坂口安吾のレビュー一覧
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堕落論について卒業論文を書いた。
戦前、戦時中の日本にとっての天皇制や武士道の精神は日本の体裁上必要なものであり、それらを高貴なものとしてその姿勢を守り続けていくことで支配のバランスを保っていたともいえる。ある意味日本で大事にされてきた決まり事を守って、自分たちはしっかりやれている。と、既存の物に頼りきりで堕落するのではなく、そのバランスを崩し「自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすために」は、自分自身を再発見する必要がある。
戦後の混乱している社会の中に身を置いて自分自身を見つめ直すこと。それこそが安吾の唱える「堕落」なのだと考えた。 -
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この一、二ヶ月、私は堕落している。元々、社会的ポジションなど無かったのだから、内々で堕落している。ほんの数ヶ月前、長年続いた精神的肉体的拘束が、突然無くなり、日常生活に制約が無くなった。(介護生活だけどね)どーしたものかと省みても、堕落中。
安吾さんは、おっしゃる。人間だから堕ちるんだ。俗物なんですよ。
堕落するとは、自分に正直に生きること。そして、それは、人間復活の条件になること。
敗戦後の堕落中の日本人に、肯定的堕落論ですよ。
そして、堕ち続けるのも、鋼のメンタルが必要で、永遠に堕ち続ける事はできないと。堕ち切って自分自身を発見して、自分で救わないといけませんって。それでは、しばらくは、堕 -
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坂口安吾さんの作品は初…これから読んでいいのだろうか?
クセのある人達が都会から離れた邸宅に集い、殺人事件に巻き込まれていく。数ページ読んだ時点で二十人近くの人が出てきて、関係が嫌らしく絡み合っている。
人の関係が乱れ過ぎているので、そこだけで読む人を選ぶと思う。
上記で書いた通り人が多いのだが、個々の人を最後までどんな人なのかわからないまま深く掘り下げないまま終わるのも辛い。
読んでいてやはり「犯人当てゲーム」という印象が強くなる。(それはそういう作品なので仕方がないとは思うのですが)
ちょっと体調不良が続く中での読書だったため、頭も働かず馴染めぬまま読み終えてしまった。推理モノはやは -
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寓話物なら表題作の「桜の森の満開の下」よりも「夜長姫と耳男」の方が断然良かった。設定もセリフも気迫が満ちていて読んでいて心地よい。
「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」
歴史物なら「二流の人」という黒田如水の話が良かった。上杉謙信→直江兼続→真田幸村の系統が「横からとびだしてピンタをくらわせてやろう」という「風流人で、通人で、その上戦争狂」という分類がなるほど。これも主題とは関係ないが、豊臣秀吉が甥の秀次を殺して自分も -
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●最後
人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。 戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。人間は結局処女を刺殺せずにはいられず、武士道をあみださずにはいられず、天皇を担ぎださずにはいられなくなるであろう。だが他人の処女でなしに -
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坂口安吾が初めて書いた推理小説で、雑誌連載された作品。連載時には読者への挑戦として真犯人当て懸賞金が掛けられたという(ちなみに正解者は4名で、安吾が自腹で支払ったそうだ)。
歌川家という資産家の一族がいる。1年前に当主の多門の妻、梶子が亡くなり、その法事を行うことになる。
多門とは旧知であり、その息子の一馬とも友人である作家の「私」(矢代)は、一馬に頼まれて、歌川家で一夏を過ごすことになる。「私」の妻・京子は、一馬の異母妹である加代子と旧友であったため、病気の彼女の無聊を慰めてやってほしいというのだ。
一方、一馬は妙な手紙を受け取っていた。
お梶さまは誰に殺されたか。
すべては一周忌に終わる -
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(あらすじ)
作家の矢代寸兵は親友の詩人・歌川一馬の招待で山奥の豪邸で一夏過ごす事になる。一馬の実家は酒造業を営む大地主で大富豪。一馬の父・多門はやり手なだけに女関係も派手で、矢代の妻・京子も何を隠そうかつて多門の愛人だった。
そこに招かれたのは作家、劇作家、画家、女優など個性豊か、というよりクセの強い面々。おまけに一馬の妹・珠緒はその中の2,3人を手玉に取るし、一馬の元妻の秋子や現在の妻・あやかの元同棲相手の土居など複雑な人間関係が絡んでいる。
そんな中、次々と殺人が起こる。
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昭和22年が物語の舞台。古いけど江戸川乱歩や横溝正史のようなおどろおどろしさは