梨木香歩のレビュー一覧

  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    植物と、それを食べることへの視線が真摯で優しい作品が多いけれど、今回もそれが遺憾なく発揮された作品。山菜が美味しそう。
    大勢に流されることの安易さと残酷さ、その中で自分の意志を貫くことの難しさと尊さを描いていて、身につまされる部分が大きい。
    ただ、これからのことを考える作品だから仕方ないのだろうけど、なんとなく尻切れとんぼ感があるのが残念。

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    2016年05月21日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    私には、梨木香歩さんの文章について
    語れるほどの何も持ってはいない。

    それでもちょっぴり
    この本で分かったような気がすることを
    かいつまんで紹介してレビューとしたい。

    渡りの足跡を追う、梨木さんの立ち位置に
    背筋が伸びる思いがする。

    筆者は、種としての生きものを
    きちんと意識しつつ、しきりに「個体」と
    いう呼称を用いている。様々な鳥たちは
    彼女にとって、個々に向き合い、自分という
    人間の、生きものとしての品格を証明しようと
    試みる相手なのかもしれない。

    人もまた、渡る。
    知床開拓団の1人だったあや子さんの言葉や
    身振りを再現してみせる筆者の文章の、
    それはそれは饒舌なこと。あや子

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    2016年04月29日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    ネタバレ

    人間以外の生き物と暮らしたことがあって、『はたして彼らは私と共にあって幸せなんだろうか?』と、自問した事のある人は少なくないだろうけれど、この本はその幸運で幸福な例を示してくれたと思う。
    じんと胸に迫るお話でした。

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    2025年05月28日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    コペル君のような子が自然体でいられる世の中だといいな、と思う。
    私はノボちゃんのような大人でいたい。

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    2016年01月10日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    生活スタイルが個人的にすごく好き!
    植物とか食とかの、その視線が好き。
    そんな理由で登場人物が好きになっちゃう!

    でもそんな彼らは、悩みがあるんだけど
    ぜんぜん年相応じゃなく、僕からすると
    オトナな悩みだし、尊敬の眼差しで本を読んじゃった。

    なんか群れみたいなの嫌いだったんだけど
    適切な?群れだったりしたら、いいかも
    って思えたりするんだよね。

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    2015年12月15日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    植物にあまり詳しくない私は、度々名前を検索して画像を見ながら読むこともあったけれど、
    それでも楽しめるくらい、話の流れが良い。
    素敵なエッセイだった。

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    2017年11月02日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    短編集でした。
    草壁皇子が主役の長編小説と思っていたので、ちょっとびっくり。

    しかも、少し川上弘美っぽい不思議系の話。
    それはそれで好きなのだけど、思っていたのとはちょっと違うので慣れるまで少し時間がかかりました。

    でも、「コート」「夏の朝」辺りから、しみじみといいなあと。
    慈しみという言葉が自然と思い起こされる。

    で、「丹生都比売」
    飛鳥時代、奈良時代は結構権力争いに負けて命を落とす皇子がたくさんいたけど、草壁皇子は圧倒的な後ろ盾をもって皇太子になったのに、天皇にならないで亡くなってしまった。
    病弱だった草壁皇子の少年時代を書いたお話。

    悲劇の皇子と言えば有間皇子や大津皇子が有名だけ

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    2015年09月18日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    人と人の周りにあるものとが、柔らかく不思議にとけてゆく、神話のような短編集。
    目に見えないものの豊かさを感じることができ、おだやかな気持ちになります。
    特に表題作「丹生都比売」は秀逸。
    おごそかな装丁もいいです。

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    2016年01月01日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    矛盾を抱えて、生きていこう。考え続けて、生きていこう。

    梨木香歩が好きだ、と思った。この前読んだ『沼地のある〜』を構想していた頃のエッセイ。あの話に至るまでの思考の流れ、渦巻きを知って、より『沼地のある〜』が気になってきた。

    単純には割り切れない。違和感を感じる。だからといって、それを声高に叫ぶこともない。物語の力とは。「心を動かす」ことの危険性。「泣ける話」「全米が泣いた」という文句が嫌いなので、梨木香歩のとまどいが自分のことのように感じられた。梨木香歩の描く、「優しい冷たさ」は、私にとって心地よい。全員がわかってくれるなんて、怖い。でも、閉じこもらず、理解を得られるよう、働きかけること

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    2015年07月12日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    長野まゆみさんのささみみささまめのような不思議な話の短編集。
    潮騒の月が好きだけど、最後のオチが月に呼ばれた後に飛び降りるみたいなのを想像してしまう。
    屋上だからかな。
    丹生都比売はああ、梨木さんだ。この流れは…と唸ってしまった。
    欲望のために弟、姉、果ては自分の息子まで殺した女。
    あの勾玉をみて獣のように泣いたのは後悔なのか罪悪感なのか。
    息子として愛してたはずなのに、自分の欲望には勝てなかったのか

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    2015年06月21日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    絶版されて久しい丹生都比売をもう一度読みたくて手に取った。

