梨木香歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025年に読んだ中でぶっちぎりの1位。
近藤ようこのコミカライズには毎回驚かされるけど、読んで受ける印象、感覚がまんま原作そのまま。どのページをみても梨木香歩の「家守奇譚」だった。
近藤ようこのコミカライズは、原作を忠実に漫画化したというより、原作の伝えようとしていること、作者が書かんとしたことを、漫画という表現に置き換えているのだと思う。表現方法は違うけれど中身は同じみたいな。
それだけでも凄いんだけど、近藤ようこのコミカライズは近藤ようこの漫画としても成立しているのが怖い。何処をとっても梨木香歩なんだけど、あぁ近藤ようこの漫画だなぁという感覚が常にある。 -
Posted by ブクログ
梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を読んで作品世界に惹かれ、その流れで手に取った『裏庭』は、家族との関わりや自分の心を大切にすることの意味を深く考えさせてくれる物語でした。
読みやすさの中に心の奥に触れる言葉があり、現実での気づきへとつながっていく点に強く感銘を受け、主人公が異世界での体験を通して心の傷と向き合い、生きることや志を持つことの大切さを学んでいく姿は、私自身が日常で抱える葛藤や孤独と重なり合いました。
その過程で、子どもにどう向き合うか、愛情をどう注ぐかということを改めて考えさせられ、しっかりと心に寄り添い向き合うことが成長を支える大切な姿勢であると気づかされました。
梨木さんの作品は単なるファンタジーにとどまらず、現実の生き方や人との関わり方を問いかけてくる力を持っており、『裏庭』を読み終えた今、心の奥にある「裏庭」をどう耕していくか、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけとなりました。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃよかった……
読み終えた後、ゆっくりもう一周噛み締めて読んだ。
トルコへ留学していた考古学者の村田と、下宿先で出会ったいろんなものの友情(あえてこの言い方をさせてもらう)の、物語。
ずっと不穏な空気は流れていたのだけれど、前半と後半の対比があまりに鮮やかで後半はほろりと。鸚鵡〜〜。そこで「友よ!」はないてしまう。
過去があるから現在があって、過去は、想いはモノに宿るのかもしれない。
戦争も革命も苦しいけれど、国を憎まず、それぞれの信じるものをもち、友情をもつことはできる。
「家守綺譚」と世界が共有されているようなのでそちらもすぐ読む -
Posted by ブクログ
「りかさん」
幼い頃大切に抱いていた人形は、ぬいぐるみは、どこにやってしまっただろうか。あんなに楽しかった人形遊びをしなくなったのはいつだったか。温かい懐古と今を生きる私に寄り添ってくれるようなりかさんやおばあちゃんの言葉で胸がいっぱいになる。初めは奇妙な世界の話だと思ったけれど、じわじわと馴染んで、泣きそうになるくらい優しい。梨木香歩の作品は、いつも優しい。
「ミケルの庭」
「りかさん」の続編。幼子を可愛がる女性たち、皆、一様に優しく見える、幼子とは赤の他人なのに。
母性とはなんだろうと、いつも思う。純粋に「可愛い」と想う気持ちのようでもあるが、私がこれまで読んできた文学において、多くの場合、あまり美しいものではなかった。私自身が人生で感じてきた母の母性も、良いことばかりではなかった。母性が、母にとっても、娘にとっても、憎しみを生んでいるような気がした。母性についてもっと知りたい。私が扱おうとしている研究テーマが少し見えてきたかもしれない。 -
Posted by ブクログ
日常のふとしたことから、梨木さんが徒然に思いを馳せてゆくエッセイ。
「ゆるやかにつながる」では、ツルの群れの話から私たち人間もまた群れる生き物だという話へ。
「できるならより風通しの良い、おおらかな群れをつくるための努力をしたい。個性的であることを、柔らかく受け容れられるゆるやかな絆で結ばれた群れを。傷ついたものがいればただそっとしておいてやり、異端であるものにも何となく居場所が与えられ生きていけるような群れを。ちょっとぐらい自分たちと違うところがあるからといって…(略)…詰め寄り排斥にかかることがないような群れを。」
これにはとても共感した。
「世界は生きている」では、清里の森から様々に思いを巡らす。
