梨木香歩のレビュー一覧
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野生の雀の孵化すぐと思われる雛を育て上げ看取るまでを回想の形で記した本。第二次世界大戦中から戦後の時代です。
動物を慈しみながら一緒に生活している全ての人がそうであると思うが、非常によく観察(?)されていて驚くほどだ。そして野生の雀とは異なる生態を時に見せていく事を客観的に捉えて記載されているところが凄い。研究目的ではないのだから。また文章が高尚で時には難しく哲学的雰囲気の事もある。
そして主人公の雀がまた凄いのだ。素敵な文章の中に登場するこの雀の一生が、通常の野生の雀とは一線を画している。その面白さが端的な文章にギュッと詰まってる。著者の雀との関係性も素晴らしい。決してヒトの思う通りにするのではなく、雀彼本人の個性にあくまでも寄り添う形で生活していく様が凡人には出来ぬことかもなと思った。雀の晩年に創意工夫をして如何に彼が快適に過ごせるかを模索しておりもう愛しか感じない。挿入される写真が慈愛に満ち満ちていてなんとも愛おしい。
酒井駒子さんの優しい装丁。
梨木香歩(西の魔女が死んだ)さんの訳本。
MRさんのタイムライン?で知った本ですがそこに本当に感謝♪ -
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「家守綺譚」の綿貫さんのお友だち 村田さんのトルコにおる頃の話。
相変わらず不可思議な感じやな。
異国って名前が似合う土耳古(トルコ)。
地理的にも、アジアとヨーロッパを結ぶ位置にある。
お稲荷さん、異国の神が暴れるとか、ええ感じ。
まぁ、怪異なんやけど、ファンタジーしてる!
こういうとこなら、家守綺譚などで、現れる不可思議な事も起こりそう…
お稲荷さんと異国の神が暴れるのも、ある意味文化交流!
異国の地で、異国の人らと語り合い…
何かええ感じやな。
お稲荷さんも、異国の神も仲良く帰国!
あっ!ゴローおった!
かなり、老犬なんかな?
鸚鵡と仲良くしてな!
そういう世界、知らなくもないけど。あまりにも幼稚だわ。分かるとこだけきちんとお片付けしましょう、あとの大な闇はないことにしましょう、という、そういうことよ。(本文より)
西洋の合理性、論理性に一石を投じるって感じ。「無知の知」みたいな。
バタバタ観光やなく、ゆっくり出来るなら、トルコもええかも?
凄い日本贔屓みたいやし。
暑そうやけど(^◇^;)
鸚鵡、驢馬、希臘、猶太、羅馬、欧羅巴、埃及…
地名とかは、漢字…ちと、難しい…(・・;)
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初めての梨木香歩さん作品。
マッドガイド・ウォーターという架空の水辺の地域を舞台として、ハリネズミのような見た目をした「ヤービ」たちを巡る物語。
作品ホームページにて、作者の”子どものための物語”への考えを知り、この優しい世界が一層愛おしくなった。
背伸びをして難しい本ばかり読んでいた子供時代の私に、「今しか感じられないことがあるから読んで」と言いたい。
小さな生き物たちのユニークな暮らしぶりの中に、作者の環境問題への憂慮が織り交ぜられていて、世界を見るスタート地点としてもこの作品をたくさんの子どもたち、いつか子どもだった人たちに読んでほしい。
絵と装丁も素敵! -
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寝たきりになったばあちゃんの夜のトイレの付き添いをママの代わりに手伝うことになったコウコ。
最近のコウコの精神不安はカフェインの取り過ぎだという思いと、熱帯魚を飼うことで心の安らぎを取り戻そうとしていること。
その頃からばあちゃんと私は、さわちゃんとコウちゃんお呼び合い、ここにいないかのようなばあちゃんとの不思議な会話をするようになる。
キリスト系の女学校に通うさわこが好きな人たちは、ばばちゃま、女中のツネ、担任の翠川先生と仲良くなりたいと思っている山本孝子さんだった。
翠川先生と山本さんが親密な関係であることを知り、嫉妬のあまり山本さんにきつくあたり、彼女の不幸を願ったさわこは、その時から悪魔の側に行ってしまった自分を悔やんでいた。
熱帯魚のエンゼルフィッシュはネオンテトラを攻撃するようになり、その様子をどうすることもできないままでいた、ばあちゃんとコウコ。
人はどんな時にでも、誰だって良い人でありたいと思うと同時に心にいる悪魔を飼っているのかもしれないね。
それが悪意となって外に出てしまった後の後悔を、ばあちゃんはずっと抱えていたのだけど
孫のコウコを通じて気持ちの整理がついたとき、ばあちゃんは本当の天使になった。
純粋に、こんな時代を超えての人の人生を書けるって
すごいなあって思う。
梨木さんの書く文は好きだなあ。 -
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ネタバレうわぁ・・・(まだまだわかっていないことがたくさんあるけど)そういうことかぁ。と、こうなんというかラストスパートでこれまでの緊張がふわっと解けるような読後感でした。
どうしてもネタバレしないと書き続けられそうにないので、未読の方はここから注意です。
主人公の名は後半になって判明しますが、佐田豊彦さんといいます。(確かまだ未読ですが、「椿宿の辺りに」の主人公の曾祖父にあたるそうです。)
