坂口安吾のレビュー一覧

  • 肝臓先生

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    「私はあなたから、人の子の罪の切なさを知りました。罪の持つ清純なものを教わりました。」――『ジロリの女』

    私が安吾の文章を読んで、たまらなく悲しく、どうしようもなく切なく、そして苦しいほど何かに向かって声の限りに叫びたくなるのは、たぶん、安吾が優しくて潔癖で、強靭で狂人だからだろう。

    「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門を目指して出かける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった。」――『私は海をだきしめていたい』

    安吾は自分の弱さを認めている。自分の無知さも認めている。そして彼は、自分の恥も認めている。
    それがどれほど絶望的なことかを、安吾は知っているのだと思う。それでいて、いやそれなのに、彼は人間を信じている。人間である自分を信じている。それはもう、驚くくらい一途に信じているのだ。

    私は安吾が好きかというと、よくわからない。
    しかし、安吾を愛している。
    こんなに潔癖で狂人で、強靭で優しい人がいたらと思うと怖い。でも、そんな彼を、とても愛しく思うのだ。

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    2012年02月03日
  • 堕落論

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    ネタバレ

    角川の夏の100冊に選ばれている。
    堕落することの可否とは別に、堕落していく必然性のようなものを記載しようとしている。
    正しいことのみを追求しようとすると、ある面では堕落していくことになるかもしれない。
    堕落することによって、初めて本当に大事なものが何かが見えてくるのかもしれない。

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    2011年12月23日
  • 堕落論

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    単純に好きでした。彼の理想論とでも言えてしまいそうな大胆な論理が、考えたこともない角度から言い表わされていて。しかも納得させられるし、深いし、救われる。堕落論以外のも面白い。
    難しいから、何度も読むべき本。そして毎回新しい発見ができそうな本。はじめての坂口安吾だけど、いい出会い。時代は関係ないね!今読んでもまったく、新しいです。

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    2011年07月23日
  • 堕落論・白痴(まんがで読破)

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    おそらく文章だけだったら「読破」できなかったと思いますが、本当に読んで良かったです。タイトルから想像していたのと中身も違っていたので、さらに驚きました。今の時代でも読むべきものだと思いました。

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    2011年06月28日
  • 風と光と二十の私と・いずこへ 他16篇

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    表題作「風と光と二十の私と」を読みました。
    主人公が抱く不安や、人生の一つの時期に、
    自分自身を重ねて読む人は多いのではと思います。

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    2011年06月04日
  • 肝臓先生

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    同出版社の『白痴・二流の人』がかなり面白かったので購入。見事期待に応えてくれた一冊だった。
    今回思ったのは、安吾特有の肉体が前景化される作品よりも、「魔の退屈」のようなエッセイや「肝臓先生」のような作品の方が僕は好きだ。もちろん、肉体・精神を描いた作品も好きだし、安吾の思想を知るためにはそっちを読まなければいけないのはわかっているけれども。
    とにかく、安吾は面白い。好きな作家が増えて嬉しい。

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    2011年05月05日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    堕落論や続堕落論で書かれていることは非常に本質的だと思った。日本人の所謂ムラ的なるものの、建前性がよくわかる。天皇に関する考察も共感できて、現代の政治でも未だに見られる権力の二重構造状態である。
    日本人の未発達な自我が、こういったエゴイズムや建前を生むのではないか。

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    2019年01月16日
  • 日本文化私観

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    坂口安吾は、104年前の1906年10月20日に新潟市で生まれた小説家。

    『不連続殺人事件』『桜の森の満開の下』『白痴』『安吾捕物帖』『堕落論』『安吾巷談』などなど、小説をはじめ翻訳までほとんどの作品を読んで来て、やはり彼の真骨頂は、小説家としてより評論というか文明批評や社会批評の面で大いに発揮されているように思います。

    そして、家は先祖代々の旧家で地主で大富豪、衆議院議員の父の13人兄弟の12番目の子として生まれた出自は、その後の彼の人生にどういう影響を及ぼしたのか、想像に難くないのは私だけでしょうか。

    それから、敗戦後に『堕落論』で一世を風靡し≪無頼派≫で鳴らしたことからも、かなり長生きしたような印象を持っていましたが、55年前の1955年に脳出血でわずか48歳で亡くなったことを知って驚きました。

    それで、この本はというと、随分前に読んだのでほとんど忘れかけています。ただ記憶にあるのは、きっぷのいい啖呵を切ったような日本文化論、これじゃあ何のことやらさっぱり私もわかりませんので、夜っぴて再読しなきゃ。

