梨木香歩のレビュー一覧

  • 海うそ

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    ネタバレ

    舞台となる遅島が実際ある場所かと思っていたら、梨木さんの作りあげた架空の島だったことに、まず驚いた。ルポタージュを読んでいるかのような感覚になった。
    50年後の遅島が、近代的に変貌をとげている様を「色即是空」と秋野が受け止めていることが、超然としているようで、どこか諦めのような、物悲しさを感じた。
    ただそこにあるが、実体はなく、執着するものではない。美しいものは、儚さをともなうから、美しいのだろうか。

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    2024年10月18日
  • 椿宿の辺りに

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    その長い人生を終えようとしている主人公の祖母。
    意識が朦朧としている中、先に亡くなっている祖父(本人からしたら夫)からのメッセージ「実家のお稲荷さんにお揚げ位、お供えしておくように」を主人公に伝えるところから話が始まる。

    こんな形で歴史を辿ったりするとは思わなかった。
    個人的にはこのタイミングで出会えてよかった本かも。
    近代化が進んで、AIとかDXとか言われる今だけど
    科学とか技術とかでは説明しきれない何かに
    心の拠り所を見つけたくなるから。

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    2024年10月09日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    ネタバレ

    おばあちゃんと孫の対話
    入れ子になっている物語を読み進めていくと段々と全体が見えてくるミステリーのような不思議な話だった
    曖昧に夢現を行き来するような、常世と彼の世が行き来するような…。
    ずっと罪の意識があったり、切ない。
    おばあちゃんは最後に救われたよね

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    2024年09月09日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    ここにあるものを求めていた。

    エストニアにコウノトリを訪ねていく。しかしコウノトリはすでに旅立っていた。ヨーロッパの北の端で、著者が見た人と自然の姿。

    人が住まないところに、自然が生きる。エストニアの人々は、自然と共に生きる術を知っている。心の底にある「熱」をずっと抱えて生きている。

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    2024年08月25日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    「りかさん」の前日譚。
    発売日的にはこちらが先。
    ただ、先に「りかさん」を読んだほうが、理解しやすいと感じた。
    むしろそうじゃないと、「?」となる部分が多い。

    4人の女性の同居を通じて描かれる物語。
    「容子」は前作の「ようこ」が大人になった姿。
    唐草模様のように、縦横無尽に絡み合っている様は、なるほどタイトルどおり。

    人形主体であった「りかさん」に対し、こちらは人間主体のよう。
    ただし4人以外の人物関係の把握がなかなか難しい。

    背景や世界を思い浮かべながら読むと、牧歌的な雰囲気を感じられた。

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    2024年08月08日
  • りかさん(新潮文庫)

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    人間と人形が紡ぐ、不思議な物語。
    会話する人形なんて、ともすればホラーでしかない。
    しかし、時代を経ても繋がっている想いや、感覚の表現で、魅せられる。

    方や、併録の「ミケルの庭」は、鬼気迫る雰囲気が感じられた。

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    2024年08月08日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

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    梨木果歩さんの小説が大好きで、本屋でパッと手に取ってみた本。昨今の情勢について鋭く書かれている様子だったので読みたかった。

    宮崎駿が対談で、こんな世の中なのに昔のようなファンタジーを描いてもしょうがない、というようなことを言っていたけど、梨木さん、というか作家の方もそういう意識が強くなっているのかもしれない。今は本当に、昔からのやり方や、継続してきたものが一瞬で変化したり崩壊してしまうかもしれない時代。みんなどこを、何を目指せば良いか分からない時代。

    日本は若者より老人の方が多くて、老人は今の若者の状況が全く分かっていないし、興味さえない人もいる。昔の基準・フィルターでしか見られない人達に

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    2024年06月23日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    鳥への並々ならぬ想いがよく伝わった。

    良いとか悪いとかではなく、歴史を知り、思いの外静かな自然豊かな土地だと知り、何故か陰鬱な気分になり行きたい気持ちが少し無くなった。むやみやたら明るい国に行きたい気分だから。

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    2024年05月28日
  • りかさん(新潮文庫)

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    [1]ようこが祖母の麻子さんからもらった市松人形のりかさんは手続きはなかなか面倒だが馴染むとコミュニケーションもとれるようになった。
    [2]りかさんと麻子さんは人形たちとのつきあい方、この世との接し方などの道しるべとなってくれ、ようこの世界は拡がってゆく。
    [3]お祖母ちゃん語録いろいろあります。《人形の本当の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね》p.76。

