梨木香歩のレビュー一覧

  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    タイトルのイメージより複雑難解。聞き慣れない地名や人名が多いのもあるけどなにより異文化!しっくりこない部分も多々ありつつ、そんな人たちやそんな考え方があるものなんだなあと蚊帳の外から眺める感覚で読んだ。1回では消化できないけどちゃんと読めたら楽しいんだろうなと思った。このエッセイがちょっと難しくて心が折れかかっているので、積読の『ピスタチオ』と『海うそ』が楽しく読めることを祈るばかり…

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    2025年03月14日
  • 炉辺の風おと

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    ネタバレ

    梨木さんのエッセイはある時から、見つけると必ず手に取っている。
    日常に繋がるエピソードでありながら、彼女の視点が、ことばが、非日常に導いてくれる、あるいは別の価値観、選択肢を見せてくれて、日常の行き詰まりを緩和してくれるので、だいたいいつもすがるように読んでいる(笑)
    しかし、今回は書かれた時期や媒体のためか、全体に「焦燥感」のようなものを感じた。
    それでも、いくつかのことばに、胸がすっとしたり、「これでよいのだ」と救われた。
    また、引用された本のほとんどが私の「読みたい本リスト」に追加された。
    自分のペースでやりたいことをやりたいときにやりたいだけやって、なんとか死ぬまで生き延びよう!との決意新たに。

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    2025年03月02日
  • りかさん(新潮文庫)

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    リカちゃん人形を欲しがったのに市松人形のりかさんをプレゼントされて素直に受け取る子供なんている???私は人形が怖いが、それこそほんとうの人間のように感情や念を密かに抱いているように思えるから。本作はあたたかい作品だけれど、人形に対する恐怖は増した。

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    2025年03月01日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    染めや織り、能、植物の知識もなく、それぞれのルーツや情報量が多すぎてなかなか読むのが難解だったけど途中で読むのをやめようと言う気持ちにはならなかった。古民家で丁寧な暮らしをする日々や、だんだんに謎が解け繋がっていく感じがよかった。『りかさん』を読んだらまた読み返してみようか…

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    2025年02月25日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    感動出来るお話なのに、私には少し難しかったので途中飛ばし飛ばしに読んでしまった
    何年か後にゆっくりじっくり読みたいです

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    2025年02月05日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    家守奇譚などを読んでいて和風のイメージがあったため、梨木さんが海外で暮らしていたことを知らず驚いた。

    クリスマスの話が好きです。
    ゲストをたくさん呼んだり、各々料理を準備したり、ネームプレートを用意したり、みんなでツリーの下にプレゼントを積んだり…
    そんな文化祭みたいなイベントが日常に組み込まれていることが羨ましい。
    それと、最後の章の、マイ箸を機内食で使用した後に客室乗務員の方が「お洗いしましょう」というところ。ホスピタリティがすごい。

    「自分が彼らを分からないということは分かっていた。好きではなかったが、その存在を受け容れていた。
    理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ。」

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    2025年02月02日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    梨木さんの本は何冊か読んできたけど、中でも少しハードな題材の物語だったという印象。
    自己、生殖、性、生命、循環…。
    幻想的ではありながらも、SF的な要素もあって新鮮な読み心地だった。

    風野さんの「性別への嫌悪感」みたいなものがすごくリアルで共感した。私自身も「男の子になりたい」というより「女の子をやめたい」と思ったことが何度もあったし、「みーんな細菌になって無性別になればいいのに」って思っていたこともあったので、風野さんの考えを馬鹿らしいとは思えなかった。

    特に印象的だったのは、最後の沼地での富士さんのセリフ。
    『沼地は、もう、前のような方法では生殖を行わないから、彼らはこの種の、最後の人たちとして、ここで平和に滅びてゆくんだ。』
    何故か分からないけれど、地域猫のことが頭に思い浮かんだ。
    ずっと古代の頃は野生で、人間の事情でともに生きるようになって、ここ数年で人間の事情で野良猫は許されない存在になった。地域猫たちは避妊・去勢手術をされていることが多く、彼らの命は1代限り。いろいろな事情で昔のままではいられないからしかたがない変化ということはわかっている。ただ、彼らの最後も平和であってほしいと町で見かけるたびに思う。

