梨木香歩のレビュー一覧
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あぁ、なんて優しい世界なのでしょう
植物の名前がついた28章
1話ずつ丁寧にゆっくり読み進めました
主人公の征四郎は、学生時代に亡くなった親友の実家に〝家守〟として住んでいる。
最初の【サルスベリ】の章から、次々と不思議な現象が起き、えっ?と思ったものの美しい文章にのせられて、気付けば物語世界に身を委ねていた。
掛け軸の中から出てくる亡き友
サルスベリの木に惚れられた征四郎
タツノオトシゴを孕んだ白木蓮
ふきのとうを取りに来た子鬼
──等々
これらをごく普通に受け入れ、植物や怪異たちと心を通わせながら巡る季節は、とても豊かなものに思える。
本書を読んでいる間、現代社会で一 -
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小学生の時、塾の国語のテストで西の魔女が死んだ、が題材として出ました。小説の面白さに、塾の帰りに本屋さんに行き、黄緑色の背表紙の小さな文庫本を買って、それから私の読書人生は始まりました。
社会人になって、一年に数冊しか本を読まなくなり、引越しのタイミングでほとんどの本を手放したりしましたが、何がきっかけであったか。また、すっかり読書は生活の一部に戻ってきました。
年老いた父に貰ったら図書カードで、ずっと大切にできる本を買いたいと思い、約20年振りに、このとても素敵な装丁の西の魔女が死んだを購入しました。
父の膵臓癌の手術の待ち時間で読もうかと思い、手術の待合室に持っていきましたが、どうしてか、 -
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友人宅の留守を頼まれた、住んでみると古い庭には樹や草花の陰に不思議な動物や花の精のようなものが棲んでいた。
行方不明になった友人宅の家守をするまだ新米の文士、綿貫征四郎の著述をまとめたもの。
という形で、古い家と庭の木々、草花や狐、狸、隣の面倒見のいいおばさん、山のお寺の和尚さん、迷い込んで住み着いた犬のゴローなどとの交わり、はたまた床の掛け軸から時々亡友が訪ねてきたりするのを、暖かく記してある。
征四郎のまわりで起きる小さな不思議な出来事。サルスベリに小猿がちょこんと座っていたり、池で河童が脱皮していたり、白木蓮の蕾がタツノオトシゴを身籠っていたりする。
土間に生えたカラスウリが、天窓の -
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梨木さんの日常を語るエッセイ。家の周りで咲く小さな花や人とのつながりを、優しく鋭い目で見つめ、温かい言葉でつづる、何気ない暮らしの羅針盤。
梨木さんはふと歩いてみた隣との細い境、手入れのされていない庭で一綸やっと花をつけて咲いている貝母を見つける。
この花は束にして活けるとお互いの巻きひげでまるで縛りあって立っているかのように見える、そういう生き方から無理をしない、寄りかかれるものがあれば寄りかかってみる、状況に合わせて生きていく姿勢を感じる。
そしてサステナビリティー(持続可能性)という言葉に気が付く、よく見かけるようになったその言葉はやがて時代の波に流されていくだろう、生きていく間にはさ