梨木香歩のレビュー一覧
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4人の下宿生と一体の人形が暮らす家を中心に物語は進む。
登場人物は、染織、機織りなどの手仕事に関わっていて、自然や手仕事を通して、人の生きることに対しての心持ちと言えるようなことが語られる。
機を織る。布を織る。
様々な色の糸を縦横に使い、一枚の布を織る。
簡単には織れない、地道な作業。
織り上がった布には表裏があり、様々な顔を見せる。
至る所で機織りはされ、たしかにその土地に根付いている伝統はあり、脈々と伝えられてきた。
自分の気持ちや境遇、良い時も悪い時も、ただ機を織る。
そうして手仕事をつないできた歴史があるということを知ることは、少しだけ人生を豊かにしてくれると思う。
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20年くらい前に読んで衝撃を受けた作品
本の世界に没入するという体験を初めてした作品でもあります。
主人公の照美の近所にある
丘の麓のバーンズ屋敷
お化け屋敷とも呼ばれるそこは
子どもの頃の大人に怒られるかもしれないけど
行ってみたいという
子どもの好奇心をくすぐるような不思議な場所
照美のお父さんもお母さんも
実は小さい頃にそこで遊んでいたり
近所に住む友達のおじいちゃんから
そこの屋敷にまつわる話を色々聞いたり
近所ではあるけど
日常ではないそこがミステリアスで
なんともいえない魅力を放っています。
バーンズ屋敷に関わる"裏庭"
照美はそこに足を踏み入れていく
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ネタバレ梨木香歩さん、こんなところにまで達してしまわれたんですね、と深く深くため息をつくように思ってしまう作品でした。
以前、どこかに掲載されていたインタビューで、この「海うそ」という作品を境に、何か大きく変わったというようなことを語っておられた記憶があります。この記憶もかなりあやふやなのですが、それからなんとなく、この作品は、重要な作品だと自分の中で位置づけてきた気がします。そういう先入観で読み始めたのですが、それが確信となるような、なんだかどっしとした重みのある作品でした。
昭和の始めに、人文地理学研究者の秋野が研究のために訪れる南九州の遅島は、読むにつれて実在の島としか思えなくなり、思わず地図 -
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大好きな家守綺譚の続編。相変わらず読んでいてずっとこの世界にいたい読み終わりたくないという気持ちになる。
明治時代が舞台のこの作品、ファンタジックとか幻想的という感じではなく、解説にもあったが科学的ではない出来事があくまで普通の世界として淡々と語られていくところが不思議と心地良い。これを読むと科学の常識で縛られた世界って安心するようで窮屈で居心地が悪かったんだなと思えてくる。
綿貫、高堂、南川、犬のゴロー、河童の少年、、、
綿貫と友人たちの会話がなんとも好き。みんなそれぞれいいキャラ。淡々とした中にそこはかとなく漂う綿貫の高堂へのなんとも言えない感情が良い。ゴローは相変わらず素晴らしい犬でたま -
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序に「私は野生の鳥は基本的には野にあるべきだと思っている」とある。だから、作者のキップスさんは生まれたばかりで巣から落ちた障害のあるスズメを深い愛情を持って育てながらも、彼がスズメであることを尊重して適度な距離感を保った視点で見ていたのだろう。この本がスズメの生態や人と一緒に暮らしていたからこそ開花した潜在的な能力などの観察記録としても興味深いものになっているのは、そのおかげだろうと思う。
科学的な興味もさることながら、このスズメの愛らしさと逞しさには驚かされる。巣に見立てたベッドで迸るような歓喜の歌をひとくさり歌ったり、老いて病気になってからも生きる意志と聡明さで自由が利かなくなっていく状況 -
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ネタバレなんとゆうか、これは、語彙力を試されているかのような話だった。
あらすじをゆうと、主人公の叔母が亡くなり、一族の故郷の島にある、沼の成分が入った家宝の「ぬか床」を受け継いだところから話が始まります。
ぬか床って、わたしもかつて世話をしていましたが、毎日手を入れて底からかき混ぜて空気を入れないといけない、けっこう手間のかかるものです。
それを引き取るかわりに叔母のマンションも譲り受けるのですが、そのぬか床の手入れを怠ると、ぬか床から文句を言われたり酷い匂いがしてきたり、昨日まではなかったはずの卵がぬか床の中から生まれて、卵からは人が生まれて、それが子供の頃亡くなった同級生の男の子に見えたり、 -
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ネタバレ大事な本になった
定期的な痛みがあって、それがなにから来ているんだろうと考えることもあった。
この奇想天外な成り行きで、鬱もいつの間にか姿を消しました。ただ、快方への兆しの揺り戻しなのか、鈍い痛みが続いております。痛みと言っても、大きな隕石がなくなった跡の、巨大な穴のようなもの、何か非常な体積のものが去った、そのことの痛みが、地面に記憶されるように残っています。この痛みには不思議な愛着を感じ、手放したくないような気がしています。過去の痛みの記憶による痛み―――何とも個人的な、誰にもわかり得ない類の、だからこそこれだけは自分のものであるという、不思議な根っこのようなものを持った気分でいます。 -
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ネタバレ物書きの綿貫は非日常的な日常を過ごす中、いなくなった犬のゴローを探すため鈴鹿に向かう。
ひたすらどんどん歩いていく少し昔の旅。愛知川に沿った旅なので河童やイワナの夫婦など水辺の不思議な生き物との邂逅が多い。
高堂もくせつよ(今回出番があまりない)だけど今回はさらにくせつよつよの友人・南川が印象に残る。個人的におかみさんの出番が少なかったのがちょっと寂しい。
ゆったりした世界観を存分に味わいました。続編が出たら嬉しい。
永源寺から車で20分ぐらいのところにコストコができてGoogleマップで見ると道路が綺麗になってますね。でも田んぼも多くてこれ以上開発されるってこともなさそうな気が -
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「ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
「新潮社」内容紹介より
ちょと染色をする機会があって、それを友人に話したらこの本を紹介してもらったので読んでみた.
染色をするにあたっていろいろと調べてみたのだけれど -
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ネタバレ書評、解説、時々エッセイ。
梨木香歩の小説を読むと、彼女は理系の人だなあと思うことが多々ある。
割と自然科学に造詣が深いから、というだけではなく、書いてある文章の行間に込められた情報が多いような気がするのだ。
つまり、形としては散文なのだけど、実は詩なのではないかと思えるような文章を書く人だから。
それは誰に言ったこともなく、心の中でひっそりと思っていたのだが、実は初めての自費出版本は詩集だったと書いてある箇所をよんで、「やっぱりね」と一人強く頷いたのだった。
地球上で起こる出来事は、すべてこの地球上の生命に無関係ではない、ということを手を変え品を変え小説に書き綴ってきた彼女の書評は、浅