【感想・ネタバレ】ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版のレビュー

あらすじ

非常時というかけ声のもと,同調圧力が強まるなかで,この社会の「育む力」は失われつつあるのかもしれません.自分自身で考え,行動しようとする若い人たちと,かれらを取り巻く大人たち.誰もが自分のなかの埋もれた「リーダー」を掘り起こし,「育む力」を育むには…….村ぐるみの選挙不正を告発した一人の少女をめぐるエッセイを新たに増補.(解説=若松英輔)

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再読。文庫化で追補された『村八分の記』がよかった。世の中がどうあれ、世界がどうあれ、他人がどうあれ、自分の中にリーダーを見出し、堅持できるか。考え続ける姿勢だけは放棄したくないと思う。

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2022年08月25日

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梨木の著者である『僕は、そして僕たちはどういきるか』が岩波で文庫化された時の2015年にジュンク堂の池袋本店での若者向けの講演会がありそれを基に書籍化された。
「僕は、そして今僕らは」吉野源三郎著の『君たちはどう生きるか』を意識しているのとのこと。(それは良いそうだよね。どなたがみたってね)ファシズムの軍歌が流れたれ吉野等が危機感を抱いて「君たちは」を出した時代と現代に同じ空気を感じ書かれた。2007年の教育基本法の愛国心を強要するかのような改変、2013年の教育秘密保護法が成立したなどだ。

同調圧力とは、群れとはを具体的に教えてくれ、同調圧力に屈しないで自分の軸を大切に生きていく術が示している。
それにしても、宮本常一の『庶民の発見』の鐘楼の話には驚愕した。想像を超えた話だった。
石川さんの『村八分の記』は、石川さんの勇気に驚き同時にこの構図はどこにでもあると感じた。会社や官公庁の不正を告発した人も石川さんと同じようなあつかいを受けるのだろうなと。

「だれよりもあなたの事情をよく知っている。両親よりも、友だちよりも、いわんや先生たちよりもあなたのことをすべて知っている。(省略)そう。あなたの、ほんとうのリーダーは、そのひとなんです。」は、テレビでくりーむしちゃうの上田が若手芸人のADのカンベにムシしたいがどうすれば良いかの質問に答えていたこんな言葉を思い出した。「ADなんて俺のこと20%くらいしか考えてない。俺は俺のこと100%考えているから、自分に従う」
を思い出した。

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2022年07月23日

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今の混沌とした時代だからこそ、リーダー不在の時代だからこそ、物事の本質を見失いそうな時代だからこそ、魂に訴えかける書であった。本書が出されたのがコロナが始まった時、そして増補版として出された。ともに言葉を大切とする若松英輔氏の解説も秀逸。シンプルに書かれているが、内容は深く、何度も自分の中で反芻させられる書であった。

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2022年06月15日

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「ほんとうのリーダーのみつけかた」はタイトルだけみたらリーダー育成本かと思うけど、これはマスメディア、メディアリテラシー、人の生き方、同調圧力等を考えて生きる糧になる本。中学生や親御さんにも読んで欲しい本。教科書や課題図書にしてほしいレベル。

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2025年03月16日

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ことばを使う時、実を伴って使わないと、ことばは力を失い空疎なものになるということに強く共感した。金子みすずの詩の「みんなちがってみんないい」について、本当に?みんな一緒で安心が日本なんじゃないの?というのは、これまで感じていた違和感を言語化されたようで、胸を打たれた。元々は、長老のような人が子供たちに向ける温かな眼差しのような言葉なのにというところに、梨木香歩さんの優しさを感じた。

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2022年10月04日

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ネタバレ

「君たちはどう生きるか」という問いへの筆者なりの一つの答え。

これまで何も考えず、同調圧力に従い生きてきた気がする。
尊敬できるリーダーを探し求め、やっぱりちょっと違うなぁ、とがっかりしたり。
思ってもないことを言って、自己嫌悪に陥ったりすることもたくさんある。
「自分の中の、埋もれているリーダーを掘り起こす」作業をしたことがなかった。