豊彦さん、歯が痛いから歯医者に行くというところから物語が始まりますが、行った歯科医の奥さんが前世で犬だったため、忙しくなってなりふり構わなくなると犬になってしまうなどと、初めから妖しい空気感が漂います。風雨の中訪れた温かな光がともるスターレストランもなんだか不思議な雰囲気。そこで見た親子は何だったんだろう・・・下宿先の大家はふと気づくと、雌鶏の頭をしているように見えるし、思わぬところで思わぬ人(歯科医の奥さんだったり、スターレストランの給仕係だったり)に会い、思いもかけない言葉を投げかけられる。あげくに、豊彦さんはずっと女性ものの靴で歩いていたという衝撃の事実を大家さんに指摘される・・・今がいつで、どこにいるのか。読書はもちろんのこと、豊彦さん自身もよくわからなくなってくるけれど、とにかく仕事(豊彦さんはf植物園の園丁をしている)に行かなければならないし、歯の治療にも行かなくてはならない。その合間合間に豊彦さんの過去がわかってくる。千代という名のねえやについての思い出が不思議と鮮明なようで不鮮明。何かがおかしい。
そこで、豊彦さんはふと思い出す。大木のうろをのぞき込んで落ちた後、そこから出た記憶がない、と。
はーん、そういうこと。と少し納得がいくものの、不思議な世界は続く。ナマズ神主や烏帽子をかぶった鯉が出てきたり、また過去の記憶がよみがえり、大叔母が語ってくれたアイルランドの治水神を思い出したり。そして坊に会う。坊との行動はまるで冒険のようでもある。そこで、過去のトラウマからか、ねえやの千代に関する記憶が改変されていたことに気づく。まるでそのことに関する心の傷を隠していたものを取り去ったかのように、豊彦さんは過去の出来事をやっと事実として受け入れた(ように、私には思えました)。坊が行ってしまって、目が覚めた豊彦さんは、不思議な世界では亡き者となっていた妻が、うろに落ちてから意識がなかった自分を看病してくれていたことに気づく。
「あの子に会った」というだけで妻には通じた、というところにまたこの夫婦が抱いてきた大きな喪失が表れています。
豊彦さんが現実に戻ってすぐに物語は幕を閉じます。
不思議な世界でのあれは何を表していたのか、と考え始めるとまだまだ読み込みが足りないと思わされます。この物語は、たぶん複数回読むべきなんだろうと思いました。
この心地の良い不安定感は、たくさんの人が感想に書かれているように、「家守綺譚」に通じるものがありますし、和製「不思議の国のアリス」というのも、なるほどうまい表現だなと思います。
「海うそ」を読んだ後だからか、「喪失」の描き方が非常にうまい、さすが梨木香歩さんだと思いました。 -
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ネタバレ★
『西の魔女が死んだ』を読んで、梨木香歩さんの作品に興味を持った。
とても繊細な感覚で生き物や人、ものごとを見て、丁寧な言葉で表現されていて素晴らしいし、好きだなと思った。
このエッセイを読みながら、私が最近謎に思っていたことが解けたり、好きな自然や、きれいだなと思う言葉や感覚、懐かしい思い出に触れることができた。
また、自身の感覚に近いところが多々あり、親近感が湧いたし、深みを感じたので再読したいと思った。
15年以上前のエッセイなので、そういうところも興味深かった。
◯『世界は生きている』
つい先日4月の末に、帰宅の道を歩いていたら近くの校舎の脇の高い木の上からセミの声が聞こえてきた。〝こんな時期にセミ⁈やっぱり気候がおかしくなっているのか!?〟と不思議に思っていたことがあった。そして、この本を読んであれはハルゼミだったのかなと思った。
調べるとハルゼミの生息域は局所的で、市街地にはまず出現しない、とある。地域によって絶滅危惧種だとも。でも、ハルゼミだった可能性はゼロではない。ハルゼミっていうのがいるんだと知れたことは新鮮だった。
◯『夢と付き合う』
・夢って不思議、何かのメッセージであることもあるんだろうなと私も思っている。どんな意味があるんだろうと謎解きのようなことをしてしまうことも。でも梨木さんの〝心にずしんと響く夢を見た、という実感があるときは、その夢の全体を丸ごと抱きしめる感じで、長く意識のどこかにおいておく方が、「効く」ような気がする。〟という夢の捉え方には、なるほどとうなずけた。
◯『小学生の頃』
・「-略-エルネストのつつしみ深さは、ずっとわたしのものの感じ方のお手本でしたわ。」《ゼーバルト著『パウル・ベライター』》
梨木さんは、このように自覚しているマダム・ランダウに好感をもたれたが、私はこれに共感した。
私も、幼い頃の何気ない場面が、いくつか映像として浮かび残っている。直接的なメッセージを与えられた場面ではないけれど、やはり、それは私にと ってとても大切で、人生の羅針盤のような意味のあるもののようで、今も度々思い出しているのだと感じる。
◯『「アク」のこと』
・とても興味深かった。
春先の植物のアク、人が身体に溜め込んだ毒素、大きなショックを体験したことにより宿るアク、肩凝り…いろんな質の「アク」
アクは出した方がスッキリするが、〝自分にも、誰か、にもその時のコンディションがあるので、白黒つけようと追い込まないことも群れ社会で生きる智慧の一つのようだ〟と著者が考えるのに、そうだなぁと思うところがあった。