【感想・ネタバレ】僕は、そして僕たちはどう生きるかのレビュー

あらすじ

やあ。よかったら、ここにおいでよ。気に入ったら、ここが君の席だよ。
染織家の叔父ノボちゃんから「コペル」とあだ名された十四歳の「僕」。親の事情でひとり暮らしをしている。ある朝、土壌生物を調べに行った公園でばったり会ったノボちゃんを連れ、小学校以来疎遠になっていた友「ユージン」を訪ねることになる……。そこから始まる長くかけがえのない一日を描く青春小説。
現代の「コペル」は考え続ける。──モラルが失われたこの時代に、周りに流されず、友との信頼を築いて生きるには──?

電子化にあたり、植物等について後注26項目(著者監修)を追補しました。

*梨木香歩
一九五九年生まれ。作品に『西の魔女が死んだ』『裏庭』『からくりからくさ』『家守奇譚』『村田エフェンディ滞土録』『沼地のある森を抜けて』『この庭に』『f植物園の巣穴』『ピスタチオ』『海うそ』『岸辺のヤービ』、絵本に『ペンキや』『蟹塚縁起』『マジョモリ』『ワニ』、エッセイ集に『春になったら苺を摘みに』『ぐるりのこと』『水辺にて』『秘密の花園ノート』『渡りの足跡』『不思議な羅針盤』、 翻訳書に『哲学と子ども』『ある小さなスズメの記録』などがある。

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Posted by ブクログ

長く積読にしていた本。

これはどこかで聞いた話だけど、どんなに社交的な人でも、一人になる時間は必要だし、一方でどんなに一人が好きなひとでも、多少は人と関わる時間が必要ならしい。ただ、心地よいバランスが異なるだけ。

誰かといるから、不意に傷つくし傷つけるし、一人になりたくもなるけれど、群れるからこそ救われることもたくさんある。時に主張して、時に一人になって考えて、うまくバランスを取る方法を見つけていきたい。学んで考え続けることを続けていきたい。

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2025年10月19日

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インジャの苦しみ、ユージンの苦しみを思うと胸が痛みます。私は人を傷つけながら生きてきたのではないかと考えさせられています。

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2025年01月19日

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青春テーマの本探しにて。
うちが好きなのは大人が読んでおもしろい青春小説なのか。
たった一日の中で獲得する世界への気づき。外からのきっかけで見つけてくる内にいた自分。
そういう子どもたちがまぶしくてうらやましくて、うちにとっては「失われた青春」って感じなのかなあ。

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2024年11月24日

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たくさんの、本当に沢山の事を考えさせられる本やった。
『群れ』の恐ろしさ。でも、群れてないと生きていけない人間。
同調圧力。そして、無意識に圧力に押されて考える事をやめてしまう自分の心。
怖い。
きちんと、学んでおかないと、気付いたら戦争がおきてるかもしれない。おきてしまった後に気付いても遅すぎる。
きちんと、学ばなければ。

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2021年03月28日

Posted by ブクログ

中学生の姪によいのではないかと取り寄せ、まず自分で読んでみたら、すごくよかった。どんどんキナ臭くなってくる国を憂いてた梨木さんが若者のために書いた小説。同調圧力に負けない、些細な違和感を大事に、寛容であろうとすること、大人になるために大切なことがぎゅっと詰まっていた。

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2020年07月31日

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うこぎご飯はまじで美味しい。
うこぎは天ぷらも美味い。

私もコペルくん程ではないにしても、相手の気持ちを読んだり、色々考えるすぎる人間なので、言葉にできない生きにくさを子供の時から感じてた。
だから、自分に子どもが生まれた時、我が子にはこういう繊細な子になってほしくない、もっとイージーに生きてってほしいと思っていた。

