あらすじ
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
4人の下宿生と一体の人形が暮らす家を中心に物語は進む。
登場人物は、染織、機織りなどの手仕事に関わっていて、自然や手仕事を通して、人の生きることに対しての心持ちと言えるようなことが語られる。
機を織る。布を織る。
様々な色の糸を縦横に使い、一枚の布を織る。
簡単には織れない、地道な作業。
織り上がった布には表裏があり、様々な顔を見せる。
至る所で機織りはされ、たしかにその土地に根付いている伝統はあり、脈々と伝えられてきた。
自分の気持ちや境遇、良い時も悪い時も、ただ機を織る。
そうして手仕事をつないできた歴史があるということを知ることは、少しだけ人生を豊かにしてくれると思う。
物語の途中、様々な場面で、草木から色を出していく。
そしてその糸で紬が織られる。
名を残すのではなく、作った物で残っていく。
名は残らないけど、たしかにそれを作った誰かがいて、それは他の誰かの為に作られたもの。
手仕事が紡ぐ歴史は美しいと、改めて思う。
人が生きるということは、様々な縁という糸で織り上げられていくものなのかもしれない。
その織り上げた布は、自分は最後に見ることはできるのか。
見られず、誰かが見て「ああ、あの人はそうやって生きたのか」と思うものなのか。
そんなことをぼんやり考える。
Posted by ブクログ
「ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
「新潮社」内容紹介より
ちょと染色をする機会があって、それを友人に話したらこの本を紹介してもらったので読んでみた.
染色をするにあたっていろいろと調べてみたのだけれど、まぁ、奥の深いこと.この本にも書かれているように、こういう色が出るだろうというのはある程度分かっているけれど、材料の状態によって焙染剤によって思ったような色にならないこともある.こういう素材の場合はこういう反応が起こっているだろうというのは、化学的に分かってはいるのだけれど、様々な要因によって、色は変化するのだ.思ってたのと違う.この感想はたぶん染色をやっている人が誰しも経験することなのだろうし、きっとそれを楽しんでもいるのだろう.
染色と織物はとても深い関係にある.この本を読んでいて改めてそれを認識した.この本で描かれる4人(5人)の女性たちの共同生活は、それぞれ異なった色をもつ各人が一つ屋根の下で共に織る布のようだと思った.きっと各人の個性とその時々の感情が時間とともに様々な色を織りなすのだろうな.
Posted by ブクログ
古民家で自然と共にのんびりと暮らしている女性たちの物語りかと思いきや、りかさんにまつわる過去や彼女たちの内に秘めた激しい思いが淡々と描かれていて、心にぐっと刺さりました。
能面にまつわる過去のつながりがイマイチ理解しきれなかったのですが、伏線がちゃんと回収されていたのでだいたい分かりました。
Posted by ブクログ
素晴らしい梨木さんの世界。
「りかさん」という本の続編だと、読み終わってから知りました。
祖母の遺した家に住む蓉子とアメリカから日本の鍼灸の勉強をし蓉子とランゲージエクスチェンジをしているマーガレット、機織りをする紀久、テキスタイルの図案を研究している与希子の4人の女性の共同生活。
草木染め、機織り、紬、能面、人形と日本の伝統文化とクルド人の背景も交えながら生きることの意義を教えてくれる。
これも大切にしたい一冊になりました。
手元に置いていて何度も読み返したい一冊です。
Posted by ブクログ
何冊か彼女の長編小説を読んでいるが、いつもその重層的な構造に、もしくはその絡まり合う要素にいつも目眩がする。考えてみれば、初めて読んだ「ピスタチオ」からしてそうだったのだが、その後の「沼地のある森を抜けて」など、複数の作品に共通している。そして、あえて共通項を探せば、女性、手仕事、自然、時代ということになるのだろうか。
そして、最後にカタルシスを伴うような圧倒的な事象が起こることも共通か。
などと分析されることを望んではいないのだろうが・・・
Posted by ブクログ
全容を理解できなかったけど、共感できること、心に落ちてくるものがあった。四人の女性たちも互いにそうなんだろうと思う気がするから、分からなくていいとも思えた。
Posted by ブクログ
なかなかに複雑だけど面白い!
