あらすじ
三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究員の山幸彦は、ふたごの鍼灸師のすすめで祖先の地、椿宿に向かう。山幸彦は、そこで屋敷と土地の歴史、自らの名前の由来を知り……。入りくんだ痛みとは何かを問う傑作長編。
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ちょうど高校生以来、派手に捻挫して土日を鬱々と過ごしているときに「そういえば主人公が痛みに悩んでいる読みかけの本があった!」と思い、手に取った。
リンクしている作品である「f植物園の巣穴」も高校生のとき、自分としては読みにくくやっとの思いで読み終わった記憶があったが、こちらは案外サクサクと読み終わったと思う。
痛みって人生を悲観させるよなぁというのと、最後の手紙の往復で話がまとまって腹落ちする結末だった。
私もこの痛みが去るのを待つことにする。
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大事な本になった
定期的な痛みがあって、それがなにから来ているんだろうと考えることもあった。
この奇想天外な成り行きで、鬱もいつの間にか姿を消しました。ただ、快方への兆しの揺り戻しなのか、鈍い痛みが続いております。痛みと言っても、大きな隕石がなくなった跡の、巨大な穴のようなもの、何か非常な体積のものが去った、そのことの痛みが、地面に記憶されるように残っています。この痛みには不思議な愛着を感じ、手放したくないような気がしています。過去の痛みの記憶による痛み―――何とも個人的な、誰にもわかり得ない類の、だからこそこれだけは自分のものであるという、不思議な根っこのようなものを持った気分でいます。
私は長い間、この痛みに苦しめられている間は、自分は何もできない、この痛みが終わった時点で、自分の本当の人生が始まり、有意義なことができるのだと思っていましたが、実は痛みに耐えている、そのときこそが、人生そのものだったのだと、思うようになりました。痛みとは生きる手ごたえそのもの、人生そのものに、向かい合っていたのだと。考えてみれば、これ以上に有意義な 「仕事」があるでしょうか。
それが結局は先祖からもたらされたものであるとすればこれもまた、今までの自分には持ち得なかった、敬虔な心情を引き起こすものであります。
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『f植物園の巣穴』の姉妹編。
めちゃくちゃ面白かった!
この面白味も『f植物園の巣穴』があってこそ。
ということで、☆4だった『f植物園の巣穴』も☆5に修正し、こちらも勿論☆5!
ご興味がおありの方は是非、『f植物園の巣穴』から読んでいただきたい。
まだ三十代だが頭痛・腰痛持ちのうえ四十肩と鬱に悩まされている佐田(後に頸椎ヘルニアも加わってもう大変っ)。
名は山幸彦(やまさちひこ)。
なんだか神話の登場人物みたいだが、名字は佐田!
そう、『f植物園の巣穴』の佐田豊彦の曾孫にあたる。
そして従姉妹の名前が海幸彦(うみさちひこ)!
いや、女性なので海幸比子(通称:海子)と書くのだが。
さらには実家の店子である鮫島氏の名が宙幸彦だと分かり、山幸彦は自身の名前の由来を辿り始めることとなる。
ところで。
痛みに襲われているのは山幸彦だけではなかった。
海子も、股関節が痛い、膝が痛い…とこれはリウマチ性多発筋痛症であることが分かったのだが、暫くして今度は左肩を骨折。
「なぜ、私たちにだけ、次から次へと痛みが襲ってくるのか。」
うーん、これって前作『f植物園の巣穴』で佐田豊彦が歯痛に襲われたのと同じ理由かしら?