    ・・で、高校生以来の再読で何もかも判明しました。

    ちょうど『不連続殺人事件』を読み返す必要があったので、ついでに本書も読んだのですが、反抗精神旺盛な高校生のときに、私がなぜ太宰治を嫌悪し坂口安吾に憧れたのか。

    本質的には、ほとんどべったりロマンティシズムとセンティメンタリズムさらにニヒリズムに支配される時期にあったあの思春期に、それらをまともに体現する太宰治に一部の友人は酔いしれていましたが、私は逆にあの言い訳がましさや逡巡やめめしさに我慢ならず反動でまったく逆の、見せかけだけの雰囲気や風情や感じに惑わされることなく、実質的な生活の質をたしかめることを高らかに宣言した坂口安吾の方に魅かれたというわけです。

    既成の体制・文化・価値観に対するその反骨精神は、ちょうど同じころ気になっていた史的唯物論ともあいまって、私に思考のスタイルの転換さえせまるものでしたが、根源的なイズムの違いではないということで落ち着きました。

    それはさておき、いま改めて読み返してみて思うことは、生活者の視点は重要だとしても、徒手空拳ではただの独りよがりの武骨な自爆行為にすぎないのであって、根本的な批判にもなっていないのではないか、ということです。

    京都の社寺仏閣なんて知らないよとか、日本美の発見などしなくていいとか言っていたって始まらないのです。

    それでは、文学の「やむべからざる実質」をないがしろにしようと企む、日本浪漫派や保守反動たちとはまともに対抗できないのではないかと私などは思ってしまうのです。

    民衆の心の救済を願って建立された仏像や社寺仏閣が、その実いかにして民衆を支配するため、畏怖の念を抱かすために作られた政治的道具だったか。日本美とか幽玄などという抽象的なものを現出させ、あたかもすばらしいことのように喧伝したのは、たとえば、これは法然や親鸞も優れた思想家ではありましたが、現世(生きている今)より浄土(あの世)の方がすばらしいみたいに吹聴して現実逃避させ抵抗のもとを断ったという意味でとんでもない御用坊主だったことを指摘する、などということは、そうか、坂口安吾の力量・あの時代の思索の不可能性のため、とうてい無理だったのでしょう。

    本人の突っ込み不足も否めませんが、あの当時の制約や孤立無援の闘いもあって、時代の趨勢を成すとか後続応援部隊が続々ということもなく、記念碑的な文章という意味はあっても歴史的にはほとんど・・・。

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    2012年10月07日
  • 白痴・二流の人

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    ゼミの先生に、安吾を読むなら角川文庫がいいと教えてもらったので購入。
    安吾の小説は初めて読んだけどかなり面白かった、これからハマりそう。歴史小説が苦手な僕でも「二流の人」はスラスラ読めた。戦国BASARAのアニメ観たことあるせいで、その意味で余計に楽しめた。
    収録されてるなかで一番好きな作品は「風と光と二十の私と」。小説っていうよりエッセイみたいな感じだけど、教育学部に在籍する者として心に染みた。

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    2010年08月26日
  • 堕落論

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    キルケゴールの『死に至る病』と同時に読み進めた結果、互いに通ずるものがあると気づかされ、とても面白かった。

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    2010年07月15日
  • 堕落論・日本文化私観 他22篇

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    ネタバレ

    坂口安吾は戦中~戦後にかけてユニークな日本国家論を提起した。

     「日本文化私観」では、日本文化とは伝統的建造物などではなく、そこにあった人、生活、風俗そのものが日本の文化であるとした。また、「我が人生観」でも文化というものは、過去にもとめるよりも、未来にもとめる建設の方が大切と説いている。

     また「堕落論」「続堕落論」では古代から天皇は政治利用される存在であり、神聖にして侵されないけれども、藤原氏を始め、幕府、尊王攘夷派、軍部の不敬なる企みに使われた。そしてその者達が先頭を切って崇拝することにより、やつらは強大な権力を振りかざしたと斬り捨て、東京裁判に雁首揃えて生き恥をさらす将軍達を痛烈に批判している。

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    2021年10月21日
  • 堕落論【語注付】

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    あまり長々と書かない方がしっかりレビューできそうなので、簡潔に。

    大雑把だけれども、見るとこ見てます。
    臆面もなく、おそらく言葉もあまり選ばず、言う。
    彼は 自身をさらけ出すことを厭わない。

    このおっさん、ロックです。

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    2023年02月19日
  • 白痴 青鬼の褌を洗う女