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    2025年01月27日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    小さな雀と寡婦の優しい愛の話。
    昔飼っていた可愛い可愛いウサギと柴犬を思い出す。
    動物とは素直でなんと愛しい生き物か。

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    2025年01月08日
  • りかさん(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (シスジェンダーの)「男」にも「女」にもなれないわたしは、◯◯は◇◇が好き(なものだ)という文言が出ると、やりきれない上になかなかわかってもらえない、表現も難しい苦しみのために本を閉じてしまいたくなるのだけれど……。なんというのだろうか。「昔」から織りなしてこられたいとなみや科学では解けないふしぎに子供時代ごとかぶさっていくようなこの本は、ひだに染み入ってくるやさしい水のように、「人形」たちとのかかわりや桜の木との攻防も含めて、ぬくもるのだと思う。

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    2025年01月01日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    「理解は出来ないけど受け容れる。」
    さまざまな意味での「異邦人」を受け容れることは、今の日本社会を生きる私たちに必要な姿勢なのだと思う。理解が出来ないものは受け容れられない、そんな価値観が蔓延るなかで、ウェスト婦人の受け容れる姿勢には気持ちが暖かくなった。
    理解出来なくても受け容れていいんだ、と安心感すら覚えることのできる、素敵なエッセイだった。

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    2024年12月31日
  • 椿宿の辺りに

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    『f植物園の巣穴』姉妹編。

    『f植物園の巣穴』より読みやすかったけれど、後半すんと終ってしまった。
    映画のエンディングのような、お祭りの後のような少し寂しい感じがした。
    佐田山幸彦のキャラが良かったので、山幸彦でまた別のお話を書いてくれないかな。
    山彦と海子の会話がもう少し聞きたかった。

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    2024年11月27日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    "西の魔女が死んだ"を中学生の時に読んで好きだったので、同著の本を見つけて読んでみた。
    あれよりも格段にファンタジー色が強くて、海外児童書のファンタジーが好きな人は好きだと思う。
    雰囲気としてはミヒャエルエンデのモモとかに近いかなと思った。
    分かるような分からないような、ポエティックな感じ。

    雰囲気は好きだったんだけど、メタファーや意味するところが分からない箇所が多くて、そこは少し難しく感じてしまった…
    もうちょっと集中して読むべきだったのか、感受性が鈍っているのか…

    物語が進むにつれてテルミィや周りのキャラクターたちが自分の傷や醜い感情なんかと向き合い、わかり合っていくのはいかにもジュブナイル小説という感じで、最後はうるうるきてしまった。

    読み解くのは確かに難しい部分もあったけど、読み返すほど、味がする本なのかも

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    2024年11月18日
  • 海うそ

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    ネタバレ

    舞台となる遅島が実際ある場所かと思っていたら、梨木さんの作りあげた架空の島だったことに、まず驚いた。ルポタージュを読んでいるかのような感覚になった。
    50年後の遅島が、近代的に変貌をとげている様を「色即是空」と秋野が受け止めていることが、超然としているようで、どこか諦めのような、物悲しさを感じた。
    ただそこにあるが、実体はなく、執着するものではない。美しいものは、儚さをともなうから、美しいのだろうか。

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    2024年10月18日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    ネタバレ

    おばあちゃんと孫の対話
    入れ子になっている物語を読み進めていくと段々と全体が見えてくるミステリーのような不思議な話だった
    曖昧に夢現を行き来するような、常世と彼の世が行き来するような…。
    ずっと罪の意識があったり、切ない。
    おばあちゃんは最後に救われたよね

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    2024年09月09日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    ここにあるものを求めていた。