登場人物も意外に多いし
染め物の知識からお家騒動
クルド人の置かれた文化的背景などなど
単独でピックアップされても充分な
お話が唐草のように絡みあって
からくりが解けるように終わって...
じっくり知識を持って読むと
もっと面白いかなと思いつつも
知識薄くても読み応えあって
素敵な物語だった!
Posted by ブクログ
難しかったです。ずっと前に読んで、どうにもこうにも自分の中で「読めた」という感触がなかった記憶があり、今回はもうだいぶ歳も重ねたし、「読める」と思ったのですが・・・(以前、全く楽しめなかった「村田エフェンディ滞土録」は、数年後に読んで大好きになったという経験があったのですが、今回はそうはいかなかった・・・!)
草木染めの修行をしている蓉子は、亡くなった祖母の家に住むことにし、学生の下宿として部屋を貸すことにします。集まってきた下宿人は、同世代である美大の学生の紀久、与希子とアメリカ人のマーガレット。紀久は紬、与希子はキリム織りの研究をしており、マーガレットは東洋医学を学んでいます。4人に共通するのは今では「タイパ」や「コスパ」という点から嫌煙されがちな「手仕事」が好きというところでしょうか。その4人ともうひとり「りかさん」という蓉子の市松人形が、網戸もない古い日本家屋で、庭で摘む草花を食卓に出したりと、なんとも俗世離れした共同生活を送ります。「りかさん」を軸に下宿人たちの宿世の縁がだんだんと明らかになっていきます。
染物の話、織物の話、能面や人形の話、そしてたくさん出てくる植物の名前。なんだか作者の興味の深さと知識の豊富さに圧倒され、そのどれにも詳しくないのに、こう、飲み込まれていく感覚が少し息苦しかったです。それにしても、マニアックすぎませんか。こんなマニアックな話、どれだけの人に受け入れられたのかと要らぬ心配をしながら読んだのですが、そこはさすが梨木香歩というべきところでしょうか。どうやらたくさんの人に読まれ、評価されているようでした。かくいう私も、今回も「読みきれなかった」という思いは強いものの、「嫌い」にはなれず、またいつか、とリベンジを誓ったのでした。
たくさんの人がレビューで書かれていましたが、とにかく相関図がないと関係が複雑で、もうこんがらがっちゃいます。途中からネットで拾った相関図をチラチラ見ながら読みました。「りかさん」からこんなふうにつながるとは、まさに「宿世の縁」でした。
ふと出てくるマーガレットの過去の話で、ピーナッツバターとジェリーのサンドウィッチの話は胸に迫るものがありました。日本語が母語ではないマーガレットが、端的に語るこのセリフは、漠然とした表現になりますが、梨木香歩さんにしか書けないと思いました。梨木香歩さんにしか、マーガレットに語らせることはできないというか。
竹田という与希子が惹かれている青年が、共通の知人の神崎についてその人となりを語るところがあるんですが、こんな表現力ある大学生がおる?!と変なところで深く感心してしまいました。しかも、すごく説得力があるんです。神崎ってそういう人よね、と納得してしまうところと、そういう類の人っているよね、と一般論的にも納得してしまうというか。神崎がこの4人の共同生活にもたらしたものは大きすぎますが、なんだか本質はそこではない気がしました。神崎の件は、あくまで支流というか。うまく言えないのですが。
神崎といえば、トルコに渡り、自身の危険を顧みずにクルド人の奥深いところまで入っていこうとします。唐突に出てきたように感じるクルド人というトピックはマーガレットとつながりがあるのですが、梨木香歩さんがどうしても避けて通れないことなんだろうな、と思いました。ここも作者の「書かなきゃ」という感じが胸に迫ってくるようで、息苦しいような、でもやはり必要なんだろうなというような・・・
最後、作品と大事な家が燃えあがってしまうところは、登場人物の芸術的感覚に全くついていけませんでした。が、先述したように、決してこの小説を嫌いだとか無理だとか思えないものがありました。
それぞれの暮らしや興味や過去からのつながりが、縦糸と横糸になって織り込まれた一枚の織物のように壮大な物語でした。
それにしても終始、主人公である蓉子自身が私にとってはなんだか不思議な人でした。浮世離れしたというか、何か特別な力を持っていそうな、つかみどころがないのに、一番地に足をつけて生活しているような。自分とは対極にある人のように感じられ、羨ましさが勝ったのかもしれません。
