養老孟司のレビュー一覧
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自分が好きな著者の一人である養老孟司さんの一冊。自分にとってはとても読みやすく感じた。
「日本には「無思想」という思想がある」という何とも屁理屈を述べているような主張がこの本の軸にある。まず最初の方では他の様々な著書でも彼が述べている「【私】という存在は変わる」という話から「この世に変わらないものなんてない」という主張が書かれている。他の著書にも書かれていて、いつも「なるほどなー」と思うが、「人間の情報化」の話は毎回ハッさせられる。
次パートには本書の主張である「無思想が日本にはある」ということが書いてある。ここでいう「無思想」とはどのようなものであるかというと、「私は思想なんて持っ -
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ネタバレ[ 内容 ]
言葉は意識の産物である。
現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。
人生は『意識のみ』になってしまった」…。
著者はあまり言葉を信用していない。
言葉を読み過ぎず、解剖学者の眼で世の中を見つめ、静かに考える。
すると現代日本人が気づかない、人間社会を取り巻くシステムが立ち現れる。
本書は二〇〇二年以降の日本と世界を論じた時評集。
石油問題、自衛隊のイラク派兵、靖国参拝、振り込め詐欺、オリンピック…。
日本人がいかに行動すべきかを考える上で示唆に富む一冊。
[ 目次 ]
第1章 石油と文明
第2章 社会と世間
第3章 都市と環境
第4章 政治と政治家
第5章 世 -
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ネタバレ[ 内容 ]
石油高騰、温暖化、食料・水不足、少子化…。
これらの問題を概念ではなく具体的なモノ、データに則して考えれば、本質が見えてくる。
知見を論じ合うのは、解剖学の賢人と、ダム行政に手腕を発揮してきた元国土交通省河川局長。
「日本人は既に一度エネルギー枯渇を経験している」「温暖化対策に金をかけるな」「小さいことが好きな日本は世界の見本になり得る」、さらに「自殺する人は傲慢」という卓見まで。
戦う農業経済学者・神門善久との鼎談も掲載。
ものの見方、日本の見方を変える一冊。
[ 目次 ]
第1章 人類史は、エネルギー争奪史
第2章 温暖化対策に金をかけるな
第3章 少子化万歳!―小さいこと -
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ネタバレ[ 内容 ]
「理性」に振り回される現代世界を憂い、社会「常識」の怪しさを指摘し、虫捕りの時間がないことをぼやく…。
養老孟司の時評シリーズもついに完結篇。
ホリエモン・村上ファンド騒動、NHK受信料、データ捏造問題、中国の経済脅威、自民党総裁選、団塊世代の定年…。
さらに、幸せについて、文明についても考える。
[ 目次 ]
1(定年後の団塊;抽象的人間;「先生」が成り立たない時代;一億総インテリ化;民間主導;公平・客観・中立;書評(1)『生命理論』)
2(意識は中心か;自由と不自由;モノですよ、モノ;昆虫採集禁止;どうかしている;クーデターと総裁選;情報を感覚;書評(2)『人生があなたを待 -
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養老さんの著書を始めて読んだ。この本を選んだ理由は、「バカの壁」で有名であったこと、また、医者という傍ら科学者や虫博士などの面白い経歴を持っていたことだった。この人がどのような考え方を持つ人かが気になり、かつ、この本が500円という安価だったこともあり、購入してみた。まだ、読み途中だが、この人の考え方がなかなか新鮮で非常に面白く感じる。とくに、宗教と科学の位置づけなど。(「位置づけ」とか言うと、また、壺内さんに、そういうコトバは嫌いだといわれそうだが。)途中まで読んだ段階で、非常に勉強になるのが、養老さんは、コトバを非常に重んじており、且つ、そのコトバの意味するスコープをきちんと自分なりに定義
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「自分の頭と身体で考える」4
著者 養老孟司、甲野善紀
出版 PHP文庫
p212より引用
“変わるっていう現象はそれが良いか悪いかというのは、
その人個人の主観でしょう。”
