梨木香歩のレビュー一覧
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ずっと気になっていた『西の魔女が死んだ』をようやく読みました。
静かでやさしくて、でも心の奥にじんわり残る物語でした。
大きな事件が起こるわけではないのに、言葉一つ一つや登場人物の距離感がとても丁寧で、読んでいるうちに気持ちが落ち着いていく感じがありました。西の魔女の生き方や言葉は押しつけがましくなくて、それが余計に心に沁みます。こんなおばあちゃんがいたら素敵だな、と自然に思いました。
読むタイミングや年齢によって、受け取るものが変わりそうな本だとも感じました。今の自分だからこそ、素直に受け止められた部分も多かった気がします。
派手な展開はないけれど、言葉や空気感がとてもやさしく、読み終 -
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いざという時のために取っておいた秘蔵の一冊。鈴鹿の山々を満たす清涼な空気、沢のせせらぎ、秋草の彩り。冬の間、長らく恋しく思っていた自然が目の前に広がった。
番犬ゴローが行方不明となり、わずかな手がかりをもとに最後に目撃された山へと分け入る綿貫。前作の『家守綺譚』では妖や霊、人がひっきりなしに彼のもとを訪れたのに対して、本作では彼自身が赴く。河童、天狗、赤竜に、イワナの夫婦。坊主に神主、村の人々。様々な存在とのささやかな邂逅がささくれだった心に沁みる…。最近寺社仏閣巡りにハマっているのもあり、あちこちと寄り道をする主人公に自分を重ねながら読んだ。辛い現実からしばし目を逸らさせてくれたかと思いき -
Posted by ブクログ
ネタバレ 読み終えた今、胸の奥が温かい涙で満たされている。この物語が私に教えてくれたのは、魔法とは決して不思議な術のことではなく、自分の意志で人生を切り拓いていく「強さ」のことなのだということだ。
正直に言えば、物語の序盤、私は「魔女」という存在にあまり良いイメージを持っていなかった。世間一般でも魔女はどこか不気味でマイナスな印象があるし、何より車の中でのまいとお母さんの会話から、おばあちゃんのことを「気難しくて嫌な人」なのではないかとさえ思っていた。二人までがおばあちゃんを「魔女」と呼ぶところに、どこか他人事のような、冷ややかな響きを感じていたからだ。
しかし、その先入観はすぐに裏切られる -
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さすが、愛蔵決定版、と銘打って紹介されているだけある。3冊読んだけど(正確にいうと『西の魔女が死んだ』部分は1冊分しか読んでないけど)この1冊が一番好き。読む前からそんな予感はあった。シンプルな表紙の深い緑色がこの話にとてもよく似合うこと。スピンオフの関連話が3つも入っていること。その3つどれもが素敵な話だったこと…
ふーーー。しみじみ満足です。
「こんなことは私の致命傷にはならない」
うーん。沁みる。おばあちゃん、私も大好き。
おばあちゃん目線で書かれたお話『かまどに小枝を』も、とても素敵。
私も子どもを育てるようになって、母の偉大さを思い知っているのだけど、母も私や私の子どもたちのこと -
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うだつの上がらない主人公が暮らすことになった家には広い庭がある。その庭や近くの山などの四季折々の様子が描かれる中で、植物が不思議な振る舞いをしたり、河童やら狸やら不思議な生き物が現れたりするのが、いかにも梨木香歩さんの世界で良い。次々と現れる不思議なものたちを、そういうものだからと大らかに受け容れる人たちの物語を読んでいくうちに、気持ちが明るく軽くなってくる。
梨木香歩さんの作品に通底する「分かっていないことは分かっている」、「理解はできないが受け容れる」ことは、排外主義が蔓延り、同調圧力が強まっている今の世の中で、大切にしなければいけないことだとあらためて思った。 -
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おばあちゃんは懇意にしているようなのでゲンジさんは実はすごくいい人だったみたいなエピソードがいつか出てくるだろうと思いながら読んでたけど、、、。
おじいちゃんの真っ赤なルビーのような野いちごの群生はちょっと感動するだろうなあと思った。
亡くなった人からの植物の時間差プレゼントってすごい。
あと、鳥の鳴き声を「テッペンカケタカ」とか「チョットコーイ」とか表すのってかわいいなと思う。
昆虫DJの大田こぞうさんも似たような表現を過去にしていた。
自然への解像度が一般人より高いんだろうなー。
著者は河合隼雄氏と関わりがあるようで、ユングの集合的無意識を連想するのは自分だけじゃないだろう。 -
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話は、マイが中学3年の授業中に西に住む祖母が心臓発作で倒れた連絡が来た所から始まり、母と車で祖母の家に向かう時に、2年前の祖母と2人での生活を思い出す。
中学1年の春マイは母親に「わたしはもう学校へは行かない。あそこは私に苦痛を与える場でしかないの」と告げ、不登校に。
人里離れた山の中で1人暮らしの祖母(イギリス人)に預けられる事に。
祖母は母から電話で、マイは「扱いにくい子」「生きにくいタイプの子」と説明されても喜んでマイを引き受けた。
「私(祖母)の家系は魔女の能力を持つ人が多いからマイにもその血が流れていて、鍛練すれば、あなたにも出来る様に成るわよ。」
マイと祖母の生活が始まった。