梨木香歩のレビュー一覧

  • 裏庭(新潮文庫)

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    途中挫折してしまいそうな箇所も多かったが、時間をかけて読み終わった。
    結構グロテスクな描写もあったけど、自分自身の心の傷と向き合う、その大変さと苦しさを物語で表現するとああいうふうになるんだろうな、と思った。
    自分自身の傷も顧みて、向き合っていきたい。傷と向き合うことはすごく辛いことだけど、向き合った先に希望を見出せるような、そんな作品
    なんとなくジブリの作画を思い浮かべながら読み進めていた

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    2023年10月31日
  • りかさん(新潮文庫)

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    ネタバレ

    人生において、人形が身近な人にはぜひ読んでほしい物語だった!!

    私自身はあまり人形とは縁のない人生を送っているが、私の妹は3歳のころから大人になった今でも、とある犬の人形(はなこ)を大事にしている。
    妹にとってはなこは、人生で一番の親友であり、よき理解者だ。たぶん私より仲良し笑
    だから、この物語を読んで、はなこの存在そのものや、はなこと妹の関係、はなこへの妹からの愛情が肯定された気がして、本当に嬉しかった。
    また、裏ではこんなことを思っているんだろうなとはなこへの気持ちが深まった。

    この小説では主人公の少女ようこが、人形のりかさんと他の様々な人形の人生に向き合うストーリーが描かれている。

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    2023年09月30日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    イスタンブールの路地裏にいるような匂い、香り、光、空気感。東西文化の交差点での日常の暮らし、部屋にいながら満喫。交差点の位置だからこそ、気の遠くなるような古から繰り返される争い。国とは何か?考えさせられる。「人は過ちを繰り返す。繰り返す事から何度も何度も学ばねばならない。人が繰り返さなくなった時、それが全ての終焉」

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    2023年09月27日
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)

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    土地の名前をテーマに、その由来や感じるところを短い文章で綴る。わからないことはわからないまま、想像は想像として、フラットに語っているところが好き。

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    2023年09月24日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    この物語から何を受け取ったらいいだろうか?
    読みながら、なにかしらの意味や意図を探していたのですが、途中からなんだか読むのが謎の心地良さがあって物語を漂っていたら終わってしまいました。

    御伽噺のようで、ちょっと怖いような、でも根底にはあたたかいような…。そしてちょっと懐かしいやうな。あの世とこの世、とかスピリチュアルなことは思いませんでしたがふと自分の先祖の存在を考えました。

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    2023年09月12日
  • 椿宿の辺りに

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    物語そのものは好きなのだ。
    でも、最終盤ですべてを説明しようとする構成が、何だか言い訳をしているようで、嫌や。

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    2023年08月12日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    学校の課題図書で読んでみた。
    1899年、トルコ(土耳古)・イスタンブールに留学した考古学者の村田君が、下宿先のディクソン夫人やムハンマド君など、いろんな宗教・背景をもつ人たちと日々過ごし、オウムや、お稲荷さん、竜神なども入り込んで、織りなす不思議な物語。
    青春文学とあるが、そうなのか。
    良くわからないけど、読後感は、何十年か前の昔の大学生活を振り返ったときのような感じを覚える。
    なるほど、これが青春文学かもしれない。

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    2023年08月06日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    おばあちゃんの深夜のトイレの手助けをすることを約束に、熱帯魚を飼うことを許されたコウコ。それ以来、夜中に覚醒するおばあちゃんと、水槽の中の悲劇。おばあちゃんの少女時代と聖書とコウコと熱帯魚の話。

    「神様は悪魔のこと、かわいそうだなんて思ったのかな」
    「創った私が悪かった、なんて呟いたんだろうか」
    この2つの言葉に何となく癒された。
    神様にも人格があるのだと考えると、世の中失敗してもまだ終わりじゃないって思えるような気がする。

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    2023年08月04日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    蓉子の祖母が亡くなり、その家に4人が同居することになった。染物修行中の蓉子、東洋文化を学びにきたマーガレット、紬(つむぎ)専門の紀久、キリム(中近東の図柄)に興味を持つ与希子の4人である。蓉子が大切にしている日本人形、りかさんを中心に、蓉子・紀久・与希子の関係が明らかになっていく…。

    日本人形が元々苦手だったから恐る恐る読んでいった。染織に関する専門用語や、複雑な人間関係が話を難しくさせていて、具体的に細かいことを想像するのが困難だった。

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    2023年08月04日
  • 椿宿の辺りに

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    この本を読んだ後、「f植物園の巣穴」を再読。
    どちらも「痛み」を抱え、若くはない女性をガイドに、不思議な空間に誘われる。
    「椿宿の辺りに」では、「f植物園の巣穴」で豊彦が突っぱねた「家の治水」について、何かがはっきりする。
    椿宿のダム化計画に、椿宿の神が危機を感じて、山幸彦を椿宿に導いたのだろうか。
    緩やかで不思議な空間が広がる。

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    2023年06月18日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    丁寧な共同生活が目に浮かぶ私の好きな世界観の本だった。ただ、植物や染色、織物の知識が、特別有るわけではないので、世界観の半分もイメージしきれなかったように思う。個人的には、いろんなエッセンスが散りばめられすぎていて、結局どうなったの?と言うこともあり、消化不良な感じが残った。

