【感想・ネタバレ】夜長姫と耳男(乙女の本棚)のレビュー

あらすじ

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人気シリーズ「乙女の本棚」第12弾は坂口安吾×イラストレーター・夜汽車のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。
師匠の推薦で、夜長姫のために仏像を彫ることになった耳男。故郷を離れ姫の住む村へ向かった彼を待っていたのは、残酷で妖しい日々だった。

ノスタルジーを感じさせる美しい作品で大きな話題を呼んでいるイラストレーター・夜汽車が坂口安吾を描く、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

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Posted by ブクログ

2025/10/30
p.23
 その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思った。
 そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。
 オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。
 その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に向けるほかにどう仕様もない。
 エナコはオレの視線に気がついた。次第にエナコの顔色が変った。オレはシマッタと思ったが、エナコの目に憎しみの火がもえたつのを見て、オレもにわかに憎しみにもえた。オレとエナコは全てを忘れ、ただ憎しみをこめて睨み合った。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

大好きなんですよ、坂口安吾の「夜長姫と耳男」
けれどもレビューは書いてない、と言うか書けなかったですね。
もう「雰囲気があるんですよ」とか「世界観が」とか陳腐な言葉しか出てこない、何故好きなのかもよく分からないし。
この作品に関しては、作者の意図とか教科書的な答え合わせなんかどうでも良いと考えていました。

ところが「乙女の本棚」シリーズに収録されているらしい。ということで、夜汽車さんのイラストを眺めながら人生何度目かの再チャレンジ。

うーん、ファム・ファタルですね。

ファムファタルが何か分かっているのか?と問い詰められると、「だって夜長姫が好きなんじゃー」と開き直るしかなくなるのですが、面白いのでみなさん是非お読みください。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

久しぶりに「絵本」の形式で読んだが、物語の続きが気になるという気持ちと、美麗なイラストを見たいという気持ちで2倍楽しめた。

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2023年03月09日

Posted by ブクログ

衝撃的すぎるお話…。
夜長姫サイコパスすぎるね( ; ; )
美しいし、無邪気な笑顔でとんでもないこと言う。

「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊るして、いま私を殺したように立派な仕事をして…………」

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

乙女の本棚シリーズ。
他の作品と比べると、分厚いなと思ったら、内容もズッシリとしています。

今回はイラストの力よりも作品の力が強く、ただひたすら、自分では理解出来ない理屈に翻弄されながら読み進めました。とにかく姫が恐ろしい。矛盾してるけど、無邪気な邪悪さがすごい。
読み終えて、少し放心してしまうような緊迫感に満ちた作品でした。いやいやすごい。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

可愛らしいタイトルなのに、また坂口安吾の超コワイ女の話だった。というか、夜長姫も耳男もキャラクターの名前なんだね。
耳がウサギのように上に長いタクミの耳男が、長者の耳長家に行って菩薩を彫る。他のタクミの青笠や古釜という名前もファンタジックで面白い。
絵も、想像しづらい耳男を描いてくれてわかりやすかった。
耳男が耳を千切られたり、蛇を殺して血を飲んだり、天井に吊るしながら菩薩を彫るのも妙だし、死が大好きなかわいい夜長姫はサロメみたいだった。
最後のシーンは芸術とは、という作者の持論が聞こえるようだった。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら、この年になるまで坂口安吾のことをよく知らなかった。数年前に『堕落論』を読んで興味は持っていたが。
で、この話。なんか一周回って愛の話なんじゃないかと思った。相当いびつだし、登場人物の誰一人として思い入れはできないけど。ヒメの最期の言葉が呪いのように残っていて、そのせいかもしれない。
『桜の森の満開の下』でも思ったけれど、絵本のようにうつくしいイラストが、作品をいい意味で読みやすく、イメージしやすくしていると思う。読む人を選ぶとは思うけれど、夜汽車さんのイラストも一見の価値ありなのでぜひ読んで!
…落ち着いたら坂口安吾の他の作品にも手を出したい…。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

坂口安吾 安吾忌
こちらは初読、1952「夜長姫と耳男」
飛騨の匠の弟子の仏師、耳男。
乙女の本棚になるまで、知らなかった作品です。

耳男の語りの説話体。
長者に乞われて夜長姫の護身仏を彫る。
耳男は、夜長姫の何かが秘そむ無邪気な笑顔に囚われて、化け物を彫る決心をする。
蛇の生き血を飲みその死骸を吊るす。
それさえ美しいと思う夜長姫。
好きなものは、呪うか殺すか争うか。
なかなかの狂気と幻想の世界観。
飛騨という土地への坂口安吾の思い、飛騨の匠への敬意。命惜しまぬ作品へのリスペクト。

夜汽車さんの作品は、可愛さもあり、まるで乙女の童話に擬態しているけど、ストーリーは鳥肌もの。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

痛い痛い痛い。
『桜の森の満開の下』も女が狂ってたけど、『夜長姫と耳男』も負けず劣らず狂ってる。
予想外の展開にちょっと引きました。。。
イラストが綺麗で読みやすいので『乙女の本棚』シリーズはオススメです!

