梨木香歩のレビュー一覧

  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    ネタバレ

    梨木さんの短編集。
    表題作の「丹生都比売(におつひめ)」が
    ほぼ半分を占めています。

    丹生都比売は史実を基にしたファンタジーっぽくて
    面白かったです。個人的に好きなのは「夏の朝」。
    母親と子供の先生とのやり取りのイラつく状況を
    イラつかずに読めるのは梨木さんの文章の
    なせる業でした。この題材は作者さんによって
    書き方が変わるでしょうね(´艸`*)

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    2019年07月26日
  • りかさん(新潮文庫)

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    梨木香歩さんシリーズ。

    3つの短編からなる本です。

    一つ前に読んだ「からくりからくさ」の前後譚で、これも女性の世界の物語ですね。

    最初の2編は、主人公ようこ(まだ「蓉子」ではない)が少女で、日本人形の「りかさん」と出会う頃のお話。

    寄せ集めの雛飾りを始め、なかなか難しい人形たちの固く絡まった人生?を、ようこがりかさんの力を借りながら解きほぐして行きます。

    人形と話をするというのは、ファンタジー、またはスピリチュアルに思えるけど、感じやすい女の子には普通にできることなのかもね・・・と、読んでて思った。

    りかさんと、ようこの祖母・麻子さんがことのほか魅力的。
    若い女じゃなくてやっぱおば

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    2021年06月10日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。梨木さんが渡り鳥を追いかけて綴ったエッセイ。カヌーに続き、梨木さんのパワフルな行動に驚かされた。たくさんの鳥の細やかな描写もすごいが、鳥を見つめる目がそのまま自分の内面に向かっていく道筋にも引き込まれる。私のぼんやりとした感想を解説の分析が隅々まで言語化してくれているので、これ以上書くことがない。

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    2019年03月04日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。エッセイ。タイトルの通り身の回りのことから、政治や国際情勢や世界のことまで幅広い。それも唐突な跳躍ではなく、世界は自分の延長にあり、世界の帰着に自分があるということをしっかりと考えさせてくれる。梨木さんが物語を語ることによって伝えてくれる想いをしっかりと受け止めていきたい。

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    2019年02月19日
  • 海うそ

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    せつない。
    上手く言葉にできないのだけど、寂しかった。

    本を開くと、遅島の美しい風景、清らかな空気が飛び出してくるようだった。
    不思議な感覚。
    もう一度読みたいな。

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    2019年02月08日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    梨木香歩さんの本は「雪と珊瑚」を産後に読んでものすごく影響を受けたのだけど、エッセイは初めて読んだ。
    こういう考え方をする人なのか、と新たな発見。
    この本が出たばかりの頃に、職場の同期に「合うと思う」と勧められたことを思い出した。読んで納得した。

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    2018年12月28日
  • 海うそ

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    後悔先に立たず。
    手遅れというものがある。
    日常の中で「私でなくても他の人が...」と思ってしまうことはあるけれど、そこで「他の人がするかもしれないが、私も」と億劫がらずに為すことが、後の後悔を生まない為になる。

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    2018年08月21日
  • 海うそ

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    昭和初期に南の島に調査に訪れた学者が主人公。
    島はかつて修験道の聖地で、死人からの伝言を伝えたりするモノミミという民間宗教も存在した。
    主人公の調査は、特に南西諸島からの流れと思われる住居の構造。

    章立てごとに地名と植物や動植物、虫の名前が並べられている。民俗学的道具立てや海に見える蜃気楼も相まって、著者のど真ん中の直球勝負か。

    失われた寺院や宗教の痕跡、恋人達の悲恋の跡。豊かに自然を背景に、最初から失われていた事物。許嫁や両親を失ったばかりの主人公自身の心情にも同調しているように感じる。

    冒険譚とも思える、島の調査行。濃密な自然と宗教の営みの遺物の記述に引き込まれる。
    そして、登場人物

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    2024年07月23日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    2015.5/7 梨木さんのエッセイを何冊か読んでいると、私たちを取り巻く世界や日本の政治、経済、環境などあらゆる現状にゆっくり咀嚼した言葉で警鐘を鳴らしている。本作品はその物語版か。エッセイだと直接的になり拒絶する人もいるかもしれないので、物語になり少年の思いや語りでより多くの人の胸に沁みてくれたらと願う。なにしろ先日のわが市議会議員選挙の20代の投票率が20%、全体でも40%ちょっとなんていう危機的状況ですから...

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    2018年01月09日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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     本のオビに「初の短篇集」とある。
     そうか、そういえば梨木果歩さんの短篇集って読んだことがなかったな、と気が付く。
     まぁ、あの「家守奇譚」なんかは連作短篇だったけど。
     全9篇の短篇で構成されている。
     短いものは数頁、最長で100頁の作品が収められている。
     古くは1994年、新しいもので2011年に発表され、2篇は未発表作品。
     最初の「月と潮騒」「トウネンの耳」は現実と非現実が混淆としている、少しとらえどころのない不思議な作品。
    「カコの話」も似たような作品だが、ユーモアやシニカルな味が加わっている。
     既婚の男性が読んだら、思わず考え込んでしまうかも。
     この「月と

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    2018年01月04日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    自分の庭に毎年来ているジョウビタキが、実はいつも同じ個体で、夏にはシベリアにいる、これを知ったときの感動、はい、わかります! 梨木香歩 著「渡りの足跡」、2013.3発行(文庫)です。「おつかれさま、よく来たね」心からそう思います(^-^)

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    2017年09月26日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    ものすごく、重たいテーマの話でした。

