梨木香歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題作のみ、きらきら、芯から透き通ってしずかに光るように美しかった。ほかは……なんというのだろう。悪くいうには忍びない(この著者の作品を、ほんとうに長く愛読してきたから)けれども、かの女の多くの作品と同じくーー意図してかどうかはわからないがーーユング心理学にいう『グレートマザー(すべてを呑み込む太母)』が、文章の後ろ側から立ち上ってあらわれているように思えてしまう。またそれだけでなく、現代というにはすこし昔の、「お母さんのいうようにしておけば間違いはないのよ」という、おしつけるような、ある種行き過ぎた強すぎる母性をも感じてしまうのである。……物事やいきものにはそれぞれ、それ自身の想いや生き方、
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Posted by ブクログ
ネタバレチーム・自分の中のリーダーの声。
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」は、よかった。
が、啓蒙主義の匂いがほのかに。
もちろんその意図はあるはず。
そして深い誠意から来ているはず。
でも自分が14歳だったら反撥していたかもな。
本書はもっとそう。
ヘレン・ケラーがナプキンを畳んだという件に深く感動する母親の姿に胸打たれたのは、やっぱり大人になってからだもの。
でも自分のような頑なな少年にも、こういう言葉を一度送っておけば、どこかで復活するものだと思う。
「みんなちがって、みんないい」のような言葉をシニカルに受け流す姿勢が身についてしまっているが、逆の姿勢も持っておきたいな。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ読みは、椿宿(つばきしゅく)。
「f植物園の巣穴」の続編だと聞いていたから、なんと現代でびっくり。
巻き込まれ体質の語り手による地の文がシリアスでコミカル。あと亀シの口調も面白く、「かぐや姫の物語」の女童で脳内再生。
途中で割り切って、家系図を作った。ガルシア=マルケスっぽい読み方。
親や兄弟って、滞り、絡まり、しがらみ、という面もある。
神話に遡って、その上神話内に新キャラまで出して、随分自由だな>祖父藪彦。
しかし作品内で、登場しない人物(亡き祖父や曾祖父)が影響力を持つことはあっても、存在しなかった存在(道彦)の影響をここまで描くって凄い。
一見いい話に見えるが、ブツ切りの構成も含めて、 -
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