あらすじ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
人気シリーズ「乙女の本棚」第13弾は坂口安吾×イラストレーター・しきみのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません。
鈴鹿峠に住む山賊は、新しい女房をさらってきた。だが、彼女はどうも他の女たちとは違っていて、彼のことを恐れず、そればかりか......。
坂口安吾の『桜の森の満開の下』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』を担当する大人気イラストレーター・しきみによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
有名なタイトルだけど、読んだことなかったから読んだ。タイトルの美しさと、それに負けない不気味さが良い作品だった。絵も上手く雰囲気が合っていた。
文字だけで、桜吹雪の中に立っている気持ちになれる。
顔は美しいかもしれないけど、首でままごと遊びする女はやばすぎるだろ。
山育ちが都で感じる寂しさはわかるなあ。
Posted by ブクログ
『今昔奈良物語』の『桜の森の満開の下』のパロディー短編を読んだときにわからない部分があったので、今回読んでみました。挿絵とレイアウトのおかげでとても読みやすくなって、文豪作品の敷居がぐっと低くなりました。
鈴鹿峠にある桜の森の花の下では花の季節になると、旅人は気が変になってしまう。この山に住む山賊は情容赦なく着物をはぎ人の命を絶つが、やはりこの花の下に来ると怖くなってしまうのだ。山賊がいつものように街道で男の着物と一緒に妻をさらう。山賊にはすでに7人の妻がおり、その女は他の妻たちを次々と殺すよう山賊に言う…
現代では絶対に出版できない内容。とても残酷なのですが、この山賊がそうであるように、この女から目が離せません。冒頭から描かれる花の美しさが、妻の無邪気な残酷さを打ち消しています。
なんででしょう。なぜだか感動する。文豪おそるべし。
Posted by ブクログ
山賊は盗みに入った家の女房の美しさに一目惚れし連れて帰るが、わがままな性格。山賊は女の言いなりで、盗みや人殺しを繰り返す。やがて山賊とその女、ビッコの女は都に移住する。さらに女はエスカレーとし、櫛や着物だけではなく、人間の生首を欲しがるようになる。山賊は女の欲望に辟易し山に帰るが、女も付いてくる。道中、満開の桜の中を通った時に女が老婆の鬼に変わり、女の首を絞めて殺してしまう。そこには鬼ではなく美し女であり、女の顔におちた花びらを払おうとすると女の姿は消え、山賊も消え去った。桜の花は怖い!感想会楽しみ!⑤
Posted by ブクログ
桜の森の満開の下の、恐ろしさと不思議と怪しさ、のお話。
鈴鹿峠に住む山賊が、新しい女房をさらってきてからの色々のお話。
このシリーズのイラストは、やはり秀逸。
Posted by ブクログ
勘違いしていました。桜の樹の下に屍体を埋める話かと思っていました。まさか、ほとんど今昔物語とは。
山賊と妖しげな姫との話。どちらも人でなし。その彼らが、満開の桜の下だと、更に「気違い」になるという話でした。
初出は「いづこへ」真光社1947(昭和22)年5月15日発行だという。だとすれば、此処に出て来る数多の殺戮、首遊びの大元は、その数年前の戦争だと思います。
ペチャペチャとくっつき二人の顔の形がくずれるたびに女は大喜びで、けたたましく笑いさざめきました。
