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三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究員の山幸彦は、ふたごの鍼灸師のすすめで祖先の地、椿宿に向かう。山幸彦は、そこで屋敷と土地の歴史、自らの名前の由来を知り……。入りくんだ痛みとは何かを問う傑作長編。
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Posted by ブクログ
ちょうど高校生以来、派手に捻挫して土日を鬱々と過ごしているときに「そういえば主人公が痛みに悩んでいる読みかけの本があった!」と思い、手に取った。 リンクしている作品である「f植物園の巣穴」も高校生のとき、自分としては読みにくくやっとの思いで読み終わった記憶があったが、こちらは案外サクサクと読み終わっ...続きを読むたと思う。 痛みって人生を悲観させるよなぁというのと、最後の手紙の往復で話がまとまって腹落ちする結末だった。 私もこの痛みが去るのを待つことにする。
『f植物園の巣穴』の姉妹編。 めちゃくちゃ面白かった! この面白味も『f植物園の巣穴』があってこそ。 ということで、☆4だった『f植物園の巣穴』も☆5に修正し、こちらも勿論☆5! ご興味がおありの方は是非、『f植物園の巣穴』から読んでいただきたい。 まだ三十代だが頭痛・腰痛持ちのうえ四十肩と鬱に悩...続きを読むまされている佐田(後に頸椎ヘルニアも加わってもう大変っ)。 名は山幸彦(やまさちひこ)。 なんだか神話の登場人物みたいだが、名字は佐田! そう、『f植物園の巣穴』の佐田豊彦の曾孫にあたる。 そして従姉妹の名前が海幸彦(うみさちひこ)! いや、女性なので海幸比子(通称:海子)と書くのだが。 さらには実家の店子である鮫島氏の名が宙幸彦だと分かり、山幸彦は自身の名前の由来を辿り始めることとなる。 ところで。 痛みに襲われているのは山幸彦だけではなかった。 海子も、股関節が痛い、膝が痛い…とこれはリウマチ性多発筋痛症であることが分かったのだが、暫くして今度は左肩を骨折。 「なぜ、私たちにだけ、次から次へと痛みが襲ってくるのか。」 うーん、これって前作『f植物園の巣穴』で佐田豊彦が歯痛に襲われたのと同じ理由かしら? 過去の出来事が滞っていて、正しく時が流れてないっていう…。 痛みを取り除くために海子の勧めで訪れた仙人のような鍼灸師は言う。 「…世代を重ねて深まってきたややこしさを、本気でなんとかしようと思えば―ときほぐすということは、まず不可能にしても―ある程度のことを荒立てないわけにはいかない。」 「原因はひとつだけではありません。複数の意識されない痛みが絡み合い、どうにも無視のできぬ規模になり、仕方なく『そこ』に、本人にも自覚できる痛みとして顕れるものです。取り除くことはできない。完全に取り除くことが最善とも思われない。本人そのものと切っても切れない関係にある場合もある。」 鍼灸師の勧めで祖先の地:椿宿に向かった山幸彦は………。 山幸海幸共にあちこち痛いのだが、お話はユーモラスにぽんぽんと軽快に進み、前作よりも読みやすかった。 佐田のおじいさん(豊彦の次男:藪彦)、稲荷、福助、「椋の木」、鯉、…次々に『f植物園の巣穴』と合致してゆく。 「「痛み」は人を否応なく当事者にする。」 「家って、そういうものではないですか。禍々しいことも、楽しいことも、清らかなことも、およそ人間の営みならすべて受け入れてくれる…。」 「だって、僕の名前は藪彦だからね。藪っていうのは無数の生命の宿るところなんだよ」 「自分は大きい豊かな藪になって、小さな兄さんの道を道として成り立たせる」 「治水とは、読んで字のごとく水を治めることです。先祖の望んだ治水がこんなものであるはずがない。海と山は、滞りなく関連していくべきなのです。川は、そのためにある。」 「為すべきは家の治水」 「藪彦さんが、自分の孫たちに海幸彦山幸彦を名乗らせたかったのは、生き生きとした生命力の賦活を望んだからではないでしょうか。」 「痛みは単に、その箇所だけの痛みにあらず。全体と切り離しては個は存在しえないのです。」 「つながっている―死者も生者も、過去も未来も。」 山幸彦たちの名前の由来、結び付き、土地の様子や歴史、次々と繋がる事柄に、ページを捲る手が止まらず、ラストに向けて読むペースが上がっていった。 『家守綺譚』シリーズもそうだし、この手の梨木作品は本当に素晴らしい。 その土地土地の風土や神話、植物の名前、それらが巧みに盛り込まれて、趣深い作品に仕上がっている。 こちらの方向でまた新しい作品か続編を出して頂けたらなぁ。。。
