梨木香歩のレビュー一覧

  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

    Posted by ブクログ

    梨木の著者である『僕は、そして僕たちはどういきるか』が岩波で文庫化された時の2015年にジュンク堂の池袋本店での若者向けの講演会がありそれを基に書籍化された。
    「僕は、そして今僕らは」吉野源三郎著の『君たちはどう生きるか』を意識しているのとのこと。(それは良いそうだよね。どなたがみたってね)ファシズムの軍歌が流れたれ吉野等が危機感を抱いて「君たちは」を出した時代と現代に同じ空気を感じ書かれた。2007年の教育基本法の愛国心を強要するかのような改変、2013年の教育秘密保護法が成立したなどだ。

    同調圧力とは、群れとはを具体的に教えてくれ、同調圧力に屈しないで自分の軸を大切に生きていく術が示して

    0
    2022年07月23日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    物語としては、「ぬかどこ」から始まる不思議なお話ではあるのだが、読んでいくうちに、現実の生命現象がすでに不思議な存在であることを再認識することになる。

    生命とは、性とは、個とは。現代の生物学的知識を踏まえた上でも、語り切れるものではない。では、その先、我々はどう考えたらよいのだろうか? その問いに対して、本書は、ひとつの方向性を示してくれるだろう。

    0
    2022年06月27日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

    Posted by ブクログ

    今の混沌とした時代だからこそ、リーダー不在の時代だからこそ、物事の本質を見失いそうな時代だからこそ、魂に訴えかける書であった。本書が出されたのがコロナが始まった時、そして増補版として出された。ともに言葉を大切とする若松英輔氏の解説も秀逸。シンプルに書かれているが、内容は深く、何度も自分の中で反芻させられる書であった。

    0
    2022年06月15日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ☆5じゃ足りないです
    読み終わって世界の見え方が少し変わるような 
    自分の心や体の様子とともに周囲に五感を働かせてみよう
    読後、ぬか床に挑戦したくなる!?

    0
    2022年06月10日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・動きや感触の表現が、読み返したくなるくらい綺麗だった。
    ・何について語っているのかはっきりと示されていない章もあり、色々想像しながら読み進めていくのが楽しかった。
    ・自分の意思がしっかりあって、冷静に適切な言葉で相手に伝えられる久美ちゃんのような大人になりたい。
    ・久美ちゃんと風野さんのその後がすごく気になる〜気になる〜
    ・めちゃくちゃ現実の中にあるありふれた物にファンタジー要素を落とし込んでいるのが最高。

    0
    2022年05月16日
  • りかさん(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    子どもに読ませてあげたい本だと思う。西の魔女が死んだの本と似ている感じで祖母との不思議な交流や小さな子にも分かる説明。ファンタジーなのに学ぶことが沢山ある本だと思った。

    0
    2022年04月29日
  • りかさん(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    お雛様の時期に読みたいお話。私はお人形やぬいぐるみによく名前をつけていましたが、言葉が通じたらどのような話をしていただろうか。なんだか懐かしくて、毎年読みたくなります。

    0
    2022年04月11日
  • りかさん(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    みんなが持ってるリカちゃん人形とは違う。
    でもりかさんのほうが良い。ようこがそう思ってくれてコチラも嬉しく感じた。よかった。
    心が清々しくなる優しいお話。

    青い目の人形の話は辛かった。
    傷つけられるために生まれた人形など居ないのに。
    無抵抗のものに暴力を振るった人の狂気がとても怖くて、悲しかった。

    0
    2022年02月03日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「家守綺譚」シリーズの2作目。前作では主人公綿貫の住む「家」が中心のお話だったが、本作では旅先での出来事が描かれる。

    愛犬ゴローと「イワナの宿」を探して、愛知川を上っていく歩き旅である。途中で出会う人々とその生活、自然、そして妖怪の類。前作にも増して不思議なことだらけだが、綿貫も地元の人も、さして不思議とも思っていない様子。そのおおらかさが心地よい。

    雰囲気が似ているのか、脳内にジブリ映画の映像が浮かぶことも多々あった(「千と千尋の神隠し」「平成狸合戦ぽんぽこ」「崖の上のポニョ」あたり)。

    本書の解説には「終わることなく読んでいたい」とあるが、同感である。前作からしてそうであったのだが、

    0
    2022年02月06日
  • りかさん

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    リカちゃん人形が欲しかった小学生のようこにおばあちゃんが贈ったのは、おかっぱ頭の市松人形のりかさんだった。

    落胆しながらも人形のお世話をしていくうちに、ようこはりかさんの声が聞こえるようになった。

    おばあちゃんの元に来る前の持ち主にも、おばあちゃんにも大切にされていたりかさんは、気立が良く賢く、いつも洋子の味方になってくれる存在。

    友達の登美子ちゃんのお家に雛人形を見せてもらいに行ってから、ようこのお家に着いてきてしまった、背守がなくて帰れないと泣く少女の存在。

    登美子ちゃんのおじいちゃんが集めていたお人形たちの声を聞いて、お人形を通じて過去の人の思いを感じ取っていくようことりかさん。

    0
    2022年01月29日
  • 海うそ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小説の舞台である「遅島」は実在する島ではないけど、文中では、さまざまな植物の名前、地形や地名などの描写が細かく、まるで本当に存在する島のようで、またその空気感、雰囲気が心地良かった。 ハッピーエンドとは言えないものの、明け方を思い出すときのような、どこか清々しさを感じる読後感と余韻。

    0
    2022年01月16日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    とても静かで心に静寂がおとずれる本。

