梨木香歩のレビュー一覧
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梨木果歩さんの小説が大好きで、本屋でパッと手に取ってみた本。昨今の情勢について鋭く書かれている様子だったので読みたかった。
宮崎駿が対談で、こんな世の中なのに昔のようなファンタジーを描いてもしょうがない、というようなことを言っていたけど、梨木さん、というか作家の方もそういう意識が強くなっているのかもしれない。今は本当に、昔からのやり方や、継続してきたものが一瞬で変化したり崩壊してしまうかもしれない時代。みんなどこを、何を目指せば良いか分からない時代。
日本は若者より老人の方が多くて、老人は今の若者の状況が全く分かっていないし、興味さえない人もいる。昔の基準・フィルターでしか見られない人達に -
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[1]ようこが祖母の麻子さんからもらった市松人形のりかさんは手続きはなかなか面倒だが馴染むとコミュニケーションもとれるようになった。
[2]りかさんと麻子さんは人形たちとのつきあい方、この世との接し方などの道しるべとなってくれ、ようこの世界は拡がってゆく。
[3]お祖母ちゃん語録いろいろあります。《人形の本当の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね》p.76。
■りかさんについての簡単な単語集
【麻子】ようこの祖母。りかさんの元の持ち主。若い頃、理科の先生だったらしい。《年をとってありがたいのは、若いころ見えなかっ -
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ネタバレ評価は星3つだが、この人の話の星3つは面白かったかどうかではなく、中庸であり、主張すべきところがない安定の星3つといえる。(実質星5つといえるが、その情熱が湧かないところが重要)
最終的に『家守綺譚』『冬虫夏草』と舞台が共有され、同じ世界観で描かれていることに謎の安堵感を感じる。特定の人物を好きになるわけではないのに、話に親しみが得られるのはそれだけ人の良心に寄り添った土壌が築かれているからだろう。展開はともかく、不穏な影を感じない。
人生の幸せとは、かくも流れゆく時の上に描かれた1本の線であると知る。連なりこそが味わいであり、一時的な期間がその人間の人生を広げてゆくきっかけとなる様を見せ