何年か前に「五十肩」を患い、また「実家の空き家化問題」を抱える身として、馴染みやすい設定だった。 「f植物園の巣穴」の続編ではあるが、こちらは前作の主人公の曾孫の時代=現代のお話で、文体もとっつきやすい感じがする。結末も現代的というか現実的な印象。こちらを先に読んでもいいかもしれない(どちらが先で...続きを読むも楽しめるはず)。 前作となる「f植物園の巣穴」のレビューでは「フロイトの治療過程を思わせた」と書いたが、強引にいえば、こちらはユングの集合的無意識になるだろうか。 梨木氏の作品では人が生きていく上での「土地」との関わり方がテーマになることが多い。昨今は SDGs達成度がどうであるとかいうドライな情報が飛び交うが、そのようなデジタル情報よりも、こういった文学からウェットでアナログな感覚を得ることの方が、重要な気がする。 もちろん、それよりも、実際に自然から得られる感覚(センス・オブ・ワンダー)の方が大事なのだろうけども…。
なんでこんなに大きな話が生まれるんだろう この国つまり日本の土の香りとか、そういう局所的なテーマからのようでいて、宇宙とかセカイとか4次元以上の世界とか、とんでもなく大きいもののことを聞かされてる気になる 梨木さんはほんと何なんだ?
梨木香歩の椿宿の辺りにを読みました。 主人公の佐田山幸彦(通称山彦)は化粧品を開発する会社の会社員です。 最近、原因不明の痛みに悩まされています。 彼の従姉妹の海幸比子(通称海子)もまた原因不明の痛みに悩まされています。 海子が通っている仮縫鍼灸院の治療師の亀シの提案で山彦は彼らの祖父の実家のあ...続きを読むる椿宿に行ってみることになります。 なぜ彼らはそのような神話に関連するような名前をつけられることになったのか、祖父の実家の椿宿はどのような場所なのか。 祖父の実家に長年住んでいた竜子さん、その実家を歴史的な建造物として保存しようとしている珠子さん、竜子さんの長男の宙幸彦さんなどとの交流により、椿宿にあった神話的なわだかまりが解消されていきます。 その結果、山彦、海子の痛みも治癒するのでした。
「椿宿の辺りに」(梨木 香歩)を読んだ。 前回読んだ時の感想で『評価が分かれるかもしれない』と書いたが、やっぱり今回読んでみても、後半の手紙にまとめられてしまった部分が少し残念だという思いは変わらない。 がしかし、それでも私はこの作品が好きだな。 できれば続編を、とも思うが屋上屋か。
まさかのF植物園の巣穴と繋がるとは知らず読んでいてびっくり。意味がわからなかったけど、まさかのここであぁーーーと付箋回収された感じでした。 相変わらず面白い、山幸彦と海幸比子ってのも笑えたし2人のやり取りも結構好き。 山幸彦みたいな人と出会っても話したくないなー、この人にこんな変な物語聞かされた...続きを読むら単純に引くだろうなーと不思議な気分で一気に読破しました。
痛みに導かれるように椿宿へと向かう。 こんがらがっていた紐が解されるように徐々に優しくあるべき姿にもどる。 痛みの描写に何度も顔を顰めたけど、視界がだんだん見えてくるようになる展開は素敵です。
良いです。起承転結はあるものの浮き沈みが緩やかで先が気になるけれど淡々と進むお話。普段の日常って思い通りにいくこともそうでないことも受け入れたり抗ったり。それを踏まえた話の流れが綺麗で引き込まれる小説ですし、私は好きです。
ユニークなのは名前だけではない。 山彦と海子や母親とのやりとり、亀シの立ちふるまいなど、心の中はムハ、ニヒ、クック状態。 願いは体の痛みからの解放。それが名前や屋敷の謎、なんでこうなったを追うことにつながってゆく。 裏表紙の「深淵でいてコミカル」というのは、まさに言い得て妙。 どこかすっとぼけたよう...続きを読むな味わいも感じられて、私にはそこが一番の魅力。 この面々での日常を書いた、また違った作品も読んでみたい気がした。
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椿宿の辺りに
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