梨木香歩のレビュー一覧

  • 裏庭(新潮文庫)
    率直に感動した。大作だった。
    己の傷と対峙することのどれほど険しく難しいことか。傷との融合の話でもあったのかと思う。印象に残る文が多くて、それぞれの箇所について感想を言い合いたくなる。
    日本の家庭って、家に庭って書くんだね。その庭をどう手入れし育み作り上げていくかは庭師次第なのだと。
    エピローグ後の...続きを読む
  • 炉辺の風おと
    読み始めてすぐ、思わず自分の通えそうな地域の別荘を探してしまうぐらい魅力的な炉辺のお話で、「これは何回も読み返すことになる」と確信しながら読んでいた。
    勿体なくてちびちび読んでは置き、読んでは置きしてたが、久々に開いて読んだのが「秘そやかに進んでいくこと」

    お父様の介護の話かな…と読んでいたら違っ...続きを読む
  • 海うそ
    若い時に人文地理学の調査で遅島に訪れる。そこは自然豊かで温かい人の優しさで溢れていた。調査は中途半端で終わり長い年月を経て息子が遅島でリゾート開発に携わっている事を聴き50年振りに訪れる。
    そこはかつての自然豊かな島ではなくなり人の手がふんだんに加えられ調査を終わらせなかった自分に悲観するがかつてみ...続きを読む
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)
    駅ピアノでやっていたタリンの国。ヒトが生活するだけで多くの種が絶滅に追いやられる。自然にとっては人間の経済活動よりも放射能汚染の方がまだまし。多様性と言いながら大量虐殺を止めることなく地球を破壊し続けるヒトへの絶望感。多くのことを考えさせられました。さすがはプロの作家さんの紀行文で読まされました。素...続きを読む
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    初めて読ませていただきましたがしっかりした人。いかに植物を愛し真面目に生きてらしているようすがありありと解りました。個人的に参考になったのは人との距離の取り方かな
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    梨木香歩の不思議な羅針盤を読みました。
    婦人誌に連載されていたエッセイ集でした。

    草木や動物たちに向き合う姿勢、庭に生えた草や木の実の料理についての話、友人や通りすがりの人とのつながりかたなど、面白く新しい発見のある内容でした。

    杉浦日向子さんのご隠居さんの話題は面白く読...続きを読む
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)
    モンゴメリにも人種的な偏見があったことに触れていた。他は全体的にあまり頭に入ってこないが、そこだけ妙に印象的だった。
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)
    梨木さんの世界。

    はじまりは「ぬかどこ」。
    世界に一つしかない細菌叢の世界。
    しかも時間とともに変化し続ける。

    一つの細胞から細胞膜、細胞壁、細菌、麹菌、動物、人。
    脈々と続く時間の流れ。
    境界のない世界。
    とても大きな世界感。

    人と人の結合がこのように語られるのか と驚き。
    「かつて風に靡く...続きを読む
  • 裏庭(新潮文庫)
    仲が悪いわけでもないけど、良くもない家族の中孤独感を抱え、双子の弟を亡くした照美は、近所の廃屋の鏡から"裏庭"と呼ばれる不思議な世界へ。様々な出会いと試練を超えて照美の心は成長します。
    大人に近づいた照美の成長に、どこか切なさを覚えるのは私だけでしょうか?
    感動と小さな引っ掻き傷のような切なさが残る...続きを読む
  • 炉辺の風おと
    暖炉の薪に火を入れるような
    真剣さと、暖められる緩やかさを持って読み進めた。

    片手間には読めない、一つ、一つ
    心に響く。

    自然との向き合い方、
    動物たちとの関わり方、
    ものとの付き合い方、
    生と死の見つめ方、
    そして、今、コロナ禍に
    どう考えて、時を過ごすのか。

    たくさんの気づきがあった。
    ...続きを読む
  • 裏庭(新潮文庫)
    私にとってほぼ初めてのファンタジー小説。
    想像しきれない描写がありつつも、世界観に引き込まれました。
    面白かったです。
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    梨木さんのネイチャーライティング、エッセイ集。

    渡りをする鳥たち、周りの自然。
    とても深い知識に基づいたエッセイだけど文学的表現に富んだ、読み応えたっぷりの一冊。

    「街の機嫌」

    「ノーノーボーイ」

    「存在」は移動し、変化していく。生きることは時空の移動であり、それは変容を意味する。それが「渡...続きを読む
  • 海うそ
    梨木さんの世界観。

    あまりに詳細な地図・場所の表現から、実際にある島かと思っていたけれど、実在はしない「遅島」。
    そこに住む人、動物、植物、そして水、風、海うそなどの自然。
    この世とあの世の境界が分らなくなるようなモノミミや洞窟の存在。
    静かに流れる時間が愛おしい。

    そして50年後の世界。
    家族...続きを読む
  • 裏庭(新潮文庫)
    読書好きの友人から貰った本。いい本を頂きました。ありがとうございました。
    1995年の第1回児童文学ファンタジー大賞の受賞作。文庫版は2001年1月の発行から20年間で37刷のロングセラー。そんなことは知らずに、友人から貰ったというだけで、内容も全く知らずに読み始めましたが、一気読みでした。

    戦前...続きを読む
  • 裏庭(新潮文庫)
    自分の内面世界でもある「裏庭」の世界を冒険することになる女の子と、裏庭にまつわる因果のお話。照美は仲良くしている友達のおじいちゃんの危篤をきっかけに心をぐらつかせ、この世界に引かれるように入り込んでいく。子どもの頃から好きで何度も読んでいたが、とても読みたくなったので久々に再読。
    心に見えない傷を持...続きを読む
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか
    たくさんの、本当に沢山の事を考えさせられる本やった。
    『群れ』の恐ろしさ。でも、群れてないと生きていけない人間。
    同調圧力。そして、無意識に圧力に押されて考える事をやめてしまう自分の心。
    怖い。
    きちんと、学んでおかないと、気付いたら戦争がおきてるかもしれない。おきてしまった後に気付いても遅すぎる。...続きを読む
  • りかさん(新潮文庫)
    梨木さんの世界観。
    とても素晴らしい。

    「からくりからくさ」の蓉子さんが子供の頃のお話。
    蓉子さんが素晴らしいのは、おばあちゃん(麻子さん)からもらった人形「りかさん」がいたからだったのか。。
    蓉子さんもとても素敵だけれど、原点は麻子さんとりかさん。
    「歴史って、裏にいろんな人の思いが地層のように...続きを読む
  • 炉辺の風おと
    読んでいて、体の奥底からふつふつと温められているような気がした。
    激しい言葉や暴力に訴えなくても、人は人を「焚きつける」ことができるのだなあと実感。
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)
    これも すごい梨木さんの世界。

    あっちの世界とこっちの世界。
    人の中も複雑。
    天使と悪魔。
    それは本当にそれほど違う??
    なにもかも認めることができれば、それはすごいことだと思う。

    梨木さんの本は やっぱり良いなぁと思います。
    まだ買い置きしているものがあるので、順番に読んでいきたいと思います。
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    2007年から2009年までの三年間、雑誌「ミセス」に連載されたエッセイ集。

    随所に梨木さんらしさが出ている。
    動植物
    への深い知識、人間としての大きさ、深い愛情。。
    特に最後の「どんぐりとカラスと暗闇」は梨木さんの思いが詰まっている。
    この本もまたずっと一緒にいたい一冊になりました。

    最近 良...続きを読む