梨木香歩のレビュー一覧
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主人公で小学生のようこが2週間前に友達の家に遊びに行った時、偶然その時に来たみんながリカちゃん人形を持って来ていました。どうしてもリカちゃん人形が欲しくなり、おばあちゃんがプレゼントしてくれることになったのですが、届いたのは市松人形でした。名前はりかさん。もらった時はとても悲しかったのですが、そのお人形が喋り出し、ようことりかさんの人形をめぐる不思議な生活が始まります。りかさんを通じて色々な人形の物語や歴史に触れ、そして素敵なおばあちゃんとのことばで、ようこは優しく育っていきます。この素敵な人形物語に心が魅了されました。
ようこが大人の蓉子になった時のお話「ミケルの庭」も併録されています。 -
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梨木香歩(1959年~)氏は、鹿児島県出身、同志社大学卒の児童文学作家、小説家。児童文学関連はじめ、多数の文学賞を受賞している。
本書は、月刊誌「ミセス」に「不思議な羅針盤」として2007~2009年に連載された28篇のエッセイをまとめて2010年に出版され、2019年に文庫化された。
私は、ノンフィクションを好み、小説をあまり読まないため、これまで残念ながら著者の作品に目が留まることはなかったのだが、小川洋子のエッセイ集『とにかく、散歩いたしましょう』を読んだ際に、その中で著者の『渡りの足跡』から引用していた一節に惹かれ、本書を初めて手に取った。
エッセイ集については(当然ノンフィクションな -
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第二次大戦末期のイギリスで、巣から捨てられたスズメと、雛を拾った女性の共同生活の物語。生き物との友情の物語はたくさんあるが、この本で印象的なのは、拾われたスズメがとても長生きしたことと、女性のピアノに合わせて歌を歌うかのように囀っていたということ。家の中で飼われていたので、外敵に襲われる心配もないし、餌に困ることも、悪天候に悩まされることもない。女性との「友情」を得て、完璧な状態で生活できたのだろう。この件だけではなんともわからないが、このように、ストレスから解放されると生き物って長生きできるのかも。そして、隠れた才能を開花させることもできるのかも。人間もそうなのかなあ。
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代々受け継がれてきた「ぬか床」が来たら、変なことが…、って、それが「ぬか床」という、おおよそ物語のテーマになることがないものだけに、かえって興味を引くんだけど、読んでいて、どーもイマイチ。
というのも、「ぬか床」の話だからか、登場人物がなんだか妙にベチャベチャしていて。
そのベチャベチャ人たちのベチャっとした人間関係に、たぶんうんざりしちゃったんだろう。
と言っても、主人公はサバサバ、さらっとした性格なのだ。
でもさ。なんだろ? 女性作家の小説って、なぜかこういう性格の女性が多くない?(^^ゞ
それって、作家みたいに知性を価値観におく女性が思う理想の女性像みたいな気がしちゃって(そうなのかは -
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コウコが熱帯魚を飼った現在と
おばあちゃんが少女だったころの過去の記憶が
交互に描かれ、巧妙にリンクする
短いけど深く重い作品。
読み進めるたび強くなる不穏な香りに
導かれるように一気読み。
透明で上品で精巧で、ほの暗く切なく苦しい。
特に少女のさわちゃんが
自分は暗い世界に行ってしまったんだと、
もう明るい世界には戻れないんだと
絶望する描写は心を抉った。
天使が、熱帯魚が、神様が、カフェインが、お茶の木が、聖書が、シュークリームが、木彫りが……
些細な描写が重要な意味を持って、
この作品の世界を形作っている。
細部まで意思がこもっていて、
一瞬たりとも気が抜けない。
(しかもこ -
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梨木香歩の著書は片っ端から読んできたけど、こんなに同じ時間軸で書かれた本は初めてだった。
変な話だけど、あぁ同じ時代に生きている作家さんなのかと実感。
父親の件で、涙が滲んだ。大人ということ、娘ということ、あらゆる目線から湧き上がる感情を俯瞰的に眺め、今あることに集中する、その姿勢に感服した。
私には出来ない。たとえ同じ歳になっても。このとき著者は、この文間に沈んだ時間の中で、どれほどの暗い感情を押し殺したのか。
この著者の本をたくさん読み続けてきたから感じる、滲み出た哀しみ。怒り、そして怒りをを超えた悲しみ。何故かわからないけど、それでも柔らかさと美しさを失わない文章に、こちらが涙ぐんだ。 -
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ネタバレ梨木さんの最新エッセイ。
八ヶ岳に山小屋を得て、そこでの様子など徒然と。
毎週の連載だったもよう。そちらでは挿絵の油絵があったようで梨木さんも好きだったようなのでできれば収録してほしかったな。
相変わらず植物、鳥の名前が個別名がしっかり特定されてでてきて、本当に好きなひとは図鑑を引きつつ読むんだろうなあっと思う。
残念ながらそれほどの熱意は私にはない。
家に暖炉があるというのはいいものだろうなあ。
それなりの手間がかかるのだろうが、チラチラとゆれる炎をずっと眺めているのは気持ちが良さそうだ。
梨木さんは自分の手で実感することを大切にされてる感じがする。そーゆー意味で自分で自分の火をつける、とい