でも、この本読んでその考え方は変わった。
世の中がこれからどうなるか分からない中で、考える力を持たないことはすごくか弱いことだ。

この本読んで、命が大切にされる世の中になってほしい、そうしなきゃ、という気持ちに行き着きました。

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2019年04月20日

Posted by ブクログ

苦くて消化しきれない草を飲み込まされたような感じ。
だけど、それを抱えたまま熱をもって群れて生きていかねばならないと思わされた

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2018年12月29日

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言いたいことは沢山あるけど、まず最初に感嘆したのは人物描写の豊かさ。ちょっとした会話の間や視線の動かし方、とりとめもな(いように描かれてるけどきちんと読者に効果的に伝わるようおそらく計算されている)く展開し連鎖する人間的思考、それら全てが事細かく表現されているけれど全くくどく感じない、絶妙なバランスによって登場人物たち(会話や回想にしか登場しない母親たちでさえ)に"生身"を与えている。
だからこそこの本の主題が"生きる"。なんでもない「普通の」男子中学生の一日(この分厚さで一日!)を何気なく描いているだけなのに、彼に(そして彼らに)舞い込んでくる"精神的主題"の多いこと多いこと!でもそれら"主題"を問題別として扱うわけでもなく、だからといって一緒くたにするわけでもなく、うまい具合に帰結させて「どう生きるか」に繋げる鮮やかな手腕は天晴!の一言。
考えてみれば我々が生きる今だってきっと同じように怒涛の毎日のはずで、それでも昨日と今日と明日で特になにも感じないのは、コペル風に言うと「自分の意識すら誤魔化すほどずる賢いから」に相違ないだろう。そういうスキルはもちろん悪ではないし、集団の中では円滑油になる、むしろ人を生きやすくするものだ。けれど確かに、他人を(もしかすると自分も)容易く踏みつけ傷つけるものでもあるだろう。だからコペルが最終的に結論を出したように、我々は常に「どう生きるか」考え続けて生きていかなければならないんだ、と強く思った。
参考文献の多さからも感じたけど、本当に考えて、考え抜かれて産まれた本だと思う。一応子供向け(なのかな?)みたいだけど、大人にも是非読んでほしい一冊だった。梨木香歩さんほんと好きだわ、、、

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2018年11月29日

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ネタバレ

人がいかに簡単に周囲に流されるか、ということ。
この物語の中に、流れに流されたくなくて一人になることを選んだ三人が出てくる。
戦時中徴兵されることを肯じなかった人。
命の授業という名目で自分のかわいがっていた鶏を絞めて食べることを強制された少年。
心ならずもAVに出ることになってしまった少女。
もう一度、書く。人はいかに簡単に周りの圧力に抗しきれなくなるものなのか。その結果を受け止められなくなったとき、いったん群れから離れて一人で生きることを選んだ。
一緒に命の授業を受けていて、ペットを殺されることになる友達の気持ちに気づけなかったコペルが述懐する。「何かがおかしい」って「違和感」を覚える力、ひっかりに意識のスポットライトを当てる力が、なかったんだ。
この表現は本当に的を得ている。
そして、さらにこの小説の深いところ(梨木果歩のすごいところ)は、同じ教室にいたコペル君が自分の行動、感情を洞察するところ。友達の気持ちに気づいていなかったのではなく、気づいていてそれをごまかしていたというところまで省察するところだ。

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2017年11月17日

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中学校でブックトーク。地味に見える本なので、なかなか手にとってもらえないけど、西の魔女…といっしょに紹介した。/辻塚

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2017年09月18日

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物語中盤まで油断してた〜
確かに、タイトルからして何か重いものを示唆していたのだけれど、内容は多感な14歳の僕の日常ぐらいのものかななんて気軽な気持ちで読んでたのだけれど、途中、インジャちゃんが登場した辺りから、あ、やっぱり重い、今回の梨木さんはいつも以上に強いメッセージを持っていて、だから私も気軽な気持ちで読んでいられないって思った。
崩してた足をきちんと揃えて、これは真剣に考えなくてはいけないなと。
性のこと、戦争のこと、そして生のこと、頭パンクしそう。
自分、だいぶいい歳の大人なのに、コペルやユージンやその周りの大人みたいに、自分の脳味噌でちゃんと考える習慣ないから、つい思考停止。大多数の意見が正義って思っちゃう。
そんな時、梨木さんが、ちゃんと考えて!って教えてくれる。答えじゃなくて、自分で考えて!って。クレバーなだけな作家ならいっぱいいるのに、こんなに信頼できる作家さんってあんまりいないと思う。作家としてというより、人として尊敬。この方のエッセイ読むといつも思う。
あと、登場人物皆魅力的だけどさ、ショウコが、ジェンダーレスな女の子ってのが所々効いてる。この子だから語れる今、なんだよね。

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2017年02月26日

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perho

本は必要なときに出会えると、誰かが言ってたとおもうけど、この本にはそういうふうに出会いました。
コペルくんみたいに素直に、謙虚に生きていけるよう、がんばろう。
なんとなく、傷つきたくなくて考えるということを避けてきたことが、やさしい言葉でまっすぐ伝わってきて、このままでいていいの?と問いかけられたという気がします。
これから何度も読み返す、大事な本になりそうです。

