梨木香歩のレビュー一覧

  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    Kの経験すること、出会う人たち、全てがわたしに新しい考えと見方をくれました。魅力的な世界を生きていることをうらやましく思い、わたしも世界へ行って経験をしたいという気持ちになります。

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    2024年07月23日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    私がプロフィール画像を小鳥(ジョウビタキ)にしているのは小鳥が好きだから。
    そして、小鳥たちの中でも一番好きなのが、スズメ。

    野鳥は普通飼えないのだが、このスズメは生まれてすぐに巣から落下し、脚と翅に障碍を持っていた。
    自然に返せるような肢体を持っていなかったので、保護するかたちで12年も一緒に暮らすことになった。
    生まれてから老衰で死ぬまでのスズメの記録なんて今後出会うことはないだろう。

    本編は150ページと短い。
    本編が終わって原書の解説がある。
    さらに梨木果歩さんの訳者あとがきに続いて、小川洋子さんの解説があった。
    これらの解説だけで40頁もあり、本書の要約にもなっている。

    人間にはイヌやネコと出会い一緒に暮らす人生と、出会わない人生がある。
    小鳥と暮らす人生もあるだろうが、スズメと暮らす人生はほぼない。

    動物は、成長し、成熟し、充実した時期を迎えると、自分がリーダーになりたがる性質が現れる。
    これは、言葉を理解し人とコミュニケーションができた有名なヨウムの"アレックス"も同じだった。

    ほとんどのペットは、飼い主が「主人」だ、と思い知らされる「しつけ」を受けてリーダーにはなれない。
    いつの間にかリーダーの座を獲得しているのはネコくらいだ。

    このスズメの"クラレンス"は、リーダー気分を味わえた。
    キップス夫人がたくましくなった"クラレンス"を「立派な一人前の男になった」と喜び、余裕しゃくしゃくで彼の要求に答えたからである。

    だが主従関係を感じることはなくて、お互いに信頼し合っている関係が伝わって来る。

    ヨウムの"アレックス"は気持ちを人の言葉で伝えることができたが、スズメの"クラレンス"は人との共通言語を持たなくても理解し合えている。

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    2024年07月01日
  • 本からはじまる物語

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    まだ本を本格的に読み始めたばかりなので、各作家さんの特徴など、自分にとって読みやすかったなどが分かり、これから本を…という人におすすめ!
    本屋を巡る話しはどれも面白かった!

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    2024年06月27日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    沼地のある森を抜けて

    先祖がぬか床を持って駆け落ちして以来、ずっと守られてきたぬか床。叔母の死をきっかけに、叔母のマンションと共にそのぬか床を継いだ主人公の物語と、ぬか床の中の酵母やら細菌やらから見た物語とが交錯しながら話が進んでいきます。
    自分のアイデンティティ、命のはじまり、何故有性生殖か?、そして命は何を目指してどこにいくのか?
    こういった問いが詰まった(結局結論は出ませんが)難しい話を、ある程度の難しさを残してはいますが、エンターテイメントにしてしまう著者の力量はたいしたものだなあと思います。
    ぬか床が呻いたり、ぬか床の卵から人が出てきたりと幻想小説っぽいところもありますが、「家守奇譚」のようにそちらが主ではないので、さらりと現実的に描かれていて、その点も面白いなと思いました。
    ちょっと残念だったのが、「おおーこの構造は、”世界の終わりとハードボイルドワンダーランド”(村上春樹)だー」とものすごく期待したのですが、2つの物語の絡み方や収斂の仕方が今ひとつだったのが、期待が大きかっただけに残念です。
    もうすぐお盆なので、自らの自出やご先祖さんのことを、無い頭で考えてみている竹蔵でした。

    竹蔵

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    2024年06月07日
  • りかさん(新潮文庫)

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    〈再登録〉ようこが誕生日におばあちゃんからもらった市松人形の「りかさん」。りかさんと心を交わせられるようになったようこは、りかさんと共にに人形達が幸せになれる手助けをすることになる…「からくりからくさ」の続編「ミケルの庭」を同時収録。
    「からくりからくさ」以前のようこ(蓉子)とおばあさん、そしてりかさんの物語。「アビゲイルの巻」のアビゲイルと、幼くして死んだ少女の話はとても悲しい。りかさん達が人形達の悲しみを解いていく過程は、読んでいる側も幸せにしてもらった気分になりました。

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    2024年05月27日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    〈再登録〉梨木香歩さんの初エッセイ。「裏庭」の風景描写や異国情緒はイギリスの町、S・ワーデンで過ごした日々がルーツなのでしょうか。様々な人種が集まる土地で感じた価値観の違いに真摯に向き合う姿が印象的です。
    若い時にウェスト夫人という慈愛に満ちた人と共に過ごしたこと、彼女と変わらぬ友情を築いてきたことは一生の財産なのでしょう。

