梨木香歩のレビュー一覧
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梨木さんの世界。
はじまりは「ぬかどこ」。
世界に一つしかない細菌叢の世界。
しかも時間とともに変化し続ける。
一つの細胞から細胞膜、細胞壁、細菌、麹菌、動物、人。
脈々と続く時間の流れ。
境界のない世界。
とても大きな世界感。
人と人の結合がこのように語られるのか と驚き。
「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」もすごい伏線だと思う。
子どもの頃は100年なんて想像もできなかったけれど、梨木さんの世界に触れることで、今は1000年単位でも理解が出来るような気がします。
この本も大切な一冊になりました。
老若男女におすすめです。
で、読み終わってすぐですが、もう一度読み返して -
Posted by ブクログ
梨木さんの世界観。
とても素晴らしい。
「からくりからくさ」の蓉子さんが子供の頃のお話。
蓉子さんが素晴らしいのは、おばあちゃん(麻子さん)からもらった人形「りかさん」がいたからだったのか。。
蓉子さんもとても素敵だけれど、原点は麻子さんとりかさん。
「歴史って、裏にいろんな人の思いが地層のように積もっているんだねえ」
なるほど。。
人形を通して人の思いがある。
こんな素敵な人形に出会いたいと思いました。
文庫化のために書き下ろしされた「ミケルの庭」は「からくりからくさ」の後のお話。
こうやって作品が繋がると、読んでいてゾクゾクっとしました。 -
Posted by ブクログ
地球っこさんに教えていただいた前回読んだ「家守綺譚」がとっても面白かったので、次も地球っこさんが読まれていたこの本を読みました。
うーむ とっても面白い。
家守綺譚より、こちらの方がよりハマってしまいました。。
解説から
「穴」は垂直の移動。「川」は水平の移動を表す。
語り手の人生における、三つの大きな喪失を巡る物語。
この小説は、生と死の世界の間を往復し、死人と交流する物語でもある。
読み終えて、初めからもう一度物語をたどり直してみると、あちこちに差し挟まれたエピソードが、初読時とは違う深い意味を帯びて迫ってくる。
地球っこさん ありがとうございました。
梨木香歩さんの本をもう -
Posted by ブクログ
自粛生活に伴い実家から送ってもらった本の中から再読。以前はいつ読んだか思い出せない。
エッセイ本嫌いの私が、なぜかこの著者のエッセイ本だけは夢中になって読んでしまう。
2007年から3年間雑誌に連載していた短編を集めた本だが、社会が少しずつきな臭くなっていく流れを危惧する言葉も並んでいる。2020年の今読み直してもリアルタイムで感じている心の靄を共有できる。今同じように社会がきな臭くなってきたわけではなく、この頃から少しずつ少しずつ、首を傾げてしまうような変化が続いているんだと思う。そして著者の描く他人との距離感は、今の社会情勢だからこそ一読の価値があると思う。
この本の記憶は、狭い世界で豊