梨木香歩のレビュー一覧

  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    この鳥たちが話し掛けてくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない。
    梨木香歩の2作目のネイチャーライティング。2011年読売文学賞受賞。

    ネイチャーライティングというジャンルを読んだのも初めてでしたが、最初に手にしたのが梨木さんだったのがラッキーでした。
    筋金入りのアクティブなバードウオッチャーな梨木さんの姿にも驚かされつつ、渡りを行う鳥たちの生体の先に旅の最中に出会った案内役の人々の様子や
    移民、開拓者の人々の人生を見つめた内容はとても深く、また梨木さんの自然と他者への関心を強く感じた作品だった。

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    2014年03月10日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    エッセイ。
    鳥の話だけでなくノーノーボーイと呼ばれる第二次世界大戦にアメリカで収容所に入っていた日系の人のことや
    知床の開拓団の人々の話など

    梨木さんらしい目線のエッセイだった。

    書かれてる鳥の写真とかがあったらいいなって思う。

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    2013年08月12日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    まさか梨木香歩に対して「かわいいい」ともだえる日が来るなんて思わなかった。
    ...何を言ってるんだ私は。

    人間が生きることを、どこまでもまじめに、真摯に追求するのが梨木さんだ。うっかり通り過ぎてしまいそうな気持ちを拾い上げて形を与え、途方に暮れてしまう問いかけも少しずつ言葉を探して近づいてゆく。一緒に遠回りしていると、いつのまにかとても深いところへたどり着いている。そんな読書体験ができる。

    「春になったら苺を摘みに」の文庫版の解説で「あまりにもすきを見せまいとする用心深さに、時折わずかな隔たりを感じる。もっと正直に自分をさらけ出したって大丈夫だ、梨木香歩なんだから。」というようなことが書か

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    2013年08月05日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    梨木香歩のエッセイは難しいです。でもただ単に難しいのでなく、実に面白いんです。咀嚼するのに時間が掛かるだけ。それだけ読み応えのある1冊です。
    渡り鳥の観察を通じて「渡るもの」たちへ想いを寄せる。単なる自然観察エッセイに留まらず、鳥たちの想いを想起し鳥たちへの畏敬の念と親近感を抱かせる。そして話は鳥たちに留まらず渡る(移民する)人々へも広がっていく。作者の観察眼が客観的でありながら、対象を自分の元へ引き込み想像たくましく想いを寄せる術が実に面白いんです。そのため、今まで興味を全くもっていなかった鳥たちをしっかりと感じることが出来ます。それはそれぞれの鳥たちの解説にも表れており、学術的な説明だけで

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    2013年05月22日
  • りかさん

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    私は人形が苦手です。
    ぬいぐるみはまだマシですが。
    そこに「居る」という気配がするのが怖いんですね。

    人形には魂が宿るという話は洋の東西を問わず多いのではないでしょうか。この物語も日本人形のりかさんやお雛様たちが魂を持ち、その思いに主人公の女の子が巻き込まれる、というものです。
    しかし、こうした人形ものにありがちなおどろおどろしさというのは比較的薄く、読みやすかったです。

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    2013年05月17日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    ネタバレ

    渡り鳥や自然にまつわるエッセイ。
    自然に分け入っていく楽しみが伝わってくる。
    章の最後の丁寧な鳥の解説も、わくわくしながら読み入りました。

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    2013年04月11日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    ネイチャーライティング。
    しっかりと根付いたものがなければ、渡ってはゆけない。生きることの厳しさ、だけれども超えてゆかねばならない道。
    静かな中にも熱い火が点り、著者の伝えたいことが感情の波が押し寄せてくるようなエッセイ。なかなかに辛辣でまた違った一面を見る。

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    2013年04月08日
  • りかさん

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    皆が持っているリカちゃん人形が欲しかったのに…おばあちゃんにほしいものを聞かれて答えたら、おばあちゃんは自分が大事にしているりかさんを欲しがっていると勘違い。でも、人形の気持ちがわかることで、ようこはりかさんと強くつながっていく。人形が愛されるために存在することを考えさせられる本だった。

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    2012年10月01日
  • f 植物園の巣穴

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    ネタバレ

    たくさんの植物が散りばめられた、植物好き的にも美味しい一冊。
    珍しく男性が主人公で、漱石ら辺の時代を思い起こすような硬質な文体。
    それなのにふわふわと夢を見ているような物語でした。