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2016年04月22日

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2015.6.13
どう生きるか。なんとなく周りに合わせて、なんとなく日々を送るんじゃなくて、自分の頭と心で考えて生きることをしていく。10代でこの本を読んでいたら私はどう感じてどうしていただろうか。様々な生き方がある中で、こううい人生を送っているのは自分が選んでいるからで、もう少しいろんなことに真剣に心を入れたら自分の人生濃くなるんじゃないかなと思う。

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2020年02月29日

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14歳のコペル君と友達のユージン、ユージンの親戚のショウコ、その友達のインジャ。不登校のユージンの家の庭で再会したショウコ。そして、そこに密かに住んでいたインジャ。この生きにくい現代を、確かな自分を持って生き抜く中学生たち。そして、ちょっと浮世離れしたおじさんのノボちゃん。今を生きる若い世代へのメッセージ。

 コペル君とおじさんと友人たちとくれば、当然「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎)が下敷き。私にとって吉野さんの本は座右の書。なので、当然この本は読みます。そして、感動!!
 うれしくて、なんだか紹介文になってませんが、現代の「君たちはどう生きるか」になっていると思いました。

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2021年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々な現代にある問題が、
コペルの周囲や、友だちなど身近な存在の問題として語られ、コペルがそれらについて考えていく。
中心としては、集団の考えに個が押し潰されてしまう状況下(集団の圧力)に耐えきれず、そこから距離をおいてひとりでならざるをえなかったコペルの周囲の人たちの話。
徴兵制、性的搾取、学校での安易な屠殺教育、ジェンダー、環境汚染など身近な問題からコペルは考えていく。そのなかで、自分が向き合えなかった問題に向き合い、自分の弱さを知る。
最後はやっぱり人には人(群れ)が必要なのだと思うにいたり、群れの温かさを必要としている人を受け入れられる人でありたいという思いで締め括られている。

感想
コペルや友人のユージンは中学生のはずだが、しゃべり方や思考の仕方が高い次元すぎてびっくりする!もちろん物語の中なんだけど!
最近よくニュースでも聞く問題が多く、身近に感じられる内容も多かった。ニュースで聞いているだけだと、その問題の表面しかわからないが、この本では、その渦中にいる人がぞくぞくとでてくるので、もし自分だったらどうするか、周囲にそういう人がいたら自分はどういう行動がとれるのかという視点でも考えることができた。

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2023年10月19日

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2007年から2009年にかけて掲載された本書は震災やコロナ禍を経てもその問題意識が古びることがない普遍性を持っている。
思考停止しないことの大切さ、
集団で生きるしかない人間どおしの思いやり、
まごころ、素直さの大事さを改めて考えた。
ユージンの家のマップを写真付きで作りたくなった。
植物の描写が豊富で興味が湧いた。

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2021年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学生のコペル、叔父と一緒に野草をとりに、ユージンの家を訪れる。

かつて子供の頃、何度も訪れたユージンの家。
広大な庭に広がる草木とのふれあい、不登校になったユージンに、そのわけを聞ける勇気もなく核心には触れずに接する二人。

ユージンの従姉妹のショウコも加わって、食べられる野草を探し、料理して食べる。
ショウコが話してくれたのは、この庭に人生に休憩を必要として一人でキャンプしている傷ついたインジャの存在。

迫害されたユダヤ人たちの過去と、自分が当事者だったとき集団の正義に目をくらましていたかもしれないという不安。

ユージンが不登校になるきっかけになった出来事。
教師がかざした教育の間違い。
嫌だと思ったことには、声をあげなければならないということ。

生きる術。中学生、高校生になったら子供に勧めたい作品。

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2021年11月28日

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人が悩んだり傷ついたりって、ほんとに本人しか感じない些細なことなんだろう。ユージンに取ったら些細なことではなかったけど、僕にとったら、え!あのことで!?ってなってた訳だから、人を傷つけたり泣かせたりしないで生きるって難しい。知らない虫の名前とか草木の名前が出てきて面白かった。

