梨木香歩のレビュー一覧

  • 海うそ

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    ネタバレ

    物語は小さな島が舞台で、過去と現在が静かに呼応しながら展開していく。最初は時間軸がある物語と気づかずに読んでいたから、50年後の章に入った時には驚いた。過去編には馴染みのない植物や生き物、伝統的な建物の構造名称など調べながら読み進めたので、じっくり没入していった。

    50年後の島を訪れた主人公が目にする変わり果てた姿には、私も一緒に落胆してしまった。開発によって失われた自然や、忘れ去られていく伝統の描写は胸に刺さるものがあった。でも、物語が終盤に向かうにつれて平家に関する伏線が回収されたり、スッキリもした。また、変化に対する心持ちが変化していく過程も丁寧に描かれていて良かった。

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    2025年10月25日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    昔は面白さが分からず、読み進められなかった本。文章から立ち現れてくる土地の空気感、人々の息遣い、土壁や動物や食物の手触り感が、あまりにもリアルに、まるで私自身の五感が刺激を受け取っているように感じられた。神は、人間とはありようの異なる存在、ただそれだけ、と言う霊媒師ハリエットの説明が不思議と腑に落ちた。

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    2025年10月23日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    不思議な物語
    物書きの綿貫征四郎は亡くなった高堂の家のもりをすることになる

    亡くなったはずの高堂が時折り現れたり
    サルスベリとの対話がなされたり
    たぬきやきつねに化かされたり
    河童の抜け殻が落ちてたり

    日本的な、目に見えない五感で感じれるものを大事にしたいと思う

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    2025年10月21日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    長く積読にしていた本。

    これはどこかで聞いた話だけど、どんなに社交的な人でも、一人になる時間は必要だし、一方でどんなに一人が好きなひとでも、多少は人と関わる時間が必要ならしい。ただ、心地よいバランスが異なるだけ。

    誰かといるから、不意に傷つくし傷つけるし、一人になりたくもなるけれど、群れるからこそ救われることもたくさんある。時に主張して、時に一人になって考えて、うまくバランスを取る方法を見つけていきたい。学んで考え続けることを続けていきたい。

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    2025年10月19日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    ヤッッッバ、どストライクすぎて死んだ。梨木香歩、実ははじめて読んだのだけど、こんなにすばらしい文章をお書きになるの???やばすぎん???(語彙力消失)うつくしい日本語の使い方もさながら、物語もすっごくよかった。まさに家守綺譚。妖しく、ふしぎで、やさしいのかやさしくないのかときどきわからなくなるような、けれども穏やかな非日常。この世界観にいつまでもずぶずぶと沈んでいたくて読み続けていたら、一気読みしてしまっていた。はああ、わたしが死んだらこの本もいっしょに棺桶にぶち込んでほしい。

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    2025年10月19日
  • 家守綺譚 上

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    本屋大賞受賞作品『家守綺譚』の漫画化作品です。上巻です。

    絵が割とゆるっとしているので入り込めるかな?と少し心配だったけれど、ちゃんと原作の雰囲気そのままの空気感です(帯に作者もそのようなことを書いてます)

    何よりかによりゴローですよ。ゴローを楽しむための漫画家と言っても過言ではないくらいゴローです!

    原作だと文字だけだからゴローがくっついて歩いてるのとか、縁の下でゴロゴロしてるのとか表現されてない場面も多いけれど、漫画なら安心!喋らなくたって存在感バッチリ✨

    ゴロー好きな人にはぜひともおすすめしたい!

    そして私は隣のおかみさんになりたい!隣からゴローを可愛がりたい!!

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    2025年10月15日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    ネタバレ

    こういう話好き。
    人に合わせなければいけない学校生活を思い出した。
    「地道な努力を続ける、退屈な日々の連続て、また、ある日突然、今までの自分とさらに違うも自分をみることになる」
    地道な努力を続けていきたいと思った。

    「新しい道を選ぶこと、さらにその道を進むということは、体力と気力がバランスをとっていなければなかなか簡単にいくことはない」
    なんでも思い通りにはいかない世の中で、進んでいかないといけないが、西の魔女に見守っていてほしいと思った。



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    2025年10月13日
  • 家守綺譚 上

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    すばらしい。
    近藤ようこさんの漫画は好きなので、試し読み2章を読んでみたら、買わずにはいられなくなった。
    まんまと出版社の作戦にハマる笑
    出版社が強く推すのも納得。
    原作未読なのだが、こんな小説梨木香歩さんが書いてたのね。知らなかった。

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    2025年10月07日
  • 本からはじまる物語

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    全体的にかなりのショートショートで18人の作家で有名な作家も取り揃えて234ページとは、かなりお得感がある。
    そして、それぞれが書店や貸本屋、本にまつわる出来事を綴っていくのはおもしろかった。

    本を読むのが苦手な人もこのくらいの短さであれば読むのも楽なのかなと思った。

    個人的には下記が印象に残ったが、
    それぞれの作家さんがこんな短い話しにきちんと自分の色を出しているのはすごいと思った。

    十一月の約束 本多孝好
    サラマンダー いしいしんじ
    読書家ロップ 朱川湊人
    閻魔堂の虹 山本一力

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    2025年10月05日
  • 家守綺譚 下

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    2025年に読んだ中でぶっちぎりの1位。

    近藤ようこのコミカライズには毎回驚かされるけど、読んで受ける印象、感覚がまんま原作そのまま。どのページをみても梨木香歩の「家守奇譚」だった。
    近藤ようこのコミカライズは、原作を忠実に漫画化したというより、原作の伝えようとしていること、作者が書かんとしたことを、漫画という表現に置き換えているのだと思う。表現方法は違うけれど中身は同じみたいな。