過去の出来事が滞っていて、正しく時が流れてないっていう…。
痛みを取り除くために海子の勧めで訪れた仙人のような鍼灸師は言う。
「…世代を重ねて深まってきたややこしさを、本気でなんとかしようと思えば―ときほぐすということは、まず不可能にしても―ある程度のことを荒立てないわけにはいかない。」
「原因はひとつだけではありません。複数の意識されない痛みが絡み合い、どうにも無視のできぬ規模になり、仕方なく『そこ』に、本人にも自覚できる痛みとして顕れるものです。取り除くことはできない。完全に取り除くことが最善とも思われない。本人そのものと切っても切れない関係にある場合もある。」
鍼灸師の勧めで祖先の地:椿宿に向かった山幸彦は………。
山幸海幸共にあちこち痛いのだが、お話はユーモラスにぽんぽんと軽快に進み、前作よりも読みやすかった。
佐田のおじいさん(豊彦の次男:藪彦)、稲荷、福助、「椋の木」、鯉、…次々に『f植物園の巣穴』と合致してゆく。
「「痛み」は人を否応なく当事者にする。」
「家って、そういうものではないですか。禍々しいことも、楽しいことも、清らかなことも、およそ人間の営みならすべて受け入れてくれる…。」
「だって、僕の名前は藪彦だからね。藪っていうのは無数の生命の宿るところなんだよ」
「自分は大きい豊かな藪になって、小さな兄さんの道を道として成り立たせる」
「治水とは、読んで字のごとく水を治めることです。先祖の望んだ治水がこんなものであるはずがない。海と山は、滞りなく関連していくべきなのです。川は、そのためにある。」
「為すべきは家の治水」
「藪彦さんが、自分の孫たちに海幸彦山幸彦を名乗らせたかったのは、生き生きとした生命力の賦活を望んだからではないでしょうか。」
「痛みは単に、その箇所だけの痛みにあらず。全体と切り離しては個は存在しえないのです。」
「つながっている―死者も生者も、過去も未来も。」
山幸彦たちの名前の由来、結び付き、土地の様子や歴史、次々と繋がる事柄に、ページを捲る手が止まらず、ラストに向けて読むペースが上がっていった。
『家守綺譚』シリーズもそうだし、この手の梨木作品は本当に素晴らしい。
その土地土地の風土や神話、植物の名前、それらが巧みに盛り込まれて、趣深い作品に仕上がっている。
こちらの方向でまた新しい作品か続編を出して頂けたらなぁ。。。
Posted by ブクログ
何年か前に「五十肩」を患い、また「実家の空き家化問題」を抱える身として、馴染みやすい設定だった。
「f植物園の巣穴」の続編ではあるが、こちらは前作の主人公の曾孫の時代=現代のお話で、文体もとっつきやすい感じがする。結末も現代的というか現実的な印象。こちらを先に読んでもいいかもしれない(どちらが先でも楽しめるはず)。
前作となる「f植物園の巣穴」のレビューでは「フロイトの治療過程を思わせた」と書いたが、強引にいえば、こちらはユングの集合的無意識になるだろうか。
梨木氏の作品では人が生きていく上での「土地」との関わり方がテーマになることが多い。昨今は SDGs達成度がどうであるとかいうドライな情報が飛び交うが、そのようなデジタル情報よりも、こういった文学からウェットでアナログな感覚を得ることの方が、重要な気がする。
もちろん、それよりも、実際に自然から得られる感覚(センス・オブ・ワンダー)の方が大事なのだろうけども…。
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なんでこんなに大きな話が生まれるんだろう
この国つまり日本の土の香りとか、そういう局所的なテーマからのようでいて、宇宙とかセカイとか4次元以上の世界とか、とんでもなく大きいもののことを聞かされてる気になる
梨木さんはほんと何なんだ?