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2021年06月26日

Posted by ブクログ

本を読んで感想を書くというのは思った以上に難しいことだと感じています。もちろん、感想を書きやすい作品というものもあります。その作品を読んで共感を強く抱いた時、そんな時は心のままに感想がすらっと出てきます。その一方で、書きにくい作品というものもあります。共感が得られるかどうかはもちろんのこと、それ以上に自身の理解が十分でないという自覚がある時、これは感想を書くこと自体辛い時間になります。そんな思いを抱くことになった初めての作品。「僕は、そして僕たちはどう生きるか」、そういう意味でも忘れられない作品になりました。

『世界って、そもそも物に名前を付けようとしたことから始まるんじゃないか。でもその前からも、名前なんて関係なしに世界はあったはずだよなあ、ふと声に出して呟いた』という主人公・コペル。そのあだ名はその呟きを聞きつけた叔父が『お、コペルニクス的「反」転回』と言ったところから付けられたものでした。大学で教鞭をとる病弱な母と、それに付き添う主夫である父、結果的に14歳で一人別居することになったコペル。この作品はそんなコペルと染織家である叔父のノボちゃんがゴールデンレトリバーのブラキ氏と共に、不登校になっている友人のユージンの家に出かけるところから物語は始まります。ユージンの従姉妹のショウコも交え、二階で見つけた『時局本草』という『スグ役に立つ薬用食用植物』を参考に庭の草を採取し、『葉っぱごはん』を作る過程が描かれます。非常に細かい草木の描写が強く印象に残る一方で、ストーリー自体はあまりに起伏のない、のどかとも言える展開に、この作品は一体なんなのだろうか?と途中で集中力が途切れそうになりました。

ところが後半に入って、そもそもこの作品の本題はそんなところには全くないんだということかはっきりしてきます。油断の読書に唐突に降りかかる『万が一、徴兵制度が復活するようになったら』『ヒトラー・ユーゲント、って、ナチス青年団?』『こういうのって、つまり、全体主義の「初めの一歩」なんだろう』というようなこれが14歳の日常会話なのかという圧倒的な違和感が次から次へと襲ってくる中、『人間は、どうしたって、群れの動物なんだ。群れから遠ざかることはできても、全くの一人で暮らしていくなんてできないんだ』ということが繰り返し繰り返し語られていきます。14歳の会話の中に圧倒的なまでの説得力を持って語られる人間の本質を問う展開に、逆に本を前にして一人取り残されるような強烈な不安感が襲ってきました。そもそもこんなありえないほどの重さをもった展開は全くの想定外だったこともあり、息苦しささえ感じました。

言葉にできないという立場は弱いものです。言葉は力を持つが故に、そのこと自体に自分としては正しいとは思わなくても、自分がそれを否定する言葉を持てないために付き従ってしまう。こういうことって日常生活の場面でもよくあるように思います。『日本人として、日本のために何ができるのか?』このように問われた時になんと答えるでしょうか。その言葉自体は間違っていないでしょう。その国に暮らす者が、その国のために何かすべきというのは全くもって正しいことなのだと思います。でも、そこで言葉を持たなければ悲しい歴史は繰り返されます。でも、上手く答えられなければ大勢の声に飲み込まれざるを得ません。社会には色々な集団がつくられます。そして、その中でのルールが作られます。その時に言葉を持たなければ、これはもうその大勢に従うしかありません。個と集団、このバランス、人間として生を受けた以上、このバランスをどう捉えていくか、普段、時間をとって考えることもない問題ですが、実は日々の生活の中でこのバランスをとる日々を我々は無意識のうちに送っているのだと思います。思いもよらず、そういったことをど真ん中に捉えた作品に出会って、逆に戸惑っている自分がいます。

『命は本来、その命を呑み込む力のある別の生命力によって奪われるもの』『泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから』というような今まで見たことも、聞いたこともないような視点からの言葉が次から次へと投げかけられるこの作品。巻末の参考図書に並ぶ『学徒出陣』『兵役拒否』『教育勅語』などの言葉の重さが、梨木さんのこの作品執筆への強い思いを感じさせます。

ということで、冒頭に書いた通り、残念ながら私にはこの読書だけではとても整理をつけることができない圧倒的なインパクトを受けたこの作品。もっと読む力をつけて再読したい、そう感じた初めての作品になりました。