「ほれ、ポッペタを食べてやりなさい。ああおいしい。ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう。ハイ、目の玉もかじりましょう。すすってやりましょうね。ハイ、ペロペロ、あら、おいしいね。もう、たまらないのよ、ねえ、ほら、ウンとかじりついてやれ」
これを絵に描いてくれるかと一瞬期待したのですが、出版コードに引っかかったのかしら。意気地のない‥‥。
ほんの数年前まで南方の国で腐った死体の側を歩き、西方の国で村一つ分を殺戮し尽くした人が、うじゃうじゃいた東京で、書かれたお話です。
桜の森の満開の下で正体を現した鬼婆は、本当に鬼だったのか?きしみさんの解釈は、「元に戻れば」また、鬼の角を持った美しい姫君、でした。坂口安吾の描写に角はありません。果たしてどちら?私は後者です。鬼の正体は、人間だったのです。
桜の下で、2人は「ひとりの男と女」に戻ったのです。つまりは、そもそもの世界が正気でなかったのです。そんな時桜の下に行けば、この世のものとは思えない「美」に触れます。2人とも「気が狂い」人間になったのでした。
坂口安吾初読み。
乙女の本棚シリーズ初読み。
未読のもののみ、偶には読みたいと思う。所謂、古典読みの手段の一つとして。
Posted by ブクログ
森見登美彦と文スト経由で坂口安吾、初めて読みました。『桜の木の下には死体が埋まっている』イメージはあったものの、予想を超える恐ろしい話だった。ラストが幻想的でとても好き。タイトルもいいし、ちなんでピンクが基調なのもよかった。イラストがいいのはもちろん、このフォント正解。文字がうっすらピンクだったり、黒や赤のページとか、薄気味悪さと綺麗さが表裏一体の別世界にいるみたいだった。
乙女の本棚シリーズいいですね。
Posted by ブクログ
再読。
高校時代に初読した時はちょうど手塚治虫の「火の鳥」を読んだ頃だった。山賊のイメージが『鳳凰編』大和の我王にダブる。
鈴鹿峠に一人の山賊がいました。桜の季節、花の下では誰もが気が変になるのでした。山賊は街道で八人目の女房にする女を攫います。女が美しすぎたので夫を殺します。家に帰り着くと、女の言うままに七人いた女房たちを次々に殺します。女の言うままに都に住み始めます。女の言うままに殺した男女の首を持ち帰ります。女はその首を使って"首遊び"をするのでした。やがて山賊は都に住むことに飽き飽きして…。
突然気になって再読したのは、たぶん、「鬼滅の刃」を見ていたからだと思います。桜の咲く季節がやってきました。
Posted by ブクログ
坂口安吾 安吾忌
久しぶりに読みました、1947「桜の森の満開の下」
ぞっとする程美しい。
幻想的でもあり、人智を超えた美しさ。
美しいが為に 恐ろしさは増す。
桜の下では、気が狂う。
鈴鹿峠に住み着いた山賊。
旅人から 美女を手に入れる。
その美女を手に入れてから 山賊の生活は 一変する。
エゴイストが更なるエゴイストに従属していく。
美女と桜に共通する恐ろしさに気づく。
何回か読んでますが、これも自分の体調?などで受け取り方が変わるんですよね。
今回は、しきみさんの美しい絵の数々ですが、
最も凄まじい女の“人の首の雛人形遊び”を もうちょい挑戦して欲しかったかも。
Posted by ブクログ
乙女の本棚4冊目は坂口安吾です!
坂口安吾といえば、そりゃあーた『不連続殺人事件』ですがな!
ですが、こちらも傑作と名高い『桜の森の満開の下』でおます
なんで「満開の桜の森の下」じゃないんだろうって思いません?文学的表現ってこういうことか!
幻想的な世界観は伝わった!
きしみさんのおかげてがっつり伝わった!
