梨木香歩のレビュー一覧

  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    同居する四人の女性と人形のりかさん。染色と機織りの話や人形師の話やクルドの話まで絡んできて読むのに疲れた。

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    2021年06月19日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    タイトルの3つのエンジェル。
    コウコとおばあちゃんとエンゼルフィッシュのお話。
    それぞれ、ちょっと残酷なところがあって…でも、それをまざまざと描き出されると目を背けたくなってしまう。短くてあっさり読めてしまうのに、読んでいる間ずっしりとした重みを感じる。

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    2021年04月22日
  • 炉辺の風おと

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    ネタバレ

    本当に大好きな梨木香歩さんなんだけど、最近の作品は政治的思想をまったくオブラートに包まずに書くようになってきて、しかも自分には理解できない価値観なので読んでいてぐったり疲れる。これは新聞の連載だからしょうがないんだろうか。「非暴力民衆一揆」という謎の言葉で原発をなくそうとか、ちょっとびっくりする。原発は電力確保のいち手段なのだから、本当になくしたいなら現実的に利用可能な代替手段の開発を援助するとか、そういう方向性で実現に向けた努力を確実に踏み出してほしい。
    戦争だって政治だってつまるところただの手段だし、そう扱うことで御すべきではないかと思うのだが、コロナ対策についてでさえ、政府に従うことは民

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    2021年03月28日
  • 炉辺の風おと

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    楽しめる内容もあったが、今の私にこの本を読むタイミングではなかったのか?と思わせられるところもあった。
    もう5年、10年…と時を過ごし読んだときには、沢山の新しい発見や日々の奥深さなど色々感じさせてくれる可能性をとても秘めている気がする。
    しばらく寝かせてから再度手に取りたい本。

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    2021年03月18日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    エストニア旅行をお膳立てした編集者、通訳、カメラマンに土地ごとの現地ガイドも絡んでの旅行記。慌ただしい日本人の旅行の印象。ちょっとらしくないと思う。
    確かに、この編集女史は有能な人なんだなというのは、判るんだけど。

    エストニアと云われて、頭にイメージが沸かない。解説に「境界」を訪ねる旅とある。「ぐるりのこと」も境界に関するエッセイというか思考の本だったな。

    一人森の中に入っていたり、ゆっくりカヌーを漕いだりする文章が梨木さんらしい。
    そして、月毎の風のゼリーを木の実やハーブから作る記述は、いかにもという印象。

    チェルノブイリ放射能の汚染で立入禁止になった地域に、バイソン、モウコノウマ、イ

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    2021年01月20日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    1930年代に、若い読者へ向けて書かれた本書は吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」の15歳のコペル少年と錯覚してしまう。本作は、主人公・コペルが染織家の叔父ノボちゃんと共に疎遠になっていた親友・ユージンの庭によもぎを取りに行った一日のことが物語となっている。

    そして、その一日を共有した人たちが、それぞれの心に秘めている想い、考えを通し、作者が私たちに生きていく上での環境、社会について問題定義をしている。
    それは、弱いものを従わせる力。リーダーの存在意義。集団の中での無言の強制力などを戦争、性犯罪、環境保護などの社会問題を背景に、自分たちの立ち位置を常に考えるように、また考えて続けることの重

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    2020年12月20日
  • 炉辺の風おと

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    エッセイ
    私もそこで鳥の囁きに耳を傾けているように微睡む反面、中盤以降の噛み殺して砕け散った言葉の端々に悲しみが差す

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    2020年11月30日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    ネタバレ

    何かの問題を解決するという具体的な対象があるわけではない。登場人物がそれぞれの色を持ち、その人ならではの働きをする筋書のない物語。ただ田舎の自然の中で思い出を呼び起こしながら、遊んでいるだけのことだったように思う。インジャというキャラクターがどういう人か最後まで分からなかったなあ。群れることが大事だと最後に締めくくっている。僕も社会の中で群れが必要だ、仲良しさんを作っていいと背中を押してくれたストーリー。

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    2020年09月30日
  • 海うそ

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    50年前に既に風化し忘れ去られようとしている土地や言い伝えが、50年後、そこに居た人と共に蹂躙され壊され葬られ、それでもなお少しの片鱗が物語を喪ったまま散りばめられている。
    変わらないのは海うそだけ。
    そして不思議な、人との繋がり。

    「喪失とは、私の中に降り積もる時間が、増えていくことなのだった」

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    2020年07月02日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    シュールでも、もう少しユーモアで突き進むのかと思いきや、壮大な結末に至って少し驚いた。結末付近の風野さんとのくだりはいらなかったのではないかな。

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    2020年06月15日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    登場人物たちの大切にしているものが、興味のない分野過ぎて読むのにたいへん時間がかかってしまいました。