次は「りかさん」を読みたいと思います。これは、どうやら本書より前の蓉子とりかさんの話らしいです。この二冊をどの順番で読むか悩みましたが、出版順に読むことにしました。
Posted by ブクログ
若い女性4人の古民家共同生活の中で発覚する意外な繋がりのお話
以下、公式のあらすじ
---------------------
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
---------------------
以前読んだ時は誰が誰の先祖だって?と色々と混乱しながら読んだけど
今回は若干は頭の中で整理しつつも十分には把握しきれてない
やはり読書ノートをつけるべきだったか……
おばあちゃんの家で同居する4人
主人公の蓉子、鍼灸の勉強のために日本に来ているマーガレット、機織りの歴史を調べている内山紀久、織物の図案に興味がある佐伯与希子
たまたま同居を始めたのに、人形の「りかさん」をきっかけにした過去の繋がりが発覚し……
染物の不思議
植物を煮出して染めるという単純な作業なのに
元の植物からは想像できないような色になったり、同じ素材を使っているのに同じように染まらなかったり
これだからあてにならないのか、たまらないのか
このやりとりは前に読んだときの記憶が今回も残ってた
思った通りにならなくとも、それを面白がれるかという事なのでしょうね
りかさんの存在がかなり思わせぶりではあるんだけど
あの結末で本当によかったのかな?
以前読んだときは、「りかさん」を先に読んでいたので、りかさんはいつまた話し始めるのだろう?と思いながら読んでいたのだけどね
この作品の後に、蓉子さんが子供の頃のりかさんとの出会いを描いた「りかさん」があって、それにはこの物語の後日談になる「ミケルの庭」も収録されている
どっちを先に読む方がいいのでしょうね?
いっそ、りかさんの収録作をバラして時系列が一番いいのかもしれない
あと、トルコのクルド人のエピソードも入っている
梨木香歩さんとトルコと言えば「村田エフェンディ滞土録」を思い浮かべてしまう
トルコ、何か繋がりがあったりするんですかね?
Posted by ブクログ
精神世界と物理世界が絡み合う表現に編み物を使うというのがいい。美しい世界。一つ気になることは、妊娠は嫌だ。その話題は読みたくない。気持ち悪いのだ。
唐草の先は…
紙の本で読んでいたものを買い直しました。
再読にも関わらず、えっ? この人とこの人にこんな繋がりが? この先どうなるの?? と思いがけない展開に驚かされます。きっと、静かな始まりからは予想だにしないラストだと思います。
Posted by ブクログ
昔懐かしいおばあちゃんの家を思わせる、古い日本家屋。住んでいるのはイマドキではない、勉強熱心で深い思いやりを持つ表現者達、かつ草木や生き物、織物、染色に専門性がある。
空気感が心地よく、夏の終わり、西陽の入る縁側などを思い起こさせる。個性的な4人は二十歳そこそこ、プラス神秘的なリカさんが居る。
謎解きミステリーのような感じもするが、国際問題や大学や社会の理不尽、古い街や家のしきたりなど、盛り込まれている。彼女たちの前向きな好奇心と素直な性格がホッとする。
ストーリーは複雑だが、世界観はすきです。
Posted by ブクログ
梨木さんの場景描写力は素晴らしい。
日本語の美しさ、日本の自然や四季の変化の美しさを、改めて深く丁寧に教えてくれます。
4人の女性が共同で暮らす古い家。
丁寧に、真剣に生きる女性達が魅力的に描かれています。静かだけど情熱的な作品です。
Posted by ブクログ
「りかさん」を先に読んでいたので
すんなりと物語の世界に入れた。
大人になった蓉子は染織の世界へ。
祖母の家での同居人は機を織り、
織物の研究をし、針灸の勉強とそれぞれ。
庭の植物や穏やかな暮らしのなかに
人の思いや現実があり
人形や織物が過去を物語る。
3人の合作の最後の様子は圧倒され
一瞬の芸術というのもあるのだなと
思った。
Posted by ブクログ
りかさん、の主人公のようこが大人になった蓉子としての新たな物語。
祖母が亡くなって、かつて祖母が住んでいた家を下宿にすることになり集まった若い女性たち。
孫の蓉子は染色、アメリカ人のマーガレットは鍼灸師を目指し、紀久は機を織り、与希子は機と図案の研究。
4人とも手仕事を共通にしながらの共同生活。
蓉子の大切な市松人形のりかさんは
祖母の喪にふしたまま、ひっそりとしたままだった。