    エストニアにコウノトリを訪ねていく。しかしコウノトリはすでに旅立っていた。ヨーロッパの北の端で、著者が見た人と自然の姿。

    人が住まないところに、自然が生きる。エストニアの人々は、自然と共に生きる術を知っている。心の底にある「熱」をずっと抱えて生きている。

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    2024年08月25日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    「りかさん」の前日譚。
    発売日的にはこちらが先。
    ただ、先に「りかさん」を読んだほうが、理解しやすいと感じた。
    むしろそうじゃないと、「?」となる部分が多い。

    4人の女性の同居を通じて描かれる物語。
    「容子」は前作の「ようこ」が大人になった姿。
    唐草模様のように、縦横無尽に絡み合っている様は、なるほどタイトルどおり。

    人形主体であった「りかさん」に対し、こちらは人間主体のよう。
    ただし4人以外の人物関係の把握がなかなか難しい。

    背景や世界を思い浮かべながら読むと、牧歌的な雰囲気を感じられた。

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    2024年08月08日
  • りかさん(新潮文庫)

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    人間と人形が紡ぐ、不思議な物語。
    会話する人形なんて、ともすればホラーでしかない。
    しかし、時代を経ても繋がっている想いや、感覚の表現で、魅せられる。

    方や、併録の「ミケルの庭」は、鬼気迫る雰囲気が感じられた。

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    2024年08月08日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

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    梨木果歩さんの小説が大好きで、本屋でパッと手に取ってみた本。昨今の情勢について鋭く書かれている様子だったので読みたかった。

    宮崎駿が対談で、こんな世の中なのに昔のようなファンタジーを描いてもしょうがない、というようなことを言っていたけど、梨木さん、というか作家の方もそういう意識が強くなっているのかもしれない。今は本当に、昔からのやり方や、継続してきたものが一瞬で変化したり崩壊してしまうかもしれない時代。みんなどこを、何を目指せば良いか分からない時代。

    日本は若者より老人の方が多くて、老人は今の若者の状況が全く分かっていないし、興味さえない人もいる。昔の基準・フィルターでしか見られない人達に、この国の未来を握らせている不安。
    梨木さんが書いていた、政治家が「今までに例のない」「不退転の(決意で)」など大袈裟な言葉を遣っても実態が伴わないと言葉の力が無くなって虚しくなりますよ・・・という部分を読んでいる瞬間にも、「異次元の」やら「待ったなし」やら発言されていて、もはや呆れて笑ってしまった。


    前半の「ほんとうのリーダーのみつけかた」は2015年に行われた講演を文章化したもので、後半は雑誌掲載されたものや書き下ろしの短編エッセイ。

    『君たちはどう生きるか』を先に読んだ方が分かりやすかったかもしれない。私はジブリで映画化されると決定してから本屋でみかけるようになったな、映画化するから販促の為並べているのかなと思っていたんだけど、どうなんだろう。今、駿も梨木さんも目を付けた作品がこれだということには変わりがないけど。

    同調圧力、私はその言葉を見るとアレルギー反応が出るぐらいの天邪鬼で、だからできるだけ皆と同じにしたくないし流行には乗りたくないし、無意味に人に合わせることも避けたい。
    だけど、こんな人がそこら中にいると国にとって不都合なのだろうな。そう結局、「上の人」にとって都合が良い思想が同調圧力。もし同調することが合理的で正しいなら、トップは誰に同調するのか・・・同調圧力が強い世界で育ったこの国のトップは。

    成功する人、自立する人は突飛なぐらい自分の思想をしっかり持っている人が多い。世間に同調していれば、全体で生き残る確率は上がるのかもしれないが、トップが倒れると全員倒れてしまう。
    その崩れかかった集団が今の日本なのではないか。パンデミック、災害、不景気、戦争、どれにも対応できる気がしない。


    最初この本には、どういうリーダーを選ぶべきかを書いているものだと思っていたけど違った。梨木さんは「リーダーは自分自身」だと言っている。自分をよく見ている、自分を客観視して色んな角度から批判する目を持つ自分を掘り起こす。
    自分のことなのに思考停止するな、芯を持てということだと思う。