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    2024年05月26日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    梨木香歩さんによる、エストニアへの旅の記録。この人の文体は、物語でもエッセイでも好きだ。ファンとしてはそろそろ物語の新作を読みたいところである。

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    2024年05月18日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    自然に造詣の深い著者が、渡り鳥を追って冬の北海道~カムチャツカ半島へ。渡り鳥だけではなく、自然と共に生きる遊牧民や戦中戦後に「渡り」として生きるしかなかった日系人についての考察も。
    全体を通して、生真面目な梨木さんらしい一冊だと思いました。自然について、「渡り」について考えるいい機会になりました。

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    2024年05月18日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    静かに沁み渡るような、そんなお話でした。
    誰もが密かに抱える、苦しみ、悲しみ、それらをどうやって乗り越えていくのか。
    誰もが裏庭の主人であり、自分の世界を作り上げていく。
    傷付いた心と向き合う行為を丁寧に描いたお話だと思いました。

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    2024年04月30日
  • やがて満ちてくる光の(新潮文庫)

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    書店で梨木さんのエッセイを見つけたので読んでみた。
    梨木さんの書く文章や表現は美しいなと改めて感じる。書かれている場所や植物を調べたりしながらゆっくり読み進めるのも楽しかった。

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    2024年04月02日
  • りかさん

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    ひな祭りの前に『人形の家』を読んでいたころに知人から勧められ、人形やぬいぐるみと人との関係に興味が尽きないところ。

    ゴッテンの人形の家 に出てくる人形たちはエミリーとシャーロットの家に暮らしていたけど、りかさんは外からやってきます。

    おばあちゃんから電話で、今度のひな祭りに何が欲しい?と聞かれたようこは、リカちゃん人形が欲しいと答えます。
    おばあちゃんは、

    「お人形のりかちゃんなら気立てのいい子だ、雛祭りにはぴったりだ…よし。」

    怪しいですよね気立てがいいとか…おばあちゃん、知ってるのかな…
    で、やって来たのは半紙に『りかちゃん』と筆で書かれて古い箱に入れられた、真っ黒な髪の市松人形だったのです!

    あーあーあー。と人ごとなので面白く読んでいたんですが、
    このりかちゃんにもちゃんと思いがあるのです。人形の家のトチーのように、願うのとはちょっと違いますが、思いのようなものが、特定の人に伝わるのです。その夜のりかのメランコリックな感情の粒で翌朝目覚めたようこは、いつもと違う部屋の感覚、草原の朝の気持ちよさを感じて、箱に入れたままのりかちゃんを出して声をかけてみる。

    おばあちゃんからのりかちゃんの説明書を読むと、ようこがりかを幸せにする責任があるという。毎朝着替えさせ、髪をとかして、箱膳をしつらえて一緒に朝夕の食事をする…など。

    ある日りかちゃんからいつもと違う空気を感じ、ようこはりかちゃんと話せるようになる。ようこの家のお雛様たちがもめているのだ。
    この時のようこのあまり驚かない感じもとってもおもしろい。

    この家のお雛様はりっぱなものだけど、お内裏様に問題があったのです。
    ここも、大河ドラマ『光る君へ』を観てる人にはおおお!ってなるエピソード。

    りかちゃんからようこはりかさんと呼んでくださらない?と言われるように、とても頼りになるお人形。どうやらおばあちゃんともこうして話してきたようだ。

    それからりかさんとおばあちゃんの助けをかりて、この家のお内裏様、
    お友だちの登美子ちゃんの家の人形たちの問題にもりかさんがかかわってゆく。
    登美子ちゃんのおじい様は相当な人形の収集家で、後半の物語では戦争中の出来事まで遡り、ようこのおばあちゃんの助けを得て人形たちを幸せにしてゆく。
    怨霊とも違った、優しい人形と人とのつながりの世界が描かれます。

    ようことおばあちゃんの関係がどんどん深まって素敵なものになってゆくのは
    『西の魔女が死んだ』にも通ずるものがありました。
    おばあちゃんは、ようこが大人のように「ちょっとはなしがあって」なんて言って、大人ぶってかわいいこと。と思っても、そういうことは口にださないセンスがある。(ようこ談)

    人形に興味があるあるのかないのか、登美子ちゃんのセリフにもはっとさせられる。
    人形たちが昨日と違う場所にいた時、夜中の大冒険から元の場所に戻れず落ちたふりをしている。そういうことを察してからは、人形だけでなく世の中の物はみんなふりしてるだけなのかなぁって思い始めたと言うのです。
    なんと哲学的な少女たち!
    ご飯はご飯のふり、わたしはわたしのふり、お母さんはおかあさんのふり…

