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Posted by ブクログ
この本は、昔『運のつき』という題名で、マガジンハウスから出た本です。久しぶりにこれを読んで、養老先生の人生観はどういうものか、それがしみじみわかった気がしました。
養老先生のことを、論文も書かないし、「学問とは何か」「解剖とは何か」「言葉とは何か」みたいな抽象的な議論をしている人、というイメージを持つ人もいると思います。しかし、先生は戦争と大学紛争を通っている。東大の助手時代に、「この非常時に暢気に研究とは何事か」と、学生が乗り込んできた。
本書の表現を借りれば、戦争でも兵隊は飯を食わなくちゃならない。「戦争か、飯か」、先生はぎりぎり飯をとった。ノーベル賞もらうのも立派な研究かもしれない。しかし、学問は一人でやってるわけじゃない。学問をやることは飯だ。それを証明してやる。それが養老先生を作ったんですね。