    言葉遣いが独特で、まさに丁寧に紡いでおられる。
    著者の自然への愛と敬意がひしひしと伝わる。

    文章からだけで、火の暖かさ、厳しい寒さ、自然の驚異と凄みが全て伝わってくる。

    冬の夜にすごくおすすめです。

    0
    2022年01月07日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前作の家守綺譚に続き、どこか現実で無いような、でも何処かに確かに有りそうな世界の物語。ゆったりと世界に浸って、いつまでも読んでいたくなるような感覚は、この著者の世界を見る目と、言葉の選び方から来るのだろう。
    美しい日本語、というのはあまり好きでは無い言い方なのだが、この小説に出てくる言葉達は、確かに美しい。亡くなる、を、はかなくならはる、と言う。秋が長引くことを、秋が老いた、と言う。ほんの少し前まで、持っていた感覚を呼び覚ましてくれるような言葉遣いが、実に心地よい。
    特に好きなエピソードは、キキョウとマツムシソウ。初めて読んだ時はよく繋がりが分からなかったが、再読して、何と美しい話だろうと思っ

    0
    2021年12月12日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「家守奇譚」の続編。
    ページを開くと、相変わらずゆったりとした空気が流れていて、心が落ち着く。
    愛犬ゴローが失踪し、友人である菌類の研究者の南川に教えられ、綿貫は鈴鹿を探索することに。
    生駒、鈴鹿、若狭、敦賀など馴染みのある地名が出てきて、想像をかき立てられる。
    広々とのどかな風景や、山里の人々の生活が、とても興味深く描かれていて、綿貫が旅の途中で出会う人たちも皆いい人ばかりである。

    およそ百年前の人々は、ほんとうに天狗や河童と共生していたのだろうか。
    イワナの夫婦がやっているという宿にたどり着けるのだろうか。
    はたしてゴローには会えるのか。

    まるで山の中にまで竜宮があるかのような、夢のよ

    0
    2021年12月05日
  • 海うそ

    自然・史跡・遺構等々

    朗読サイトでこの本を知り購入。いつもながら自然描写が秀逸で、自然との共生の有様に思いを馳せる。古より心の拠り所としての民間信仰・仏教伝来・帰依、修験道等々様々な要因で各地でそれぞれの栄枯盛衰を経ているよう・・明治政府の神仏分離令はこの島でも容赦なく廃仏毀釈
    僧籍剝奪還俗その理不尽な状況も捉えている。何もかも風化しながら現代まで過疎化が進み・・これまた日本各地で見られる観光地として開発されて幾ばくかの経済基盤となっていく。それぞれの意識焦点を息子との対話の中で反映ー海うそとは蜃気楼とのことーすべては幻のようでいて現世に受け継がれる確かなものは海うそだけなのか、作中の記述「喪失とは私のなかに降

    #深い

    0
    2021年11月20日
  • 炉辺の風おと

    Posted by ブクログ

    読み始めてすぐ、思わず自分の通えそうな地域の別荘を探してしまうぐらい魅力的な炉辺のお話で、「これは何回も読み返すことになる」と確信しながら読んでいた。
    勿体なくてちびちび読んでは置き、読んでは置きしてたが、久々に開いて読んだのが「秘そやかに進んでいくこと」

    お父様の介護の話かな…と読んでいたら違った。
    飲み込むには大きい話なので、続きを読めずそこで閉じて、しばらく自分の中で考える時間が必要になった。
    こういうことがあるので、梨木さんのエッセイは、一般的なエッセイのように「小説と比べて気軽に読めるもの」ではない。

    そして、つい先日亡くなった、遠くに住む祖父のことを思った。4月に急な病気で入院

    0
    2021年10月07日
  • 海うそ

    Posted by ブクログ

    若い時に人文地理学の調査で遅島に訪れる。そこは自然豊かで温かい人の優しさで溢れていた。調査は中途半端で終わり長い年月を経て息子が遅島でリゾート開発に携わっている事を聴き50年振りに訪れる。
    そこはかつての自然豊かな島ではなくなり人の手がふんだんに加えられ調査を終わらせなかった自分に悲観するがかつてみえた海うそが今も健在で胸を打たれる。

    淡々とした語り口は読んでいて心地よく西の魔女同様素敵な話。

    0
    2021年09月28日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    駅ピアノでやっていたタリンの国。ヒトが生活するだけで多くの種が絶滅に追いやられる。自然にとっては人間の経済活動よりも放射能汚染の方がまだまし。多様性と言いながら大量虐殺を止めることなく地球を破壊し続けるヒトへの絶望感。多くのことを考えさせられました。さすがはプロの作家さんの紀行文で読まされました。素人のガイドブック擬きとは全く違います。

    0
    2021年09月27日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    初めて読ませていただきましたがしっかりした人。いかに植物を愛し真面目に生きてらしているようすがありありと解りました。個人的に参考になったのは人との距離の取り方かな

    0
    2021年08月21日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    梨木香歩の不思議な羅針盤を読みました。
    婦人誌に連載されていたエッセイ集でした。

    草木や動物たちに向き合う姿勢、庭に生えた草や木の実の料理についての話、友人や通りすがりの人とのつながりかたなど、面白く新しい発見のある内容でした。

    杉浦日向子さんのご隠居さんの話題は面白く読みました。
    konnokもご隠居さんと呼ばれる年齢になったけど、ご隠居さんのようなおおらかさも人間性も全然ないよなあ、と思いながら読みました。

    0
    2021年08月13日