのように陰鬱な部屋が思い起こさせるのは、青春時代に死んでいった仲間たちの姿だった。人間の喜怒哀楽の舞台裏に潜む、振り払い難き「死」の存在に、無頼派の旗手が独自の視点から肉迫を試みた。表題作「暗い青春」ほか、火花の如き輝きを放つ短編10編を収録。
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Posted by ブクログ
安吾の持つ心の切なさや虚無感、その原点に迫るような短編集。 安吾自身の半生が綴られている短編がまとめられている本作。 生まれて以来ずっと心に持ち続ける悲しさや寂しさ、そうした感情が心のなかで重くのしかかり切なくさせる感覚になりました。 どの作品も読む人のなかにもある寂寥感の輪郭を浮き彫りにするよ...続きを読むうな話の進め方で、自分がたまに感じる切なさと向き合うきっかけをくれるました。 とくに『石の思い』は虚しさと向き合うことが心の故郷に帰ることになるような一種の安心感を与えてくれる作品でした。
【2025年57冊目】 第二次大戦前から戦後にかけて活動した小説家である坂口安吾。表題作「暗い青春」では自殺して間もない芥川龍之介の旧宅に通い、同人誌の編集に勤しんだ苦の日々が描かれている他、幼少期の親との確執から、恋や人生に向き合った10つの短編によって構成されている一作。 小説かと思って読み始...続きを読むめると肩透かしを食らうかもしれません。これが私小説というやつなのか…日記?これはこれとして、受け入れられてきたのでしょうが、現代だとどうなんでしょ、なんとも言えないところですかね? 表題作の暗い青春は秀逸な表現とかもあって好きでしたが、「女」について書いた話は「誰が主語なんだ、女は何人いるんだ」と思って難しかったです。安吾にシンクロできなかったな。 随筆とかエッセイとか独白が好きな方にはいいかもしれませんが、小説が好きな方は違う姿勢で臨まないと混乱することになると思います。 時代、ですねぇ。
ここまでの愛の極致を私は見たことがない。結ばれることは無かったが、矢田津世子なしでは語れない彼の人生。明るい恋ではなく苦しい恋が感じられた。
坂口安吾の私小説というか、ほぼ日記のような随筆。 父に対する反感、母に対する反感と愛情、女性をとう捉えているか、生き方はどう考えているか、垣間見える一冊。 無頼派の代表的存在の作家はどう生きたのかを知る上では面白い作品集だが、小説を期待すると期待外れ。 随筆的な作品が好きな方は、ぜひ。
作者の青春は芥川の家にありました。 彼の家で毎日の様に翻訳に明け暮れる日々。 元々作者は翻訳が好きではなかったようで、だから主題が暗い青春なのかと冒頭で解釈しましたがそんなに単純なものではなかったようです。 「青春は絶望する。なぜなら大きな希望がある。少年の希望は自在で、王者にも天才にも自ら化して...続きを読む夢と現実の区別がないが、青春の希望の裏には 、限定された自我がある。我が力量の限界に自覚があり、希望に足元が失はれてゐる」 青春の理想は大きく手に届かないところにある為に絶望する。 少年の頃は空想でどんなものにでもなれるが青年になると希望を持ってもそこに自分があり、己の出来る限界が分かるようになったが故に抱いた希望との落差に自分が失われる。 だから青春は暗い。 私は上記の様に勝手に解釈しましたが、捉え方は読み手それぞれだと思います。
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