4人で協力しながらの生活
紀久の故郷で墓の中から見つかったりかさんそっくりの人形。
それを辿っていく中でわかる与希子の家系と遠い親戚だったという事実。
紀久が必死に書いた機織りの原稿を大学教授に横取りされそうになる騒動。
マーガレットが身籠った子供、その相手の神崎が滞在しているトルコ、クルド人のこと。
4人の手仕事が集結した作品をお披露目した日。
与希子の余命僅かの父のタバコの火によって燃えていったりかさんの最後。
書ききれないほどの話の内容の濃厚さ。
りかさんの最後、ありがとうだ。
Posted by ブクログ
高校生で読んだ際は、自分の好きなワードがたくさんあるはずなのに、どうしてか内容が頭に入らずもやもやしていました。
再読してみて、紀久の心情を通し物語にすんなり入り込めるようになっていました。
物語がゆったりと進行しているので、一読してから長い時間を置いてみて、また読んだのが良かったのかもしれません。自分の中で上手く消化できた気がします。
古民家、人形、染織といった日本的なワードが散りばめられていますが、マーガレットの存在や中近東の話題、クルドのことが違和感なく語られていて、織物の縦糸と横糸を丹念に編んでいくような小説です。
Posted by ブクログ
日常のことなのに、不思議な世界観を纏っているように感じる。
出てくるものが、少しずつ近づき繋がっていく。
日々の変化や、知ることが辛いこともあるけれど、乗り越えると違うものを得たりできるというようなことをなんとなく読んでて感じた。、
Posted by ブクログ
ふしぎな物語だ。時間が止まったような一軒家で共同生活を始めた若い女たち。容子は染色、紀久は日本の紬織り、与希子はキリム織と、それぞれが伝統的な手仕事に打ち込んでいる。
それに鍼灸を学ぶマーガレットを加えて4人、と言いたいところだけれど、この家には実はもうひとりいる。それが、容子が祖母から受け継いだ人形の「りかさん」だ。容子が子どものころから会話を交わしてきた「りかさん」は、いろんな女の子たちとともに長い時間を過ごしてきた記憶と知恵をたくわえているようだけれど、容子の祖母が死んだ時から、その魂はどこかへ出かけているらしい。
つまり、この若い娘たちは、気が遠くなるほど多くの、ひとりひとりの名前を超えた何かを織り続けてきた女たちの営みを、自ら引き継ぐ者たちであるわけだ。さらに、紀久の祖母の墓の中から、「りかさん」にそっくりな人形が現れるあたりから、彼女たちが受け継ぐ歴史は、まさに蔦のつるのように、互いにいっそう複雑に絡み合うようになる。どうも、江戸時代に「りかさん」を作った非業の人形師とその周辺の人々は、彼女たちの親戚関係の中で、みなつながっているようなのだ。
これがふつうの小説ならば、過去の数奇な因縁によって結びつけられた現代の女たちは最後に真相を知ることで、すっきりとした近代的個人に立ち戻るところだけれど、もちろん梨木香歩の小説だから、そんなことにはならない。人形師の打った面が引き起こしたとされる大名屋敷内で起きた陰惨な事件に端を発する因縁で結ばれたつながり、さらには、彼女たちの周辺にいる男をめぐるつながり、そうした、個人の意思を超えたつながりによって結びつけられている関係を、彼女たちは厭うどころかむしろ積極的に確認するようなそぶりで、共同制作へと進んでいくことになる。
「生き物のすることは、変容すること、それしかないのです。…追い詰められて、切羽詰まって、もう後には変容することしか残されていない」。
手仕事からしだいに遠ざかって、自分を超える大きな流れが見えなくなってきているわたしたちのために、蔦唐草の模様の中に織り込まれてきた智慧を差し出してくれる作品だ。個人とは、わたしひとりのぶんだけではないということ。つないでいくためには、変らなくてはならないという智慧を。
Posted by ブクログ
10代、20代のころにこの本を読んでもおそらくあまり響いてこなかっただろう。確かに毎日を生きることは機織りのようであり、ふりかえってみると人生はその織物のようだ。
変化はしんどいものであり、代償を払うものなのだと筆者は書いているが、織物から人形そして家が炎に包まれた瞬間、悲劇的な場面をそれは美しい情景として描かれているのが印象的。
そうか。人の死も同じなのかもしれないと感じた。
Posted by ブクログ
人形のりかさんを含め登場人物の動きがいい。
それぞれ性格も違うのに、ツナガリが深いのは解説にもあるように「手作業」にヒントがある?
