梨木香歩のレビュー一覧
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ネタバレ渡りをする鳥たちの跡をおって、「案内人」の導きで北海道を歩く。
バードウォッチングの話かと思いきや、
それだけにとどまらない。
茸の話、戦争の話、それぞれの「案内人」に導かれ、その跡をおう。
広くて深い。
章のあとで、本文中に出てきた鳥について解説が書かれている。
それが、またいい。
「動物図鑑」にあるような学術的な無味乾燥な内容ではなくて、
観察をしている梨木香歩さんの個人的な思い入れも反映されています。
鳥にあまり関心がない人にとっては、とても分かりやすいし、
ほほえましい内容が、うれしい。
大好きな梨木香歩さんの作品です。 -
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14歳のコペル君と友達のユージン、ユージンの親戚のショウコ、その友達のインジャ。不登校のユージンの家の庭で再会したショウコ。そして、そこに密かに住んでいたインジャ。この生きにくい現代を、確かな自分を持って生き抜く中学生たち。そして、ちょっと浮世離れしたおじさんのノボちゃん。今を生きる若い世代へのメッセージ。
コペル君とおじさんと友人たちとくれば、当然「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎)が下敷き。私にとって吉野さんの本は座右の書。なので、当然この本は読みます。そして、感動!!
うれしくて、なんだか紹介文になってませんが、現代の「君たちはどう生きるか」になっていると思いました。 -
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作者の独特の感性を通して「今」が描かれている。その文章は美しく温和にも関わらず、鋭利な刃でもあるような気がした。確かに今を生きる僕たちは加速するばかりなのかもしれない。その先に何があるか分からないというのに。(2011年)
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また読んでみた(2023年)
・多様性はただそこにいることを受け入れることなのか?共感のような互いの侵食を必要とするのか?
・言葉は不便なものである。誤解も不信も生む。語るより何か作業を一緒にやるといい。
・総合学習、なりたい職業を決めて、どうやったらなれるか調べてみよう。それはマニュアル化の始まり、本当になりたくてしょうがないのか?を考えるのが先なのでは。 -
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主人公の「ようこ」は、「おひな祭りに欲しいものがあるかい」と、おばあちゃんに尋ねられて、「リカちゃんが欲しい」とお願いする。
しかし、しばらくして届いたのは、ほっそりしたリカちゃんではなく、その倍近くも大きい、「りかさん」という名前の真っ黒髪の市松人形。
ぷっ。ありそう。ありそう。
でも、そこからの展開がすごい!りかさんが、ようこに話かけるのだ。それは、周りの人たちには聞こえない、不思議な言葉。
いつの間にか、ようこは、人形や木や、声を出すことができぬものたちの声を、聞くこと(感じること)が出来るようになっていく。そして・・・
最高に面白かった。
お人形遊びが好きだった、かつての少女たち、そし -
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梨木さんの作品って、涙無しに読めないところが本当にすごいと思います。最初は「うわー面白いなー好きだなー」と思って読んでるんですが、そのうちにしっかり感情移入しちゃってるんですよね。(あぁ…アビゲイルのお話が…)何より本当にこの方の作品は優しい。『西の魔女が死んだ』でもそうなんですけど、「死」とか「戦争」とか、絶対に避けられない厳しい現実も取り扱っているのに、とっても優しいんです。この本の読後には人形と言うものに対しての価値観とか、接し方が変わってしまいますね。児童文学分類なんだから、これはもっと沢山の人が、高学年…せめて中学生の間に読んで欲しいなぁと思いました。
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「リカちゃん人形」が欲しかったはずのようこにおばあちゃんが贈ってくれたのは、市松人形の「りかさん」だった。それ以来、ようこにはいろんな人形の想いや記憶がみえるようになる、というお話。
設定が巧みで、いろんな背景を負った人形が出てくる分、人間の業みたいなものがいろんな形で描かれてるんですが、欲張っている感じはしない。いい本です。
ちくしょう、いい作家だな梨木香歩!と思わず涙ぐみながらこぶしを握りしめました。読んでみて!とにかく!
視点がきちんと主人公の小学生におりていて、かつ文章の雰囲気は彼女を見守るおばあさんのやわらかさやあたたかさが感じられます。