梨木香歩のレビュー一覧
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ネタバレ先日読んだ本『金曜日の本屋さん』の中で、梨木さんの文章が「文字に色がついているみたい」とありこのエッセイ集を読んだ。
ほんとその通り!
何気ない日常のあれこれについて、梨木さん目線で描かれてあり、五感を大いに刺激された。
野に咲く貝母やスミレを「彼女」と親しみを込めて呼んだり、カラスとも意志疎通したりと自然や生き物に対して丁寧に接する姿勢が伺われた。
中でも「シロクマはハワイで生きる必要はない」「百パーセント、ここにいる」は心に突き刺さり涙が出た。
私にとって刺激されたり感心したりしながら、進むべき道を指し示す「羅針盤」となった。 -
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シンプルな紺地のカバーが、文学的な雰囲気の短編集。
しんとした気持ちで読みたい。
短篇集とはいえ、表題作の『丹生都比売』(におつひめ)は独立して一冊で出版されたことのある長さであり、あとがきによれば、これは核になるお話で、他の作品もここから同じ蔓が伸びていった…ということだ。
対象年齢も主人公の年齢もまちまちの、「ジャンル分けできない一冊」になった、というが、確かに同じ種から伸びている蔓のように感じられる。
登場人物も、人なのかどうなのかよく分からない物もあり、しかし読んでいて、目に見える形が人であれ植物であれ鳥であれ、それは些細なことのようにも思えてくる。
草壁皇子に関する、吉野裕子氏の説というのは初めて知るが、ああ、あるかも知れないと思ってしまった。
かなしい皇子である。
月と潮騒/トウネンの耳/カコの話/本棚にならぶ/旅行鞄の中からなかから/コート/夏の朝/丹生都比売/ハクガン異聞
『コート』は、姉妹のかさねた歴史がしみじみと、最後になつかしく哀しかった。 -
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物語中盤まで油断してた〜
確かに、タイトルからして何か重いものを示唆していたのだけれど、内容は多感な14歳の僕の日常ぐらいのものかななんて気軽な気持ちで読んでたのだけれど、途中、インジャちゃんが登場した辺りから、あ、やっぱり重い、今回の梨木さんはいつも以上に強いメッセージを持っていて、だから私も気軽な気持ちで読んでいられないって思った。
崩してた足をきちんと揃えて、これは真剣に考えなくてはいけないなと。
性のこと、戦争のこと、そして生のこと、頭パンクしそう。
自分、だいぶいい歳の大人なのに、コペルやユージンやその周りの大人みたいに、自分の脳味噌でちゃんと考える習慣ないから、つい思考停止。大多数の意見が正義って思っちゃう。
そんな時、梨木さんが、ちゃんと考えて!って教えてくれる。答えじゃなくて、自分で考えて!って。クレバーなだけな作家ならいっぱいいるのに、こんなに信頼できる作家さんってあんまりいないと思う。作家としてというより、人として尊敬。この方のエッセイ読むといつも思う。
あと、登場人物皆魅力的だけどさ、ショウコが、ジェンダーレスな女の子ってのが所々効いてる。この子だから語れる今、なんだよね。 -
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大切な本。
人との諸々の付き合いや、時代の大きな流れで自分を見失いそうになると、この本に帰ってきてすとんと自分の足下に落ち着く。
静けさに包まれ、それでいて開いている。
その生き方に、憧れをもった。
しかし生垣的な、ダルな境界を保とうとするからこそ、「そと」の流れは自分の近くまでに影響して、自分の足下はたやすくぐらつく。
開かれたまま、自分のぐるりのことに足をつけて、生活する方法を、自分のもとに手繰り寄せようと、繰り返し開く。
「春になったら苺を摘みに」の「夜行列車」で描かれたモンゴメリは、その方法を手にすることができず、境界をクリアにし、自分を守ったのであろうか。
わかる。人との境界をクリアに区切ったほうが、ずっとラクだ。
だけど、なぁ。
この「ぐるりのこと」と、「春になったら苺を摘み」を読んで、その境界をあいまいに。
クリアなものと、あいまいなもの。
二つの別方向のベクトルをなんとか、使い分けてみたくて… -
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梨木さんのエッセイやノンフィクションを読むとなぜだろうかいつも気持ちがすっきりする。
なにかもやもやしているとき、自分が嫌でたまらなくなったとき、梨木さんの文庫本をパラパラめくり目に留まる部分を読んでみたりする。わたしは梨木さんのことが好きなのだなあとしみじみ思う。
さあこの本はどんな事が書いてあるのかしら
「渡り」をする鳥たちを観て感じたこと・・鳥に限らず「渡り」をした人たちとの関わり・・「渡り」ができない植物・・鳥たちや自然とともにある人たち・・
そして梨木さんの、梨木さんの中で柔らかく時に激しく衝突して生る(なる)思いが素晴らしい・・
とりわけ鳥たちに対する、語りかけや問い、感動、それぞれが直球で、梨木さんの可愛らしさが感じられ、とても幸せな気分になる。
鳥に限らず生きているものはその中に測り知れない命のリズムを持つ。この本を読んで、鳥のことがとても好きになり尊敬の感情が湧いた。でもそれは鳥に対してだけではなく命に対しての尊敬、と感じる。
きっと私もあなたも、素晴らしい鳥だ。
辛いなと思っても、
「個の体験はどこまでもその内側にたたみこまれて存在の内奥を穿ってゆく」(78頁より)
だからこの先も、命を諦めず生きていこうと思う。 -
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ネタバレ渡りをする鳥たちの跡をおって、「案内人」の導きで北海道を歩く。
バードウォッチングの話かと思いきや、
それだけにとどまらない。
茸の話、戦争の話、それぞれの「案内人」に導かれ、その跡をおう。
広くて深い。
章のあとで、本文中に出てきた鳥について解説が書かれている。
それが、またいい。
「動物図鑑」にあるような学術的な無味乾燥な内容ではなくて、
観察をしている梨木香歩さんの個人的な思い入れも反映されています。
鳥にあまり関心がない人にとっては、とても分かりやすいし、
ほほえましい内容が、うれしい。
大好きな梨木香歩さんの作品です。 -
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14歳のコペル君と友達のユージン、ユージンの親戚のショウコ、その友達のインジャ。不登校のユージンの家の庭で再会したショウコ。そして、そこに密かに住んでいたインジャ。この生きにくい現代を、確かな自分を持って生き抜く中学生たち。そして、ちょっと浮世離れしたおじさんのノボちゃん。今を生きる若い世代へのメッセージ。
コペル君とおじさんと友人たちとくれば、当然「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎)が下敷き。私にとって吉野さんの本は座右の書。なので、当然この本は読みます。そして、感動!!
うれしくて、なんだか紹介文になってませんが、現代の「君たちはどう生きるか」になっていると思いました。 -
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作者の独特の感性を通して「今」が描かれている。その文章は美しく温和にも関わらず、鋭利な刃でもあるような気がした。確かに今を生きる僕たちは加速するばかりなのかもしれない。その先に何があるか分からないというのに。(2011年)
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また読んでみた(2023年)
・多様性はただそこにいることを受け入れることなのか?共感のような互いの侵食を必要とするのか?
・言葉は不便なものである。誤解も不信も生む。語るより何か作業を一緒にやるといい。
・総合学習、なりたい職業を決めて、どうやったらなれるか調べてみよう。それはマニュアル化の始まり、本当になりたくてしょうがないのか?を考えるのが先なのでは。スタートアップのマニュアル化の話と似ている。
・群れと個。群れの母性的な安定感、その裏返しには狂信的ファナティックと全体主義、無邪気な正義がある。