梨木香歩のレビュー一覧

  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    2007年から2009年までの三年間、雑誌「ミセス」に連載されたエッセイ集。

    随所に梨木さんらしさが出ている。
    動植物
    への深い知識、人間としての大きさ、深い愛情。。
    特に最後の「どんぐりとカラスと暗闇」は梨木さんの思いが詰まっている。
    この本もまたずっと一緒にいたい一冊になりました。

    最近 良...続きを読む
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)
    すっかり梨木香歩さんにハマってしまっている。

    梨木さんがガイドさんとエストニアに取材。
    ただの海外取材ではなく、きちんと梨木さんの動植物、料理に対しての深い知識と想い、世界観が込められている。

    もうすっかりエストニアには行ったことがあるような気分。
    そして、今度はゆっくりと滞在したいと思ってしま...続きを読む
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    梨木香歩 著

    「家守綺譚」の続編にあたるという、この作品、あまりに楽しみにし過ぎて…
    「家守綺譚」があまりに良かったので、
    期待が膨らみ過ぎて大丈夫かしら?と思ってたが、心配など無用だった!
    “勝るとも劣らない”この作品に、またしても心酔してしまった私であった。
    本を開いて、綿貫征四郎さん(主人公...続きを読む
  • からくりからくさ(新潮文庫)
    素晴らしい梨木さんの世界。

    「りかさん」という本の続編だと、読み終わってから知りました。

    祖母の遺した家に住む蓉子とアメリカから日本の鍼灸の勉強をし蓉子とランゲージエクスチェンジをしているマーガレット、機織りをする紀久、テキスタイルの図案を研究している与希子の4人の女性の共同生活。

    草木染め、...続きを読む
  • 炉辺の風おと
    梨木香歩さんのエッセイを読むと、どの文章も、厳しく鋭く突き刺さってくるようだ。辛くなることもある。
    なにかを感じずにはいられない。感じなくてはならない、このまま読み飛ばしてはならない。非常に覚悟を問われるのだ。

    ———

    自分が死んだ後も世界はなくならない、自分だけが消えるのが怖い、といった感情は...続きを読む
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    フォローしているレビュワーさんのレビューを読んで、「家守奇譚」「村田エフェンディ滞土録」からこの本へ。日本画のような家守、水彩画のような帯土録、この本はまるで水墨画のよう。この世の隣にある世界との境目がますます淡くなり、不思議なことが当たり前になる。こういう世界観がとても好きだ。日本の土着の宗教観に...続きを読む
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)
    梨木さんの世界観にドップリとハマってしまい、普段はエッセイはあまり読まないのですが、梨木さんを知るために是非読みたいと手にした一冊。

    海外でお世話になったウエスト夫人についてのエッセイ。
    ウエスト夫人が素晴らしい。
    「理解は出来ないが、受け容れる。」というのが夫人からきているとは。

    人生の中で、...続きを読む
  • 家守綺譚(新潮文庫)
    短歌友達から薦められて手に取りました。
    初めて読むのに懐かしいような不思議な感覚
    木々や動物など自然に囲まれて対話している
    よく考えると奇妙だけど豊かな時間
    他の作品も読んでみようと思いました。
  • 炉辺の風おと
    ゆっくり、ひとつひとつの文章を、言葉を、味わいながら読んだ。

    梨木さんの野鳥や植物を観察する力、気にかける眼差しがとても素敵だなと憧れるも、私には何かが欠けている。いつか同じ景色を見ることができるのだろうか。

    言葉にできないけれど、こんな今だからこそ、大事に何度も何度も読み返したい。
  • f 植物園の巣穴
    地球っこさんに教えていただいた前回読んだ「家守綺譚」がとっても面白かったので、次も地球っこさんが読まれていたこの本を読みました。

    うーむ とっても面白い。
    家守綺譚より、こちらの方がよりハマってしまいました。。

    解説から
    「穴」は垂直の移動。「川」は水平の移動を表す。

    語り手の人生における、三...続きを読む
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
    人間もスズメも、長く生きられるにこしたことはないなあと思った。いくつになっても学ぶことやあたらしい発見は絶えずつづいていく。
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    主人公である綿貫は最高学府を修めた身でありながら感じたものを感じたまま素直に受け止める人物であり、その目を通してみると傍目には事件性など何もない人々の生活がこれほど面白く物語になる。
    前作の家守綺譚でも思ったが、綿貫の視点でひとつひとつの小さな出来事が積み重なりひとつの大きな世界、ひいては物語になる...続きを読む
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    自粛生活に伴い実家から送ってもらった本の中から再読。以前はいつ読んだか思い出せない。
    エッセイ本嫌いの私が、なぜかこの著者のエッセイ本だけは夢中になって読んでしまう。
    2007年から3年間雑誌に連載していた短編を集めた本だが、社会が少しずつきな臭くなっていく流れを危惧する言葉も並んでいる。2020年...続きを読む
  • 僕は、そして僕たちはどう生きるか
    中学生の姪によいのではないかと取り寄せ、まず自分で読んでみたら、すごくよかった。どんどんキナ臭くなってくる国を憂いてた梨木さんが若者のために書いた小説。同調圧力に負けない、些細な違和感を大事に、寛容であろうとすること、大人になるために大切なことがぎゅっと詰まっていた。
  • f 植物園の巣穴
    この人の本の凄いところは、読み直せば読み直すほどどんどん好きになっていく不思議さにあると思う。続編を読むための再読だったけれど。繋がりがあるとこの本が生きる。どうか続編と続けて読んでほしい。
  • からくりからくさ(新潮文庫)
    何冊か彼女の長編小説を読んでいるが、いつもその重層的な構造に、もしくはその絡まり合う要素にいつも目眩がする。考えてみれば、初めて読んだ「ピスタチオ」からしてそうだったのだが、その後の「沼地のある森を抜けて」など、複数の作品に共通している。そして、あえて共通項を探せば、女性、手仕事、自然、時代というこ...続きを読む
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    言葉が分からないという関係のなかで、どうにかして相手を理解しようとすることが、コミュニケーションの大事な部分であると思う。
    相手の人生観、宗教的な背景、など知ろうとすること。
    通訳を通して得た言葉は、ただの言葉として分かりやすいけれども、本当に得るべきものは、相手を知ろうとする意識なのだと思う
    旅の...続きを読む
  • からくりからくさ(新潮文庫)
    不思議な作品
    ファンタジー要素が混じりつつも、日常を描いてるような
    それがだんだんひとつの事件(?)を追究していくことになっていく
    おつたさんとか赤光たちと、与希子とか紀久たちの関係性が混乱してきたので、もう一度読み直しておきたい
    文庫本の解説に、国内と国外を分けてみている作品というような話があった...続きを読む
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    最初読むのがめちゃくちゃ時間かかって、寝落ちしまくって結局読みきるのに2ヶ月弱かかった。
    ゴローを探しに山奥に行ってからは一気読み!
    全てを受け入れる綿貫の真っ直ぐな優しさに胸を打たれた。優しさで泣くのって初めてかも。

    大好きなシリーズになりました。
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    想像力のいる読書。読後感がとてもよい。

    先の形状に未練を持たず、今の形状を誠心誠意生きることが、生きるものの本道なのやもしれぬ。
    イワナ、河童、冬虫夏草…繋がった。

    2020.5.1