梨木香歩のレビュー一覧

  • 椿宿の辺りに

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    ネタバレ

    大事な本になった

    定期的な痛みがあって、それがなにから来ているんだろうと考えることもあった。

    この奇想天外な成り行きで、鬱もいつの間にか姿を消しました。ただ、快方への兆しの揺り戻しなのか、鈍い痛みが続いております。痛みと言っても、大きな隕石がなくなった跡の、巨大な穴のようなもの、何か非常な体積のものが去った、そのことの痛みが、地面に記憶されるように残っています。この痛みには不思議な愛着を感じ、手放したくないような気がしています。過去の痛みの記憶による痛み―――何とも個人的な、誰にもわかり得ない類の、だからこそこれだけは自分のものであるという、不思議な根っこのようなものを持った気分でいます。

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    2025年04月19日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    こんな物語に出会えて嬉しい。
    生物としての喜び、幸せを斬新な切り口で伝えてくれる。自分の存在まで背中を押された気分になった。幸せになろうと思える話、ちょっと忘れちゃった。また読みたい

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    2025年02月04日
  • ぐるりのこと(新潮文庫)

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    ネタバレ

    瞳という名前が誇らしくなった
    動物は瞳で会話できると思うし、瞳は自分と他の境界をなくすと思う
    境界を感じる人間生活は、私は嫌だ
    自分を開く、訓練。

    私たちの経験してこなかった相手の歴史に対して、そしてもしかしたらそれが自分のものになっていたかもしれない可能性に対して、自分を開いていく。

    他者の視点を、皮膚一枚下の自分の内で同時進行形で起きている世界として、客観的に捉えてゆく感覚を、意識的なわざとして自分のものにする。
    ずっとあたたかい世界にいたい

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    2025年02月06日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    人それぞれ、見えているものや見えている景色が違うのは当然のことなんだけど、それを改めて実感する。そういう作品だと感じました。

    どこか不思議な感覚になりました。

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    2025年02月03日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    物書きの綿貫は非日常的な日常を過ごす中、いなくなった犬のゴローを探すため鈴鹿に向かう。

    ひたすらどんどん歩いていく少し昔の旅。愛知川に沿った旅なので河童やイワナの夫婦など水辺の不思議な生き物との邂逅が多い。

    高堂もくせつよ(今回出番があまりない)だけど今回はさらにくせつよつよの友人・南川が印象に残る。個人的におかみさんの出番が少なかったのがちょっと寂しい。

    ゆったりした世界観を存分に味わいました。続編が出たら嬉しい。




    永源寺から車で20分ぐらいのところにコストコができてGoogleマップで見ると道路が綺麗になってますね。でも田んぼも多くてこれ以上開発されるってこともなさそうな気が

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    2025年01月31日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    ネタバレ

    特に印象深い言葉は
    「自分の傷と真正面から向き合うよりは、似たような他人の傷を品評する方が遥かに楽だもんな」
    SNSで多く見かける批判の中にはこうした感情の裏返しの面があると思った。
    自分の傷と正面から向き合う主人公の照美との旅の中で勇気をもらえるような本でした。

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    2025年01月21日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    インジャの苦しみ、ユージンの苦しみを思うと胸が痛みます。私は人を傷つけながら生きてきたのではないかと考えさせられています。

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    2025年01月19日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    第二次大戦下のロンドンで、著者クレア・キップスは一羽の子雀を拾う。子雀は翼と足に障害があり、自然界では生きられないと判断したため、手元で育てることにしたキップスだったが、子雀は二人の共同生活に想像もつかないほどの大きな喜びと驚きを与えたのだった……優れた野鳥観察記であるとともに、戦時下のロンドンで人々がどのように考え、生き、暮らしに喜びを見出していたかも垣間見られる戦時記録としても興味深い。

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    2025年01月14日
  • 渡りの足跡(新潮文庫)

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    「渡り」をキーワードに様々な事象が語られる。その場所の季節感、鳥、花、土の声や匂いがありありと伝わってくる。自然の強さ、美しさ、儚さ。生命の尊さ。

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    2024年12月20日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    「ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。

    祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
    「新潮社」内容紹介より

    ちょと染色をする機会があって、それを友人に話したらこの本を紹介してもらったので読んでみた.

