梨木香歩のレビュー一覧

  • りかさん(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最初の読み初めはなんだ?という感触だったが、途中から世界観に一気に引き込まれた。
    我が家の雛人形もこんな感じ?と少し見る目が変わった

    0
    2021年09月19日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この本は2010年刊行。人との繋がり、時を満たすことの大切さ・・・コロナ禍にこの本を読む事は、何とも胸が苦しくなるが力づけられる読書ともなった。人と触れ合える時を取り戻してから必ず再読したい。

    0
    2021年08月14日
  • f 植物園の巣穴

    Posted by ブクログ

    夢の中の迷路に迷い込んだような荒唐無稽な不思議なお話。
    途中から主人公のように理屈で物を考えるのを放棄し、この世界観にどっぷり嵌まると、なんと心地よいことか。
    物語は過去へ過去へと遡り、当時味わいきらなかったため膿のように溜まっていた感情を思い出し、知らぬ間に書き換えられていた真実があきらかになっていくにつれ、本来の自分を取り戻す。
    それは癒しの旅となる。

    0
    2021年08月13日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

    Posted by ブクログ

    1940年第二次世界大戦時のイギリスが舞台。防空対策本部の隣組支部の一員、且つピアニストである
    キップス夫人が、瀕死の子雀クラレンスと運命的に出逢い、深い愛情で彼に寄り添った12年間の記録。
    愛情とはさまざまな成長を促し、その愛情には鋭い観察力が不可欠であることを感じた。キップス夫人の深い愛情に心温まり、さらに小さいクラレンスに、生き物の成長と老いについて考えるきっかけをもらえた。またいつか再読したい。

    0
    2021年08月07日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

    Posted by ブクログ

    人が悩んだり傷ついたりって、ほんとに本人しか感じない些細なことなんだろう。ユージンに取ったら些細なことではなかったけど、僕にとったら、え!あのことで!?ってなってた訳だから、人を傷つけたり泣かせたりしないで生きるって難しい。知らない虫の名前とか草木の名前が出てきて面白かった。

    0
    2021年06月26日
  • りかさん(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    主人公で小学生のようこが2週間前に友達の家に遊びに行った時、偶然その時に来たみんながリカちゃん人形を持って来ていました。どうしてもリカちゃん人形が欲しくなり、おばあちゃんがプレゼントしてくれることになったのですが、届いたのは市松人形でした。名前はりかさん。もらった時はとても悲しかったのですが、そのお人形が喋り出し、ようことりかさんの人形をめぐる不思議な生活が始まります。りかさんを通じて色々な人形の物語や歴史に触れ、そして素敵なおばあちゃんとのことばで、ようこは優しく育っていきます。この素敵な人形物語に心が魅了されました。
    ようこが大人の蓉子になった時のお話「ミケルの庭」も併録されています。

    0
    2021年05月27日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    梨木香歩(1959年~)氏は、鹿児島県出身、同志社大学卒の児童文学作家、小説家。児童文学関連はじめ、多数の文学賞を受賞している。
    本書は、月刊誌「ミセス」に「不思議な羅針盤」として2007~2009年に連載された28篇のエッセイをまとめて2010年に出版され、2019年に文庫化された。
    私は、ノンフィクションを好み、小説をあまり読まないため、これまで残念ながら著者の作品に目が留まることはなかったのだが、小川洋子のエッセイ集『とにかく、散歩いたしましょう』を読んだ際に、その中で著者の『渡りの足跡』から引用していた一節に惹かれ、本書を初めて手に取った。
    エッセイ集については(当然ノンフィクションな

    0
    2021年05月18日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

    Posted by ブクログ

    第二次大戦末期のイギリスで、巣から捨てられたスズメと、雛を拾った女性の共同生活の物語。生き物との友情の物語はたくさんあるが、この本で印象的なのは、拾われたスズメがとても長生きしたことと、女性のピアノに合わせて歌を歌うかのように囀っていたということ。家の中で飼われていたので、外敵に襲われる心配もないし、餌に困ることも、悪天候に悩まされることもない。女性との「友情」を得て、完璧な状態で生活できたのだろう。この件だけではなんともわからないが、このように、ストレスから解放されると生き物って長生きできるのかも。そして、隠れた才能を開花させることもできるのかも。人間もそうなのかなあ。

    0
    2021年05月16日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    代々受け継がれてきた「ぬか床」が来たら、変なことが…、って、それが「ぬか床」という、おおよそ物語のテーマになることがないものだけに、かえって興味を引くんだけど、読んでいて、どーもイマイチ。

    というのも、「ぬか床」の話だからか、登場人物がなんだか妙にベチャベチャしていて。
    そのベチャベチャ人たちのベチャっとした人間関係に、たぶんうんざりしちゃったんだろう。
    と言っても、主人公はサバサバ、さらっとした性格なのだ。
    でもさ。なんだろ? 女性作家の小説って、なぜかこういう性格の女性が多くない?(^^ゞ
    それって、作家みたいに知性を価値観におく女性が思う理想の女性像みたいな気がしちゃって(そうなのかは

    0
    2021年05月05日
  • f 植物園の巣穴

    Posted by ブクログ

    てっきり植物ほのぼの日記のようなていかと思いきやミステリーというかホラーというか。夢うつつの夢遊感の中進む物語。やっぱり梨木香歩さんと植物の相性バツグン。

    0
    2021年04月21日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    コウコが熱帯魚を飼った現在と
    おばあちゃんが少女だったころの過去の記憶が
    交互に描かれ、巧妙にリンクする
    短いけど深く重い作品。