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    2025年05月28日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    人形のりかさんを含め登場人物の動きがいい。
    それぞれ性格も違うのに、ツナガリが深いのは解説にもあるように「手作業」にヒントがある?
    染色や織物に関する記述も興味深い。

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    2021年02月20日
  • りかさん

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    「リカちゃん人形がほしい!」って言ったら、おばあちゃんが市松人形の「りかさん」を送ってきた・・・。
    うーん、それは予想の斜め上をいかれた。

    そんな児童小説かと思いきや、どっこい大人が考えさせられるお話でした。
    あんまり人に本を薦めたりはしないんだけど、これはお勧めの1冊だと思います。

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    2010年05月03日
  • りかさん

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    『からくりからくさ』以前のお話。
    ぜひ併せて読んでいただきたい。
    児童書だといって侮るなかれ。

    リカちゃん人形をおばあちゃんにおねだりしたようこであったが、
    彼女の手元に届いたのは、市松人形の「りかさん」だった。
    はじめはショックを隠しきれなかったようこも
    次第にりかさんと心を通わすようになり、
    同時に人形の声を聞くことができるようになった。
    そしてようこは、自分や登美子の家に伝わる人形たちの深い歴史を旅する。

    かつて私も、スリーピング・アイを持った
    ジェニーちゃんという名のドールを持っていました。
    だのに私は彼女がいつ我が家からいなくなったのかも忘れてしまった…。
    もっと大切にすれば良か

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    2010年03月11日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    癒しを求めて違う世界にトリップできる小説を、久しぶりに。草花の精霊っぽいものや動物、死んだ親友との交歓が穏やかに淡々と描かれていて、いい本だった。

    2025年再読。読んだことと、不思議で静謐な読み心地だったことは覚えていたが、内容だいぶ忘れていた。感想は同上。

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    2025年03月16日
  • りかさん

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    文字の大きさからして児童向きだけど…字が小さいほうがいい人は文庫版をどうぞ。今度から人形を見る目が変わります。

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    2009年10月04日
  • りかさん

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    「からくりからくさ」の主人公である蓉子がりかさんを祖母である麻から受け取り、子供ながらに人形の抱える念とその念に惑わされる人の業を学んでゆくという話である。漢字にルビが振ってあるところを見ると、対象にしているのは主人公である、ようこ、と同じ位の年頃、ようやく一人でバスに乗れるようになった位、の子供のようである。しかし、これは決して児童文学にありがちな一層のみお話しではなくて、むしろ「からくりからくさ」の番外編として多層的に読んで面白いものだと思う。「からくりからくさ」はミステリー風の異次元物語という調子の話で、本の中で一応の解決を見てはいるけれども、多くは語られていない謎も沢山あり、そのことが

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    2009年10月07日
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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    昨今はみんなスマホばかり見ている。親の私たちも学生の娘も。おばあちゃんのように子育てできたらいいのに。自然を感じて、清々しい空気を吸って、朝の光を浴びて生きて欲しいけど、実際は難しい。

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    2025年12月21日
  • 家守綺譚 上

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    近藤ようこの美しい絵で描かれる不思議が当たり前のような世界のお話。

    梨木香歩を読んだことがないのですが、坂田靖子の作品にテーマやモチーフが似てるな、と思い出したりしました。よく分からない不条理なものがただそこにあり、それをそのままに受け入れる主人公のさまが心地よかったです。

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    2025年12月18日
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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    自分で考え、自分で決める。
    当たり前のことだけど、人や情報に囲まれて生きているうちに自分の考えではなくて、周りの考えに合わせて苦しくなることがあるかもしれない。

    決めたことをやり切る。規則正しい生活をする。簡単そうで続けることが難しいことだけど、改めて自分の生活を見直そうと感じた。

    将来結婚できて子どもができたら読ませたい1作。

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    2025年12月18日
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    久しぶりの読書2冊目
    ちょうどいい長さで読後感よし
    自分の立場から不登校の子どもを抱える共働きの親の視点になってしまった。
    渡りの一日はあやさんさまいの理想に近いかもしれないけど、自分に子どもができたときにはまいのお母さんになるのか、しょうこのおかあさんになるのか、それともまた違う道がみつかるのか…

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    2025年12月14日
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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    まったり系のおはなし。
    自分も子どもに戻ったような気持ちで、「ああ、わかるわかる」と思いながら読み進められます。毒気の少ない本が読みたい方にどうぞ。

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    2025年12月14日