自分的基準や批判精神を持って、自分にいいかっこしながら生きていく。劣位にある自分も受け止めていく。そうして、「自分という群れ」のリーダーとしての振る舞いを学び、世界への愛と祝福の想いを抱きながら進んで行けたら。引っかかったことに勇気を持って声をあげることも、いつか、できたらいいなと思う。

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2022年07月24日

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この2年以上、国民はリーダーの不在に流されてきた。本書の単行本が出たのは2020年7月。コロナ感染が急拡大して、国民が半ばパニックに陥っていた頃だ。その少し前の4月に政権が2枚の布マスクを全国民に配布していた時期で、新刊の棚に本書が並んでいるのを見た私は、ああ梨木さんも国に物申すのかなと思い、きちんと目を通していなかった。

今回、それが文庫版となって刊行された。ツカが出なかったのか、厚めの紙に、ゆったりとした組み方で、さらに書き下ろしが1章加えられている。それでも100ページほどの薄い本だが、内容は濃い。

読み終えた第一印象は、“あれ、思っていたのと違う”だった。私は梨木さんが、頼りない国を糾弾して、リーダーとはどういう人か、その考えを述べると思っていたのだ。だが、違った。本書の肝は、「あなたの、ほんとうのリーダーは、あなたです」に尽きる。私は無意識のうちに、自分の決定権を、誰かリーダーという他人に委ねようとしていたことに気がついた。だから、本書の内容を、タイトルを見ただけで想像してしまったのだ。

本書は、『僕は、そして僕たちはどう生きるか』文庫化の際の講演録がベースであり、年若い人たちに向けて語られているため、読みやすい。ふとした折にまた読み返してみたくなるかもしれない。

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2022年06月18日

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梨木香歩さん、こんな本も書いてるのか、ということで読んでみた。

ビジネス書みたいなタイトルだが、そうではなくて、自分の中にリーダーを持てという、若者向けたメッセージ。

しかし、私が若者に梨木氏の本を進めるとしたら、これではなく、小説を薦めるかな。

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2025年05月05日

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梨木果歩さんの小説が大好きで、本屋でパッと手に取ってみた本。昨今の情勢について鋭く書かれている様子だったので読みたかった。

宮崎駿が対談で、こんな世の中なのに昔のようなファンタジーを描いてもしょうがない、というようなことを言っていたけど、梨木さん、というか作家の方もそういう意識が強くなっているのかもしれない。今は本当に、昔からのやり方や、継続してきたものが一瞬で変化したり崩壊してしまうかもしれない時代。みんなどこを、何を目指せば良いか分からない時代。

日本は若者より老人の方が多くて、老人は今の若者の状況が全く分かっていないし、興味さえない人もいる。昔の基準・フィルターでしか見られない人達に、この国の未来を握らせている不安。
梨木さんが書いていた、政治家が「今までに例のない」「不退転の(決意で)」など大袈裟な言葉を遣っても実態が伴わないと言葉の力が無くなって虚しくなりますよ・・・という部分を読んでいる瞬間にも、「異次元の」やら「待ったなし」やら発言されていて、もはや呆れて笑ってしまった。


前半の「ほんとうのリーダーのみつけかた」は2015年に行われた講演を文章化したもので、後半は雑誌掲載されたものや書き下ろしの短編エッセイ。

『君たちはどう生きるか』を先に読んだ方が分かりやすかったかもしれない。私はジブリで映画化されると決定してから本屋でみかけるようになったな、映画化するから販促の為並べているのかなと思っていたんだけど、どうなんだろう。今、駿も梨木さんも目を付けた作品がこれだということには変わりがないけど。

同調圧力、私はその言葉を見るとアレルギー反応が出るぐらいの天邪鬼で、だからできるだけ皆と同じにしたくないし流行には乗りたくないし、無意味に人に合わせることも避けたい。
だけど、こんな人がそこら中にいると国にとって不都合なのだろうな。そう結局、「上の人」にとって都合が良い思想が同調圧力。もし同調することが合理的で正しいなら、トップは誰に同調するのか・・・同調圧力が強い世界で育ったこの国のトップは。

