養老孟司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「マリウポリの20日間」というドキュメンタリーを見て、恐れなのか怒りなのかわからない感情に心が震え、なぜ人間は戦争をするのか…と心底疑問に思い手に取った一冊。
100年近く前のアインシュタインとフロイトの書簡は興味深く、確かに文化の発展によって世界規模の戦争は終焉したように思われる。それでも、局地的に苦しんでいる人がいる事実には胸が痛い。
解説でハリウッド映画はものを壊すから嫌だという話が出てきて、私も全く同じことを感じていたので驚いた。あらゆるものを破壊してカーチェイスなどをしているが、これを見てテンションぶち上がりしてんのかと思うと、人間の破壊欲動って底知れないな…まあ映画で満たされるならそれで良いんだけど。 -
Posted by ブクログ
2020年発刊であるが、2019~2023年頃までの間に生成AIが爆発的に進化・浸透したため早くも既に時代遅れの感がある。
4人の専門家との対談本だが、さほどケミストリーが起きていない。
お互いを尊重し、それぞれの主張をしているが、お互いの情報と主張を出し合っておしまいになっている印象。
養老孟子の主張は過去の著作から一貫していて、身体性が重要、脳化(=情報)社会に偏るのは不適切というのが主軸にある。
AIに関しても物によっては使えばいいと受け入れてはいるが、諦念の様相が強く、基本的にはAIもロボットも自動運転車も自分とは関係ないし不要だし勘弁してくれ、といった旨の発言が多い。
必要性という文脈で言ってしまえば勿論AIなど不要になってしまう。
歴史を見返せば火薬、電信、核兵器など、軍用すると有利になる技術は押しなべて積極的に開発され、その技術のおこぼれが社会の利便性を高めてきた。このことを鑑みても、他国との関係の中では否が応でも開発実装が必要となってしまう。
ファイティングポーズを取る相手には身構える。
環境破壊や国同士の緊張感を高めるネガティブな側面があるため技術開発は慎重性が求められる。
ただ思うにそれ以上に、建設的なAIの活用を勧められるように、前提として他者理解・他国の文化や価値観を相互に理解することは重要である。
不毛な開発競争とそれによる負の側面を軽減してくれる。
養老氏が「地に足のついた」ことを重視するのは、オフライン、対面、現実で他者と向き合って触れ合うことによる非言語的コミュニケーション情報や、他者の命を感じることで他者理解がより進むメリットを知っているからだろう。
デジタルネイチャーの中であっても有機的・質量的観点を持って生きたい。 -
Posted by ブクログ
著者の単行本としては最初の著作を文庫化したものです。東京大学の解剖学教室に勤めていた著者が、「科学とはなにか」「形とはなにか」「解剖学とはなにか」といった問いについて考察するなかではぐくまれた思想が提示されています。
科学的客観性を信奉するひとは、科学的探求活動をおこなっているのが「自分」であるということを、しばしば忘却していると著者は指摘します。そして、「自分」と「自然」の両方があって科学という営みが成立することを、著者の専門である解剖学から例を引きつつ説明しています。著者が紹介しているのは、解剖学における四つの説明のしかたで、機械論的説明、機能による説明、発生による説明、進化による説明です。そのうえで著者は、生物の形態とその意味を理解するという解剖学の営みについて考察を進めています。
本書中にすでに「馬鹿の壁」という表現が登場しており、これがベスト・セラーとなった『バカの壁』(2003年、新潮新書)へとつながっていくことになります。