梨木香歩のレビュー一覧

  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    誰の心の中にもいる天使と悪魔、この世界を神様が作ったのなら、どうして悪魔が必要だったのだろう…
    最期にサワちゃんはコウちゃんに「ごめんね…」と言えて救われたのだろうか…

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    2022年02月06日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    梨木さんの本はどれも好きなのだが今回は情報量が多すぎて疲れてしまった。また少し時間を置いて再読したい本。

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    2022年02月05日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    始まりはぬか床、ぬか床が生み育むのは美味しいぬか漬けや発酵菌だけではなかった。そこは豊穣たる命が宿り、生み出す世界。

    …お漬物マニアなら、こんなこと考えたりするし言うだろうけど、まさかこんな惹句が400Pを超える長編小説になりうるとは…梨木ファンタジーさすがである。

    時々引用される、男の子の物語とオーラス50Pほどについていけなかったのが残念。ここは完全に好み、で、俺がえらばれなかっただけ。及び腰になってしまったこの2つにがっちり嵌れたら、この小説は手放せなくなること間違いなしだと思う。

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    2022年01月31日
  • りかさん(新潮文庫)

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    リカちゃん人形が欲しかったようこは祖母にそのことを話したのだが、贈られてきたのは日本人形のりかさんだった。
    最初こそがっかりしたようこだったが、徐々にりかさんの持つ魅力にすっかり虜になっていく。

    多感な少女がりかさんを通して成長していく様が、清々しく描かれている。
    小さい頃にたくさん人形を持っていて、それでよく遊んだのを思い出した。今は甥っ子がそれで遊んでくれている。そういう脈々と受け継がれていくものっていいな。
    目に見えるものだけが世界のすべてではないと忘れてはいけないね。

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    2022年01月23日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    いつもの著者らしい、自然への敬意を丁寧な表現で紡いでいる静かな本。

    この方らしさなのだろうが、
    ちょくちょく政治的嗜好を物語に絡めるのは私は好きではない。


    せっかくの美しく、清らかで静かな自然のお話が一気に泥臭くなり、物語の透明感が失われる。

    せっかくの貴重な『静かな本』をしみじみ静かに味わいたいというのが本音。

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    2022年01月22日
  • 炉辺の風おと

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    山の別荘で自然に囲まれた憧れの暮らし。
    著者の鳥たちや植物の知識に圧倒される。

    でも、人間というのは、生物というのは、利己的で矛盾に満ちているんだなぁと思う。
    薪ストーブの大気汚染ってどれくらいなんだろうとか、車で往復するセカンドハウスとの二重生活ってエコなのかなとか…。

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    2022年01月15日
  • りかさん

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    段飾りの雛人形が印象的な表紙。

    主人公のようこは、自分と同世代くらいだろうか。
    1970年前後に生まれた女の子が、小学生の頃のお話だ。

    いわゆるリカちゃん人形が欲しかったのに、おばあちゃんがくれたのは、日本人形のりかさん。
    ちょっとガッカリしたけれど、このりかさん、なんとようこと意思疎通ができるのだ。
    雛祭りの頃、大きな蔵のある登美子ちゃんのおうちに、りかさんを連れて遊びに行くと、登美子ちゃんの段飾りの雛人形や古いお人形達の声が聞こえてくる…。
    人形たちとその持ち主たちとの思い出が、人形の中に宿っている、ようこは、りかさんを通して人形たちの声を聞き、そこにある障りを解決していく。


    りか

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    2022年01月14日
  • 海うそ

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    ネタバレ

    「喪失」「再生」「修験道」「島」

    喪失を抱えた私は、廃仏毀釈により、元々の信仰を喪失した島を巡る。
    そして、50年後に再度島を訪れ、喪失と向き合う。

    前半は、「私」の旅の理由は朧げにしか分からないものの、この旅は「私」にとって特別な意味があることなのだろうなと思いながら読み進めました。
    自然や信仰の残骸から、独特の神秘的な雰囲気を感じました。
    一転し、後半は、その慣れ親しんだ情景や交流した人々との繋がりが失われている様に、喪失感を感じました。
    「私」は最後、喪失を超え、前向きになりますが、自分は島の雰囲気に入り込みすぎていたのか、最後まで喪失感から抜け出せず、もの悲しかったです。
    読み手に

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    2022年01月13日
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)

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    地名譚には手を出すなと指導教官がよく言っていた。あんなものは大抵眉唾で、なんの証拠もないのだと。別の機会に、国文学の教授も似たようなことを口にしていた。手を出さないほうが無難だと。

    学術的にはそんなものなのかもしれない。そう思って梨木さんの本書を読むと、確かに、…だろう、…気がする等、文章の末尾が歯切れの悪いものが多い。しかし、地名譚には、郷愁にも似て人を引きつけるものがある。真実はどうであれ、その土地に住む人が、自らの土地をどう語り、伝えてきたのか。その思いに引きつけられるのだろう。自然や土地に根付く声なき声に耳を傾けられる人になりたい。

    本書は短い断片の寄せ集めのような作りなので、一気

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    2021年12月23日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    「ウド仕事」のくだりが印象的。
    ウドは下処理が大変だけど、それをしている時間が落ち着くらしい。
    食材の音や調理の匂い、こっそりつまみ食いする楽しみは料理をする人だけのもので、食べるだけの人に対して申し訳なくなる、と。
    めんどくさい、めんどくさいと思いながらする毎日の料理時間に、ちょっとだけ光を灯すフレーズだ。

