梨木香歩のレビュー一覧

  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    梨木さんのエッセイやノンフィクションを読むとなぜだろうかいつも気持ちがすっきりする。
    なにかもやもやしているとき、自分が嫌でたまらなくなったとき、梨木さんの文庫本をパラパラめくり目に留まる部分を読んでみたりする。わたしは梨木さんのことが好きなのだなあとしみじみ思う。

    さあこの本はどんな事が書いてあ...続きを読む
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    渡り鳥を題材に、自然と人間との関わりや、人の在り方、物語についての考察が記されている。著者の、鳥たちへの眼差しがとても親密。ただ優しいだけでなく、まるで人間観察するように表情を読み取る。
    文章は静かで濃密。読み進むうちに、心が静まるように感じる。
    (2014.3)
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    環境問題とは何か。実は簡単ではないことを著者と共感する。
    案内人という視点面白い。鳥たちにとっては太陽と星座だという!
    ノーノーボーイ
    侵略と越境。鳥の視力
    門間あや子さんは私も好きになった
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    ほっこりするエッセイではない。梨木さんの苦悩する、祈るような魂に触れ、こちらも触発される。声高に糾弾するのではなく、ぐるりのことに関わって行く姿勢に共感を覚える。特に西郷隆盛分析には深く反省させられた。
  • りかさん
    思わずほったらかしてあった人形の髪の毛を梳かしてしまいました(笑)。世界のすべてに命があるように感じる子どもの頃。その感じを残したまま大人になる人もいるのですね。後篇、人形が語る秘密の話に涙が止まりませんでした。平和の大切さってわかる人とわからない人がいるのでしょうか。平和を大切に思う人の小さな声が...続きを読む
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    渡りをする鳥たちの跡をおって、「案内人」の導きで北海道を歩く。

    バードウォッチングの話かと思いきや、
    それだけにとどまらない。
    茸の話、戦争の話、それぞれの「案内人」に導かれ、その跡をおう。

    広くて深い。

    章のあとで、本文中に出てきた鳥について解説が書かれている。
    それが、またいい。
    「動物図...続きを読む
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    渡り鳥をめぐる素晴らしい紀行記録。静謐な文章と澄んだ感情で記録されるその語りに、思わず感動せずにはいられない。
    特に「道を違える」の章は心の深いところに届いた。福島潟に梨木さんが来ていたとは知らなかった。
    この本を読んだ後、鳥を見る目が変わった。がんばってるんだな、お前ら。

    北海道へ行きたくなるこ...続きを読む
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
     鳥の渡りを追うエッセイ。この作者さんならではの濃やかな感性と観察眼がなんともいえず魅力的。わたしはエッセイに関してはあまりいい読者とは言えず、普段はもっぱら小説(それもフィクション)を主食として読んでいるのだけれど、この方に関してはむしろエッセイが小説以上に大好き(小説も好き)。
     北方に渡る旅に...続きを読む
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)
    とあるきっかけで思い出して、久々に再読。
    これは、一人の少女がしなやかに伸びはじめるまでの、そんな初夏の物語。

    - いちばん大切なのは、意志の力。
      自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。

    穏やかな里山の暮らしと、芯の通った魔女のやさしさにつつまれて、
    少女はそのかたくなな殻を...続きを読む
  • りかさん
    このお話の主人公ようこが、「からくりからくさ」の蓉子になるんでしょうね。人形というものに対する様々な思いは、人形そのものに吸収されて、持ち主が消えたり変わったりしても残ってしまうんだろうな。愛は愛になって、憎しみは憎しみになって返ってくる。それは相手が人形でなくても、同じなのかもしれません。
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか
    14歳のコペル君と友達のユージン、ユージンの親戚のショウコ、その友達のインジャ。不登校のユージンの家の庭で再会したショウコ。そして、そこに密かに住んでいたインジャ。この生きにくい現代を、確かな自分を持って生き抜く中学生たち。そして、ちょっと浮世離れしたおじさんのノボちゃん。今を生きる若い世代へのメッ...続きを読む
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    作者の独特の感性を通して「今」が描かれている。その文章は美しく温和にも関わらず、鋭利な刃でもあるような気がした。確かに今を生きる僕たちは加速するばかりなのかもしれない。その先に何があるか分からないというのに。(2011年)

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    また読んでみた(2023年)
    ・多様性はただそこにいることを...続きを読む
  • りかさん
    わたしが初めて読んだ梨木作品で、彼女の文章に魅了されるきっかけとなった作品。
    ようこと「いいお人形」りかさんとの小さな冒険のお話。
    ー「いいお人形は、吸い取り紙のように感情の濁りの部分だけ吸いとっていく」ー

    「お人形」の少し怖くて妖しい、でもどうしようもなく魅力的な世界にわくわくさせられた。いわゆ...続きを読む
  • りかさん
    色々な人生を人形の目から物語る。切ない系。人形の絵がリアルすぎるが、内容的にはこのくらい湿気というか影があってもいいのかもしれない。
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    いままでとは違った視点、物事の考え方を教えてもらった。
    これぞ読書の醍醐味。
    私も誰かやマスコミなんかに惑わされず、自分自身でぐるりのことを丁寧に深くじっくり考えていきたい。

    「もっと深く、ひたひたと考えたい。生きていて出会う、様々なことを、一つ一つ丁寧に味わいたい。味わいながら、考えの蔓を伸ばし...続きを読む
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)
    さりげない日常が昔の記憶を呼び戻すことがある。聖書をちゃんと読んでいたらもっと理解が深まっただろうけど、個人の罪とその懺悔の物語の深さは十分理解できた、と思う。これ何度読んでもラストシーンで泣いてしまうんだよな。ラストがどうなるか分かってるのに。梨木香歩すきすぎる。
  • りかさん
    私は後日談の「からくりからくさ」から読みましたが、どちらも楽しめました。登場人文の名前が出るたびに「へーそこで、そういう繋がりが」と再発見の喜びがありました。
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)
    おもしろい、と思う本を書く人は、やっぱり魅力的な生活をしてた。
    そして、好きそうなものがなんとなく似てたことに、少々ニヤリ。
    赤毛のアンの舞台、プリンス・エドワード島とか、ベアトリクス・ポターとか。
    ニューヨークにあまり魅力を感じず、だったら羊の糞だらけの場所の方がいい…ってのも。
    私とじゃ、オツム...続きを読む
  • りかさん
    ようこは誕生日プレゼントにリカちゃん人形が欲しかったのに、おばあちゃんから市松人形「りかさん」を贈られる。「りかさん」には取扱説明書がついていて、世話をしていくうち、やがて話し出す。りかさんにつられて、他の人形たちも喋りだし…。不思議な世界です。アビルゲイの話は深刻でした。独特の文章が癖になりそうで...続きを読む
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
     いろいろなことを考えて頭が痛い。世の中は広くて、知らないことが多すぎて、わたしは果たして、この世界に対峙してゆけるのかしら。
     “ぐるりのこと=身の回りのこと”から始めよう、と梨木さんは書いていた。地に足をつけて、そこから徐々に、自分を世界へ向けて開いてゆくのだ。うん、頑張ろう。