梨木香歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃよかった……
読み終えた後、ゆっくりもう一周噛み締めて読んだ。
トルコへ留学していた考古学者の村田と、下宿先で出会ったいろんなものの友情(あえてこの言い方をさせてもらう)の、物語。
ずっと不穏な空気は流れていたのだけれど、前半と後半の対比があまりに鮮やかで後半はほろりと。鸚鵡〜〜。そこで「友よ!」はないてしまう。
過去があるから現在があって、過去は、想いはモノに宿るのかもしれない。
戦争も革命も苦しいけれど、国を憎まず、それぞれの信じるものをもち、友情をもつことはできる。
「家守綺譚」と世界が共有されているようなのでそちらもすぐ読む -
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Posted by ブクログ
「りかさん」
幼い頃大切に抱いていた人形は、ぬいぐるみは、どこにやってしまっただろうか。あんなに楽しかった人形遊びをしなくなったのはいつだったか。温かい懐古と今を生きる私に寄り添ってくれるようなりかさんやおばあちゃんの言葉で胸がいっぱいになる。初めは奇妙な世界の話だと思ったけれど、じわじわと馴染んで、泣きそうになるくらい優しい。梨木香歩の作品は、いつも優しい。
「ミケルの庭」
「りかさん」の続編。幼子を可愛がる女性たち、皆、一様に優しく見える、幼子とは赤の他人なのに。
母性とはなんだろうと、いつも思う。純粋に「可愛い」と想う気持ちのようでもあるが、私がこれまで読んできた文学において、多くの場合 -
Posted by ブクログ
日常のふとしたことから、梨木さんが徒然に思いを馳せてゆくエッセイ。
「ゆるやかにつながる」では、ツルの群れの話から私たち人間もまた群れる生き物だという話へ。
「できるならより風通しの良い、おおらかな群れをつくるための努力をしたい。個性的であることを、柔らかく受け容れられるゆるやかな絆で結ばれた群れを。傷ついたものがいればただそっとしておいてやり、異端であるものにも何となく居場所が与えられ生きていけるような群れを。ちょっとぐらい自分たちと違うところがあるからといって…(略)…詰め寄り排斥にかかることがないような群れを。」
これにはとても共感した。
「世界は生きている」では、清里の森から様々に