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    安吾ほど女という生き物をいとおしんでいる作家もいないと思う。
    この本に出てくる女達は、皆淫乱で不実だが愛らしくいじましい。
    女は女であってほしい。
    そして男は、男であってほしいと思う。

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    2009年10月29日
  • 堕落論・日本文化私観 他22篇

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    9/23
    どちらかというと「日本文化私観」に安吾のすごさがある。
    終戦後とはいえ、あんなことよく言えたもんだ。

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    2009年10月07日
  • 風と光と二十の私と・いずこへ 他16篇

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    あんごすきだー
    結婚したいたぶんうまくいかないけど
    平気なふりしてるけど、奥底がこういうへなちょこなひとをみると愛しくて愛しくてたまんなくなる
    かわいいひとだなぁ

    「だが私は何事によって苦しむべきか知らなかった。私には肉体の欲望も少なかった。苦しむとは、いったい、何が苦しむのだろう。私は不幸を空想した。貧乏、病気、失恋、野心の挫折、老衰、不和、反目、絶望。私は充ち足りているのだ。不幸を手探りしても、その影すらも捉えることはできない。叱責を恐れる悪童の心のせつなさも、私にとってはなつかしい現実であった。不幸とは何物であろうか。」

    「『憎んでいる?』
     女はただモノうげに首をふったり、時には全然返事をせず、目をそらしたり、首をそらしたりする。それを見ていること自体が、まるで私はなつかしいような気持であった。遊び自体がまったく無関心であり、他人であること、それは静寂で、澄んでいて、騒音のない感じであった。」

    「虚しい形骸のみの言葉であった。私は自分の虚しさに寒々とする。虚しい言葉のみ追いかけている空虚な自分に飽き飽きする。私はどこへ行くのだろう。この虚しい、ただ浅ましい一つの影は。」

    で、やっぱり私は海を抱きしめていたいが大好きなのね。

    「『じゃ、あなたは、私の路傍の人なのね』
     『誰でも、さ。誰の魂でも、路傍でない魂なんて、あるものか。夫婦は一心同体なんて、馬鹿も休み休み言うがいいや』
     『なによ。私のからだになぜさわるのよ。あっちへ行ってよ』
     『いやだ。夫婦とは、こういうものなんだ。魂が別々でも、肉体の遊びだけがあるのだから』」

    「私は、肉慾自体が私の喜びではないことに気付いたことを、喜ぶべきか、悲しむべきか、信ずべきか、疑うべきか、迷った。」

    「肉慾すらも孤独でありうることを見出した私は、もうこれからは、幸福を探す必要はなかった。私は甘んじて、不幸を探しもとめればよかった。
     私は昔から、幸福を疑い、その小ささを悲しみながら、あこがれる心をどうすることもできなかった。私はようやく幸福と手を切ることができたような気がしたのである。
     私は始めから不幸や苦しみを探すのだ。もう、幸福などは希わない。幸福などというものは、人の心を真実なぐさめてくれるものではないからである。かりそめにも幸福になろうなどと思ってはいけないので、人の魂は永遠に孤独なのだから。そして私は極めて威勢よく、そういう念仏のようなことを考えはじめた。」

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    2012年10月15日
  • 白痴 青鬼の褌を洗う女

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    びっくりした
    安吾やばい
    私もそれがすごく欲しいけど
    どこにあるのかも、存在するのかもわかんないよね

    すべては爽やかでみたされていて退屈
    なのになんでこんなに懐かしいのでしょう

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    2009年10月04日
  • 堕落論

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    有名な坂口安吾の堕落論。
    ある意味哲学書だと思ってます。
    「堕ちていくこと」に「救い」を見出す。
    この言葉に何度も助けられました。
    恋愛論もおススメ。

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    2009年10月04日
  • 白痴 青鬼の褌を洗う女

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    青鬼の褌を洗う女について。

    孤独に対する安吾の視線がたまらない。
    孤高である意識のある人は是非読んでほしい。
    私も青鬼の褌を洗う女になりたい。
    安吾の奥さんがモデルらしいが、なんとも女として生々しくて、逞しくて、魅力的だ。

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    2009年10月04日
  • 肝臓先生

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    やっぱ坂口のあんちゃん最高やわ 笑
    肝臓先生の感動ストーリー?もさることながら、あんちゃんの女論はオレを強くする。見習うしかないかな。

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    2009年10月04日
  • 堕落論

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    人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。
    堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。

    坂口氏の言葉に救われた感が毛穴からほとばしりました。

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    2009年10月04日