    ■りかさんについての簡単な単語集

    【麻子】ようこの祖母。りかさんの元の持ち主。若い頃、理科の先生だったらしい。《年をとってありがたいのは、若いころ見えなかっ

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    2024年05月10日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    歴史に名を残した方の伝記本は沢山読んできたつもりですが、誇り高きすずめの生涯を記した本があったとは…

    人を慰め、支え、時に人を愛し
    嫌なことがあれば、人を叱り。
    まるで人間のような表情を見せたとあるクラレンス。
    命に対しての考え方見方が変わった本でした。

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    2024年04月23日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    梨木香歩さんの訳にひかれて読み始める
    英訳だし時代もいまとは異なり、ところどころ理解できないところもあった
    動物とこんなにも密な関係を築き12年もの間ともに行きたクレアさんが素晴らしく、また彼が逝ったあとの喪失感を思うと胸がえぐられるような痛みを感じた
    戦時下の日常が描かれており興味深かった

    青森旅行✈のお伴に

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    2025年10月26日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

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    お友達からのおすすめ

    言葉を大切に大切にする感じが紹介してくれた子らしく感じた。
    自分の中のリーダー。うつ病の自分に通ずる所もあった。

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    2024年03月28日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    初読。松子さんの話がよかった。綿貫から教えられた想像力という概念が、彼女の助けになったのだろうか。綿貫とのあの一時をずっと大切に覚えていた松子さんにとってあれは救いだったんだろうね。
    あと、村田がトルコに行ってたのが自分が思ってたより長い期間だってことがこの本を読んでわかった。

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    2024年03月17日
  • f 植物園の巣穴

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    ネタバレ

    最初は展開がよくわからないまま読み進めていましたが、途中からこれは主人公の過去を掘り起こしているとわかるとそこからは読みやすくなりました。
    特に同行していた坊の正体は涙腺にきます。
    ときどき痛む、穴が開いた歯の部分は心ということで、誰にもそういううろはあるものだと思いました。

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    2024年03月09日
  • 海うそ

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    これは小説なのか、実際の体験記なのか。あまりにも光景が浮かびすぎて読んでてこれはなんなんだ、という気分になった。

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    2024年02月29日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

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    ネタバレ

    チーム・自分。
    自分のリーダーは自分の中にいる。

    流されやすい自分に喝を入れられた気分になりました。

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    2024年02月24日
  • 村田エフェンディ滞土録(新潮文庫)

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    ネタバレ

    評価は星3つだが、この人の話の星3つは面白かったかどうかではなく、中庸であり、主張すべきところがない安定の星3つといえる。(実質星5つといえるが、その情熱が湧かないところが重要)

    最終的に『家守綺譚』『冬虫夏草』と舞台が共有され、同じ世界観で描かれていることに謎の安堵感を感じる。特定の人物を好きになるわけではないのに、話に親しみが得られるのはそれだけ人の良心に寄り添った土壌が築かれているからだろう。展開はともかく、不穏な影を感じない。

    人生の幸せとは、かくも流れゆく時の上に描かれた1本の線であると知る。連なりこそが味わいであり、一時的な期間がその人間の人生を広げてゆくきっかけとなる様を見せ

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    2024年01月13日
  • ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版

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    大人の責任として語らなければいけないことがあると知りつつもその勇気がない。
    せめてこの本を若い人たちに勧めたい。

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    2023年12月20日
  • やがて満ちてくる光の(新潮文庫)

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    同じ時代に同じ国に生きていても、美しく心打たれる場所と巡り会えるチャンスは同じではない。それが生き方の違いというものであろうなあ。

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    2023年12月20日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    作者さんの作品、今回も難しかったです。
    本のカバーに書かれているのを読んでこれならと思いましたが。
    女性4人の共同生活の物語です。
    この作品にも沢山の草花について書かれていて、そのつど調べながら読みました。
    知らない言葉についても同様に。
    読んでいると彼女達の過ごす家が浮かんできます。けれども共同生活の物語としてだけではなく、世界情勢まで話は広がります。
    それだけではなく…次々と。
    きちんと理解出来て読めたかはわかりませんが、読んでいる間は心地良かったです。

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    2023年11月30日