    私は最近、自分の「心の声」を聞く癖をつけようと思っていたので納得した。
    自分は本当はどう思っているのか、私の心が惹かれること嫌がることは何なのかを、逐一問いかける。~しなければいけないからこれを選択する、~だから仕方なくやる、こういうことを徹底的にやめる。それが自分の中のリーダーについていくということなんだ。
    その上で、他人や集団の中でどう振る舞うかを考える。今はそれが逆になっている。親や世間から「普通はこうする」「みんなこうしている」と生まれた時から刷り込まれているので、自分の意志が分からない。
    だって自分も含め誰も私の心に聞こうとしていないのだから。

    まず確固たる「自分」を取り戻さなければならない。そう強く意識したい。

    20240622

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    2024年06月23日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    鳥への並々ならぬ想いがよく伝わった。

    良いとか悪いとかではなく、歴史を知り、思いの外静かな自然豊かな土地だと知り、何故か陰鬱な気分になり行きたい気持ちが少し無くなった。むやみやたら明るい国に行きたい気分だから。

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    2024年05月28日
  • りかさん(新潮文庫)

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    [1]ようこが祖母の麻子さんからもらった市松人形のりかさんは手続きはなかなか面倒だが馴染むとコミュニケーションもとれるようになった。
    [2]りかさんと麻子さんは人形たちとのつきあい方、この世との接し方などの道しるべとなってくれ、ようこの世界は拡がってゆく。
    [3]お祖母ちゃん語録いろいろあります。《人形の本当の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね》p.76。

