梨木香歩のレビュー一覧

  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ――「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。
    「新潮社」内容紹介より

    読後に残る欠片は、「原初の望み」みたいなもの.
    結局はそれをプログラムされているんだ.
    人間がそれをまねて組織を作るのも、絵として表現するのも、すべてそこにつながるんだ.
    そして人として生まれてきたからにはそこからは

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    2025年09月14日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    時は明治。場所は京都疏水べり。湖で消息をたった旧友の実家の「家守」をすることになった青年文士が、その家での日常を語る、それぞれ植物の名前を題とする28の短編。その殆どの日常にするりと印象的な怪異が起こる。しかし淡々とした語り口と主人公の周りの人々がそれを何の不思議もなく受け入れているせいで、少しも驚異や異様さはなく、とても自然に感じられる。筆の妙。古風で端正な文体が素晴らしい。何度も読み返すべき一書。買ってよかった。

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    2025年09月13日
  • やがて満ちてくる光の(新潮文庫)

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    多岐に渡る作者の興味や行動が、見事な文体となって読者に静かに語りかけてくるさまに引き込まれずにおれない。ある時は作者の稀有な体験に同行し大満足、ある時は作者の体験にひたすら羨望が募り、夢見心地となる。今この瞬間にこの体験をしているのは自分だけ、ということが多くの人に起こっていることの感動は生きているからこその不思議さと、ひたすら日々の積み重ねの賜物であることがわかる作品。

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    2025年09月11日
  • 椿宿の辺りに

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    ちょうど高校生以来、派手に捻挫して土日を鬱々と過ごしているときに「そういえば主人公が痛みに悩んでいる読みかけの本があった!」と思い、手に取った。
    リンクしている作品である「f植物園の巣穴」も高校生のとき、自分としては読みにくくやっとの思いで読み終わった記憶があったが、こちらは案外サクサクと読み終わったと思う。
    痛みって人生を悲観させるよなぁというのと、最後の手紙の往復で話がまとまって腹落ちする結末だった。
    私もこの痛みが去るのを待つことにする。

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    2025年09月07日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    はじめのサルスベリの話から引き込まれてっぱなし。
    心地よいリズムの文体でとても優しくて、マジックリアリズムな世界なんだけれど本当に日常で背伸びもない等身大の登場人物。自然と季節の描写も美しく、
    漫画化の発表もタイムリーにあってそちらも読んでみようと思う。

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    2025年09月06日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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    梨木香歩に触れたくて読んでみた。
    高堂のサラッとしている感じが好き。感動の再会になりそうなものなのに普通に受け入れる綿貫も良い。
    植物の描写にこんなに心惹かれることはない。
    綿貫を取り巻く人たち(人、犬、植物、河童?鬼??)の描写が何とも言えない暖かさを出している。
    梨木香歩の文体が好きだ。と再確認した一冊。

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    2025年09月04日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    お噂はかねがね。お会いできて心から嬉しく思います。

    もっと早く出会っておけばよかった。
    大学生の頃、すすめられるばかりだった少女漫画を、自分でも開拓しなくてはならないという気になって『辺境警備』と出会った。そんなことを思い出したのは、読み味が似ているからかもしれない。
    近くて遠い憧憬という意味で、映画版『スタンド・バイ・ミー』にも似ているかもしれない。

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    2025年09月01日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    だいすきな祖母から、魔女になるための手解きを受けることに。
    高校で上手く馴染めないまいは、シンプルに素朴に暮らす祖母のもとで休息することに。
    先祖は魔女だったと語るお茶目で穏やかな祖母か ら、心を強くもつ修行をうける。
    なんでも自分で決める、負の声にとらわれない。
    まいが生きやすい道を、自分で見つけられるように諭す祖母の温かさ、それでいてお茶目なところに、じわりとあたたかくなった。

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    2025年09月01日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    小学生の頃、母に買い与えられて読み始めたが、ファンタジーの世界観に入り込めず断念。中高大と読む機会があったが、やはり理解出来ず、読みきれなかった。社会人になった今、改めて読んでみると、これはファンタジーでは無かったなと気がつきました。なんだかいつも側にいてくれた本として、私はとても好きです。

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    2025年08月18日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    西の魔女の教えは、優しくて、強くて、あたたかい。
    私も西の魔女のような、かっこよくて素敵な人になりたい。

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    2025年08月15日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    『家守綺譚』続編。
    姉妹編の『村田エフェンディ滞土録』から思いがけずはじまった梨木香歩一気読みターン、最高の夏休みでした。

    今作の綿貫くんはゴローを探して旅をします。
    旅の過程でもやっぱりたくさん不思議なことに出会うんだけど、それをすんなり受け入れて進んでいく綿貫、本当に良い奴で気持ちが良い。
    ゴローに出会えたのかどうか、ぜひ読んで確かめてほしい。

    赤竜とサラマンドラの話が知りたい方は絶対『村田〜』のほうも読むべき。あーあ、もっと読みたかったな。続き、出ないかな。

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    2025年08月14日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    めちゃくちゃよかった……
    読み終えた後、ゆっくりもう一周噛み締めて読んだ。