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梨木香歩の椿宿の辺りにを読みました。
主人公の佐田山幸彦(通称山彦)は化粧品を開発する会社の会社員です。
最近、原因不明の痛みに悩まされています。
彼の従姉妹の海幸比子(通称海子)もまた原因不明の痛みに悩まされています。
海子が通っている仮縫鍼灸院の治療師の亀シの提案で山彦は彼らの祖父の実家のある椿宿に行ってみることになります。
なぜ彼らはそのような神話に関連するような名前をつけられることになったのか、祖父の実家の椿宿はどのような場所なのか。
祖父の実家に長年住んでいた竜子さん、その実家を歴史的な建造物として保存しようとしている珠子さん、竜子さんの長男の宙幸彦さんなどとの交流により、椿宿にあった神話的なわだかまりが解消されていきます。
その結果、山彦、海子の痛みも治癒するのでした。
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「椿宿の辺りに」(梨木 香歩)を読んだ。
前回読んだ時の感想で『評価が分かれるかもしれない』と書いたが、やっぱり今回読んでみても、後半の手紙にまとめられてしまった部分が少し残念だという思いは変わらない。
がしかし、それでも私はこの作品が好きだな。
できれば続編を、とも思うが屋上屋か。
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まさかのF植物園の巣穴と繋がるとは知らず読んでいてびっくり。意味がわからなかったけど、まさかのここであぁーーーと付箋回収された感じでした。
相変わらず面白い、山幸彦と海幸比子ってのも笑えたし2人のやり取りも結構好き。
山幸彦みたいな人と出会っても話したくないなー、この人にこんな変な物語聞かされたら単純に引くだろうなーと不思議な気分で一気に読破しました。
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痛みに導かれるように椿宿へと向かう。
こんがらがっていた紐が解されるように徐々に優しくあるべき姿にもどる。
痛みの描写に何度も顔を顰めたけど、視界がだんだん見えてくるようになる展開は素敵です。
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良いです。起承転結はあるものの浮き沈みが緩やかで先が気になるけれど淡々と進むお話。普段の日常って思い通りにいくこともそうでないことも受け入れたり抗ったり。それを踏まえた話の流れが綺麗で引き込まれる小説ですし、私は好きです。
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ユニークなのは名前だけではない。
山彦と海子や母親とのやりとり、亀シの立ちふるまいなど、心の中はムハ、ニヒ、クック状態。
願いは体の痛みからの解放。それが名前や屋敷の謎、なんでこうなったを追うことにつながってゆく。
裏表紙の「深淵でいてコミカル」というのは、まさに言い得て妙。
どこかすっとぼけたような味わいも感じられて、私にはそこが一番の魅力。
この面々での日常を書いた、また違った作品も読んでみたい気がした。
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再読。身体の痛みから自分のルーツへと辿る物語。1冊を通しての時間の流れ方とか、現れる景色とか、梨木さん独特の世界の切り取り方が、読んでいて心地よい。
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化粧品会社の皮膚科学研究員に務める山幸彦は、耐え難い「三十肩」と、その痛みにより誘発された鬱に悩まされていた。そんな折、従妹の海幸比子も原因不明の痛みに苦しんでいることを知る。海幸比子の薦めで訪れた鍼灸師に促されるまま、山幸彦は祖先が住んできた椿宿の屋敷を訪れる。