    これもまた、児童文学を超えた、大人のお人形を愛したひとたちに響く物語とおもうのです。

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    2024年03月12日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    作者の身の回りで起こること、発見したことを通して社会の在り方を考える過程を描く。やがて物語へと昇華するのだろう示唆。冷静な分析やある種開き直ったような極論を展開しつつ、本質を捉えようと葛藤する作者に共感する。

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    2024年03月09日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    親族から相続したのはぬか床。そのぬか床から現れるものは。久美と風野さんはぬか床の秘密を求めて「島」へと旅する。

    ずっと以前に読んでいたのだけど、何か消化不良で心にひっかかっていた本。再読です。
    梨木さんは、今のモノ・コトについて、その記録のページを一枚一枚めくるように思索を掘り下げていくのが得意な作家さんで、けっこうなナチュラリストでもあると思います。この本ではその科学的知識と命の進化から、生命とは何か、生命はどこから来るのか、という根源的な問いを深める作品でした。
    確か前に読んだ時は「結局そこに落ち着くのか」みたいな、ちょっとしたガッカリ感を感じたのではなかったかと思いますが、まあ今回も、そこまで広げておきながら結論はそこかあ。という感想にはなりました。ただ、最後の誕生を言祝ぐ詩にはすごくグッときたのですが、これは多分このストーリー(落とし所)だったからこその効果だったんだろうなあ、と感じました。
    しかし改めて読み返して感じたこととしては、梨木さんがすごく真剣に命はどこから来るのか、どこへいくのかについて向き合いながら書いたんだな、ということでした。共生説や受精になぞらえたサブストーリーなんかをみても、その思索のあしあとは迫力がありました。
    同じく生命のゆくえについては「ピスタチオ」でもテーマにしていたと思うので、こちらも再読してみようと思いました。

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    2024年03月08日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    再読。9年ぶり。新潮文庫版ははじめて。
    結末がわかっててもやっぱりないた。この年になって読むと「芯なる物語」のある村田がうらやましいと思った。あとがきを読んで、今の世界の情勢に思考が向かいうまく言葉にならない。

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    2024年02月25日
  • 炉辺の風おと

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    ネタバレ

    偶然このタイミングで読み終えましたが、ちょうど冬にぴったりな内容でした。

    私は梨木さんの物語はもちろん、エッセイがとても好きです。
    勝手に好きな物などに共通点を感じています。
    梨木さんのエッセイに登場する植物や鳥たちの名前を見ただけで、調べなくてもパッと頭に浮かぶのが嬉しかったりします。

    一番心に残ったのは「徒然と」という言葉。
    私自身は使わないけれど、母や今は亡き祖母がよく使っていました。
    東北だからか「とじぇん」と訛っていましたが、本当によく聞く言葉でした。

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    2024年01月03日
  • やがて満ちてくる光の(新潮文庫)

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    エッセイ
    梨木香歩さんが鹿児島出身ということで、途端に親近感
    とても美しい表現にうっとりする
    植物や鳥に造詣があり、愛を持つ

    学者のような
    こんな美しく丁寧で敢えて選んだような言葉使いにとても嬉しく思う

    言葉を大切にしてるいる方
    この先もいろいろ梨木香歩さんの本を読みたい

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    2023年12月03日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    ネタバレ

    家守奇譚に次ぐ作品。西魔女と比べると、文体が慣れない。相変わらず不思議な話で、頭のイメージが追いつかない。いつの間にかゴロー探しの話になる印象。この2作品を読みながら、日常生活からの離脱を味わう。

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    2023年12月02日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    ネタバレ

    子どもの頃に読んで、なんだかよくわからない難しい話という印象だけがありましたが、大人になってから読み返すと色々な感情が。
    章ごとに時代が現代から過去、過去から現在へ移り変わり若かりしおばあちゃんとコウコ2人の目線で物語は進んでいきます。
    章ごとでの主観人物の移り変わりやおばあちゃん視点の章の昔な文章の書き方、認知症?のおばあちゃんの介護や嫁の苦労など、なるほどこれは小学生の自分にはたしかに難しすぎたな、と納得でした。
    当たり前だけどおばあちゃんにも若い娘さんの頃はあったんだよなぁ、と自分の祖母に思いを馳せ、コウコと覚醒したおばあちゃんとの解釈の違いに切なさを覚えつつ最期にあのような時間を過ごせたのは一生思い出に残るだろうな、と感じました。

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    2023年11月18日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

    購入済み

    唐草の先は…

    紙の本で読んでいたものを買い直しました。
    再読にも関わらず、えっ? この人とこの人にこんな繋がりが? この先どうなるの?? と思いがけない展開に驚かされます。きっと、静かな始まりからは予想だにしないラストだと思います。

    #切ない #タメになる

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    2023年11月12日
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集

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    不思議話し短編集。表題「丹生都比売におつひめ」の実母の妖しさと皇子の儚さも良かったけど、「コート」、すごく短い物語なのに、亡くなった姉に思いをはせる最後、ぐっときた。

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    2023年11月04日