    トルコへ留学していた考古学者の村田と、下宿先で出会ったいろんなものの友情(あえてこの言い方をさせてもらう)の、物語。
    ずっと不穏な空気は流れていたのだけれど、前半と後半の対比があまりに鮮やかで後半はほろりと。鸚鵡〜〜。そこで「友よ!」はないてしまう。

    過去があるから現在があって、過去は、想いはモノに宿るのかもしれない。
    戦争も革命も苦しいけれど、国を憎まず、それぞれの信じるものをもち、友情をもつことはできる。

    「家守綺譚」と世界が共有されているようなのでそちらもすぐ読む

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    2025年08月12日
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集

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    「ただ、身体は生まれてから死ぬまでのお付き合いですけれど、魂のほうはもっと長い旅を続けなければなりません。赤ちゃんとして生まれた新品の身体に宿る、ずっと以前から魂はあり、歳をとって使い古した身体から離れた後も、まだ魂は旅を続けなければなりません。死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだと、おばあちゃんは思っています。きっとどんなにか楽になれてうれしいんじゃないかしら」

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    2025年08月09日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「家守綺譚」の続編。

    前作よりも現代的な文体になっていて、前作の語り口が好きだった私としてはちょっぴり寂しい気もしましたが、前作同様「あるものをあるがままに受け入れる」という梨木氏の哲学が貫かれている。

    「そのときどき、生きる形状が変わっていくのは仕方がないこと。(中略)人は与えられた条件のなかで、自分の生を実現していくしかない。」

    こちらも見事な一作でした。続きを読みたい気もするのですが、この作品で終わりのようですね。名残惜しいです。

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    2025年07月22日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    「家守綺譚」の姉妹編。

    「家守綺譚」に出てきた村田氏が主人公の一冊です。
    梨木氏の小説はどれもそうなのだけど、淡々とした語り口なのに、気づけば止まらずに読み切ってしまう魅力と力強さがあって、この作品もそうした小説の一つです。

    世の中がだんだん焦臭くなってきている今だからこそ、心により強く響いた作品でした。

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    2025年07月12日
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)

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    面白かった!世界中の色んなバックボーンを持った人たちと心から関わり合えるのって素敵。個人的なことから人種やらのことまで幅広いエピソードがあって楽しかった。

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    2025年05月31日
  • 本からはじまる物語

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    面白かったー。
    「本」からはじまるのがテーマといっても、それぞれの作家さんごとにアプローチが違って、ジャンルもそれぞれで楽しかった。
    恩田陸さんの「飛び出す絵本」、「飛び出す」の意味をそう持っていくか、というのが面白いし、阿刀田高さんの『本屋の魔法使い』も素敵。石田衣良さん三崎亜記が久々だった。
    どれもよかったけど、やっぱり、なんと言っても朱川湊人さん!ここで猫の話が読めるなんて、最高すぎる。朱川さん、大好きだー。お初の山本一力さんも猫♪
    はい、もう、これはかんっぺきに猫本である!!

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    2025年05月26日
  • りかさん(新潮文庫)

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    「りかさん」
    幼い頃大切に抱いていた人形は、ぬいぐるみは、どこにやってしまっただろうか。あんなに楽しかった人形遊びをしなくなったのはいつだったか。温かい懐古と今を生きる私に寄り添ってくれるようなりかさんやおばあちゃんの言葉で胸がいっぱいになる。初めは奇妙な世界の話だと思ったけれど、じわじわと馴染んで、泣きそうになるくらい優しい。梨木香歩の作品は、いつも優しい。
    「ミケルの庭」
    「りかさん」の続編。幼子を可愛がる女性たち、皆、一様に優しく見える、幼子とは赤の他人なのに。
    母性とはなんだろうと、いつも思う。純粋に「可愛い」と想う気持ちのようでもあるが、私がこれまで読んできた文学において、多くの場合

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    2025年05月22日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    日常のふとしたことから、梨木さんが徒然に思いを馳せてゆくエッセイ。

    「ゆるやかにつながる」では、ツルの群れの話から私たち人間もまた群れる生き物だという話へ。
    「できるならより風通しの良い、おおらかな群れをつくるための努力をしたい。個性的であることを、柔らかく受け容れられるゆるやかな絆で結ばれた群れを。傷ついたものがいればただそっとしておいてやり、異端であるものにも何となく居場所が与えられ生きていけるような群れを。ちょっとぐらい自分たちと違うところがあるからといって…(略)…詰め寄り排斥にかかることがないような群れを。」
    これにはとても共感した。

    「世界は生きている」では、清里の森から様々に

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    2025年05月18日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    梨木さんの心情とともにエストニアを深く感じられる。エストニアに行ったことはないが、行ってみたくなり、人々の感性と優しい情熱が好きだった。

    エストニア人は、個人主義的な性格の強い、シャイな人たちで、群れるのを嫌うとこがあります。家の周りにも木を植える。防風林、というような実利的な面もありますが、なるべく人目を避けて、周りの人から見えないところに住みたいという気持ちが強いのだそうです。自然が大好きな人たちで、木も大好き。だから町中ですと生け垣が多いですが、田舎では、あんなふうに生長していく木を植えますね。目隠しの意味もあって。

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    2025年04月19日