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2020年04月24日

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君たちはどう生きるか、という戦時中に書かれた自身の生き方を考えることに主題を置いた名著(ただし、結果として戦争を止めることはできず、それは後世の話かもしれないが)を受けて、その主人公にちなんだコペルと呼ばれる少年が登校拒否の友人であるユージンに会いにいくことに。様々な、もやもやを抱えて生きている少年たち、そのもやもやは言葉で説明できることではまだなくて、そして語彙だけでなく経験からも完全に定義できないものでもあり、そうしたことをより理解しようと近づいていく行為こそが、人生を彩る。ただただ大人になるだけなんて、本当に不幸だ。興味や好奇心とは、人を大きく大きくしてくれる。ゴールがどこにあるかはとにかく、自身の開かれた感性は、決して閉じてはいけない。そんなことを思った。
出来事は、衝撃のAVに出演してしまい、大きくというか壊滅的に傷つき、墓場というアクチュアルな死に場所にいたいという思いを持ったインジャと呼ばれる女の子との接触から大きく動き始める。コペルは、ユージンたちと一緒に、料理を作ったり、会話をしながら、かれらにとってとびきりの冒険の一日が少しずつ過ぎていく。群れの大切さ、心の拠り所としてのサードプレイスの大切さ、そして自分なりの生き方の定義、強く強く、前に進もうというメッセージ。自分のこととして、生き方を集団の中で、群れの中で感じ、そして希望を持つ子供たちから大人への成長の大きな一歩を描いている。

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2019年11月05日

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2015.5/7 梨木さんのエッセイを何冊か読んでいると、私たちを取り巻く世界や日本の政治、経済、環境などあらゆる現状にゆっくり咀嚼した言葉で警鐘を鳴らしている。本作品はその物語版か。エッセイだと直接的になり拒絶する人もいるかもしれないので、物語になり少年の思いや語りでより多くの人の胸に沁みてくれたらと願う。なにしろ先日のわが市議会議員選挙の20代の投票率が20%、全体でも40%ちょっとなんていう危機的状況ですから...

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2018年01月09日

Posted by ブクログ

ものすごく、重たいテーマの話でした。

私も、「軍隊で生きていける」「愛すべきやつ」の一人なのだろう。
少しの違和感があっても、社会的な、そして多数決の持つ正義という「正しさ」の前に、自分を誤魔化し、守り、「正しさ」を刷り込んで、卑怯に、あたかも善人の様に生きていくのだろう。

心が痛すぎる、一生気づかない方が完全な利己主義な考え方として、幸せなのではないかと思うエピソードがいくつかあり、本当に難しいし、入り込んでいて、答えは無いと思う。

でも、考え続ける事が、ちゃんと向き合って、見ないふりをせずに、考え続ける事が何よりも大切なのだ。

僕は、そして僕たちはどう生きるか

すごいテーマであり、全部読み終わったあと、この本を一番表している題名だと思いました。

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2017年09月17日

Posted by ブクログ

私個人の少年期を振り返ると、群れるより一人で居るほうが楽で、本作のメッセージとはリンクしなかった。ただ、群れることで息ができなくなるような、考えることをやめてしまうような感覚はうまく描かれて居ると思う。
AVの話しは要らなかったと思う。鶏解体の話しで十分重い。話しを盛り込み過ぎで、消化出来なかった。

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2017年01月04日

Posted by ブクログ

植物と、それを食べることへの視線が真摯で優しい作品が多いけれど、今回もそれが遺憾なく発揮された作品。山菜が美味しそう。
大勢に流されることの安易さと残酷さ、その中で自分の意志を貫くことの難しさと尊さを描いていて、身につまされる部分が大きい。
ただ、これからのことを考える作品だから仕方ないのだろうけど、なんとなく尻切れとんぼ感があるのが残念。

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2016年05月21日

Posted by ブクログ

コペル君のような子が自然体でいられる世の中だといいな、と思う。
私はノボちゃんのような大人でいたい。

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2016年01月10日

Posted by ブクログ

生活スタイルが個人的にすごく好き!
植物とか食とかの、その視線が好き。
そんな理由で登場人物が好きになっちゃう!

でもそんな彼らは、悩みがあるんだけど
ぜんぜん年相応じゃなく、僕からすると
オトナな悩みだし、尊敬の眼差しで本を読んじゃった。

なんか群れみたいなの嫌いだったんだけど
適切な?群れだったりしたら、いいかも
って思えたりするんだよね。

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2015年12月15日

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土壌生物、自然破壊、軍隊、戦争、性的搾取、同調圧力、ジェンダー、etc.
問題を感じる時、必要なのは考えること、向き合うこと。
私はユージンと似た所があり、言葉を飲み込む事がある。
ショウコの
『傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ』
の言葉にはそうだなぁと深く頷いた。
インジャの身の上話は唐突だったし、テーマが盛り込まれ過ぎて、何が深く心に残ったかよくわからなくなってしまったが、
生き方の道標みたいなものを思い出したい時に良い本かもしれない。