『西の魔女が死んだ』にちらりと触れられているのも嬉しいところ。
(特別編として、「『西の魔女が死んだ』の頃」という章もある)
「刻一刻と様相の変わってゆく「生き物の現場」を、きっと「世界」と呼ぶのだろう。」という結びの文章が好きだ。
ここで言う「生き物の現場」とは森のことだ。
カッコウやホトトギスの托卵という習性に目を向け、梨木さん独特の、どこか飄々とした風情で「生き物の現場」を捉える。
「「スケール」を小さくする」での切手を買いためてしまうお話にも共感する。
あの方へは、このレターセットが似合いそう。
そしてこのレターセットには、こちらの切手がぴったりだ。
などと、選ぶ作業はとても楽しいものだが、このご時世、殆どがLINEとメールで済むようになってしまった。
「忙しさのあまり便利さを選ぶ心に、風流の棲みつく場所はない」と梨木さんも仰有る。
実際は寂しいことなのだけれど、この表現、素敵だなーなんて思ってしまった。
次の章「金銭と共にやり取りするもの」にも、小さな共感や素敵な表現が潜んでいた。
新聞の集金だけは、口座引落しをやめ、集金に来て貰うことを選んだ梨木さん。
通信販売には対人の煩わしさがないかわりに人の気配が足りないと仰有る。
対人で支払う瞬間には、ただの金銭のやり取りだけではない、「ありがたさ、(ときには)恐縮、会えたうれしさ、細やかな感情のやり取り、ささやかなあるいは(その人にとっての思いがけない)重要な情報の交換」が含まれているという。
だからこそ、「やり取りすることに金額の持つ以上の価値がある気がする」と。
動植物にお詳しい梨木さんであるからか、このエッセイは、まるでマイナスイオンを発しているかのようだった。
透明度の高い、澄んだ感じ。
清涼感を感じるような。
また、梨木さんの文章から、自分らしく慎ましく暮らすことの美しさを感じた。
そして、人は、群れる生き物としてどうあるのが好ましいか。
どんな距離感を保つのが好ましいか。
日常の小さな物事も丁寧に経験し、考え、深く味わうこと。
それは案外難しい。
けれど、なるべくそうありたいと思った。
好きな章
「近づき過ぎず、遠ざからない」
「金銭と共にやり取りするもの」
「ご隠居さんのお茶と昼酒」
「夢と付き合う」
「百パーセント、ここにいる」
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Posted by ブクログ
4人の下宿生と一体の人形が暮らす家を中心に物語は進む。
登場人物は、染織、機織りなどの手仕事に関わっていて、自然や手仕事を通して、人の生きることに対しての心持ちと言えるようなことが語られる。
機を織る。布を織る。
様々な色の糸を縦横に使い、一枚の布を織る。
簡単には織れない、地道な作業。
織り上がった布には表裏があり、様々な顔を見せる。
至る所で機織りはされ、たしかにその土地に根付いている伝統はあり、脈々と伝えられてきた。
自分の気持ちや境遇、良い時も悪い時も、ただ機を織る。
そうして手仕事をつないできた歴史があるということを知ることは、少しだけ人生を豊かにしてくれると思う。
物語の途中、様々な場面で、草木から色を出していく。
そしてその糸で紬が織られる。
名を残すのではなく、作った物で残っていく。
名は残らないけど、たしかにそれを作った誰かがいて、それは他の誰かの為に作られたもの。
手仕事が紡ぐ歴史は美しいと、改めて思う。
人が生きるということは、様々な縁という糸で織り上げられていくものなのかもしれない。
その織り上げた布は、自分は最後に見ることはできるのか。
見られず、誰かが見て「ああ、あの人はそうやって生きたのか」と思うものなのか。
そんなことをぼんやり考える。 -
Posted by ブクログ
20年くらい前に読んで衝撃を受けた作品
本の世界に没入するという体験を初めてした作品でもあります。
主人公の照美の近所にある
丘の麓のバーンズ屋敷
お化け屋敷とも呼ばれるそこは
子どもの頃の大人に怒られるかもしれないけど
行ってみたいという
子どもの好奇心をくすぐるような不思議な場所
照美のお父さんもお母さんも
実は小さい頃にそこで遊んでいたり
近所に住む友達のおじいちゃんから
そこの屋敷にまつわる話を色々聞いたり
近所ではあるけど
日常ではないそこがミステリアスで
なんともいえない魅力を放っています。
バーンズ屋敷に関わる"裏庭"
照美はそこに足を踏み入れていく
20年越しに読んでも感じ方は変わらなく
最後までとても面白く読む事が出来ました。