    私も、「軍隊で生きていける」「愛すべきやつ」の一人なのだろう。
    少しの違和感があっても、社会的な、そして多数決の持つ正義という「正しさ」の前に、自分を誤魔化し、守り、「正しさ」を刷り込んで、卑怯に、あたかも善人の様に生きていくのだろう。

    心が痛すぎる、一生気づかない方が完全な利己主義な考え方として、幸せなのではないかと思うエピソードがいくつかあり、本当に難しいし、入り込んでいて、答えは無いと思う。

    でも、考え続ける事が、ちゃんと向き合って、見ないふりをせずに、考え続ける事が何よりも大切なのだ。

    僕は、そして僕たちはどう生きるか

    すごい

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    2017年09月17日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    マイ癒しその③、と、軽率に書くことを少々躊躇う。
    梨木さんのエッセイは、私にとって大きな安心である。乱雑にくくればやはり「癒し」が該当するのだが、よく一般に言われるような手軽なそれでは決してない。
    機械や文明に頼りきりの人間たちによる想像などより、はるかに過酷な生きかたをしているいきものたち(そのことを、かれら自身は過酷とは思っていないだろうが)を思うと、背筋がいつしか、すっと伸びていることに気付く。また、自然の持つ要素から、ありがちな、安心やセラピー的なものだけではなく、険しさ厳しさも拾い出してくれていて、さらには人間(同じ人間に対してさえ、どこまでも非道になれるもの!)が環境を変異させてい

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    2017年06月19日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    私の気持ちのお薬。疲れたときに安心させてくれる気がする、梨木香歩さんのエッセイ。彼女のレンズを通して伝わる世界は、時折残酷なところもあるが、概して「ありのまま」に優しい。エストニアで出会うひとびとを捉えるときも、歴史についての述考を書く際も、レンズは誠実に(歪んだり、遠近をドラマティックに演出したり、色を付けることなく!)あり続ける。異国の風景を近くに、においをすぐそばに感じてうれしかった。

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    2017年04月23日
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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    不登校になった女の子がおばあちゃんの家で生活する話です。女の子の経験したことが大切な宝物のよう に見えました。文章に書くとシンプルですが、楽しいこと悲しいこと含めて、誰しもそういうものを持っているのかもしれません。 本書は、後日談として、渡りの一日も収録されていて、女の子の成長も読むことができます。

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    2025年12月21日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    私個人の少年期を振り返ると、群れるより一人で居るほうが楽で、本作のメッセージとはリンクしなかった。ただ、群れることで息ができなくなるような、考えることをやめてしまうような感覚はうまく描かれて居ると思う。
    AVの話しは要らなかったと思う。鶏解体の話しで十分重い。話しを盛り込み過ぎで、消化出来なかった。

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    2017年01月04日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    梨木さんの作品は植物の描写が素晴らしいので植物の造詣が深いのだろうなあと思ってましたが、鳥の知識もこれほどまでに豊富だとは知りませんでした。渡り鳥を見るために地方へ遠征までされていたのですね。観察者としての抑え気味の筆致の中に、時折擬人化していたりするあたりに鳥への深い愛情を感じます。私も、野山を歩くようになってもっと鳥のことを知りたいと思うようになり、動画サイトで検索してみたりもしてますが、まだまだ修行が足りないなあと実感しました。いつか、さらりと「〇〇の鳴き声だ」なんて言える人になりたいものです。

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    2016年11月15日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    梨木さんらしい、ほの暗い世界
    自分が孤独であっても寂しくない
    いろんな世界があるから大丈夫って教えてくれる

    ファンタジーと言えばそうかもしれないけど
    ちょっと違う気がする

    ・月と潮騒/冷蔵庫
    ・カコの話
    ・夏の朝/夏ちゃんにガンダムとは…意外な表現(^_^;
    ・丹生都比売/再読 筋が分かっているので草壁がより可哀相に感じた
     ハッピーエンドになればいいのにと何度も思った
    ・ハクガン異聞/ピアノ調律

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    2016年09月02日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    作家梨木香歩によるエストニア紀行。さてエストニアとはどこにあったっけ? それくらいの知識しかもたずに読み始めましたが、すぐにその地に引き寄せられました。
    梨木さんの目を介してエストニアの文化と自然を見る。きっと自分がその地に立った時には気付きもしないものに気付かされ、エストニアの魅力に心を寄せます。
    人の営みである文化や歴史。それは侵略を受けそれでも守り通したもの。僻地であり境界であるが故に生まれた世界。過去から連綿と続く人々の息吹を感じさせます。そして人が介しなかったが故に残った自然。人が人の理屈で離れた土地だから動植物がそれぞれの様相を成す。しかし人が介することによって姿を現す自然もまたあ

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    2016年07月13日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    ネタバレ

    短編集

    『月と潮騒』
    ごく短い、冷蔵庫のお話。梨木さんのイメージとちょっと違うな、と思いつつ、でも読み終わると梨木さんの紡ぐ世界だなと。

    『トウネンの耳』
    これもごく短いお話で、梨木さん鳥が好きだからね、と思いながら読んでいる間に終わってしまう。この本の中ではあまり印象に残っていない。

    『カコの話』
    ようやくこの短編集の流れに慣れてきたのか、大好きな家守奇譚あたりに雰囲気が寄ってきたからか、この話あたりから引き込まれ始める。過去は人魚の姿をしていたりするのだ。

    『本棚にならぶ』
    部分の欠損。独特で、印象には残っている。抽象的すぎてちょっとなー。

    『旅行鞄のなかから』
    これも独特。ずっ

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    2016年06月03日