    ■りかさんについての簡単な単語集

    【麻子】ようこの祖母。りかさんの元の持ち主。若い頃、理科の先生だったらしい。《年をとってありがたいのは、若いころ見えなかったことがようやく見えるようになることだ》p.100
    【アビゲイル】日米親善使節として贈られたママードール。「ママー」と声を出し横にしたら目をつむる。
    【因縁】けれど、因縁も結局、縁だからね、なにがどう翻って見事な花を咲かすか分からないもの(p.190)
    【恨まない】恨まない、っていうのは、人形にはとてもめずらしい資質だ。美徳と言っていい。(p.14)
    【男】そうだよ。男ってしようがないね、登美子ちゃんのところのおじいさんにしろ。考えが肝心のとこまでは及ばないんだよ。でもそれを責めちゃだめだよ、そんなもんなんだからね。こっちがそれと心づもりしていればすむ話だ(p.194)
    【価値観】ようこと麻子さんは価値観が近いようだ。
    【加代】麻子さんの友人。りかさんの前の持ち主。箪笥問屋の娘。身体が弱く早く亡くなった。
    【がらくた】《人の思いのがらくたのようなものが詰まっているんだねえ……。》《―――そりゃあ、きっと、それが人間さまの拠りどころってんだヨ……。》p.56
    【かわいい】《かわいい、という温かなどこかくすぐったくなるようなほんわかした気持ちがどんどん、心いっぱい拡がって行くようにした。それはだんだん、ようこの体の隅々まで、髪の先から手足の爪の先まで満ちて来た。両の手のひらを開けるとその間の空間までかわいい温かさでいっぱいになるようだ。》p.180。《ようこがりかさんから学んだこういう方法は、やがて大人になるまでに彼女独特のものとなり、不思議なムードメーカーと周りから見なされるようになるのだった。》p.181
    【銀じいさん】三月三日に麻子さんちの雛人形を愛でに来る幽霊のような存在。りかさんはどうも銀じいさんが苦手。
    【啓介】ようこの父。麻子さんの息子。合理主義的なところがある。
    【桜の老木】ようこをつかんで離さなかった。
    【汐汲/しおくみ】何かしら秘めたことがあって黙っている、登美子ちゃんちの人形。
    【澄んだ差別】まず、自分の濁りを押しつけない。それからどんな「差」や違いでも、なんて、かわいい、ってまず思うのさ(p.203)
    【食事】人形たちの食は人と同じ。ただし量は減らずその気配だけを食す。気配の去った抜け殻を食べるのは持ち主の義務?
    【植物染料】植物のときは、媒染をかけてようやく色を出すだろう。頼んで素性を話して貰うように。そうすると、どうしても、アクが出るんだ。自分を出そうとするとアクが出る、それは仕方がないんだよ。だから植物染料はどんな井路でも少し、悲しげだ。少し、灰色が入っているんだ。(p.202)
    【背守】昔、子どもたちの着物の背につけたお守りのような細工物。
    【角】りかさんは大人に抱かれるとときどき角が生えてくることがあるが、それを兎の耳にして去らせる方法を会得した。
    【登美子】ようこの友人。《ようこちゃんってときどき変なこと言うから好き。》p.61。《世の中のものみんな、ふりしてるだけなのかなあって思い始めたの》p.127
    【登美子の家】立派な家。蔵もある。恐ろしげな人形がいる。家の大きな冠木門が開くと何かの結界が壊れてしまう。
    【泣く】人が本当に悲しくて悲しくて泣くときは、顔が、バラバラになるのだ。(p.182)
    【名前】名前を正しく呼びかけるって、魔法のようだ。(p.16)
    【人形】お人形って、年齢を問わず女の子を夢中にさせる何かがあるみたいだ。《人形の本当の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね》p.76。《人形遊びをしないで大きくなった女の子は、疳が強すぎて自分でも大変。積み重ねて来た、強すぎる思いが、その女の人を蝕んで行く》p.78。《人形に性格を持たせるのは簡単だ。人形は自分にまっすぐ向かって来る人間の感情を、律儀に受け取るから。》p.163
    【雛人形】普通、お雛さまは、セットでやって来ることが多いので、セットで、一つの、ぼんやりした思いを醸し出しているものなの。(p.28)
    【雛祭り】ようこのいるあたりでは三月から四月上旬頃まで雛人形をだしておきその家を訪ねるときは「お雛さま、ごはいけーん」と声をかける。
    【マーガレット】アビゲイルが作られた頃、東ヨーロッパからアメリカに来たユダヤ人一家の女主人。まだ英語がよくわからない。いずれ生まれるだろう我が子を愛せる自信がない。
    【待子/まちこ】ようこの母。
    【ようこ】おばあちゃんからりかさんをもらった孫。ふしぎなことに馴染みやすいタイプなのかもしれなかった。染色に興味をひかれた。
    【りかさん】性格のいい市松人形。同居するにはいろいろ面倒な手続きが必要だが馴染んでしまえばコミュニケーションも取れるしあっちの世界の案内もしてくれるしちょっとした能力も見せてくれる。《りかちゃんは祈る力のある人形なのだ。》p.14。《だって、おまえがりかさんを要り用だったじゃないか》p.75
    【リカちゃん人形】みんなが持っている。

    ■ミケルの庭

    【紀久/きく】マーガレットからミケルを預かっている。美大の大学院に籍を置いている。
    【染色工房・f】紀久、与希子、蓉子、マーガレットで運営している。以前の下宿が焼失し、アトリエとして再建。大家は蓉子の父。
    【マーガレット】米国人。「りかさん」の話に出てきたマーガレットとの関係は不明。夫は日本人。中国に短期留学中。
    【ミケル】マーガレットの子ども。《未だこの世界のどことも馴染まずに、あるいは馴染めずに、ただ自分が此処にあることに戸惑っている》p.213
    【蓉子/ようこ】「りかさん」の話の「ようこ」だろうとおもわれる。マーガレットからミケルを預かっている。草木染めが専門。《蓉子の手は確かさに満ちて力強い。まるでその上から、何世代もの女たちの手がふわりと重なっているかのように。》p.246
    【与希子/よきこ】マーガレットからミケルを預かっている。大学を卒業後作家として活動しつつ染色講座を蓉子とともに開いている。

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    2024年05月10日