梨木香歩のレビュー一覧
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再読。この地を再訪した気分になり、1回目よりもすんなりと物語に入り込めた。懐かしい自然を破壊してのリゾート開発進行中のような結末にも、自分の老いや社会の変化をどのように受け止めていくことができるのかという示唆に富んでいた。やっぱり最終章は泣けた。Posted by ブクログ
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梨木さんのエッセイ集。梨木さんの物語はいつも静かに思想を放っていて好きなのだけど。エッセイでは逆に思いの丈を語り尽くすスタイルになっていて、それがまた自分の対外的なものに対しての漠然とした不満を代弁してくれたような快感がある。ふと目撃した物事から社会、文化の問題点に想いを馳せる想像力の飛翔が素晴らし...続きを読むPosted by ブクログ
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祖母のサワちゃん孫のコウちゃん。ふたりの真夜中の交流。水槽の灯りに包まれて、柔らかな時間を過ごす2人はきっとその時間だけ、別の時代を生きた同じ年頃の女の子でした。
おばあちゃんの生きた時代。戦前の、生まれのいい女学生だったサワちゃんの暮らし。機械音のない家の中で、手仕事を重ねて日々を営む暮らし。初...続きを読むPosted by ブクログ -
「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。
少しだけアブノーマルで仄暗い領域と緩やかに混じり合い静かな時間が緩々と流れているこの物語がたまらなく好き。
「家守綺譚」と合わせて何度でも読みたい。
「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。
旅行中のホテルの部屋でゆっくり読みました。
「家守綺譚」と合わせてこの二冊は...続きを読むPosted by ブクログ -
植物の名前がつけられた章立ての短編が連なった構成で、ひとつ、ひとつ、読んでいくうちに、綿貫さんのお庭からはるか鈴鹿の山奥まで旅していて、話も不在の竜が復活するのかしないのかどんどん壮大になって、どうなるんだと、思っていたら、ストンと迎えた終わり方に、ああ良かったと安堵していました。
イワナの夫婦が...続きを読むPosted by ブクログ -
2009年2月16日~17日。
ミクロが作りだすマクロな世界って感じか。
とても壮大な物語を読んだ気がする。
誕生と死、圧倒的な孤独、細胞の夢。
抽象的でもあり、非常に科学的でもある。
ぬか床なんて庶民的な小道具を持ちだしてきて、こんな世界を作ってしまうんだからなぁ。
ついで...続きを読むPosted by ブクログ -
数々の自然に対する造詣が深い梨木香歩のエストニア紀行文。エストニアがどこにある国なのか先ず確認する作業は厭うまでもなく、ページを開くと直ぐに地図が現れます。北欧のバルト海に面したロシアと隣合わせた位置でした。その旅の紹介は行きの飛行機内での様子から始まります。副題に「森の苔・庭の木漏れ日・海の葦」と...続きを読むPosted by ブクログ
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人がいかに簡単に周囲に流されるか、ということ。
この物語の中に、流れに流されたくなくて一人になることを選んだ三人が出てくる。
戦時中徴兵されることを肯じなかった人。
命の授業という名目で自分のかわいがっていた鶏を絞めて食べることを強制された少年。
心ならずもAVに出ることになってしまった少女。
もう...続きを読むPosted by ブクログ -
クレア・キップス著、梨木香歩訳「ある小さなスズメの記録」、2015.1(文庫)発行です。口絵・イラストは酒井駒子さん、解説小川洋子さんです。感動の書でした。第二次大戦下のイギリス、老ピアニストが出会った生まれたばかりの傷ついた小雀。愛情深く育てられた雀のクレランスとキップス夫人が共に暮らした12年...続きを読むPosted by ブクログ
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先日読んだ本『金曜日の本屋さん』の中で、梨木さんの文章が「文字に色がついているみたい」とありこのエッセイ集を読んだ。
ほんとその通り!
何気ない日常のあれこれについて、梨木さん目線で描かれてあり、五感を大いに刺激された。
野に咲く貝母やスミレを「彼女」と親しみを込めて呼んだり、カラスとも意志疎通し...続きを読むPosted by ブクログ -
シンプルな紺地のカバーが、文学的な雰囲気の短編集。
しんとした気持ちで読みたい。
短篇集とはいえ、表題作の『丹生都比売』(におつひめ)は独立して一冊で出版されたことのある長さであり、あとがきによれば、これは核になるお話で、他の作品もここから同じ蔓が伸びていった…ということだ。
対象年齢も主人公の...続きを読むPosted by ブクログ -
物語中盤まで油断してた〜
確かに、タイトルからして何か重いものを示唆していたのだけれど、内容は多感な14歳の僕の日常ぐらいのものかななんて気軽な気持ちで読んでたのだけれど、途中、インジャちゃんが登場した辺りから、あ、やっぱり重い、今回の梨木さんはいつも以上に強いメッセージを持っていて、だから私も気軽...続きを読むPosted by ブクログ -
文体から、いい子ちゃん小説かと思いきや、まったく逆ベクトルの凄まじい小説だった……!
悪意、暴力、女性性、旧約聖書の世界、罪と罰、罪悪感、の連鎖。
死体を石で幾度も打ち付ける場面には背筋が凍る思いをした。
願わくば最後に飛び出してきたエンジェルが、さわちゃんの心に届かんことを。Posted by ブクログ -
私にとって大切な本になった。
自然のことに精通している梨木さんの人間観察について書いてるところがとても好きだ。
思慮深くて読みながらうなずいてしまう。
特に好きなのは西郷隆盛について書いてるところ。通り一辺の分析ではない部分は読みごたえがあった。
儒教的精神について書かれているところも共感した。
「...続きを読むPosted by ブクログ -
梨木香歩さん訳と表紙で買いました
ピアニストのキップス夫人と体に多少不自由なところがある
イエスズメのクラレンスの12年間の記録
イエスズメの寿命は野生では2~3年程度
その何倍もの時間を著者と生きたクラレンス
淡々とつづられる戦中戦後の日々
歌う才能、老いとリハビリ
部屋の中で生き生きと日々...続きを読むPosted by ブクログ