坂口安吾のレビュー一覧
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ネタバレ長い感想。
自分が何を欲するか分かるためにはまず堕ちないといけない。けれど、堕ちぬくほど人間は強くない、という安吾の指摘。
これを終戦後に読んだ人たちは
なんてクールなんだ!という気持ち反面、そんな事言われても自分が何がしたいか分からないよ、なんて思ったのではないかと。
戦争前、天皇制のもと、このように生きてください、こうすればあなたはいい国民です、こういう悪いことしたら非国民です、と導いてもらってきた日本国民。
だけど敗戦した、では今後どう生きればいいんだろう。ここで、安吾は「いっかい堕落してみろ。そうすれば、再生できるんじゃないの?」と言いたかったのかなと思った。
安吾のいう堕落って、自 -
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山賊の女房は8人。
連続殺人事件!1番新しい女房の夫を切り殺し、その美しい女房を自分の山に連れて帰り、
その美しい女房の言いなりで、
古い女房を6人一気に斬殺。
びっこの古い女房は殺さずに残す。
しかし、サイコパスなのは新しい女で、
我儘放題。
京に移り住み、首をコレクションする。
集めた首で、ままごとのようなことをする。人形遊びのようなこと、首遊び。
恐ろしい。
山賊は都ではなく山で暮らしたい。
女もついて行くと言う。
真実なのか?
再び女をおぶって山に帰る途中、
女の正体がわかる。
これは激しい恋愛ストーリー。
ラストが美しすぎる。
グロい話なのに美しい。
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花といえば奈良時代は梅だが、平安以降は桜がクローズアップされる。「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」在原業平は不安に駆られるほどの桜の美しさと恋心を重ねて、あんなもんなければのどかな心でいられるのに、と詠んだ。桜は狂気を呼び込む。坂口安吾の「桜の森の満開の下」は美しく残酷な女に翻弄される山賊の話だ。金品同様攫った女を自分のものにするしかない山賊の暮らし。山賊が魅せられた女は人間の生首を集めて並べたがる。満開の時に通ると気が狂うと言われる桜の森で、男は鬼女になったその女を斬り殺す。すると女は花びらと共に風に飛ばされ消えて行ったという狂気と幻想の話だ。花吹雪の中、立ち尽くす男に残
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坂口安吾(1906~1955年)は、新潟県に生まれ、東洋大学印度哲学倫理学科を卒業し、終戦直後に発表した『堕落論』、『白痴』により注目を集めて、太宰治、織田作之助、石川淳らとともに無頼派・新戯作派と呼ばれた、近現代日本文学を代表する作家の一人。
『堕落論』は、1946年(昭和21年)4月に雑誌『新潮』に掲載された作品で、同年12月に続編『続堕落論』が雑誌『文學季刊』に掲載された。書籍では、1947年に単行本が出版され、文庫版は角川文庫のほか、新潮文庫、岩波文庫、集英社文庫などから出ている。
角川文庫版には、『堕落論』、『続堕落論』に加え、1942~48年に書かれた随筆・評論、『日本文化私観』、