本書は梨木さん自身が四十肩の痛みに苦しんだことから生まれたという。痛みというのは、とかく厄介なものである。私もこの数年、左顎から首にかけての圧痛が消えないでいる。精密検査も受けたが結局原因が分からず、まあ悪い病気ではなさそうなので付き合っていくしかないかと諦観している。ここに至るまで、それこそ色んなことを試した。そんな実体験もあったので、とても興味深く読んだ。山幸彦が藁をも掴む気持ちになるのもわかる。
とはいえ逆に、頚椎ヘルニアの痛みや痺れが過去の因縁が解決したからといって消えるもんかとは思ってしまう冷めた自分もいたり…。あと個人的に、登場人物の一人、珠子さんは苦手である。
本書は『f植物園の巣穴』の姉妹編とのことである。梨木さんならではの、生と死、異界との接続の物語に、記紀の日本神話が絡まり、深みと広がりが増している。私の場合、『f植物園〜』は読んだのはあまりに前過ぎて、内容をほとんど覚えていない状態だった。本書単体でも読めるが、両者は地続きの物語なので、事前に読んでおくほうが、より物語を楽しめたかもしれない。
Posted by ブクログ
親の因果が子に報い。的な。
f植物園の主人公はしょもない人だったけれど、やらかしがひ孫まで響いてるわーな椿宿でした。
ここ十年以上、あちこちで水害が増えているので治水にも思いを馳せたり。
やっぱりどこかいじっちゃいけないところをいじってきているんではないかとか。
それと主人公が祖母の余命を告げられた時に、もっと病院へ行って何かしてあげられるんじゃないかっていう介護士さんとのやりとりに、思うこともあったり。
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ストーリー自体はなんとも言えないひたすら退屈なのですが、やはり梨木さんの文章の面白みやユーモアが散りばめられているので最後まで読まないともったいない気分にさせられる。梨木さんが描く人間味が好きすぎる。
Posted by ブクログ
『f植物園の巣穴』姉妹編。
『f植物園の巣穴』より読みやすかったけれど、後半すんと終ってしまった。
映画のエンディングのような、お祭りの後のような少し寂しい感じがした。
佐田山幸彦のキャラが良かったので、山幸彦でまた別のお話を書いてくれないかな。
山彦と海子の会話がもう少し聞きたかった。
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その長い人生を終えようとしている主人公の祖母。
意識が朦朧としている中、先に亡くなっている祖父(本人からしたら夫)からのメッセージ「実家のお稲荷さんにお揚げ位、お供えしておくように」を主人公に伝えるところから話が始まる。
こんな形で歴史を辿ったりするとは思わなかった。
個人的にはこのタイミングで出会えてよかった本かも。
近代化が進んで、AIとかDXとか言われる今だけど
科学とか技術とかでは説明しきれない何かに
心の拠り所を見つけたくなるから。
Posted by ブクログ
この本を読んだ後、「f植物園の巣穴」を再読。
どちらも「痛み」を抱え、若くはない女性をガイドに、不思議な空間に誘われる。
「椿宿の辺りに」では、「f植物園の巣穴」で豊彦が突っぱねた「家の治水」について、何かがはっきりする。
椿宿のダム化計画に、椿宿の神が危機を感じて、山幸彦を椿宿に導いたのだろうか。
緩やかで不思議な空間が広がる。
Posted by ブクログ
おもろいやないか!
この人面白に関しては寒いと思ってたけどおもろいわ
"義理の叔母は多少慎重にはしていたものの、どこかに、大げさに言えば自由を告げられた囚人のような開放感が隠しようもなく滲んでいた。ちょっとした言葉のはしばしや、立ち上がるときの動作に、それを聞く前とは違う「切れのよさ」のようなものが見えるのだ。"
のところすごい分かる〜〜ってなった
仮縫って言葉が出てきたのが運命的だわ…
山幸彦は口調とか親にも敬語なところとかで真空ジェシカのガクの声で読んでる
思ったけど時折思うこの、「要らぬユーモア」というのは、面白くなかったら邪魔になっちゃうからだなと気づいた
話の筋に関係ないやろが!自我を出すな!みたいなことを思ってしまう
面白ければ「要らないけど遊び心のある人やな」となる