コペルの最後の言葉で表現される
『けれど、そういう「群れの体温」みたいなものを必要としている人に、いざ、出会ったら、ときを逸せず、すぐさま迷わず、この言葉を言う力を、自分につけるために、僕は考え続けて、生きていく。

やあ。
よかったら、ここにおいでよ。
気に入ったら、
ここが君の席だよ。』
素敵な生き方。
君も充分ヒーローだよ。

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

1930年代に、若い読者へ向けて書かれた本書は吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」の15歳のコペル少年と錯覚してしまう。本作は、主人公・コペルが染織家の叔父ノボちゃんと共に疎遠になっていた親友・ユージンの庭によもぎを取りに行った一日のことが物語となっている。

そして、その一日を共有した人たちが、それぞれの心に秘めている想い、考えを通し、作者が私たちに生きていく上での環境、社会について問題定義をしている。
それは、弱いものを従わせる力。リーダーの存在意義。集団の中での無言の強制力などを戦争、性犯罪、環境保護などの社会問題を背景に、自分たちの立ち位置を常に考えるように、また考えて続けることの重要性に訴えかけている。

つまりは、人が生み出す力の方向性を常に個々人がしっかりとした信念を持ち、理解していなければ、環境は、社会は想定外の方向に進んでしまうということを認識すべきであるということである。

本作の中に主人公・コペルの友人であるユージンが小学生の時に、飼っていたニワトリを担任というリーダーの力、クラスという集団の力に屈して、自分の意とは異なる経験を強いられた回想のシーンがある。この時、経験が、ユージンの居場所を閉鎖してしまう。また、それを意識していなかったコペル自身も、この日、過去の自分を悔いることになり、自分居場所を考えることになる。

ユージンの従姉妹のショウコが参加していたボーイスカウトでの先輩が犯罪をうける。その先輩も、それから自分の居場所を、閉ざしてしまう。

それでも、人間は群れの中でないと生きていけない。時に群れから離れたいと感じこともある。が、いつでも受け入れてくる群れ、自分の存在を認めてくれる群れを作ることが大切なのである。
そのことを考える続けることが、大切なのである。

そして最後の言葉に繋がる「生きるために、群れは必要だ。強制や糾弾のない、許し合える、ゆるやかで温かい絆の群れが。人が一人になることも了解してくれる、離れていくことも認めてくれる、けど、いつでも迎えてくれる、そんな『いい加減』の群れ。…『群れの体温』みたいなものを必要としている人に、いざ、出会ったら、ときを逸せず、すぐさま迷わず、この言葉を言う力を自分につけるために、僕は、考え続けて、生きていく。
やあ。
よかったら、
ここにおいでよ。
気に入ったら、
ここが君の席だよ」

いつもとは異なる梨木香歩氏を感じる作品であった。

ここ以降は余談であるが、「ボーイスカウト」の起源には、びっくりした。「ボーイスカウト」は、野外での活動を通じ子供に自主性、協調性、社会性、貢献性、リーダーシップの育成を目的とした集団活動の重要性を掲げているイメージで、その起源が組織軍隊であるとは、考えても見なかった。
確かに、言われてみれば、カーキ色の制服や野外での活動、キャンプなど軍隊での生活に通じるものがある。では、なぜ、「スカウト」と言うのかと不思議に思い調べたところ、このスカウトという言葉も軍部本隊との連絡を取り合う偵察隊役を意味する軍隊用語のようで、スポーツの世界で使用される「スカウト」とは、かなり異にする起源があり、驚いた。

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2020年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何かの問題を解決するという具体的な対象があるわけではない。登場人物がそれぞれの色を持ち、その人ならではの働きをする筋書のない物語。ただ田舎の自然の中で思い出を呼び起こしながら、遊んでいるだけのことだったように思う。インジャというキャラクターがどういう人か最後まで分からなかったなあ。群れることが大事だと最後に締めくくっている。僕も社会の中で群れが必要だ、仲良しさんを作っていいと背中を押してくれたストーリー。

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2020年09月30日

Posted by ブクログ

梨木香歩さんは私にとってちょっと特別な作家。

今回もこの本を読んで、いろいろ考えさせられて、こうして感想を書くにも言葉がうまくでてこない。

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2016年04月01日

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