    染色をするにあたっていろいろと調べてみたのだけれど

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    2024年12月15日
  • ここに物語が(新潮文庫)

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    ネタバレ

    書評、解説、時々エッセイ。

    梨木香歩の小説を読むと、彼女は理系の人だなあと思うことが多々ある。
    割と自然科学に造詣が深いから、というだけではなく、書いてある文章の行間に込められた情報が多いような気がするのだ。
    つまり、形としては散文なのだけど、実は詩なのではないかと思えるような文章を書く人だから。

    それは誰に言ったこともなく、心の中でひっそりと思っていたのだが、実は初めての自費出版本は詩集だったと書いてある箇所をよんで、「やっぱりね」と一人強く頷いたのだった。

    地球上で起こる出来事は、すべてこの地球上の生命に無関係ではない、ということを手を変え品を変え小説に書き綴ってきた彼女の書評は、浅

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    2024年12月13日
  • 海うそ

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    少し前に読んだ『ピスタチオ』も良かったけど、こっちも超良かった!!
    読書時の私自身の心持ちにもよると思うけれど、読みごたえとしては『海うそ』の方がずっと良かったかも。

    昭和初期。
    人文地理学者の秋野は、亡くなった同室の主任教授が残した研究を補完する為、南九州の「遅島」を訪れる。
    (秋野は一昨年に許嫁を、翌年には相次いで両親も亡くしている)

    遅島には、かつて修験道の霊山があった。
    そして死者からの言葉を伝える「モノミミ」と呼ばれる者たちも存在していた。
    しかし、神道を国体として確固たるものにしたかった当時の政府は、民間宗教の排除に乗り出した。
    この島で知り合った山根氏は、まずその標的とな

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    2024年12月03日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    家守綺譚からの繋がりでトルコ滞在中の村田視点。
    やっぱり不思議なことが起こる。

    このシリーズ手元に置きたいくらい好み。

    ゴローが息災なだけで満足だし、ラストの鸚鵡の一声には村田と一緒に泣いた。

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    2024年12月02日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    梨木香歩さん訳の、
    1953年初版のベストセラー。
    ある1人の寡婦が出会った、自然界では生きていけないだろう雀の子供。
    その雀-クラレンスと名付けられた雀の、12年に渡る生涯。
    フラットに書かれた文章に現れる、キップス夫人の洞察力の深さにも驚かさせるが、
    街中で景色に溶け込むように眺めていた雀が
    こんなに感情豊かで、才能溢れる鳥であることを
    本書を通じて知ることが出来てよかったと思う。
    訳者も書いている通り、クラレンスが老いて、
    いつ亡くなるのかも分からない中で書かれた
    物語であるからか、クラレンスが全盛期である頃の生き生きとした描写の中にも、一貫して静謐さが漂っている。
    全ての生き物が迎える

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    2024年12月02日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何か特別派手なことが起こるわけではないのだけれど、人種も国籍も宗教もちがう登場人物達が織り成す物語の言葉のひとつひとつが胸にささる。
    トルコがまだオスマン帝国の時代、第一次世界大戦が始まる前の時代に、バックグラウンドが違う人達が一緒に暮らすのは、現代の何倍もの苦労があったのだろうと思う。
    その中で完全にお互いのことが理解できるわけではないけれども、お互いの文化を尊重しあって生活する登場人物たちはすごく素敵だと思うし、私もそうありたいと思った。
    ディミストリが言うように、私たちは人間で、およそ人間に関わることで、私たちに無縁なことは一つもないのだから。

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    2024年11月30日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    高校生の時に読んでからずっと忘れられない一冊。
    価値観が違う人・もの・出来事を、理解できなくても自分の中に受容する姿勢の大切さを今でも語りかけてくる。

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    2024年11月28日
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか

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    青春テーマの本探しにて。
    うちが好きなのは大人が読んでおもしろい青春小説なのか。
    たった一日の中で獲得する世界への気づき。外からのきっかけで見つけてくる内にいた自分。
    そういう子どもたちがまぶしくてうらやましくて、うちにとっては「失われた青春」って感じなのかなあ。

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    2024年11月24日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    今の自分に置き換えて、生きるヒントをいただいたような、少し救われたような気持ちになった。

    私は、傷を恐れ、支配されてしまいがちなので、読み進めるたびに反省...。鎧を着ても、傷は治らないんだよなぁ。
    裏庭を冒険する照美ちゃんの姿を見て、勇気が湧いた。


    実は高校生くらいの時に読んだけれど、その時はなんとなく世界観がイメージしにくかった。大人になって、やっと面白さがわかるようになった。
    今出会えてよかったと思える作品でした。

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    2024年11月24日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    家守綺譚の主人公が犬を探しに旅に出る。
    怪異といえばそうだけどもっと優しい不思議な話。
    各話タイトルの植物も知らないものが多い。

    ゴローが尻尾振って駆けてくるだけで目頭が熱くなる(多分満面の笑み

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    2024年11月19日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この物語の中にいつまでも浸っていたくて、毎日少しづつ時間をかけて読み進めた。
    知らない植物や言葉が出てきたら都度調べながらゆっくりと。
    昨日の続きから読み始めようと思って、本を開くが、昨日読んでいた物語の内容がパッと思い浮かばない。
    少し戻って話を思い出してから読み進める。
    面白くなくて話を忘れているのではなく、現実とそうでない世界との境界線が曖昧で物語に入るのに少し時間がかかるのだ。

    最後、ゴローが此方に向かってくる時の文章が、自分の目が綿貫の目になったかのように、ありありと思いうかび思わず涙してしまった。

    家守奇譚と冬虫夏草はこれから先、何度も読み返す作品だと思う。

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    2024年09月23日