今回はこのユーモアがこの話を仰々しくさせすぎない、どこかコメディっぽさが全体に漂っていい雰囲気になってると思う
調和が取れてる
早の話だけど夏っぽいよねいつも
青々しい清涼感が漂ってる
だれてきた
ラノベっぽい
すみません最終的によく分かりませんでした
Posted by ブクログ
捉えにくい、不思議な話だった。
海幸彦、山幸彦という変わった名前の後ろに、先祖からの由縁があった。この身ひとつで今を生きていると思いがちだけど、沢山の由縁の中で繋がって今の自分がある。
Posted by ブクログ
難しいのだが、"f植物園の巣穴"と合わせて読んで、どうにもしっくりこない感触が有る。おそらく、"f植物園"の話が、主人公とその妻、そして会えなかった息子のそれぞれが過去に区切りをつけて進んで行けるような話と読めたので、それをもう一度蒸し返し、不完全な解決であった、とされてしまったのが納得行かないのだろうと思う。
"f植物園"では、家の治水を成すべき、と言われ、自分はいま生きている妻を大事にしたいのだ、という思いから「それは私の任ではない」と答えたはずと思う。過去の事はあっても、いま生きている人を大事にする、という姿勢が共感出来たのだ。それに対し、それが不完全であったから子孫にも身体などの不調が生じた、解決手段は土地と神の祀りを有るべき姿にすることだ、となってしまうのは少々残念に感じてしまう。
Posted by ブクログ
読み始め、主人公は女性なのかと勘違いした。化粧品会社の研究職で、丁寧な書かれ方にてっきりそう思ったんだが。
しかし、三十肩からヘルニアやらの痛みに耐えがたくなる話なのだが、軽やかなおかしみのある文章でその後はスラスラ読み進められた。
(引用)
「佐田さーん、佐田さーん」
亀シが突然屋敷の奥に向かって叫び始めた。その大音響にぎょっとする。もしも誰か出て来たらどうするのだ。
誰も住んでいない実家を訪ねたシーン。誰かって誰だよと思って笑ってしまう。
山幸彦、海幸彦神話やご先祖様たちや古い因縁話や怪しげな治療師などグイグイ引き込まれたんだけど、宙幸彦との手紙のやり取りで話がすっと胸に落ちたかというと、どうもスッキリしないんだな。
藪についてのお話は、「ぐるりのこと」を思い出した。
Posted by ブクログ
この物語をどうとらえたらいいのだろう。ファンタジーではないが、どことなくファンタジーのような気配がする。家にすくう何かが子々孫々祟るというほど強くい悪意は感じられないが、じわりじわりと気力を削ぐような痛みを突きつける。鍼灸師のすすめで祖先の地へ足を運ぶ山彦。彼の先祖の奇怪な行為はおどろおどろしくはないが、与太話にしては壮大で、ユーモアを感じる。
Posted by ブクログ
不思議な物語には、引き込まれずにはいられない。
ただ、これは『f植物園の巣穴』を読んでみないとわからないのでは…だから、最後の方は敢えてすっ飛ばして読んでしまった。
それにしても、最後の一文は素晴らしい。
Posted by ブクログ
読みは、椿宿(つばきしゅく)。
「f植物園の巣穴」の続編だと聞いていたから、なんと現代でびっくり。
巻き込まれ体質の語り手による地の文がシリアスでコミカル。あと亀シの口調も面白く、「かぐや姫の物語」の女童で脳内再生。
途中で割り切って、家系図を作った。ガルシア=マルケスっぽい読み方。
親や兄弟って、滞り、絡まり、しがらみ、という面もある。
神話に遡って、その上神話内に新キャラまで出して、随分自由だな>祖父藪彦。
しかし作品内で、登場しない人物(亡き祖父や曾祖父)が影響力を持つことはあっても、存在しなかった存在(道彦)の影響をここまで描くって凄い。
一見いい話に見えるが、ブツ切りの構成も含めて、まだ何か不吉な今後も想像してしまう……暗渠のように。
■冬の雨 009
■従妹・海子、痛みを語る 037
■祖母・早百合の来客 075
■椿宿への道・一 121
■竜宮 141
■竜子の述懐 160
■椿宿への道・二 165
■宙幸彦の物語 172
■椿宿 194
■潜んでいるもの 210
■先祖の家 230
■画期的な偉業 250
■兄たちと弟たち 269
■塞がれた川 301
■宙幸彦の手紙 321
■宙幸彦への手紙 352
◇巻末エッセイ 傳田光洋