梨木香歩のレビュー一覧

  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    ◼️ 梨木香歩「エストニア紀行」

    バルト海に面した北の国。読んで字の如く、だけど、やっぱり梨木香歩さんしてます。

    バルト三国、リトアニア、ラトビア、エストニア。ゴルバチョフが打ち出したペレストロイカのもと独立の機運が高まり1991年にソ連から独立を果たした。ちょうど学生時期で新聞によく載っていたので、なぜか南からの順番で覚えた。

    今回の舞台は北の果て・・梨木香歩は最初は首都・タリンで昔の地下通路などを訪ねる。まさに紀行ものらしい。建物や人の機微を心中よく捉えている。

    バルト三国最北の国、というのは知ってた。でもさすがになじみのない国、タリンではもう一つ想像しにくいな、と感じたが、北部、湾をを隔ててスカンジナビア半島のフィンランドと向かい合っている首都タリンから、ずっと南東部のヴォルに移動して、ホテル近くの厚い森に1人入ったころに、ナチュラリスト・梨木香歩らしさが出た。

    「じっとしていると、ときどき自分が人間であることから離れていくような気がする。人が森に在るときは、森もまた人に在る。(中略)何か、互いの浸食作用で互いの輪郭が、少し、ぼやけてくるような、そういう個と個の垣根がなくなり、重なるような一瞬がある」

    茸取り名人のおばあさんの話を興味深く聞く。梨木香歩も相当の知識がある人で、その会話はけっこうディープ。茸は首都タリンの近くでもちょっと郊外に出れば取れるそうで、国民にはポピュラーな食材のようだ。アンズダケが食べてみたくなる。

    西部キヒヌ島は男性たちが漁に行ってしまうため、家に残った妻たちはパンを焼き、魚を捕って焼き、畑を耕す。機織り機で作られた暖色系統の縦縞スカートが鮮やか。著者は女たちを「なんてかっこいいんだろう」と涙さえ浮かべながら感激している。

    北西部の大きな島、ムフ島とサーレマー島訪問。サーレマー島はソ連時代、軍事拠点だったから、生態系がそのまま保たれているらしい。ムース一万頭、オオカミ、オオヤマネコ、クマ、カワウソなどがいると知り梨木氏は夢見心地。

    「私はかなり本気で後半生をこの島で過ごすことを考えた」

    んだとか。梨木香歩さん、めっちゃ植生に詳しいし、毎月、季節のゼリーを作っているらしい。渡り鳥の観察のために、自分で車を運転してウォッチしたり、空港でたぶん英語になっているであろうアフリカの本を購入し読む、という、理知的および科学的であり、かつ行動力がすばらしい。

    エストニアの1か月前はカムチャツカ半島に行っており、この後はアフリカに行くんだとか。

    様々な種類の、この作家特有の要素が散りばめてあり、そのまっすぐさに惹かれてしまう。感性がおもしろい。幽霊騒ぎもなかなか楽しいくだりでした。

    梨木さんのエッセイ、GOOD、良い感触。折に触れもう少し読んでみようかな。

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    2026年03月08日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    この世界でのリクツにやや振り回されてしまったけれど、ファンタジーのおもしろさやうつくしさはそのややこしいところにも宿るよなあ、とも思う。

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    2026年02月07日
  • からくりからくさ(新潮文庫)

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    植物の知識が無いのと、人物の名前・関係が覚えきれなかったせいで、凄く面白そうな小説なのに楽しみきれなかった。

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    2026年01月27日
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)

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    地名を糸口にその土地の歴史や物語に思いを馳せる本。知っているところ、聞いたことのある地名の項は興味深く読んだ。

    一気に読むというより、家のどこかに置いておいて、時々開いて気になったところを読む、という読み方が向いていると思う。

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    2026年01月14日
  • 家守綺譚(新潮文庫)

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     大学でボートに乗っていた友人、高堂は湖に舟を漕ぎだしたまま行方不明になった。
     その友人の父親から空家の管理を任されたが、日々不思議なことが起こる。
     床の間の掛け軸の湖の絵から、時たま高堂がボートに乗って現れる。
     曰く、植物が懸想していると。

     この家に来るようになった犬が河童の衣を拾ってきたり、
     よくタヌキに化かされたり。

     この家で起こる日々の不思議を描く。

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    2026年01月06日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    理解できるところと理解できないところが極端にわかれた。
    合間に挟まる「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」がなんなのか考えるのが楽しかった。
    5年後くらいにまた読んでみたい。

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    2026年01月04日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    植物や動物、人に対する細やかな視線がそんなに厚くない一冊にしっかりと詰まっている。
    裏庭、を再読したくなった。近づき過ぎず遠ざからない。ゆるやかにつながる。

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    2025年12月29日
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)

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    最初は面白かったけど途中からよくわからず、読み飛ばしてしまった。うーん、今は頭が足りないみたいなので、また読み返してみたい。

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    2025年12月25日
  • f 植物園の巣穴

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    独特の世界観に心が折れかけたけれど、最後まで読んでよかった。

    過去と向き合うことは苦しいこともあるけれど
    おかげで前に進むことができる。
    そういうこともある。

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    2025年12月22日
  • 家守綺譚 上

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    近藤ようこの美しい絵で描かれる不思議が当たり前のような世界のお話。