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2024年02月08日

Posted by ブクログ

「乙女の本棚」シリーズ、私の5冊目。このシリーズで大好きになってしまった夜汽車さんのイラストと、少し前に読んだ「桜の森の満開の下」で有名な坂口安吾のコラボであり、どんな作品なのか興味津々で読み進めていったが、正直、恐ろしすぎて、このイラスト無しではかなりキツかった。イラストが恐ろしさを妖しさという美しさに変換してくれて本当によかった。この作品も「桜の森の満開の下」も、残酷さと、魔性の女に魅入られるところが似ていて、坂口安吾の作風はこのようなものが多いのか気になった。決してもう一度読みたいと思えるわけではないのだが、心が凍っていく恐怖感は、他の作品ではまだ味わったことのないものであり、印象に残る作品だった。

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2023年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 乙女の本棚シリーズから、坂口安吾さんと夜汽車さんのコラボ作品「夜長姫と耳男」です。少女マンガのように可愛くて鮮やかな着物を纏う姫が印象的なんだけど、よく見ると骸骨とか蛇も描けれているし(;・∀・)

 師匠からの推薦を受けヒダから夜長姫のもとを訪れた耳男…。依頼された仏像の制作には3年間を要し、夜長姫の無邪気な笑顔の裏にある残虐性に対抗すべく、耳男は蛇の生き血を飲み残りは制作した仏像に浴びさせ、亡骸を天井から吊るす…狂気じみた期間を過ごす。その後も、夜長姫の仏像制作の依頼を受けこの地に逗留していたが、村に疫病が流行り村人が次々と命を落とす…。その様子を高楼から見ては楽しむ夜長姫…耳男は夜長姫の狂気を目の当たりにし、夜長姫を刺す…。夜長姫は最期に「好きなものは呪うか殺すか、争うかしなければならないのよ…」と言い残す…。

 怖い怖いお話でした!なんとも表紙からはここまでは想像もできてませんでした…。ある意味、怪談?オカルト??でも、文字だけの原作なら読み切れなかったかな…とても、きれいなイラストなんです。夜長姫の纏う着物の鮮やかさ、でも妖しさを秘めてる…。逆に最後のイラストは真っ白な装いなのが印象的…狂気から解放されての清々しさを感じさせてくれました。

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2023年07月18日

Posted by ブクログ

師匠の推薦で夜長姫のために仏像を彫ることになった耳男は姫の住む村で残酷で怪しい日々を過ごす。

暗い。

夜汽車さんの端麗な絵柄で描かれた無邪気で残酷な姫が物語にすごく合っていた。
髑髏柄の着物……

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

姫は耳男に足りない物を伝えたかったんでしょうか?なかなかに姫の性格がすごいです…(^_^;)話もややホラーより?
姫は楽しんでいたのでしょうか?
姫の気持ちがうまく汲み取れなかったのが残念…
絵がめちゃくちゃ綺麗なのでこの評価です(⌒‐⌒)

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2021年05月06日

Posted by ブクログ

島本理生が以前テレビ番組でオススメしていたので読んだ。
バ、バイオレンス……!
私には魅力がよくわからなかったかも。。。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

乙女の本棚シリーズの一冊。
この小説、乙女の本棚向きなのか?
確かに姫の容姿は乙女向きなのだろう。しかし、中身は全く乙女ではないと思うのだが。
「桜の森の満開の下」も相当なものだが、こっちも負けていない。
こういうテイストのイラストがつけられることに、安吾はどう思っているだろう。乙女に届いていることに、ハッハッと笑っているだろうか。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

乙女の本棚、坂口安吾と夜汽車さんのコラボ作品です。

夜汽車さんのイラストは何を描いても素敵なのですが、たくさんの白蛇が描かれた表紙には、少しひるんでしまいました。この作品では、イラストがいつもより少なかったです。

物語は、「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」最期まで笑っていた夜長姫のこの言葉につきるように思いました。夜長姫の狂気に対する耳男の気持ちに、なんとも言えない気持ちで読み終わりました。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

青年漫画みたいな展開だと思った。
読んでいて、ふと登場人物には誰も色気はないことに気づいた(個人的に色気のある作品が好きなので)。

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2024年11月25日

Posted by ブクログ

ぶっちゃけ、よくわからなかったよ。
でも、けっこーヤバめの女とその女に絡め取られた男の物語りだというのはわかったよ。

物語よりよくわからないけど美しさがある文章が良かったんですよねぇ
とそれを冗長させるイラストも良かったです

2024.11.16
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2024年11月16日

Posted by ブクログ

長者の美しい娘のために弥勒を彫ることとなった、馬のように耳が長い仏師の青年の話。
彼が、弱冠13歳の夜長ヒメの闇深いサイコパスっぷりに振り回される姿は、悲惨でありながらもなぜかそこに愛おしさを覚える。
ヒメを憎み恐れながらも離れられない。彼女は彼女で、自分が彼に呪われていることを知りながらも処刑したりなどしない。
そんな歪な関係を築く二人はついに……。ヒメはただどこまでもずっとヒメらしいままで、勇ましさ、芯の強さすら感じた。
「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」
彩鮮やかでファンシーな表紙からは想像もできない話……と思ったけれど、よくよく見たら上から無数の蛇が吊るされているし、ヒメが纏う艶やかな着物には随所に骸骨が潜んでいるのだった。

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2023年12月01日

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