坂口安吾のレビュー一覧
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まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。
なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。
収録されて -
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ネタバレ推理小説のなかでも「読者への挑戦」に特化した犯人当てアンソロジー。今後シリーズ化されるようなので楽しみが増えた。
【◯看破 △引き分け ×お手上げ】
×高木彬光「妖婦の宿」
名作とは聞いていたが自分にはピンとこなかった
気づかない伏線があったのかな
〇坂口安吾「投手(ピッチャー)殺人事件」
イージー
△土屋隆夫「民主主義殺人事件」
冒頭の横読みは気づいたが犯人を間違えた
×江戸川乱歩「文学クイズ「探偵小説」」
穴埋め問題。昔に流行ったらしいが目新しさがあった
〇飛鳥高「車中の人」
イージー
×佐野洋「土曜日に死んだ女」
部屋に、足が引っかかるほどのガス管が?
×菊村到「追悼パー -
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ネタバレ表題作「白痴」について!
伊沢は、繊細で周囲の空気に馴染めず、戦時中の同調圧力にも乗れない人だったと思う。
生きづらさを感じながらも、自分の感性や価値観を大事に抱えながら生きてきた人で、他の人が命や家族や財産、立場を守るために普通ではいられなくなるように、伊沢も自分の価値観を命がけで守ろうとした結果が、終盤の異常性に繋がったんじゃないかなと思った。
周りの人や映画仲間、女たちへの辛辣な物言いは、ただの見下しだけじゃなくて、自分とのあまりにも違う価値観や空気感に対する拒否反応で、疎外感や孤独感から来てるのかなって思う。
そんな中で白痴の女が現れ、それを所有物のように扱うようになった。
人間 -
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勘違いしていました。桜の樹の下に屍体を埋める話かと思っていました。まさか、ほとんど今昔物語とは。
山賊と妖しげな姫との話。どちらも人でなし。その彼らが、満開の桜の下だと、更に「気違い」になるという話でした。
初出は「いづこへ」真光社1947(昭和22)年5月15日発行だという。だとすれば、此処に出て来る数多の殺戮、首遊びの大元は、その数年前の戦争だと思います。
ペチャペチャとくっつき二人の顔の形がくずれるたびに女は大喜びで、けたたましく笑いさざめきました。
「ほれ、ポッペタを食べてやりなさい。ああおいしい。ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう。ハイ、目の玉もかじりましょう。すすって -
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読みやすくはないが
平将門や足利尊氏と並んで「日本三悪人」にあげられている道鏡の話である。安吾だけあって道鏡を悪人 朝敵ではなく、無邪気で純粋に孝謙天皇に仕え 慕う人 という設定にしている。悪人説は藤原氏の陰謀と説はそれはそれで面白い。作者坂口安吾の思想 考えがあちらこちらに述べられていて、読みやすくはないが、敗戦後 天皇に対して遠慮なく物が言えた時代を象徴していて面白い。
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迫力がある
東京大空襲前後の東京下町 スラム街の様子を独自の語り口で描き出している。この時代の庶民の様子が大変によく分かる。前半の住人の紹介部分は悲惨さや醜悪さが目立ってやや読みにくかったが、後半の空襲場面は随分と迫力がある。作者坂口安吾の実体験が反映されているのかな。
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はい、42おネェ
坂口安吾が「恋愛」について考えた随筆になります
内容は「恋」と「愛」の違いから始まって…
ん?
ちょっと待って
わい、随筆って書いたけど、ものによってはこの『恋愛論』はエッセイと紹介されてたりするんよね
なんとなく違うもののような気もするし、でもそもそも「Essay」の日本語訳が「随筆」じゃなかったっけ?ってことは同じもの?
「恋」と「愛」の違いの前に「エッセイ」と「随筆」の違いが気になってきたー!
わいのイメージとしては、「エッセイ」はちょっとポップで、日常の出来事をユーモアを交えて語るみたいな感じ
一方、「随筆」はもっと重厚で、深い考察と共に、普段思ってるこ -
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キリスト教内部の勢力争い
島原の乱の取材に長崎を訪れた作者坂口安吾のエッセイである。以前読んだ菊池寛の島原の乱と比較すると、遥かに現代的な考え方であり、表現 語り口である。すんなり読めてしまう。作中に描かれていた天主堂の担当者の不可解な態度が、キリスト教内部の勢力争いを連想させて、ちょっと引っかる。
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読んでよかったと心底思えた。彼の言葉には全て噛み砕かれた理由があった。左翼思想でありながらも、決して伝統自体は否定していない。彼が言っていたのは、何も考えず古くからあるものが正しいと思い込み生きることへの批判だった。このように個人的には腑に落ちるようなことが多々あり今まで言語化出来なかった自分の心のモヤモヤが晴れた気がした。
戦後の日本は特攻隊故なのかやはりどこか"死"に対する美徳精神のようなものがあったのだろう。ただ、坂口安吾は自殺はしょうもないという。この彼の芯の強さとそこにある悲しみにものすごく胸を打たれた。
限度を知ること。これは現代日本においても学習で得るべき重要 -
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これを読むと敗戦直後の日本にタイムスリップします。
読んだその日から私のバイブルになりました。とりあえず生きろ!とこの作品で坂口安吾はずっと言っています。口悪いのにめちゃくちゃ頭良くて、器デカいのに鬱で、なんかとても魅力的な人物でした。
まんが版もあるので難しくて読む気失せそうという方はまんが版から入るとエッセンスが分かりやすいです。私も最初はまんが版で読みました。墜落論、続墜落論と2つで一つの作品と思います。
「不良少年とキリスト」では友人だった太宰治の死を受けて悔しい気持ちが感情のままに綴られているようで涙が出ました。ここでも、「自殺なんてするなよ、俺はお前の分まで生き抜いてやるからな!」