養老孟司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
隙間時間に読む本が欲しくて、新書界の金字塔に手を伸ばした訳だが、「バカの壁」を飛ばして「超バカ」から入ったのは、若者、男女、子供、お金などテーマが具体的だから。
予想以上に、歯に衣着せぬもの言いで、スカッとする。「日本人ってこうだったよねー」(うんうん)という感じ。
また、お医者さまなので、男女の違いを染色体から論じたり、人と人との作用を「フェロモンの影響」と分析するあたりが面白く、説得力があった。(特にXY染色体との関連性については、私もぼんやりと疑っていたので、嬉しかった)
ただ、やっぱりお説教臭さもある 笑
あと、阪神淡路大震災による心の傷(トラウマ)に対して、「戦争と違って、自然災 -
Posted by ブクログ
「マリウポリの20日間」というドキュメンタリーを見て、恐れなのか怒りなのかわからない感情に心が震え、なぜ人間は戦争をするのか…と心底疑問に思い手に取った一冊。
100年近く前のアインシュタインとフロイトの書簡は興味深く、確かに文化の発展によって世界規模の戦争は終焉したように思われる。それでも、局地的に苦しんでいる人がいる事実には胸が痛い。
解説でハリウッド映画はものを壊すから嫌だという話が出てきて、私も全く同じことを感じていたので驚いた。あらゆるものを破壊してカーチェイスなどをしているが、これを見てテンションぶち上がりしてんのかと思うと、人間の破壊欲動って底知れないな…まあ映画で満たされるなら -
Posted by ブクログ
2020年発刊であるが、2019~2023年頃までの間に生成AIが爆発的に進化・浸透したため早くも既に時代遅れの感がある。
4人の専門家との対談本だが、さほどケミストリーが起きていない。
お互いを尊重し、それぞれの主張をしているが、お互いの情報と主張を出し合っておしまいになっている印象。
養老孟子の主張は過去の著作から一貫していて、身体性が重要、脳化(=情報)社会に偏るのは不適切というのが主軸にある。
AIに関しても物によっては使えばいいと受け入れてはいるが、諦念の様相が強く、基本的にはAIもロボットも自動運転車も自分とは関係ないし不要だし勘弁してくれ、といった旨の発言が多い。
必要性と -
Posted by ブクログ
著者の単行本としては最初の著作を文庫化したものです。東京大学の解剖学教室に勤めていた著者が、「科学とはなにか」「形とはなにか」「解剖学とはなにか」といった問いについて考察するなかではぐくまれた思想が提示されています。
科学的客観性を信奉するひとは、科学的探求活動をおこなっているのが「自分」であるということを、しばしば忘却していると著者は指摘します。そして、「自分」と「自然」の両方があって科学という営みが成立することを、著者の専門である解剖学から例を引きつつ説明しています。著者が紹介しているのは、解剖学における四つの説明のしかたで、機械論的説明、機能による説明、発生による説明、進化による説明で -
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