梨木香歩のレビュー一覧
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ネタバレ大事な本になった
定期的な痛みがあって、それがなにから来ているんだろうと考えることもあった。
この奇想天外な成り行きで、鬱もいつの間にか姿を消しました。ただ、快方への兆しの揺り戻しなのか、鈍い痛みが続いております。痛みと言っても、大きな隕石がなくなった跡の、巨大な穴のようなもの、何か非常な体積のものが去った、そのことの痛みが、地面に記憶されるように残っています。この痛みには不思議な愛着を感じ、手放したくないような気がしています。過去の痛みの記憶による痛み―――何とも個人的な、誰にもわかり得ない類の、だからこそこれだけは自分のものであるという、不思議な根っこのようなものを持った気分でいます。 -
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ネタバレ物書きの綿貫は非日常的な日常を過ごす中、いなくなった犬のゴローを探すため鈴鹿に向かう。
ひたすらどんどん歩いていく少し昔の旅。愛知川に沿った旅なので河童やイワナの夫婦など水辺の不思議な生き物との邂逅が多い。
高堂もくせつよ(今回出番があまりない)だけど今回はさらにくせつよつよの友人・南川が印象に残る。個人的におかみさんの出番が少なかったのがちょっと寂しい。
ゆったりした世界観を存分に味わいました。続編が出たら嬉しい。
永源寺から車で20分ぐらいのところにコストコができてGoogleマップで見ると道路が綺麗になってますね。でも田んぼも多くてこれ以上開発されるってこともなさそうな気が -
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「ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
「新潮社」内容紹介より
ちょと染色をする機会があって、それを友人に話したらこの本を紹介してもらったので読んでみた.
染色をするにあたっていろいろと調べてみたのだけれど -
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ネタバレ書評、解説、時々エッセイ。
梨木香歩の小説を読むと、彼女は理系の人だなあと思うことが多々ある。
割と自然科学に造詣が深いから、というだけではなく、書いてある文章の行間に込められた情報が多いような気がするのだ。
つまり、形としては散文なのだけど、実は詩なのではないかと思えるような文章を書く人だから。
それは誰に言ったこともなく、心の中でひっそりと思っていたのだが、実は初めての自費出版本は詩集だったと書いてある箇所をよんで、「やっぱりね」と一人強く頷いたのだった。
地球上で起こる出来事は、すべてこの地球上の生命に無関係ではない、ということを手を変え品を変え小説に書き綴ってきた彼女の書評は、浅 -
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少し前に読んだ『ピスタチオ』も良かったけど、こっちも超良かった!!
読書時の私自身の心持ちにもよると思うけれど、読みごたえとしては『海うそ』の方がずっと良かったかも。
昭和初期。
人文地理学者の秋野は、亡くなった同室の主任教授が残した研究を補完する為、南九州の「遅島」を訪れる。
(秋野は一昨年に許嫁を、翌年には相次いで両親も亡くしている)
遅島には、かつて修験道の霊山があった。
そして死者からの言葉を伝える「モノミミ」と呼ばれる者たちも存在していた。
しかし、神道を国体として確固たるものにしたかった当時の政府は、民間宗教の排除に乗り出した。
この島で知り合った山根氏は、まずその標的とな -
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梨木香歩さん訳の、
1953年初版のベストセラー。
ある1人の寡婦が出会った、自然界では生きていけないだろう雀の子供。
その雀-クラレンスと名付けられた雀の、12年に渡る生涯。
フラットに書かれた文章に現れる、キップス夫人の洞察力の深さにも驚かさせるが、
街中で景色に溶け込むように眺めていた雀が
こんなに感情豊かで、才能溢れる鳥であることを
本書を通じて知ることが出来てよかったと思う。
訳者も書いている通り、クラレンスが老いて、
いつ亡くなるのかも分からない中で書かれた
物語であるからか、クラレンスが全盛期である頃の生き生きとした描写の中にも、一貫して静謐さが漂っている。
全ての生き物が迎える -
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ネタバレ何か特別派手なことが起こるわけではないのだけれど、人種も国籍も宗教もちがう登場人物達が織り成す物語の言葉のひとつひとつが胸にささる。
トルコがまだオスマン帝国の時代、第一次世界大戦が始まる前の時代に、バックグラウンドが違う人達が一緒に暮らすのは、現代の何倍もの苦労があったのだろうと思う。
その中で完全にお互いのことが理解できるわけではないけれども、お互いの文化を尊重しあって生活する登場人物たちはすごく素敵だと思うし、私もそうありたいと思った。
ディミストリが言うように、私たちは人間で、およそ人間に関わることで、私たちに無縁なことは一つもないのだから。 -
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ネタバレこの物語の中にいつまでも浸っていたくて、毎日少しづつ時間をかけて読み進めた。
知らない植物や言葉が出てきたら都度調べながらゆっくりと。
昨日の続きから読み始めようと思って、本を開くが、昨日読んでいた物語の内容がパッと思い浮かばない。
少し戻って話を思い出してから読み進める。
面白くなくて話を忘れているのではなく、現実とそうでない世界との境界線が曖昧で物語に入るのに少し時間がかかるのだ。
最後、ゴローが此方に向かってくる時の文章が、自分の目が綿貫の目になったかのように、ありありと思いうかび思わず涙してしまった。
家守奇譚と冬虫夏草はこれから先、何度も読み返す作品だと思う。