あらすじ
作家として、旅行者として、そして生活者として日々を送るなかで、感じ、考えてきたこと――。読書に没頭していた子ども時代。日本や異国を旅して見た忘れがたい風景。物語を創作するうえでの覚悟。鳥や木々など自然と向き合う喜び。未来を危惧する視点と、透徹した死生観。職業として文章を書き始めた初期の頃から近年までの作品を集めた、その時々の著者の思いが鮮やかに立ちのぼるエッセイ集。(解説・河田桟)
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Posted by ブクログ
多岐に渡る作者の興味や行動が、見事な文体となって読者に静かに語りかけてくるさまに引き込まれずにおれない。ある時は作者の稀有な体験に同行し大満足、ある時は作者の体験にひたすら羨望が募り、夢見心地となる。今この瞬間にこの体験をしているのは自分だけ、ということが多くの人に起こっていることの感動は生きているからこその不思議さと、ひたすら日々の積み重ねの賜物であることがわかる作品。
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・個性のはなし
苦労して見つけた型にはまろうとしても、どうしてもはみ出してしまうものが個性。アニメや漫画のキャラクターみたいにひと方向に極端にモニョっとはみ出るものではなくて、生身の人間の個性っていうのは、自分で一生懸命作り上げた型をおしたら、360°全方向に少しずつ出てしまうものなんだろう。シーリングスタンプみたいな。
それにしても犬に向かって「安易なパターンに堕するな」って解くのいいなっ
・ともだちのはなし
村岡花子さん
思っていることをありのまま言った日には誰とも友達になれないから、いつもいい加減に人と合うようなことを言って、あとは自分だけ考えているというような寂しい子だった。
母校には懐かしさより掻きむしられる思いがするという話、世界二分病にかかって周囲を敵対視してたトゲトゲの頃を思い出してシンドイ。
でもちょっとだけ、村岡花子さんのそれはかなり普遍的な話で、その寂しさって普遍的じゃない?って思った。でもそれは村岡花子さんが大人になったから人に共感を生む言い方をしただけなんだろう。結局、大人になっても中に生きている子供時代の村岡花子さんには踏み込めない。
少女時代のアンの激しさは、壮絶な孤独の裏返しだという分析にはっ!ってなった。ひとりが寂しいとき、孤独が人を殺すってこういうことかと思う。
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ながーくちまちまと読んできた本。ついに読み終わってしまった。
梨木さんの好きな事とか知りたい事とかをとことん追求する感じとか、社会の色々な問題とかいろんなジャンルのことが書いてあって素直に興味が湧いた。何回も手を止めて調べたりでいい意味で全然進まない本だった。
全く別のものが突然線になって繋がる感覚、あーそれめっちゃわかるって思ったし、大声では言えないけどどこか似た間隔を持ってるような気がするなと感じた。エッセイの類ってどこか苦手に思ってあんまり読んでなかったけどこれは毎回本を開くのが楽しみでした。
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梨木香歩さんのファンなら必ず手元に置いておきたい本。
デビューから2019年までに色々なところで発表されたエッセイをまとめたもの。
鳥のこと、バードストライクのこと、植物のこと、イスタンブールやエストニアのこと、時間・空間の境界のことなど。
これまで梨木さんがどれだけ丁寧に生きてきたかがよく分かる。
一つ一つ丁寧に向き合う姿勢が素晴らしい。
もっと早くに梨木さんの小説に触れ、この本を読んでいたら、自分ももっと丁寧に生きてこれたかも。
少なくともこれからはもっともっと丁寧に生きてゆこうと思いました。
いつかお会いしてお話を伺いたい、そんなことが出来たら夢のようですね。
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短編のエッセイがいっぱい。
生活の中での繊細な視点とその言語化。
自分も通じるところがあり、とても励まされるような感じがした。
アン・シャーリーの孤独、村岡花子の孤独
...心に響いた。
幼少期のマイナスと思われる出来事、感情もまた自分を形作るものであり、なくてはならないものではないか。
嫌でたまらなかったことを慈しみ、なにか一歩進んで考えられるような気がした。
ちょっとした機微にたくさん触れられる一冊。
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書店で梨木さんのエッセイを見つけたので読んでみた。
梨木さんの書く文章や表現は美しいなと改めて感じる。書かれている場所や植物を調べたりしながらゆっくり読み進めるのも楽しかった。
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エッセイ
梨木香歩さんが鹿児島出身ということで、途端に親近感
とても美しい表現にうっとりする
植物や鳥に造詣があり、愛を持つ
学者のような
こんな美しく丁寧で敢えて選んだような言葉使いにとても嬉しく思う
言葉を大切にしてるいる方
この先もいろいろ梨木香歩さんの本を読みたい
Posted by ブクログ
再読。長期間にわたるいろいろな種類のエッセイを集めた一冊。エッセイの断片を拾っていくことで梨木さんという人の形が浮かび上がってくる。作家さんのエッセイを読んで憧れを抱くことは多いが、梨木さんに対しては憧れよりさらに畏怖の念さえ抱いてしまう。それくらい生き方の芯にあるものの揺るぎのなさにひれ伏してしまう。
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梨木香歩さんがデビューから様々な媒体で書き綴ったエッセイをまとめた一冊。悪くいえば雑多で脈絡がないのだけれど、むしろそうした雑多な感じが梨木さんという個人をより鮮明に浮かび上がらせてくる。作品を介さない、素の梨木香歩が垣間見える感じなのだ。個人的には「家の渡り」が読み応えがあった。
あとがきで梨木さんも書かれているように、編集者は大変だっただろう。およそ四半世紀にわたり他の媒体に掲載されたものを探し出すのはもちろん、それらすべての媒体から転載の許可を得るのは難儀なことだろうと思う。まあ、おかげで我々読者は労せずに梨木さんのエッセイをまとめて読めるわけである。
Posted by ブクログ
梨木さんのエッセイを読んでいると、著者が手を差し伸べてくれていて、一緒に森の中を散策している気分になります。ふと気づくと悩みが消えていく感覚。。どこへ行くか分からなくなってしまって立ち止まった時にいつも読む本です。
Posted by ブクログ
とにかくタイトルと表紙が好み
南米旅行とイギリス旅行に持って行って読んだけど、やっぱりエッセイと旅は相性が良い
知識がある、ということは、ある景色の解像度を高めることに繋がるんだなと改めて思った