梨木香歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全てがこの文庫のための書き下ろしというアンソロジー。
タイトルの『プレゼント』は、読者のためのプレゼントという意味もあるのかもしれないが、やはりアンソロジーのテーマでもあるのだろうと思ったら、リボンのかかった箱が出てくる話は一つもなかった。
裏表紙に書かれている紹介文によれば、テーマは「夏」なのだということ。
一編一編、方向性が違うが、そのうち三編は青春もの。
『真実のトランク』のトランクの存在が星新一のSFみたいで面白かった。
『無明』は、お役人がきちんと規則を守った末に、救わなくてはいけない人に手を差し伸べられていない、という短いけれど社会派の作品。
『見越しのマツ』は、梨木香歩さんらしく植物のお話。
【ウッドペッカー荘事件/伊坂幸太郎】
・和野尊(わの そん)ワトソン役。ヨフネの活躍を文章でまとめる。
・白河ヨフネ(しらかわ よふね)名探偵。「尊くん」を片腕に数々の事件を解決してきた。
【二つの宇宙/江國香織】
・僕/悠斗(はると)19歳大学生。一人暮らしをしているが、常にばあちゃん(実家に健在)に会いたい
・島袋茉莉加(しまぶくろ まりか)悠斗の彼女。悠斗がこだわる「ばあちゃん」に会いたがる。
【真実のトランク/宮部みゆき】
・教子(のりこ)53歳。夫に先立たれ、ビルのオーナーである弟が趣味でやっているバー『瑞季(みずき)』の雇われマスターをつとめる。若いころ数年勤めたバーでの出来事を回想する。
【きっとあの日の光と同じ/町田そのこ】
・稲橋瑛太(いなはし えいた)・中尾康生(なかお やすお)
高校に進学した春に、幼稚園からの幼馴染の康生(やすお)にカノジョができた。一つ年上の木戸先輩。友情は壊れた。おれも「ひと夏の恋」がしたい。
【無明/米澤穂信】
酷暑の八月、新宿駅東西自由通路で午後二時、母親が赤ん坊の首を絞めた。
【見越しのマツ/梨木香歩】
・久保田真美子(くぼた まみこ)
実家の向かいの「有賀」というお屋敷には、には大きな松の木がある。父は「見越しの松」と呼び特別に思っていた。主人が亡くなり住宅会社が松も切り倒して住宅を三軒建てた。
【伝説の季節/恩田陸】
・関根春(せきね しゅん)高三。「今年のサヨコ」に任命される。
『六番目の小夜子』はずいぶん昔に読んだのでほとんど覚えていないけれど、この短編は同じ世界観の中に存在するものだろう。 -
Posted by ブクログ
ドイツ生まれの絵本作家ブリッタ・テッケントラップの作品について、だいぶ前に読んだ「おなじそらのしたで」もそうだったけれど、老若男女問わず、誰の心にも響くような普遍性を帯びた作品を描くイメージがあり、それは本書も同様なんですね。
ブランコって、何故いくつになっても見つけると乗りたくなるのかという謎はともかく、ここで登場するそれは海の見える景観も抜群な丘の上にあって、そこを訪れる様々な人間模様を様々な季節や時間、状況を通して描くことによって、ここで登場するブランコが如何に皆から愛されていて、気のおけない友人のように人間や動物たちの心の支えになっているのかということを実感でき、それが正に皆にとっての大切な思い出という形で絵本化されたという印象でした。
漢字に振り仮名は付いているものの、詩とも捉えられそうな文章は内容的にも大人向けな上に、ページ数が絵本としては152ページと大長編で(文章自体は少ないのだけれど)、大人が少しずつ味わって楽しむには向いているが、子どもにはさすがに長すぎるか。ただ絵だけ眺めていても何かを感じ取ったり楽しめることは間違いないと思い、それはちょっと前の過去や、ちょっと先の未来を想像したくなるような生きた時間が流れている文章や絵の作り方がなんといっても大きいのです。
ブリッタ・テッケントラップの絵といえば、陰影を帯びたシルエットも美しい切り絵なんですけど、そうした専門的な事を知らなくても、ひと目見たら「うわーっ、きれいな絵!」と感じてしまうような、絵本を読まない人をも惹きつける魅力があるという点も、正に普遍的な作品だとは思うのですが、さすがにこのページ数は冗長に感じてしまうと共に、読み終えた後に何がいちばん印象的だったかと考えたとき、情報量が多すぎることによって、すぐにパッと浮かんで来るものが無かったりと、私の求めている好きな絵本とはちょっと方向性が違ったかなというのが正直なところです。時間をかけて、じっくりと描き上げた大作だとは思うんですけどね。