ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
8pt
〈山の深みに届いた生活〉に憧れ始まった八ケ岳の山小屋暮らし。 石造りの暖炉に薪をくべ、揺らめく炎の語りに耳を傾ける。 山庭の細い涸沢には雪解け水が流れ、鳥や草木が刻々と季節のうつろいを告げる。 自然界とのいのちの交流を通し、私たちの〈新たな日常〉を探る、地球視線エッセイ。 毎日新聞「日曜くらぶ」連載2018年4月~2020年6月掲載分を収録。 ※電子版オリジナル!新聞連載時の小沢さかえさんによる全挿絵をオールカラーで収録しています。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
梨木香歩さんのエッセイ 八ヶ岳での山小屋探しからはじまる。 贅沢は論外、本格ログハウスも身の丈に合わず、 新建材だらけもちょっと‥‥‥ とか、このエッセイ全体を通しての、価値観、本質に通じる部分かな。 冬の八ヶ岳おろしは凄まじく、 「あの突風具合ときたら。漫然とただ吹いていると言うのではなく、とき...続きを読むに屋根を剥いだりブロックまでもピンポイントで吹き飛ばしたりする」 山の中の植物、動物、特に小鳥たちとのやりとりが素敵に描かれている。 とても面白かったのが、かわいい小鳥たちに混じって、一際大きなカラスの「悪太郎」が飛来し、用意した餌の牛脂ボールを狙われる。 ベランダで強そうに腕を組んだりして見張って餌を守っていた。 たまたま、散歩に出て小川の水を飲んでいる悪太郎と目が合う。 大急ぎで帰ると、案の定、牛脂も、牛脂ボールも跡形もない。 何ともその様子が目に浮かびニヤけてしまう! 後半の一節に、日本の難民申請者に対する扱いの過酷さ。 中東出身二十歳Aさん。セクシャルマイノリティー で、本国では命の保障もない毎日。 日本で難民申請して狭い相部屋暮らし。 ある時、高熱、喉の痛みに苦しみ友人等の助けで病院へ行くも適切な治療も薬も与えられず、挙句保険も効かないため200%の請求が。 公立以外の病院は自由診療のため、300%の請求もあるとか! 「お・も・て・な・し」は金持ちの外国人に対してだけで、金にならない相手にはガラリと態度を変えるとしたら、日本人の品性が問われる。 自然の中で出会った素敵だけど過酷な冬の山暮らしや日々の生活、ひいては生きると言う事、のエッセイ、かな。 ずっと手元に置いて、時々開いてみたくなる一冊。
本当に大好きだなぁ p.115 昔された質問に、ようやく答えられる時が来たのだと思う。 のところが、じわっときた。
八ヶ岳の裾野の山小屋で過ごす時間を軸に、動植物や自然と自分のくらし、父、人生の終わり、言葉と政治など、身の回りのことを語るエッセイ。 梨木さんはいつも、表層を一枚ずつ剥がしてその深層まで描きこむようなお話を書く人だと思っていて、エッセイは「渡りの足跡」以来であまり読んでいませんが、こちらは小説と同...続きを読むじでかなりディープな部分まで踏み込んで書かれたんだなあ、という印象(他のをあまり知らないのでここは何とも、なんですが)。 ちなみに「渡りの足跡」は鳥の渡りという事象からさまざまなことに思いを馳せるエッセイ集。これを読んで梨木さんがガチのナチュラリストだったんだ、と知りました。 このエッセイ集では八ヶ岳の裾野に山小屋を買ってそこでの暮らしや出会いを中心に、イギリス留学でのことや各地に滞在したときのエピソード、そして父の死などから、いずれもその思い出から顕れる深い思索を、ページをめくるように紐解いていきます。 今回は特に戦争や政治にも触れていて、そのあたりのイデオロギー的な部分についての考えを初めて知ったし、そういったことを書く人とも思っていなかったので驚きもありました。中でも沖縄を訪れたエピソードは、僕自身も数年前に沖縄に能天気な観光で訪れた時に不意打ちのように集団強制死で生き残った人に出会ってしまい、ここにはまだ生々しい傷跡がたくさん残っているのだということに気づいて感じたことと同じようなことを書いておられて胸が熱くなりました。 [引用本文] あの日も、こんな気候だったに違いない。けれど、今はこんなに幸せだと、近くに眠る、誰にともなく語りかけるように、ことさら強く思った。強く思えば思うほど、この幸せを、ともに嚙みしめられるような気がして。それ以外に、どういう供養の方法があるのだろう。 (南の風 より) あとは言霊を使えば使うほど人が薄っぺらになると政治家の言動を皮肉ったりとかコロナで混乱する政治をあてこすったりとか世間が民主主義を手放さぬように警鐘を鳴らしたりとか、ちょっと突っ込んだ人柄が見えて面白かったです。 このエッセイでは自然の営みの上にそれぞれの人の暮らしがあって、他の命の流れと自分たちは切り離せないのだという深いテーマがあちこちに顔を出していて、そこはやっぱり梨木さんなんだな、と思ってとても共感できた、よいエッセイ集だと思いました。近年はエッセイなど、小説以外のお仕事が多いみたいなのでそちらもどんどん読んでいこう。