染色や織物に関する記述も興味深い。
Posted by ブクログ
染めや織り、能、植物の知識もなく、それぞれのルーツや情報量が多すぎてなかなか読むのが難解だったけど途中で読むのをやめようと言う気持ちにはならなかった。古民家で丁寧な暮らしをする日々や、だんだんに謎が解け繋がっていく感じがよかった。『りかさん』を読んだらまた読み返してみようか…
Posted by ブクログ
「りかさん」の前日譚。
発売日的にはこちらが先。
ただ、先に「りかさん」を読んだほうが、理解しやすいと感じた。
むしろそうじゃないと、「?」となる部分が多い。
4人の女性の同居を通じて描かれる物語。
「容子」は前作の「ようこ」が大人になった姿。
唐草模様のように、縦横無尽に絡み合っている様は、なるほどタイトルどおり。
人形主体であった「りかさん」に対し、こちらは人間主体のよう。
ただし4人以外の人物関係の把握がなかなか難しい。
背景や世界を思い浮かべながら読むと、牧歌的な雰囲気を感じられた。
Posted by ブクログ
作者さんの作品、今回も難しかったです。
本のカバーに書かれているのを読んでこれならと思いましたが。
女性4人の共同生活の物語です。
この作品にも沢山の草花について書かれていて、そのつど調べながら読みました。
知らない言葉についても同様に。
読んでいると彼女達の過ごす家が浮かんできます。けれども共同生活の物語としてだけではなく、世界情勢まで話は広がります。
それだけではなく…次々と。
きちんと理解出来て読めたかはわかりませんが、読んでいる間は心地良かったです。
Posted by ブクログ
蓉子の祖母が亡くなり、その家に4人が同居することになった。染物修行中の蓉子、東洋文化を学びにきたマーガレット、紬(つむぎ)専門の紀久、キリム(中近東の図柄)に興味を持つ与希子の4人である。蓉子が大切にしている日本人形、りかさんを中心に、蓉子・紀久・与希子の関係が明らかになっていく…。
日本人形が元々苦手だったから恐る恐る読んでいった。染織に関する専門用語や、複雑な人間関係が話を難しくさせていて、具体的に細かいことを想像するのが困難だった。
Posted by ブクログ
丁寧な共同生活が目に浮かぶ私の好きな世界観の本だった。ただ、植物や染色、織物の知識が、特別有るわけではないので、世界観の半分もイメージしきれなかったように思う。個人的には、いろんなエッセンスが散りばめられすぎていて、結局どうなったの?と言うこともあり、消化不良な感じが残った。
Posted by ブクログ
女の子4人が住んでいる雰囲気や関係性は好きだけど、話が難しい、言葉が難しい、最終的な終わり方がわからない、、読むのにものすごく時間がかかった、、
Posted by ブクログ
亡くなった祖母の家で4名の女性の同居。
描写が薄いベールで包んだような情景で独特の世界観。
このまえに、
りかさん、を読んでいたので、
りかさんの登場を楽しみにしてました。
Posted by ブクログ
裏庭で挫折したので、今回も挫折するのだろうかと思いながらも梨木香歩氏の独特の世界に入りたくて購入。りかさんを最初に読んだのがよかった。
大人になった蓉子さんは変わらずりかさんと一緒にいる。話すことはできなくなったけど、価値観も違う下宿人らとの生活の中心にりかさんがいてそして何よりも日常を大切にしている、そんな話になっている。
内容は難しいが機を織るトントンという音が聞こえるような小説でした。