    日常生活は便利になっているはずなのに、私たちの時間は刻みに刻まれ各タスクにとられていく。
    私が料理の時間がめんどくさいのは、その時間に寝たりテレビ見たりしたいと思っちゃうからなのだ。感覚がすっかりマヒしていて、他の何かに機嫌をとってもらわないと楽しくなれないのかもしれない。
    でも料理の

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    2021年12月01日
  • f 植物園の巣穴

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    降り積もった時間と向き合い、ひとつひとつ紐解いていくという少し変わったお話。叙述ミステリのようでもあります。
    何と言っても、梨木さんの手にかかればこうも植物が生き生きと感情を持つのかと感動。

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    2021年12月01日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    なんと言い表せばいいかわからないけど、不思議な本だった。カフェイン中毒の女子学生のコウコ、認知症が始まったコウコのおばあちゃんのさわちゃん、2人の目線のお話が交互に書かれている。
    カフェイン中毒を治すために熱帯魚を飼い始めたコウコと、その熱帯魚を見ると饒舌になり活動的になるさわちゃん。熱帯魚がさわちゃんの何を動かしていたのか。
    お母さんがいう、「おばあちゃんは天使みたいだ」は場面によって違う意味を持つのだと思った。

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    2021年10月03日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    ちょっと、違うかなぁ?
    今じゃないかなぁ?と読み進め、苔むしていると思い足を置いたら、ズブズブと底なし沼にはまってしまいました。

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    2021年10月02日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    スズメと人間の愛情関係を感じ、ほのぼのとする本。
    多分、この時代(二次大戦直後)のイギリスでこのスズメは戦時中の慰問芸でかなり有名だったのだろう、そんなスズメの日常、成長に伴う、歌や飛び方や日課や好きなもの、他の鳥や人間への行動などが、愛のある目線を持って回顧的に書かれている。小さくてムクムクで陽気で自分を慕ってくれる存在、可愛い。スズメって個性や思考があるなんてあまり考えないけど、12年も過ごしていた飼い主ならではの見え方。4、5歳が歌と情熱のピークだったのかな。

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    2021年08月30日
  • 炉辺の風おと

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    八ヶ岳の山小屋で過ごす日々を書いたエッセイとして読み始めたけれど、後半はお父さんの最期の日々に寄り添って考えたり感じたことや、コロナ禍で考えたり感じたことが主になっていた。もちろん、それはそれでとても興味深かった。
    鳥や植物など名前を聞いてもわからないのがほとんどではあったけれど、読んでいると自分もひんやりとした木の匂いのする森の中にいるような清々しい気持ちになれて、夏の暑さも少し忘れられた。
    私にとって人生の一冊ともいえるのが「赤毛のアン」なのだけれど、首都圏で生まれ育った私はやっぱり都会が好きで、都会以外では暮らせないと思っていた。でも数年前に「赤毛のアン」の舞台となったプリンス・エドワー

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    2021年08月24日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    梨木香歩がこちらに少し分けて見せてくれる世界は、谷山浩子のいる世界と繋がっているような気がする。
    表現の方向性は違うけど、草間彌生とも少し。
    少女趣味で、メルヘンで、グロテスクで、甘く苦く、毒で薬で、ミステリアスというより不気味で、なのに美しくて優しくて、いつまでもここで道草食いたくなる。
    どんな物語もこちらの核心を無遠慮にふんわりとこじ開けようとしてくる。
    ファンタジックなくせに、汗ばんだ肌のようなリアルに生々しい質感と湿度を持っている。
    暗闇を理解している人だけが表せる光があるのだと感じる。

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    2021年08月12日
  • f 植物園の巣穴

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    2009年発行

    歯痛は、直接脳にガンガン痛みが響きます。

    痛みがあるのか、無いのか?疼いているコレが痛みなのか?本人にも分からない現実と夢の狭間で浮遊する主人公。

    ぼや~と読み終えました。


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    2021年08月08日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    著者はひょんなことから傷付いたスズメを拾う。
    名前はクラレンス。
    しかし、彼はこの名前が気に入らずBoyと呼ばれないと
    返事しなかったという。
    しっかりと人格(鳥格?)があり、性格があり、
    飼い主とは親子であり、友であり、敬う対等の間柄。
    鳥を飼ったことのある人なら誰もが共感するであろう。
    感情的な描写より、淡々と日々の出来事を語っていく。
    擬人化した文章表現のせいか、気付かぬうちに
    すっかり感情移入して読んでいたようだ。
    クラレンスの最期は涙なしには読めなかった。

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    2021年07月31日
  • りかさん(新潮文庫)

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    この作品はとても不思議な作品だった。理由は普通に人形がしゃべったり動いたり食べ物を食べたりするからだ。米国人形がつきさされた時はとても悲しい気持ちになった。少し

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    2021年08月11日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    想像していたような旅行記みたいなものとは少し違っていた。とても内面的で観念的。少し周辺情報が多くて、頭が疲れたりもする。でも自然の描写がとても綺麗で優しくて、自然の風を感じた。懐かしいような、そんな気持ちが、ふと訪れる感覚が心地よかった。

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    2021年07月25日