    梨木香歩を読んだことがないのですが、坂田靖子の作品にテーマやモチーフが似てるな、と思い出したりしました。よく分からない不条理なものがただそこにあり、それをそのままに受け入れる主人公のさまが心地よかったです。

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    2025年12月18日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    ネタバレ

    伝えたいことはなんとなくわかった気がするが、全体的に自分の心の大事なところには響かなかった印象。
    ファンタジーだけど少年少女がワクワクするような描写がさほど多くなかったような…あんまりカラフルな印象を受けない作品世界の描写だったし、展開が悪い意味で唐突感がありストーリーがぼんやりした印象がある。スナッフは突然殺されるし終盤いきなり新キャラが照美ちゃんについてくるし…。ソレデとカラダがおじいちゃんなのはなぜ…?おじいちゃんに影響を受けている裏庭世界の登場人物ならせめて土を耕すようなキャラにならないのか…?私が安直なのかもしれない。

    読んでる間、登場人物に対して心が寄り添うことが少なかったからそう思うのかな…??

    ただ、照美ちゃんやその両親が弟(息子)の死を自分の傷として受け入れる、という物語はよかった。
    特に照美の母であるさっちゃんが一番血の通ったキャラクターのように感じたし、心理描写にも嘘がないなと感じた。

    自分が大人になってこれを読んだからこう感じるのかも。少女だった頃にこれを読んだらもっと裏庭世界を身近に感じて、読んでて楽しかったかもしれない。

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    2025年11月25日
  • 裏庭(新潮文庫)

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    バーンズ屋敷風の大きなお屋敷が実家の近くにあって入ったことがある
    巨大なフサフサの生き物が目の前を横切って消えていったあれは、今思えばなんだったのだろうか、メインクーンの進化系?!

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    2025年11月16日
  • 本からはじまる物語

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    好きな恩田陸さんが入っていたので思わず読んでみた。短いながらほっこりする感じのものが多くてよかった。

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    2025年11月13日
  • 本からはじまる物語

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    作品紹介・あらすじ

    1話5分でわくわくできる、本にまつわる18のストーリー。

    森を飛びかう絵本をつかまえる狩人、ほしい本をすぐにそろえてくれる不思議な本屋、祖父がゆっくり本を読む理由、書店のバックヤードに隠された秘密……。
    青春、恋愛、時代小説から、ミステリにファンタジーまで、「本」と「本屋」をテーマに豪華執筆陣18名が集結! 本の世界の奥深さが短いお話の中にたっぷり詰まっています。1話5分でわくわくできてどこから読んでも面白い、本にまつわるショートショート・アンソロジー。

    *****

    本にまつわるショートショート18編を集めた短編集。
    僕は梨木果歩さんの作品目当てで購入。
    ホロリとさせるものから、ミステリーっぽいもの、恋愛ものまでジャンルは様々で、似たようなアイディアの作品もある。
    どれも短い作品なので、ちょっと食い足りなさを感じるのだけれど、逆に短いからこそ重くならずにすっと入ってくる心地良さがあって、全体的に好感が持てた。
    肝心の梨木果歩さんの作品だけれど、これがホラー。ラストが明記されていないだけに、余計に怖さが残る。

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    2025年10月05日
  • ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

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    表紙が素敵で手に取った。
    英国の女性と拾われたスズメとの暮らしの記録
    人とスズメも心を通わせることができる。

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    2025年10月06日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    『西の魔女が死んだ』を読む前に文章の雰囲気を知るために購入。最初から伏線が散りばめられていて最後にかけて拾っていく構成が良かったです

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    2025年09月12日
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)

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    梨木さんが、エストニアへ行った時の出来事をつづったエッセイ。現代社会から取り残されたような、ゆったりとした時間の流れるエストニアの情景にとても憧れる。
    古いホテルでのちょっと怖い話や、「風」をゼリーにする感性がとても美しい。これらの出来事が梨木さんの作品に影響を与えているんだと随所にみられて、これだけで一つの作品になっているようです。

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    2025年08月30日
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)

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    おばあちゃんと娘の二つの話がスイッチする。おばあちゃんの時はやや文が読みづらいがそれもまた良し。熱帯魚を飼いたくなるような、躊躇うような。聴こえないのに水の音がしてくるそんな心地よい小説。

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    2025年08月25日
  • 冬虫夏草(新潮文庫)

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    綿貫、旅に出る。ゴローを探すために鈴鹿の山中へ足を運ぶ。そこはそれ、うかつな綿貫故の不思議な出会いの数々。人なのか、人ならざるものなのか。夢か現か。そして、やっぱりうかつな綿貫が騒動の原因の一因である。ゴローが鈴鹿の山中を走り回っているのは、綿貫のせいなのか、ゴローの生まれ持った責任感か。神出鬼没の高堂のぶっきらぼうな一言が、厳しくも優しくも聞こえる。旅をすることは自分と向き合うことでもあり、知見を広めることであり、己の無知を自覚することでもある。どこへ行こうとも綿貫は綿貫なのがよい。

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    2025年08月24日
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)

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    梨木さんのエッセイ。身の回りの自然の事や、人との事、梨木さんの人柄がよくわかる暖かいエッセイ。
    「西の魔女が死んだ」の頃の、作品のヒントになるような話が良かった。大きな自然中に身をゆだねているような心地よさがある。
    個人的に「アクのこと」が気に入っている。「アク」があるから味わいが深くなるし、人の心にも「アク」がある。完璧じゃつまらないってこと。

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    2025年08月15日