    手仕事が主であった昔の方が、物事に対して非科学的な解釈をしたり、そういう感覚を常に持っていたのかなと思いました。

    そういう言葉に表しづらい感覚を見事に文章で表現されていると思います。

    りかさん は不思議と楽しく読めました。
    ただこれは、長いです。壮大ですし。好きな人は好きだと思います。

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    2020年06月12日
  • 海うそ

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    主人公秋野がフィールドワークする架空の地 遅島。
    遅島では多様な植物や動物、かつて修験道だった名残を目にすることができ、島の所々で生を感じる。その五十年後、再び遅島を訪れた秋野は変わってしまった島の姿を目の当たりにする。山は削られ、道が切り開かれ、かつてあった動植物は姿を消していた。ここは遅島ではない。そう感じた秋野だったが、
    五十年前に見た海うそ(蜃気楼)は変わることなく、見ることができるのだった。

    五十年前も後も遅島は遅島である。
    その姿や人々の暮らしは変化すれど。
    失われたものもあれば、得るものもある。
    自分はそんな変わりゆく森羅万象の中にほんの少しだけ腰掛けているにすぎない。そんな気

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    2020年05月04日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    日常生活から去来する様々な思いを綴っているエッセイ。良くも悪くも全然関係ないことに思考が飛んで行っていたり、スピリチュアルっぽい話にもなっていっていたりしたのが気になった。作者のことが大好きならそれでもいいのだろうが、読んでいて「それはちょっと無理やりすぎでは…」「どうでもいいな…」と思うところもしばしば。
    けれど共感できるようなところもあったり。これがエッセイの醍醐味なのかな。
    複数の小説と併読していたので、それにはちょうど良かった。

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    2020年01月11日
  • 海うそ

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    「秘島図鑑」を少し前に読んでいたのでより島の物語に入り込めた。修験道や廃仏毀釈や喪失などが物語の要素になっている。初めは物語が動かないように感じるがやはり梨木香歩先生、後半の怒涛の展開はもうさすが。もう梨木先生でなくては描けない世界観。

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    2019年10月30日
  • f 植物園の巣穴

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    ネタバレ

    梨木香歩の「F植物園の巣穴」を読み終わり。家守綺譚系統の怪と植物の織りなす不思議空間を彷徨う植物園勤めの男の話。
     妻を亡くし、幼少期には子守を亡くし、た男の淋しさにうーんと唸りましたが、エンドはハッピーで安心しました。
     頭を使わずにすらすらーっと読める話です。そういう気分の時にどうぞ。

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    2019年10月03日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    エッセイ集 と言うには一遍が長い
    話題があっちこっち飛ぶけど、その遍の中では一本筋の通った関連がある

    ただ、期待していたのとはちょっと違った
    映画の「ぐるりのこと」のタイトルの由来がこれと知っていたんだけど
    それを前提に思い込みすぎてたね

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    2019年03月19日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    ネタバレ

    渡り鳥の実態や飛ぶルートをより詳しく紹介して考察する本かと思ったら、そこは学術本ではないが故にタッチしないことにされているのか、はたまた明らかになっていないのか「〜なのだろうか」という投げかけに終始している。本当の鳥のドラマを知りたかったんだけどなあ(だからこそ『コースを違える』のA33の話は淡々としていながらも心に残った)。
    ご自身の著書含め他の本を引用して色々考察されていて、人の「渡り」という切り口は面白かったが、話があっちこっち飛んで、個人的にはあまり読みやすいタイプのエッセイではなかった。

    背表紙の「この鳥が話してくれたら、それはきっと人間に負けないぐらいの冒険譚になるに違いない」、

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    2020年01月24日
  • りかさん

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    再読。
    思えば、私が読んだ梨木香歩2作目。そして、確実に梨木ファンになったきっかけの本でした。ああ、出会えてよかった。

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    2018年12月31日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    タイトル通り、色々な話がぐるぐる回っていくようなエッセイだった。
    今まで読んだ中で1番難解なエッセイだった気がする…

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    2018年11月09日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    著者の留学中に世話になった英夫人を中心に添えたエッセイとは知っていた。田舎の賢夫人の暮らしぶりがテーマと思ってたら、随分違った。一篇一篇が結構な長さがあるし、色々騒動も持ち上がるし。

    イギリスでの生活が舞台だから、「玄関ドアの高さをフルに使って入ってきた彼は、」なんて表現になるのかな。判り易いけど、チョッと面白い。

    レディー・ファーストは「甘やかし」と思い、心地良く感じながら「トウゼント オモッテハ イケナイ」と自分に訓戒を垂れる。
    本を読むこともなく働き通しの家政婦の生活、敬虔なクウェーカー教徒の暮らしを思いやり、日常を深く生き抜くことを問う。
    神への信仰にひたむきな女性が先住民の精神文

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    2024年07月23日