解剖学者と武術家である二人の対談集をまとめた一冊。
1999年に同社から刊行された物の文庫版。
独自の視点を持って世の中を観察し、
分析・解説しながらの対談。
時に辛辣に時に穏やかなふりをして、
世の中の自称に対して意見しておられます。
上記の引用は、
何かを体験した事によって起こる変化に対する、
甲野氏の考えの一文。
今まで面白かった物が面白く無くなってしまうというのは、
私にも思い当たる節があります。
今面白 -
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養老孟司氏と徳川宗家第18代当主・徳川恒孝(つねなり)氏の対談集。
そろそろ養老氏の本はあらかた読んだかと思っていたが、対談相手に興味を惹かれた。
徳川恒孝氏、1940年生まれとのことで70歳ですか。徳川宗家の当主というのも、さぞ大変なことでありましょうぞ。
江戸時代を振り返り、リサイクル社会の手本として、かの時代を賞賛する向きがあった時期があり、少々眉唾ものとして聞いていたのだが。
基本的に時代劇が好きなワケでして(笑)。
江戸時代を封建社会、差別社会としてだけではなく捉えようという姿勢は健全でありましょう。
人口問題ひとつ取り上げたところで、現代を江戸時代にシフトできるはずもないのだ -
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[ 内容 ]
自分のものなのに、人はからだのことを知らない。
からだの中を見るなんて、とんでもないことだと思っている。
そのくせ「人体はよくできていますね」などと言う。
よくできているなら、なぜ喉にモチを詰まらせて死んだりするのか。
生きるために必要な食べるという行為によって、これまた不可欠の呼吸を妨げて死ぬ。
そんなバカなことがあるものか…。
口からはじまって肛門まで、知っているようで知らない人体内部のディテールを多彩な図版とともに綴る医学エッセイ。
[ 目次 ]
口と肛門
唇
唇とその周辺
頬
歯
口の天井と床
舌
舌とことば
喉
呑み込む
食道
胃
胃と十二指腸
小腸
小腸から大腸へ
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[ 内容 ]
生物学者・岸由二は三浦半島の小網代や、都市河川である鶴見川の環境保全活動に尽力し確かな成果を挙げてきた。
小網代は源流から海までまるごと自然のままで残っている、全国的にも稀有な流域である。
本書で岸と養老孟司は共に小網代を訪れた後、「流域思考」を提唱する。
自分が暮らす流域のすがたを把握することから、地球環境に対するリアルな認識が生まれるのだ。
後半では元・国土交通省河川局長の竹村公太郎も鼎談に参加する。
[ 目次 ]
第1章 五月の小網代を歩く―完璧な流域を訪れて
第2章 小網代はこうして守られた
第3章 流域から考える
第4章 日本人の流域思考
第5章 流域思考が世界を救う -
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[ 内容 ]
日本人は無宗教・無思想・無哲学だという。
さて無思想とは、どのような事態か。
もしかするとそれは、「ゼロ」のようなものではないのか。
つまりゼロとは、「なにもない」状態をあらわしつつ、同時に数字の起点でもある。
ならば、「思想がない」というのも、ひとつの「思想」のあり方ではないか。
日本の風土が生んだ「無思想という思想」を手がかりに、現代を取り巻く諸問題、さらには、意識/無意識とはなにかを、大胆に、されど精緻に考え尽し、閉塞した現代に風穴を開ける。
[ 目次 ]
第1章 私的な私、公的な私
第2章 だれが自分を創るのか
第3章 われわれに思想はあるのか
第4章 無思想という思想 -
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バカの壁で有名な養老孟司さんの教育論が書かれた本。
物事を深く捉えていて、考え方がとても参考になりました。
文章の中の単語が二項対立のなっていて、概念が捉えやすかった。
・現実とはなにか
⇒現実は行動に影響するもの=行動に影響がなかったら現実ではない
⇒人によって違う
・都会人はすべてをコントロールできると考えている
⇒ああすれば、こうなる思考
⇒手順を踏んでものごとをする経験がない
ボタンひとつで、全て解決の生活
・起こったことしか評価されない
⇒変わらないように、起こらないようにしたことは、評価されない。何かを変化させたことが、歴史において大きく取り扱われる。
以下学んだポイント