静かで豊かな文章で、読み終えるのがもったいなくてゆっくりゆっくり読みました。手元に置いておきたい一冊です。
自然を題材にした小説やエッセイを多く書いている梨木香歩さんのエッセイ集。最近新聞に連載したものを刊行したもの。西欧の紀行文や様々な場面での動植物の細やかな観察眼は、自然に対する造詣が深く尊敬の念を覚えています。 今回のエッセイの内容は、梨木さんの普段の生活に根ざしたものや家族に関することも含まれてい...続きを読むて、興味深くもありながら心に沁み入りました。表題にある「炉辺」の暮らし先を探し出す経緯やその八ヶ岳の山小屋での暮らしの場面の数々、そして彼女のお父様の看取りの経緯など、共感を伴う貴重な内容でずっしりときました。
とても静かで心に静寂がおとずれる本。 言葉遣いが独特で、まさに丁寧に紡いでおられる。 著者の自然への愛と敬意がひしひしと伝わる。 文章からだけで、火の暖かさ、厳しい寒さ、自然の驚異と凄みが全て伝わってくる。 冬の夜にすごくおすすめです。
読み始めてすぐ、思わず自分の通えそうな地域の別荘を探してしまうぐらい魅力的な炉辺のお話で、「これは何回も読み返すことになる」と確信しながら読んでいた。 勿体なくてちびちび読んでは置き、読んでは置きしてたが、久々に開いて読んだのが「秘そやかに進んでいくこと」 お父様の介護の話かな…と読んでいたら違っ...続きを読むた。 飲み込むには大きい話なので、続きを読めずそこで閉じて、しばらく自分の中で考える時間が必要になった。 こういうことがあるので、梨木さんのエッセイは、一般的なエッセイのように「小説と比べて気軽に読めるもの」ではない。 そして、つい先日亡くなった、遠くに住む祖父のことを思った。4月に急な病気で入院して以来、コロナ下で見舞いもままならず、入院まで同居してた叔父夫婦も、「意識のあるうちに会うことは叶いませんでした」と言っていた。 コロナが少し落ち着いて(ひと月早ければ誰も来れなかっただろう)、お葬式はたまたま祝日、皆に会いたかったんだな。本当は亡くなる前に会いたかったけど、ずっと念じてたことがこんな風に結果した、と思えた。 西の魔女の去り際の見事さ…「秘そやかに進んでいくこと」は人があちらへ行く時、最後に残していく魔法の話として読んだ。
暖炉の薪に火を入れるような 真剣さと、暖められる緩やかさを持って読み進めた。 片手間には読めない、一つ、一つ 心に響く。 自然との向き合い方、 動物たちとの関わり方、 ものとの付き合い方、 生と死の見つめ方、 そして、今、コロナ禍に どう考えて、時を過ごすのか。 たくさんの気づきがあった。 少...続きを読むし荒むようなひっかかりのある日々の中、 それをゆっくりと温めて、解いてくれるような。 時に、最後の一行に深い深い余韻が あって、さぁ、あなたはどう思う? と、優しい宿題を与えられたような 読後感もあった。 何度も読み返したい、素晴らしい一冊。
読んでいて、体の奥底からふつふつと温められているような気がした。 激しい言葉や暴力に訴えなくても、人は人を「焚きつける」ことができるのだなあと実感。
梨木香歩さんのエッセイを読むと、どの文章も、厳しく鋭く突き刺さってくるようだ。辛くなることもある。 なにかを感じずにはいられない。感じなくてはならない、このまま読み飛ばしてはならない。非常に覚悟を問われるのだ。 ——— 自分が死んだ後も世界はなくならない、自分だけが消えるのが怖い、といった感情は...続きを読む、確かに(精神が)幼いころにあった。 そして今は、自分が死んだ後も鳥は樹々は海は空はずっとある、と思う。そうあって欲しい。 『炉辺の風おと』p.115を読んでの感想。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
炉辺の風おと
新刊情報をお知らせします。
梨木香歩
フォロー機能について
「エッセイ・紀行」無料一覧へ
「エッセイ・紀行」ランキングの一覧へ
西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集
西の魔女が死んだ(新潮文庫)
ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
家守綺譚(新潮文庫)
海うそ
試し読み
裏庭(新潮文庫)
エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)
f 植物園の巣穴
「梨木香歩」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲炉辺の風おと ページトップヘ