でもなんかこうぶにゃっとした感じなんだよね
もうちょっとで形になりそうなんだけど、簡単に形にさせるか!わし文豪やぞ!って言われてるみたいな読後感
おお!これすごく良く今の気持ちを言い表せてる
わい天才やな(どこがやねん)
Posted by ブクログ
この「乙女の本棚」シリーズは、イラストが綺麗でそれも読む楽しみになっている。いい意味で、イメージがはっきりしてくるから物語の世界に入りやすい。
で、この『桜の森の満開の下』。以前読んだ気もするけどうろ覚え、という状態でよんでみたのだが、イラストにも惹かれてほぼ一気読みした。
恐ろしいのにうつくしい。目をそむけたくなるような嫌悪感があるのに、一息に吸い込んで味わいたい。桜そのもののイメージかも、とふと思った。
坂口安吾、遅まきながらハマるかも。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、坂口安吾さんとしきみさんのコラボ作品「桜の森の満開の下」です。前に読んだ「夜長姫と耳男」が怖いお話だったので、また怖いお話かも…ドキドキしながら手にしました。
鈴鹿峠に住みついた山賊の男は、桜の満開の時期になると胸騒ぎを覚え落ち着きをなくす性分であった…。ある日、いつものように金品を強奪しようと狙ったのは夫婦だったが、妻が美しすぎたこともあり夫を殺して妻を浚い男との8番目の女房としたのだが…この妻がわがままで男を意のままに操り、残虐で冷徹な一面を持つ狂気に満ちた女だった…。6人の女房を男に殺害させ1人は自分の侍女(女房の中でも一番容姿の劣るもの)とし、山での生活に嫌気がさすと都に出ることを強要する…。都に出た妻は、男に次々に生首を所望し、あろうことかその生首でおままごとをはじめるのだった…。男はそんな生活にあき、山に戻ることを決意…妻にそのことを伝えると、妻も男のいない生活は考えられないと…男はそんな妻と一緒に都を離れ、妻とともに桜の森の満開の下にたどり着く…。そこから、驚きのラストに…。
妻の生首遊びの描写が怖すぎです…。桜はきれいだけれど、そのはかなさと美しさから魔性を秘めている…ラストは、なんとも言えないきれいな余韻を感じました。しきみさんのイラストもこの作品の良さを引き立てています。
Posted by ブクログ
この季節にぴったりな一冊。
私はとにかく昔から桜が大好きで、高校生のときの図書委員会便りでも「桜の小説」特集を組み、この作品を紹介していた覚えがある。
桜の美しさはほんとうに不可解といっても過言ではなく、このような恐ろしい逸話の上に咲いているのだと言われたらつい納得してしまいそう。
見目麗しければ人妻でも平気で連れ去る野蛮な山賊が此度捕らえてきたのは、わがままで、生首をおままごとに使って遊ぶような狂った女。
暴君な彼女に振り回され都会に引っ越したものの、ますます疲弊するばかりの男は取り憑かれるように桜の森の満開の下を訪れるが……。
ラストの描写の美しさは圧巻。散り積もった桜の花びらを目にしたら、つい思い出してしまいそうです。
Posted by ブクログ
桜って見方を変えると何だか妖しいような感じがしますね。
女の美しさと桜が見事に表現されてると思います。
この男の人は結局、喰われたということなのでしょうか? 美しいものには毒があるってことなんですかね。
Posted by ブクログ
『桜』は満開で散っている花びらの美しい顔と人を飲み込む怖ろしい顔を持つ。
『都で亭主を殺し女をさらう山賊』
『首で遊ぶ美しい女』
『満開に咲いた美しい一本の桜の木』
『桜の元で鬼になった美しい女』
美と醜の両面がテーマの一つになっている物語に、しきみさんのイラスト‼️
短編文学×人気イラストレーター『乙女の本棚』
イラストが純文学のイメージを凄く左右する。
小説として読んで、画集として楽しめる魅惑の一冊。
Posted by ブクログ
山賊の女房は8人。
連続殺人事件!1番新しい女房の夫を切り殺し、その美しい女房を自分の山に連れて帰り、
その美しい女房の言いなりで、
古い女房を6人一気に斬殺。
びっこの古い女房は殺さずに残す。
しかし、サイコパスなのは新しい女で、
我儘放題。
京に移り住み、首をコレクションする。
集めた首で、ままごとのようなことをする。人形遊びのようなこと、首遊び。
恐ろしい。
山賊は都ではなく山で暮らしたい。
女もついて行くと言う。
真実なのか?