    表題作、コート、夏の朝がとても良かった。

    梨木さんの静謐な文体が好きではあるものの、最近の心象世界に深く潜っていく系の作品があまりピンと来ずしばらく読んでいなかった。もう一度チャレンジしてみようか……

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    2015年06月14日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    4.5。この本はいい本だ。何か私には響く。涼しく、薄ら淋しいが、悲しい寂しさじゃない。淡々とそのように在る。その感じが。あと、とても完成されてる、そういう印象をおぼえた。話もだが、文章、それで綴られる世界が。

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    2015年05月14日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    鉄板の文体。
    美しい文字の流れを読むだけで
    心がすっと落ち着いていきます。

    淡さと畏怖、綻びと静けさ。
    そういう世界はなかなか現実でも
    小説でもないことです。

    贅沢です。

    夏の朝を読んだとき、
    あるワンシーンがはっきりと映像として
    私の体をすり抜けていきました。
    その光景に泣けた。。

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    2015年04月03日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    うーん、これまで気付いた中で、一番素敵な紐のしおりの色だと。
    冷蔵庫の音に共感。とあるレオパレスに住み始めた当初、夜中に、海の音がする、っと驚いて音の出所を探してみたら、冷蔵庫だったのでした。本当に夜の海鳴りの音なのです。どういう作りの冷蔵庫だったのか、水冷?

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    2019年12月31日
  • りかさん

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    からくりからくさを読み終えてから少し間をおいて手に取った。

    読んでいる間ずっと、「西の魔女…」と同じ安心感に包まれている感じがした。この世界のことをよく知っていて、どんなことにも動じない、とても信頼できる大人がそばにいる…という感じ。

    自身の経験との共鳴かもしれない。

    私が社会人になり結婚して間もなく亡くなった祖母。田舎から息子(私の父)を訪ねてくる時は、いつも和服に羽織を重ねた正装だった。苦労に苦労を重ねた祖母は、再婚して改姓していたが、父のところへは定期的に顔を見に来た。

    祖母は何でも知っていて、どんなこともくしゃくしゃの笑顔でやり過ごしていた。

    祖母のそばにいるのが好きだった。

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    2014年09月14日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    これはノンフィクション。
    彼女が植物や鳥に造詣が深いことは知っていたけれど、渡り鳥を見るために何度も北海道を訪れていたとは知らなかった。
    サロマ湖や長都沼は知っているけれど、チミケップ湖なんて北海道に住んでいても聞いたこともなかった。

    とにかく彼女は自然が持つ力というものを絶対的に信じていて、人間が自然破壊をしたのも自然の意志かもしれないし、自然を回復しようとささやかながら努力することすらも自然の計算のうちかもしれない、と。
    ここまで来たら、もう、自分が信じる行動をとるしかないよね。

    太古の自然にもどすことは今さら不可能なのだから、無駄に自然を損なうことなどないように気を付けながら、文明の

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    2014年09月13日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「ぐるりのこと」とは身の回りの事。九州、イギリス、トルコ等で出会った出来事を綴ったエッセイ。トルコ編は「からくりからくさ」で著者が見せたキリム等への造詣もうかがえます。著者の作品を読むたびに、自分も梨木さんのように、真摯に周りを見なければと反省させられます。

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    2014年06月01日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    渡り鳥というとどの鳥もみな同じで十把一絡げみたいな印象になりますが、この作品に相応しい表現になると渡りの鳥とでも言えばよいのでしょうか。
    渡りをする鳥たちや自然への作者の深い愛情や畏敬が感じられるしみじみした作品になっています。ですから、単なるバードウオッチングという点で成り立つものではなく、北海道を中心とした渡りの鳥たちの観察記録はネイチャーライテイングという多面的な要素を持つ作品であるというのもうなづけます。
    梨木さんは海外での暮らしの経験もおありなので、鳥たちの大陸横断の旅をみつめる眼は彼女自身の持つ大陸的な雰囲気も相まっているように感じました。ところどころに色々な種類の鳥を、彼女自身が

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    2014年05月11日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    梨木香歩の渡りの足跡を読みました。
    バードウォッチングをテーマとしたエッセイでした。(ネイチャーライティングというらしい)

    屈斜路湖、福島潟、ニセコ、諏訪湖、ウラジオストク、知床と言った場所で鳥たちの生態を記述しながら、「渡り」をテーマとした人々の物語が語られます。

    アメリカの日系二世で強制収容所に入れられてしまった人たちの物語が、渡り鳥たちの渡りと重ね合わせて語られていきます。
    サハリンの森の人「デスルー・ウザラー」の物語もおもしろく読みました。

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    2014年03月22日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「西の魔女が死んだ」の短編「渡りの一日」では、ほんの片鱗も見えなかった「渡り」への想いが、諏訪湖、新潟、知床、ウラジオストク、カムチャツカと「渡り」を取材するほど熱心だったとは。「からくりからくさ」で見えた、織物・デザイン・工芸への造詣にも負けないほど、知識・情熱も並々ならぬものを感じます。私の出身地も水鳥の越冬地で、通学で渡りの鳥たちを朝夕見て過ごしたのに、何とも知識の乏しい事か。改めて「渡り」について少し勉強してみようかという気になりました。

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    2014年03月17日