    それだけでも凄いんだけど、近藤ようこのコミカライズは近藤ようこの漫画としても成立しているのが怖い。何処をとっても梨木香歩なんだけど、あぁ近藤ようこの漫画だなぁという感覚が常にある。

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    2025年10月01日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    梨木香歩『家守綺譚』は、静かな不思議が詰まった物語でした。

    庭の木が主人公に恋をする場面など、奇妙なのにどこか落ち着いています。
    死者との再会も、自然との会話も、日常の延長のように描かれていて驚きました。

    大きな事件はないけれど、季節や植物の描写が心に残ります。
    読んだあと、身のまわりの自然が少し違って見えるようになりました。

    静かな時間に、また読み返したくなる一冊です。

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    2025年09月28日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を読んで作品世界に惹かれ、その流れで手に取った『裏庭』は、家族との関わりや自分の心を大切にすることの意味を深く考えさせてくれる物語でした。

    読みやすさの中に心の奥に触れる言葉があり、現実での気づきへとつながっていく点に強く感銘を受け、主人公が異世界での体験を通して心の傷と向き合い、生きることや志を持つことの大切さを学んでいく姿は、私自身が日常で抱える葛藤や孤独と重なり合いました。

    その過程で、子どもにどう向き合うか、愛情をどう注ぐかということを改めて考えさせられ、しっかりと心に寄り添い向き合うことが成長を支える大切な姿勢であると気づかされました。

    梨木さ

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    2025年09月20日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    ネタバレ

    軽いのに不思議とずしりと重みを感じるような作品
    根源的で不気味なものに近づいたような、不思議な気持ちになった

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    2025年09月14日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ――「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。
    「新潮社」内容紹介より

    読後に残る欠片は、「原初の望み」みたいなもの.
    結局はそれをプログラムされているんだ.
    人間がそれをまねて組織を作るのも、絵として表現するのも、すべてそこにつながるんだ.
    そして人として生まれてきたからにはそこからは

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    2025年09月14日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    時は明治。場所は京都疏水べり。湖で消息をたった旧友の実家の「家守」をすることになった青年文士が、その家での日常を語る、それぞれ植物の名前を題とする28の短編。その殆どの日常にするりと印象的な怪異が起こる。しかし淡々とした語り口と主人公の周りの人々がそれを何の不思議もなく受け入れているせいで、少しも驚異や異様さはなく、とても自然に感じられる。筆の妙。古風で端正な文体が素晴らしい。何度も読み返すべき一書。買ってよかった。

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    2025年09月13日
  • やがて満ちてくる光の(新潮文庫)

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    多岐に渡る作者の興味や行動が、見事な文体となって読者に静かに語りかけてくるさまに引き込まれずにおれない。ある時は作者の稀有な体験に同行し大満足、ある時は作者の体験にひたすら羨望が募り、夢見心地となる。今この瞬間にこの体験をしているのは自分だけ、ということが多くの人に起こっていることの感動は生きているからこその不思議さと、ひたすら日々の積み重ねの賜物であることがわかる作品。

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    2025年09月11日
  • 椿宿の辺りに

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    ちょうど高校生以来、派手に捻挫して土日を鬱々と過ごしているときに「そういえば主人公が痛みに悩んでいる読みかけの本があった!」と思い、手に取った。
    リンクしている作品である「f植物園の巣穴」も高校生のとき、自分としては読みにくくやっとの思いで読み終わった記憶があったが、こちらは案外サクサクと読み終わったと思う。
    痛みって人生を悲観させるよなぁというのと、最後の手紙の往復で話がまとまって腹落ちする結末だった。
    私もこの痛みが去るのを待つことにする。

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    2025年09月07日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    はじめのサルスベリの話から引き込まれてっぱなし。
    心地よいリズムの文体でとても優しくて、マジックリアリズムな世界なんだけれど本当に日常で背伸びもない等身大の登場人物。自然と季節の描写も美しく、
    漫画化の発表もタイムリーにあってそちらも読んでみようと思う。

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    2025年09月06日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    梨木香歩に触れたくて読んでみた。
    高堂のサラッとしている感じが好き。感動の再会になりそうなものなのに普通に受け入れる綿貫も良い。
    植物の描写にこんなに心惹かれることはない。
    綿貫を取り巻く人たち(人、犬、植物、河童?鬼??)の描写が何とも言えない暖かさを出している。
    梨木香歩の文体が好きだ。と再確認した一冊。

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    2025年09月04日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    お噂はかねがね。お会いできて心から嬉しく思います。

    もっと早く出会っておけばよかった。
    大学生の頃、すすめられるばかりだった少女漫画を、自分でも開拓しなくてはならないという気になって『辺境警備』と出会った。そんなことを思い出したのは、読み味が似ているからかもしれない。
    近くて遠い憧憬という意味で、映画版『スタンド・バイ・ミー』にも似ているかもしれない。

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    2025年09月01日