再び女をおぶって山に帰る途中、
女の正体がわかる。
これは激しい恋愛ストーリー。
ラストが美しすぎる。
グロい話なのに美しい。
Posted by ブクログ
平易な文章
桜の下に畏怖の念を持つ山賊の話
都からの旅人をいつものように殺し、その妻を娶るが、彼女に尻に敷かれる。
女は常に山賊を下に見、都に連れて行くよう我儘を言うが、都の生活に辟易とした山賊は山へ一人で帰ることを決意する。
そこで初めて女は山賊に下手に出、二人で山へ帰ることにした。
道中、桜の木の下で女は鬼に化け、山賊は鬼を殺すが、鬼はやはりただの女だった。
桜の木の下で女は花びらと化し、程なく男の身体も花びらになってゆく。
女が生首で遊ぶ件は、のちに鬼に化けるの暗示のようだ。
Posted by ブクログ
糸が絡まる様子を為す術もなく眺めている。
紅と薄桃色、真白の糸とがあやなす地獄が何処と無く物悲しく、うつくしく、読んだあとは遣る瀬無い気分になります。とても純情。
Posted by ブクログ
綺麗だけど、綺麗だけど、桜と鬼の組み合わせで私の中で東京Babylonを超えるものはないんだなぁ。
桜の下には鬼がいて、自分で殺しておきながら、寂しいと泣いているんだなぁと思った。
Posted by ブクログ
美しいこの女は一体何か、惨たらしい山賊は一体何か。どの視点からこの物語を捉えれば良いか悩んだ。
女が消えて初めて直視できた現実に、山賊は何を思ったのか。
読み始めた時は、この女と男の存在がふわふわと浮いているような感じがしていたが、最後の最期はあっけなかったと思った。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
題名の美しさに引かれて手に取ると、大変なことになる。とんでもない展開に呆気にとられてしまうだろう。
乙女の方々はこの話をどう感じるのかな。特に中盤の異常さ。よくこんな話を思いつくものだと思うし、思いついたとしても、よく作品にしようと思ったもんだ。これが安吾の安吾たるところか。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。山賊が自分の八人目の女房として、力ずくで奪った美しい女に狂わされていく物語。
いくら美しくても、こんな女嫌だし何なら放っておけばいいのに…と思ってしまいますが、それがこの女の魅力であり、山賊の弱点なのでしょう。
表紙では、女は鬼のツノを生やした姿で描かれていますが、本当に鬼だったのか?山賊自身が、桜の花に惑わされてしまったのか。
一体どういうこと?という疑問と、一抹の寂しさが残るような、何とも言えない読後感でした。
Posted by ブクログ
桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません。
鈴鹿峠に住む山賊は、新しい女房をさらってきた。だが、彼女はどうも他の女たちとは違っていて、彼のことを恐れず、そればかりか......
Posted by ブクログ
山賊と、妖しく美しい残酷な女の物語。昔読んだ時は「怖い」「気味が悪い」が先に立ってしまったけれど、改めて読むと幻想的なお話だと思った。満開の桜は綺麗だけれど、この物語の影響か、なぜだか死も連想してしまう不思議な存在。イラストも素敵で、物語を彩っていた。
Posted by ブクログ
女はいつから男自身だったか。旧い女房を一人殺したときからか、首を集めはじめた頃からか、そんな日々に倦んだ頃からか。あるいは、はじめからか。どんなに残酷であっても自分の内なる鬼を殺してはいけなかったとしたら、どうやって鬼と生きていけばよいか。どうしたら桜の森の満開の下を怯えずに居られるか。
Posted by ブクログ
女が美しすぎるだけでも十分なのに、ふっくらとツヤのある透きとおる声。これはもう間違いなく、目も魂も吸い寄せられてまう。
個人的には夜長姫の方が好みだが、今回の女もなかなかやってくれていた。
怖れの心になじみがなく、羞じる心にも馴れていない。苦笑という意地の悪い笑いも知らなかった男が、女によって蝕まれていく様子にはゾクゾクっとした。挿絵の女の表情の変化にもホラー感増々。
一度は女を殺そうとしながら、殺さずに背負って山に帰る男。しかし…
不可解で、不協和音的な終わり方が、この物語の救いになっているような気がした。
Posted by ブクログ
鈴鹿峠に住む山賊は、新しいたいそう美しい女房をさらってきた。彼女は彼のことを恐れないばかりか、わがままを言い、そして……。
桜の森の満開の下で人は狂わされる。
なかなか残酷でグロテスクな物語だった。
Posted by ブクログ
イラストに惹かれて読み始めた。美麗なイラストもあってか読みやすく、30分ほどで読めた。坂口安吾の作品を初めて読んだが、独特の世界観の中で桜の森に対する妖艶さと畏怖を感じた。
桜=恐怖の対象という見方があることを初めて知った。