梨木香歩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
梨木香歩さんのエッセイ
八ヶ岳での山小屋探しからはじまる。
贅沢は論外、本格ログハウスも身の丈に合わず、
新建材だらけもちょっと‥‥‥
とか、このエッセイ全体を通しての、価値観、本質に通じる部分かな。
冬の八ヶ岳おろしは凄まじく、
「あの突風具合ときたら。漫然とただ吹いていると言うのではなく、ときに屋根を剥いだりブロックまでもピンポイントで吹き飛ばしたりする」
山の中の植物、動物、特に小鳥たちとのやりとりが素敵に描かれている。
とても面白かったのが、かわいい小鳥たちに混じって、一際大きなカラスの「悪太郎」が飛来し、用意した餌の牛脂ボールを狙われる。
ベランダで強そうに腕を組んだりして見張って -
Posted by ブクログ
梨木香歩さんのファンなら必ず手元に置いておきたい本。
デビューから2019年までに色々なところで発表されたエッセイをまとめたもの。
鳥のこと、バードストライクのこと、植物のこと、イスタンブールやエストニアのこと、時間・空間の境界のことなど。
これまで梨木さんがどれだけ丁寧に生きてきたかがよく分かる。
一つ一つ丁寧に向き合う姿勢が素晴らしい。
もっと早くに梨木さんの小説に触れ、この本を読んでいたら、自分ももっと丁寧に生きてこれたかも。
少なくともこれからはもっともっと丁寧に生きてゆこうと思いました。
いつかお会いしてお話を伺いたい、そんなことが出来たら夢のようですね。 -
Posted by ブクログ
八ヶ岳の裾野の山小屋で過ごす時間を軸に、動植物や自然と自分のくらし、父、人生の終わり、言葉と政治など、身の回りのことを語るエッセイ。
梨木さんはいつも、表層を一枚ずつ剥がしてその深層まで描きこむようなお話を書く人だと思っていて、エッセイは「渡りの足跡」以来であまり読んでいませんが、こちらは小説と同じでかなりディープな部分まで踏み込んで書かれたんだなあ、という印象(他のをあまり知らないのでここは何とも、なんですが)。
ちなみに「渡りの足跡」は鳥の渡りという事象からさまざまなことに思いを馳せるエッセイ集。これを読んで梨木さんがガチのナチュラリストだったんだ、と知りました。
このエッセイ集では八 -
Posted by ブクログ
梨木さんのエッセイは、深く、また思い至らないところまで広く。
読んでいて、なぜか深い安心感を感じる。
目にする草花にも
「ひっそりとある、という風情が好きなのだった。自分を強く主張することもない、他の植物の陰になっていても自分が犠牲になっているなんて思わない、淡々と自分を生き切る、そういう日常の満ち足り方。だから華やかな他の花のように周囲に自分を誇る必要もない。」
と、その在り方に、生き方の美しさを見出す。
人との付き合い方、ものの見方についても
あぁ、自分はまだまだ浅いなぁ、
たくさんのことを知り、深く考えねばなぁ
と反省もさせられるが、
そのままでも良い、と受け入れられているような心地 -
Posted by ブクログ
「冬虫夏草」を読んでサラマンドラ(赤竜)と稲荷の関係が解らずにいたのですが本作を読んで合点がいきました。
てか順番的には『家守奇譚』『村田エフェンディ滞土録』『冬虫夏草』なのかなぁって思いました。
トルコに留学した村田氏の見聞録になりますがこれは東西の異文化が混在してごった煮のような味がでてました。混じりあった体臭が独特。
宿舎の女主人はイギリス人、使用人のムハンマド、下宿人は村田氏の他にドイツ人とギリシャ人、宗教は、キリスト教にイスラム教、仏教にギリシャ正教とある。ギリシャ正教がなんなのかよく解らなかったのですがキリスト教の分派みたいです。
あっ最後にオウム、(真理教じゃないですw)
ムハ -
Posted by ブクログ
梨木香歩の椿宿の辺りにを読みました。
主人公の佐田山幸彦(通称山彦)は化粧品を開発する会社の会社員です。
最近、原因不明の痛みに悩まされています。
彼の従姉妹の海幸比子(通称海子)もまた原因不明の痛みに悩まされています。
海子が通っている仮縫鍼灸院の治療師の亀シの提案で山彦は彼らの祖父の実家のある椿宿に行ってみることになります。
なぜ彼らはそのような神話に関連するような名前をつけられることになったのか、祖父の実家の椿宿はどのような場所なのか。
祖父の実家に長年住んでいた竜子さん、その実家を歴史的な建造物として保存しようとしている珠子さん、竜子さんの長男の宙幸彦さんなどとの交流により、椿宿