    読み進めるたび強くなる不穏な香りに
    導かれるように一気読み。

    透明で上品で精巧で、ほの暗く切なく苦しい。

    特に少女のさわちゃんが
    自分は暗い世界に行ってしまったんだと、
    もう明るい世界には戻れないんだと
    絶望する描写は心を抉った。


    天使が、熱帯魚が、神様が、カフェインが、お茶の木が、聖書が、シュークリームが、木彫りが……
    些細な描写が重要な意味を持って、
    この作品の世界を形作っている。

    細部まで意思がこもっていて、
    一瞬たりとも気が抜けない。
    (しかもこ

    0
    2021年04月10日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    すぐに読み終わるけど、ページ数に不釣り合いな重さ。
    梨木さんの書く話はいつもそう。
    穏やかさの中に黒々とした不気味さがある。人間の嫌な部分に輪郭を持たせて、読者に訴えかける。
    びっくりするような思いがけないグロ描写(私がグロだと思っているだけかもしれない)もあったりする。
    だから無意識に、命にフォーカスした読み方をするようになる。
    そして考える。梨木さんの作品はいつも、考えさせる。好きだ〜!!そんな梨木さんの作品が好きだ〜〜!!!

    0
    2021年04月03日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    梨木香歩の著書は片っ端から読んできたけど、こんなに同じ時間軸で書かれた本は初めてだった。
    変な話だけど、あぁ同じ時代に生きている作家さんなのかと実感。

    父親の件で、涙が滲んだ。大人ということ、娘ということ、あらゆる目線から湧き上がる感情を俯瞰的に眺め、今あることに集中する、その姿勢に感服した。
    私には出来ない。たとえ同じ歳になっても。このとき著者は、この文間に沈んだ時間の中で、どれほどの暗い感情を押し殺したのか。
    この著者の本をたくさん読み続けてきたから感じる、滲み出た哀しみ。怒り、そして怒りをを超えた悲しみ。何故かわからないけど、それでも柔らかさと美しさを失わない文章に、こちらが涙ぐんだ。

    0
    2021年03月07日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    八ヶ岳の自然の中の暮らしも楽しそう。ずっと八ヶ岳で暮らしているのではなかったのでちょっと想像していた内容とは違ったけどエッセイとして面白かった。

    0
    2020年12月20日
  • f 植物園の巣穴

    Posted by ブクログ

    日常と夢まぼろしが徐々にマーブル模様になって、渾然一体になっていく。
    立ち現れるのは過去の記憶。

    様々な植物が茂る水辺や人ならずものが次々と現れて、生きることの力強さや不思議さが凝縮されたような世界観。
    皆さんおっしゃられるように、まさに梨木香歩版不思議の国のアリス。

    0
    2020年12月07日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    タイトルは素敵だが、テーマは「人との距離感」だと思う。少しちぐはぐ。
    植物や鳥の名前に造詣が深く、『赤毛のアン』が大好きなんだなぁと思う。ナビを彼女と読んでいる表現なんかは面白い。
    ただ授乳中の母親が携帯電話をいじることに批判的な表現は不快だった。傍目の美しさはないかもしれないが、授乳は子供を育てているだけで見せ物ではない。聖母像でも求めているのか、だまらっしゃいと思ってしまう。

    0
    2020年12月02日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    八ケ岳の山小屋に籠もり小屋周りの鳥や植物、小動物、自然界のことを話りながら、話は人間社会に繋がり思索を深めていく梨木さんの語りが好きだ。
    炉辺の話に惹かれた。薪の魅力が存分に語られている。

    変わらず愛情深く鳥や植物、自然に目を向けているが、(野鳥の餌箱設置など)その距離感が以前とは変わってきた印象を受けた。
    ご自身のご病気、お怪我、身内のご不幸など辛いこともあり、より身近な自然へ眼差しを向けることが多かったのだろうか。

    どこに目を向けていようと、梨木さんの眼差しは常に優しく深い。じんわり心に染みてくる。

    0
    2020年11月19日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

     八ケ岳山麓の小屋に設えた暖炉の炉辺にたたずむ、憧れの姿勢だ。
     毎日新聞「日曜くらぶ」に連載されていたエッセイなので、テーマはいろいろだけれど、落ち着きのある文章に共感する。他人が書いた文章を読むことで、自分自身をつかんでいくような不思議な感覚だ。

     毎日新聞「日曜くらぶ」は僕が高校生のころから続いている日曜版だ。当時は文庫本のプレゼントコーナーや読者投稿のスペースがあり、高校生の僕の投稿も1度載せてもらったことがある。本書の書評で、「日曜くらぶ」掲載の・・・というところで一気に40年前のことが思い出された。遠くに来てしまったな・・・。

    0
    2020年11月01日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    日常のことなのに、不思議な世界観を纏っているように感じる。
    出てくるものが、少しずつ近づき繋がっていく。
    日々の変化や、知ることが辛いこともあるけれど、乗り越えると違うものを得たりできるというようなことをなんとなく読んでて感じた。、

    0
    2020年10月09日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    梨木さんの最新エッセイ。
    八ヶ岳に山小屋を得て、そこでの様子など徒然と。
    毎週の連載だったもよう。そちらでは挿絵の油絵があったようで梨木さんも好きだったようなのでできれば収録してほしかったな。
    相変わらず植物、鳥の名前が個別名がしっかり特定されてでてきて、本当に好きなひとは図鑑を引きつつ読むんだろうなあっと思う。
    残念ながらそれほどの熱意は私にはない。
    家に暖炉があるというのはいいものだろうなあ。
    それなりの手間がかかるのだろうが、チラチラとゆれる炎をずっと眺めているのは気持ちが良さそうだ。
    梨木さんは自分の手で実感することを大切にされてる感じがする。そーゆー意味で自分で自分の火をつける、とい

    0
    2020年10月06日