成功する人、自立する人は突飛なぐらい自分の思想をしっかり持っている人が多い。世間に同調していれば、全体で生き残る確率は上がるのかもしれないが、トップが倒れると全員倒れてしまう。
その崩れかかった集団が今の日本なのではないか。パンデミック、災害、不景気、戦争、どれにも対応できる気がしない。


最初この本には、どういうリーダーを選ぶべきかを書いているものだと思っていたけど違った。梨木さんは「リーダーは自分自身」だと言っている。自分をよく見ている、自分を客観視して色んな角度から批判する目を持つ自分を掘り起こす。
自分のことなのに思考停止するな、芯を持てということだと思う。

私は最近、自分の「心の声」を聞く癖をつけようと思っていたので納得した。
自分は本当はどう思っているのか、私の心が惹かれること嫌がることは何なのかを、逐一問いかける。~しなければいけないからこれを選択する、~だから仕方なくやる、こういうことを徹底的にやめる。それが自分の中のリーダーについていくということなんだ。
その上で、他人や集団の中でどう振る舞うかを考える。今はそれが逆になっている。親や世間から「普通はこうする」「みんなこうしている」と生まれた時から刷り込まれているので、自分の意志が分からない。
だって自分も含め誰も私の心に聞こうとしていないのだから。

まず確固たる「自分」を取り戻さなければならない。そう強く意識したい。

20240622

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2024年06月23日

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お友達からのおすすめ

言葉を大切に大切にする感じが紹介してくれた子らしく感じた。
自分の中のリーダー。うつ病の自分に通ずる所もあった。

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2024年03月28日

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ネタバレ

チーム・自分。
自分のリーダーは自分の中にいる。

流されやすい自分に喝を入れられた気分になりました。

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2024年02月24日

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大人の責任として語らなければいけないことがあると知りつつもその勇気がない。
せめてこの本を若い人たちに勧めたい。

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2023年12月20日

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梨木さんの書かれる文章、発せられる言葉には品を感じる。凛とした、背筋の伸びた美しい姿勢が見える。本書は短く、ひらがなが多い、子供たちを意識してのことか、しかし私には大人たちを優しく諭すように語る梨木さんをイメージさせた。非常に大切なことが書かれていると思います。

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2023年03月22日

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一般的なリーダー論ではない。各々の心の中にリーダーを求めるという内容。イデオロギー強めで、軍靴の音が気になる人やグレタトゥーンベリの主張に肯定的な人向け。
塩野七生の「十字軍物語」と並行して読んだ自分向けではない。

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2022年11月12日

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ネタバレ

チーム・自分の中のリーダーの声。
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」は、よかった。
が、啓蒙主義の匂いがほのかに。
もちろんその意図はあるはず。
そして深い誠意から来ているはず。
でも自分が14歳だったら反撥していたかもな。
本書はもっとそう。
ヘレン・ケラーがナプキンを畳んだという件に深く感動する母親の姿に胸打たれたのは、やっぱり大人になってからだもの。
でも自分のような頑なな少年にも、こういう言葉を一度送っておけば、どこかで復活するものだと思う。
「みんなちがって、みんないい」のような言葉をシニカルに受け流す姿勢が身についてしまっているが、逆の姿勢も持っておきたいな。

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2022年08月02日

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後半の内容はよくわからなかった。前半は面白かった。自分のなかで生まれた「え?」という疑問・違和感が、その人らしさを保っていく。
2本の鉛筆のうち、どちらが長いか?を答える話…中国人の捕虜の残虐の話…自分だったらどうするか考えさせられた。ボクも同調圧力に弱いからな…捕虜の残虐については、決断しているという意味から考えると、自分らしさがないなんてあり得ないことなんじゃないかと思った。
自分のなかのリーダーを見つけること。すなわち客観力。鳥の目。俯瞰的にみるってすごく大切だな。

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2022年05月29日

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