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    2023年06月10日
  • 海うそ

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    ネタバレ

     海うそとは、海の幻、蜃気楼のこと。秋野は若い頃、九州の遅島、自然豊かな島で修験道だった道を辿った。海、山、水、空、自然の息吹を感じながら、地霊との対話や交感を。島の植物や生き物、海の魚などが生き生きと描かれている。梨木香歩「海うそ」、2018.4発行。50年後に訪れた秋野が見たものは、観光地化によって変わり果てていく島の姿。人間の織りなす文化、風習、歴史はどこに向かうのか・・・。そんなことを考えさせられました。

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    2023年06月09日
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)

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    ネタバレ

     梨木香歩さんが旅した土地の由来から喚起される思いを綴ったエッセイ。長いタイトルです。「鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡と膝掛け毛布」、2021.10発行。西日本新聞のコラムに連載されたものとPR誌「波」に掲載されたものだそうです。改めて、著者の炯眼に大拍手です。自分の知ってる土地の箇所は、特に念入りに楽しみましたw。消えた地名に味わい深い地名が多く、新しく生まれた地名は薄っぺらな気がします。

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    2023年05月30日
  • 椿宿の辺りに

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    ネタバレ

    おもろいやないか!
    この人面白に関しては寒いと思ってたけどおもろいわ

    "義理の叔母は多少慎重にはしていたものの、どこかに、大げさに言えば自由を告げられた囚人のような開放感が隠しようもなく滲んでいた。ちょっとした言葉のはしばしや、立ち上がるときの動作に、それを聞く前とは違う「切れのよさ」のようなものが見えるのだ。"

    のところすごい分かる〜〜ってなった

    仮縫って言葉が出てきたのが運命的だわ…

    山幸彦は口調とか親にも敬語なところとかで真空ジェシカのガクの声で読んでる

    思ったけど時折思うこの、「要らぬユーモア」というのは、面白くなかったら邪魔になっちゃうからだなと気づい

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    2023年05月28日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    土壌生物、自然破壊、軍隊、戦争、性的搾取、同調圧力、ジェンダー、etc.
    問題を感じる時、必要なのは考えること、向き合うこと。
    私はユージンと似た所があり、言葉を飲み込む事がある。
    ショウコの
    『傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ』
    の言葉にはそうだなぁと深く頷いた。
    インジャの身の上話は唐突だったし、テーマが盛り込まれ過ぎて、何が深く心に残ったかよくわからなくなってしまったが、
    生き方の道標みたいなものを思い出したい時に良い本かもしれない。

    コペルの最後の言葉で表現される
    『けれど、そ

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    2023年05月15日
  • 本からはじまる物語

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    18人の作家による本にまつわるアンソロジー。
    市川拓司さん「さよならのかわりに」が面白かった。梨木香歩さん「本棚にならぶ」は勝手なイメージでほんわかした話かと思ったらなかなかに怖かった。どの作家さんの話からも本好きな気持ちが溢れ出ているように感じた。

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    2023年05月08日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    『西の魔女が死んだ』『家守奇譚』などからしっとり系ファンタジーを予想していた。しかし、これははっきり言ってハード系SFだと思った。
    植物に詳しい作者が、その嗜好全開で書いた作品と聞いていた。植物うんちくなどというものではなく、生物のありようを哲学する壮大な、思想というべきかというテーマを描いている。
    時代も場所も現実幻想の境界をまたぐ目まぐるしい展開で、主義主張も随所に散りばめられている。面白いけれども、なかなか理解・共感ともに難しく、ハードな読み物であった。

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    2023年05月08日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    読みやすかった
    寝たきりの天使みたいなおばあちゃんと孫のコウコと熱帯魚
    深夜のトイレを手伝うときだけ覚醒しておばあちゃんが昔の頃のように話す
    おばあちゃんの少女時代のストーリーとおばあちゃんとコウコのストーリーが交互に進んでく

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    2023年04月30日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    著者がエストニアを尋ねた際の紀行文。北欧の小さな国の穏やかな様子、自然の豊かさや厳しさが描かれる。きっといい本だろうなと思いながら、なぜかなかなか入り込めなかった気がする。
    著者はずいぶん世界のあちこち行ってるみたいだけど、そのなかでなぜエストニアについて書いたんだろうというところが読み取れなかった。コウノトリが好きなの? 
    チェルノブイリのように人間がかかわらなくなったことで希少動物の自然繁殖が進んだというエピソードなど、人間がいることで地球やほかの生物に迷惑をかけている、嫌われているということ。著者も「ヒトはここまで嫌われているのだ。/ヒトが生活する、ただそれだけで、多くの種が絶滅に追いや

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    2023年04月15日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    「西の魔女が死んだ」が大好きでこれを書いた方ってどんな人だろう?と思って手に取った。
    エッセイと言えば気軽に読めるもの、という思い込みが吹っ飛ばされ、思った以上に難しかった。
    ウエスト夫人の人間性に感銘を受けた。

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    2023年04月04日